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第597話 右脳が欠如してると断言するね

「いらっしゃいませー、ご主人様、お嬢様♪ 席は相席になさいますか?」


 来たよ『猫耳メイド喫茶』。店内を見回す限り、猫耳メイドさんが必ず視界に入るぜ、うひょー!

 予想以上に素晴らしい……色んなタイプの猫耳メイドさんに一日座ってても飽きない自信がある!

 あの隠れ目で小柄な女の子とか! いかにも水泳やってそうなスレンダーな女の子とか! 後、目の前で対応してくれるヒカリちゃんとかね! しかも、全部JKですよ! 一年前までは中学生だったJK! 成り立てのJK!!


 完璧だぁ……完璧な空間。しかし、オレは気づいているよ。一つだけ、欠けているモノがあると! さてさて、リンカにゃんはどこに隠れてるんだろうなー? 机の下かー?


「ご主人様、リアル警察のお世話になりたく無かったら机の下を覗くのはお止めください♪」

「はっ! ご、ごめんなさいっ!」


 ヒカリちゃんに注意されてオレは我に返る。

 ヤッベー。思わず本能で行動してた。ヒカリちゃんが対応してくれなかったら今頃パトカー案件だ。少し落ち着こう。


「ママ上……ママ上……絶妙なバランスだ……つまり、ママであり、母上でもあると言うワケか……」


 エイさんはずっと思考の檻に閉じ込められてるし、一人には出来ないか。


「相席でお願い」

「かしこまりましたー♪ 二名様でーす♪」


 一番奥の席に案内される。

 座る席も普段は授業で使われている誰かの机なのだろう。見回すと雰囲気を作ろうとしている手作りのデコレーションが中々良い。手探り感があって、メイド喫茶関係無しに居るだけでも楽しいな。


「メニューです」

「ありがと、どれどれ――」


 コーヒーセット……120円

 緑茶セット  ……120円

 コーヒー(単品)……70円

 緑茶(単品) ……70円

 洋菓子(単品)……70円

 和菓子(単品)……70円


 うーむ、これが学生の限界か。見たところ、給仕室も教室の一部を使ってる見たいだし、本格的な調理は無理だろう。ポットでお湯を温めて、場所を取らず、日持ちの良い小さめのお菓子を用意するのが現実的と言った所か。

 ま、別に良いけどね! ここの目玉は間違いなく猫耳メイドさんだし! ワンコインも掛からない値段でコーヒーブレイクしながら合法的に眺められるワケだ。毎朝来てぇ。


 あ、ちなみに男の子もいるよ。でも女の子の方が目立ち過ぎてあんまり存在感が無い。


「えっとコーヒーセットで」

「はーい♪」

「エイさんは何にします?」

「あ、ああ。緑茶セットで。それで……納得が行くのか……これは主語と主語が一つになって……」


 己の中の疑問を(ほど)きつつも最低限の事は認識しているエイさん。

 ヒカリちゃんはメニュー表を受け取って、少々お待ちくださーい、と給仕室へ。

 オレは待つ間、改めて教室内を見回す。


「……やっぱり居ないなぁ」


 リンカの姿がない。ヒカリちゃんと一緒のシフトって聞いてたけど、トイレでも行ってるのかな?


 正直な所、一番見たかった。

 だって、あのリンカだぜ? セナさんの遺伝子を順調に再現しつつある、あの胸! アレがメイド服に包まれてるんですわ。しかも、猫耳を乗っけてるオマケつき。

 猫耳リンカは、ダイヤが居た時と社員旅行の時に二回出現している。その時から凄まじい破壊力だった。

 それがね、メイド服を着てるんだ。いや、まてよ……メイド服はスイレンさんの所で邂逅したな。つまり、オレの脳内には二つのパーツが揃っているワケだ。

 しかし、オレはソレを合体妄想させるなんて野暮な真似はしない。初見は生放送派なのでね!


「お待たせしましたー♪ コーヒーセットと緑茶セットでーす♪」

「どうもー。エイさん。ほら来ましたよ」

「仕方ない。ヒカリ、ここは一旦“ママ上”も許容しよう」

「あっそ」


 どうでも良い事なのでヒカリちゃんはドライに対応する。エイさんはずずず……と緑茶を飲み始め、オレはコーヒーを頂く。


「普段の勉学に使われる教室をここまで変わり映えさせるとはな」


 飲みながらエイさんは教室内を簡単に見回す。


「学徒では使える資金も行動力も限られる中、ここまで私の感心を引くデコレーションは、豊かな発想力による所が大きい。やはり若い感性を感じる事は定期的に必要だな」

「ありがとー」

「ヒカリ、教室内をちょっと見て回って良いか?」

「他のお客さんの邪魔をしないでね?」

「その時は腹を切る」


 エイさんってちょいちょい戦国武将が出てくるよなぁ。緑茶もそこそこに彼女は立ち上がると華やかになった教室を興味深そうに徘徊し始めた。


「まったく……相変わらず、遠慮の二文字が抜け落ちてるんだから……」

「ははは。普段とは違う場所ってテンションが上がるからね。それが、自分にとって何かを得られそうな場所なら尚更だよ」


 オレは言うまでもなく、猫耳メイドさん達だ。いやぁ、何度も言うけどホントに良い……しかしやっぱり――


「ヒカリちゃん。リンカちゃんは給仕室? 姿が見えないけど」

「リンは宣伝に出ちゃってて。戻ってくるのは30分はかかるかな」

「あら、そうなの?」


 どうりで気配も無かったらワケだ。オレが他のメイドにゃん達と、うふふって話してたら威圧オーラが飛んでくるのでソレで探知しようと思ったんだけどね。


「それにしても、ヒカリちゃん。よくオレとエイさんが来たってわかったね」

「ママって独特の周波数出すでしょ? 私はソレ、聞き取れるの」


 谷高家の母娘のみに許された察知能力か。ある種のサイキッカーレベルだな。


「ケン兄どう?」


 そう言いながらヒカリちゃんはクルっと回る。


「ん? コーヒーは美味しいよ」


 オレがそう言うと、ヒカリちゃんは少し呆れて改めて聞いてくる。


「私の姿の感想は?」

「150%の可愛さです」


 普段の雑誌で垣間見える、大人びた雰囲気を持つヒカリちゃんとは別方面での煌びやかがある。男女問わず、誰もが可愛いと思うだろう。

 猫耳メイドのヒカリちゃんを見て、可愛いと思わないヤツは右脳が欠如してると断言するね。ずずず(コーヒーを啜る)。


「ありがとー」


 良い笑顔にオレもコーヒーが進む進む。あれ? もう入ってねぇや。もぐもぐ。(キットカット)


「ケン兄。後でさ、時間作れない?」

「いいよ。文化祭を案内してくれるの?」

「まぁ……そんなとこ」


 丁度良い。多分、リンカも一緒に来るだろうし、その時に猫耳リンカメイドもお目にかかれる。


「集合場所とかは後でLINEするから」

「おっけー」


 なんやかんやで、いつもと変わらないってことね。

ケンゴとしてはいつも通り

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