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懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話  作者: 古河新後
39章 文化祭編3 姉妹

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第653話 見えたぜ! オレの未来がよぉ!

「じゃあ、何を占おうか?」


 本郷ちゃんは席に座っただけで何も道具は出さずにオレに尋ねる。水晶とかタロットカードとか使うモノだと思っていた。


「何でも良いの?」

「勿論。けど、もうそんなに時間は無いよ。文化祭もそろそろ終わっちゃうし」


 時間を見る。時間は30分を切っている。占いは出来て一回が限度か……ならば、これだけは占って貰わないとっ!


「じゃあ……オレの女難の相を……」

「なんだって? 女難?」


 本郷ちゃんが意外な様子で顔をしかめる。

 そりゃ、こんな学生のなんちゃって占いで聞くような事じゃないのは解ってる。しかし、縋るモノには縋るのがオレのポリシーなのだ!(プライドなんてありませんよ。ええ)

 それにオレは後輩でも年下でも、その意見が自分に正しいと感じたなら隔てなく受け入れる精神なのである。後輩はまだ居ないけど。


「昔から本当に女性関係で色々あってさ……今後オレにどれだけの試練が待ちわびているのか知りたいんだ」

「漠然とし過ぎると、結果も漠然としたモノになるけど。それでも良いかい?」

「あ、もう全然いいよ」


 正直な所、社会人になってから加速度的にヤバい気がするのだ。昔から何かと女性関係で命を賭けてるし……。最近ではショウコさんやアヤが関わった件が主だ。リンカからは常に殺気を感じてるし、後の人生での“女難”がこんなモンで終わるとは思えない。


 前世でどれ程の“業”を背負ったのかは不明だが、今はこのスパイラルがいつ落ち着くか……を大雑把にも助言が欲しい!

 社会人が学生に求める内容じゃないけど……


「ふむ……それじゃ――」


 本郷ちゃんは近くの棚からカードを取ってくる。占い師が使うタロットとは違う感じのカードだ。

 トランプ程の大きさの五枚を順番に見せる。


「これは僕のオリジナル『相剋』カードだよ。結構当たるから信頼してね」

「おお」


 既存の占いよりは本郷ちゃんの心得が乗ってそうで逆に信用出来る!


「この五枚『木』『火』『金』『土』『水』の中から選んでくれたまえ」


 本郷ちゃんは各々の絵柄が見えるようにオレの前に置いた。

 ふむ……素人目にも各々は色々と連想出来る。

 『木』。我が盟友デストロイヤーが脳裏を横切る。

 『火』。あんまりイメージは無い。強いて言うなら暖かいコタツかな。

 『金』。(かね)しかねー。でもあんまり金銭的に困るって今の所はないからなー。

 『土』。馴染み深い土地と言う意味なら、“神ノ木の里”だったり、海外支部(ニューヨーク)だったり、今のアパートだったり。

 しかし、最もオレの記憶に深く存在しているのは――


「これかな」


 オレは『水』を選んだ。

 そう、忘れられない過去を引き合いに出したのである。オレも成長したねー。昔ながら絶対に『水』だけは避けてただろう。


「ふむ……『水』か。それで占う内容は“女難”だったね?」

「はい。助言ください」


 まぁ、流石にオレの過去を本郷ちゃんが知る良しも無いだろう。なんて結果が出るのか少し楽しみでもある。


「『水』は今まで占った人で一番少ない選択肢なんだ」

「そうなの?」

「人は母親のお腹の中で創られて産まれてくるからね。『水』を選ぶ人は本能的に自分に寄り添う人を探していると僕は考えてる」


 ほほぅ……中々に理論的な解釈も混じってるのか。


「大半の人は“俗な気持ち”を持ちたがりだけど、『水』を選んだ鳳さんは土地や金銭、環境よりも“家族”を大事にするのが本心だ。だから、その関係で女難は続くと思うよ」

「……と言うと……どう言う事?」

「大まかに言うのであれば、一度関わった女性の家族関係のトラブルかな。特に深い縁で結ばれた女性の家族との距離感は気を付けた方が良い」

「…………」

「心当たりある?」

「ありまくる……」

「ふふ。当たってる様で良かった」


 つまり……考えられる可能性は未だに顔を会わせてないリンカの“父親”やアヤの“母親――カナエさん”方面って事か!

 見えたぜ! オレの未来がよぉ! でも一応……


「それ以外では女難ありそう?」

「新しい縁が出来る可能性はわからないよ。僕は神様じゃないからね。今は見えている“縁”に注意するだけで良いんじゃないかな?」

「ふむぅ……」


 確かに……ナンパで困ってる美少女(新規)でも助けない限りは新たなトラブルが起こる可能性は皆無……か。


「アドバイスはあるよ」

「ホント!? 教えて教えて!」

「それはね――」


 コンコンと、いい所で部室の扉がノックされた。

 オオィィ! オレの未来が……目の前にかかってるのにっ! 誰だっ!

 すると、本郷ちゃんは扉を指差す。


「開けてご覧よ」

「え……アドバイス……」

「僕のアドバイスよりも君には必要な事さ」


 ホントにぃ? 今の瞬間に本郷ちゃん以外に話す価値がある人間なんて……


 オレは椅子から立ち上がると扉を開けた。


「本郷先輩、ここに彼――」


 扉を開けたのが本郷ちゃんだと思っていたリンカがオレを見上げた。

次はついに告白します

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