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第468話 童顔良性格純真無垢超絶和風美女

「……お静めいたしましょうか?」


 こんな言葉をさ、童顔良性格純真無垢超絶和風美女のアヤさんから言われて反応しない(やつ)いる?

 濡れたタオルも透けて張り付いていて、正直全裸よりもエロい。

 オレは濡れフェチだったとか、控えめな胸でも反応するんだなとか、色々と知られざる自分が垣間見えて、びっくりですよ。


 確かに自家発電用の燃料を漁る時は無意識に着衣モノを探してた気がする! なるほどなぁ……今まで土壇場で踏みと留まれたのは皆全裸だったからかぁ。普通にあり得ない流れだが、そう言う事なのだろう。


 今までヒットやホームランは狙える球を投げられてはいたけど、絶妙に絶好球から外れてたから僅かに理性が入り込む隙間があったんだな。理解したよ。

 でも、今回のは完全にど真ん中にボールが投げられている。見逃すのが難しいくらい、僕を打ってよ、とストライクに放られる(理性)


 あぁ~ダメだ……打つなオレ……それは打ったら……本当に取り返しのつかない事になる……


「……ア……アヤさ……ん。ちょ……と……ま……って……」


 自我を持ったロボットが死ぬ前みたいな声しか出せん。

 思考9割が完全にヤる流れの煩悩に飲み込まれたオレの理性の最後の抵抗。しかし、そんなモノは無いのと一緒でアヤさんはオレのオレを処理する為に前に出て――


「キャッ!?」

「!!? 危っ!」


 アヤさんはいつの間にか転がっていた石鹸に足を取られて転んだ。

 思考を埋め尽くす煩悩は即座に脇に押し退けられて、庇うコマンドが緊急発進。オレはアヤさんが怪我をしないように受け止めつつ尻餅。痛ってぇ……


 風呂場って結構頑丈に出来てて狭いから受け身を取りづらく、転ぶと角にぶつけて骨折する事は普通にある。


 アヤさんも今の状況に慣れてなくて、足下が疎かになっていたらしい。幸いにも無難に受け止める形になり、アヤさんは無傷。オレは彼女の受ける衝撃も含めて全て尻で受け止めた。び、尾骨が……


「アヤさん……大丈――」


 と、尾骨に受けた痛みに苦悶しつつアヤさんの様子を確認すると、オレの右手は彼女の右胸を抑える様に掴んでいた。


「…………」

「…………」


 再び時間が停止。お胸様をタッチした、された状態で、お互いに次はどうすれば良いのか、脳が処理をしていた。

 先ほどよりも距離が近い。アヤさんの胸はリンカやショウコさんよりも控え目だが、逆にそれが彼女を完璧な流線型する要素となっているのだろう! 他の女の子と比べるとか……クッソ最低だな! オレよ!


 シャワーがアヤさんの背中を流れる様に当たり、彼女をつたる水がオレにも流れてくる。

 トラブルで引いた煩悩の波が、今度は大陸を飲み込む津波となって押し寄せてくる。


「……ケンゴ様」

「あ……う……」


 アヤさんは、まだそれなりの文字数を口に出来る様だ。

 対してオレはもうヤバイ。咄嗟には母音しか発音できない程に理性が消えている。


 アヤさんは、あうあう言っている、オレの濡れた前髪を優しく退けると、自身の綺麗な瞳と目を合わせた。

 幼さを残す顔は火照り、いつもの凛々しい様が完全に消えた素の表情。


 あ……ソレ……一番ダメだ……そう言うシチュエーションがオレは一番ささる――


「……このまま受け止めさせて……いただきます」


 そう言ってアヤさんはオレのに体位を合わせる。






「ばっ様」

「ん? どうした? コエ」


 残った熊肉の保存処理をしていたトキの元へコエが顔を出す。


「アヤさんを知らないかい?」

「アヤを? 何の用じゃ?」

「いや、宿題に英語のモノがあるから分からない所を教えてもらおうと思って」

「コエ、今日は大変じゃったじゃろ? 明日までは宿題とか考えんでもええぞ」

「なんか……逆に普段通りの事をしてる方が気分が紛れるんだ」


 ずっと一人で恐怖と戦ったコエは予備の補聴器をつけている。彼女の程の年齢ならもっと誰かの側に居ることを望んでも良いだろうに。


「すまんのぅ、コエ。こんな所に連れて来なければ、あんな怖い目に合うことはなかった」

「大丈夫だよ、ばっ様。私にはユウヒが居るし、皆も居る。それに……この里も好きだから」


 そう言うコエであるが、トキとしては彼女らが、早く大人に成らなければならないと考えさせてしまっている事に負い目を感じている。


「コエ」


 トキは、コエを抱き締めた。唐突な行動にコエは驚く。


「良いか? まだ背伸びはせんでええ。お前もユウヒもまだまだ我が儘を言う子供でええんじゃ」

「……うん。ありがとう、ばっ様」


 ギュッと抱き締め返してくれたコエに、伝えたい感情は伝わったと察した。


「そう言えばアヤの事じゃったな?」

「うん。アヤさんは海外に住んでるって聞いてる。英語も明るいでしょ?」

「日常会話じゃろうからな。しかし、今アヤには用事を頼んでおってのぅ」

「用事?」

「うむ。そこで、ワシが見てやろう」


 ピッと親指を自分に向けて胸を張るトキ。


「おっと今、英語なんて出来るの? と思ったじゃろ? 残念じゃが、ペラペラなんだなぁ、これが。海外に旅行に行った時は現地のパフォーマー顔負けのラップバトルも披露したぞい」

「別にばっ様が英語出来ないって思ってないけど……じゃあ、お願します」

「ユウヒも呼んでおけ。今夜はラップバトルじゃ!」

「ふふ。ラップバトルはいいかな。呼んどくよ」


 そう言ってコエは去って行った。


「ふぃーアヤよ。こっちはワシが何とかするぞい。お前はおもいっきり、ケンちゃんとヤれい」


 トキは対して焦ったワケでもないのに、額を肘で拭った。

楽しそうなばっ様

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