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HORNのような恋をした  作者: 山吹きいろ
7/7

シフクの休日

「ねえかなみー、今日の”約束の場所”(カフェ)さー。ゆりえも連れてっていいー?」

「いいよー、昨日も話したけど私昼くらいには抜けるねー」

「うん!ゆりえも午後用事あるって言ってたから昼で解散にしよ!」

こんこんこん。とノックの音がして、返事をする前にゆりえがドアを開け当たり前のように中に入ってきた。

「わー!沙穂だ!今日私もカフェ行って良いって?」

私の方をチラリとも見ずに沙穂に抱きついた。ここ、私の部屋なんだけど・・・。

「うん!ね!かなみ!」

「あー、うん!昼解散だしもう準備する?」

「うん!」

「ね〜沙穂〜、私の服選んで〜」

こいつ、私のことは無視を決め込むらしい。

「いいよー!」

「じゃあ9時くらいに部屋の前集合ね!」

「おっけー」

二人はバタバタと自分の部屋に戻っていった。

沙穂とゆりえ地味に仲良いんだよなぁ。行くのめんどくなってきた・・・。

さて、私は服どうしようか・・・。金山はどんな感じで来るかな・・・。

クローゼットを見てしばらく悩んでいたが、中には上はパーカー、下は部屋着のズボンとスキニーパンツか膝丈のスカートくらいしかない。

うーん・・・。一番綺麗なパーカーとスキニーでいいか。コート羽織ればそれっぽい感じになるでしょう・・・。

今度帰省した時冬服買ってもらおう。

「ねーーー!かなみーー!!どうしよ!全然服決まらんっちゃけどー!」

沙穂が悩ましげな顔で入ってきた。

「私もー、パーカしかないからもう、これで行く事にした」

ついさっき着替えた服を見せる。

「マジー?でも今日金山君と出かけるんでしょ?パーカーとズボンで言ったら脈なし感やばくない?」

「やっぱり?でもスカート夏用のひらひらのやつしかないんだよねー」

「ウケる!急に寒くなったもんねー。ウチの服借りる?ついでにウチのも選んでー」

「沙穂めっちゃ服あるね!全部可愛いー。そういえばゆりえの服はもう選んであげたの?」

「あー、センス合わなすぎて自分で選ぶって事になった」

「そっか・・・。確かに合わなそう」

「それよりさー、このワンピース絶対かなみに似合うと思う!」

黒地に花柄のロングワンピースだ。沙穂が着てるのもまだ見た事ない。

「めちゃくちゃ可愛い!これ借りちゃっていいの?!」

「いいよー、ウチはこっちのワンピースと、このセーターどっちにしようか迷ってるんだよねー」

沙穂が手に取ったのは、白いニットのワンピースと、ハイネックの黒いセーター。

「えーーー!どっちも可愛い!でも、スタイルいいからセーターの方がいい感じになりそう!このスカートとか合いそうじゃない?」

沙穂はかなりのおしゃれさんだ。いつも流行っている服を着てるなと思っていたが、こんなにたくさん服を持っているとは知らなかった。今度服を買いに行くときは、沙穂に付き合ってもらおう。

「マジ?こっち新しく買ったんだけどちょっと自信なくてさー。でも沙穂が言うならこっち着てみる」

「やったー!ちょっと着替えてくるね」

部屋で沙穂に貸してもらった服を着てみる。

「うわーーー、めちゃくちゃ可愛い・・・」

私だったら絶対に買わないような服なのに、意外と似合ってる、さすが沙穂だ・・・。

「沙穂ー!これめちゃくちゃ可愛い!!」

沙穂の部屋へ戻ると、彼女も着替え終わって鏡を見ていた。

「かなみ・・・、私新しい扉開いたかも・・・」

沙穂は新しい服を着て嬉しそうに飛び跳ねている。そこで沙穂の携帯がなった。

沙穂は携帯を手に取った途端に顔が強ばり画面に釘付けになっている。

「沙穂、大丈夫?」

「ヤバい!待って!ヤバっ!どうしよ!先輩が明日遊ぼうって!!」

「ええええ!とうとうデート?!」

「どうしよどうしよ!この服可愛いから明日着ていい?」

「もちろん!それ沙穂の服だよー」

先輩からのラインにあたふたしている沙穂がまさに、恋する乙女と言う感じだ。彼氏すらいないのに、娘を見守る母親のような微笑ましい気持ちになり思わず笑ってしまった。

「ねー!他人事だと思って笑ってるでしょーー!」

「あはは、だって、めちゃくちゃ乙女なんだもんー」

「ねーーー!」

笑い合って気づかなかったが、ゆりえが部屋を覗いていた。

「あっ、ゆりえもう準備できた?」

沙穂が慌てて尋ねるとゆりえは「もう!9時過ぎてるよ〜!」とピンク色のスカートをひらつかせた。

「ヤバいヤバい!」と、沙穂は目にも止まらぬ速さで白いニットのワンピースに着替えた。さっき来ていた服は大人っぽい感じだったがワンピースの方は少し幼く可愛らしい感じだ。

「こっちも似合ってるねー、可愛い」

「沙穂身長高くてうらやましい〜、かなみのワンピースはなんか男ウケって感じ〜」

しれっと私へのディスを挟んできたが、沙穂に借りたものだという事を知らないのだろう。沙穂は心外だと言わんばかりに顔を顰めた。

「え・・・、これ別に男ウケ狙ったわけじゃないんだけど・・・」

「え〜〜!これ沙穂のなの?でも、沙穂が来たらかっこよくなるかも〜」

「・・・まあ、とりあえず行こ!」

 これから3人でカフェに行くのに、幸先が悪すぎる・・・。

 ゆりえは何事もなかったかのように沙穂の腕に抱きついている。沙穂は少し怪訝そうな顔をしていたが切り替えてカフェを楽しむ事にしたようだ。

 カフェは寮から歩いて10分くらいの距離の場所にあった。”約束の場所”という名前通りなのか、子供の魔女が住んでいそうなメルヘンチックな建物だ。

「こんな可愛いカフェ学校の裏にあったんだー」

「ねー!映えスポットじゃない?」

「可愛い〜〜!沙穂連れてきてくれてありがと〜〜」

少し小さいドアを開けて中に入ると、外観よりも広く感じた。4つのソファー席がゆったりと配置されていて、とても居心地が良さそうな空間だ。沙穂は勝手知ったる様子で一番奥の席にスタスタと向かい手招きしている。

「パフェでいい?結構小さいからぺろりだよ」

沙穂がテキパキとメニューの説明をしてくれる。値段も300円とかなりリーズナブル。私はババロアとチョコアイスのパフェ、沙穂はチョコアイスとチョコブラウニーのパフェ、ゆりえはプリンアラモードをカラフルな店員さんに頼んだ。

 頼むや否や、待ち構えていたようにゆりえが喋り始めた。

「ね〜かなみ〜、なんで金山君に貢がせてるの〜?」

え?と沙穂が怪訝な顔をした。

「どういう事?貢がせてる・・・?」

「・・・いや、バレンタインにチョコもらっただけ。」

ゆりえはなぜ私ばかりを目の敵にするんだ・・・。

「かなみ結構男に色目使うよね〜、沙穂も気をつけた方がいいよ〜」

反論したいのに言葉が出てこない・・・。

「えーーー!かなみそんなことすんの〜〜?」

沙穂は、冗談っぽい雰囲気にして和ませようとしてくれてる。

「ははっ・・・」

ゆりえは沙穂を味方にしたつもりなのか、嫌な笑みを浮かべている。沙穂は雰囲気が悪くなるのを察してか、話題を自分の方へ向けた。

「てか私さー、さっきかなみには話したけど明日例の美術部の先輩と明日出かけてくる!」

「え〜、かなみに話したらヤバいんじゃな〜い?取られるよ〜こわ〜〜い」

はあ、また話を戻して私を悪者にしたいのか・・・。

「・・・しつこい!」

 沙穂が一喝した。沙穂は怒ると少し怖い。 一瞬の間があり、沙穂はそのまま喋り始めた。

「ゆりえ、先輩と同じ中学だったって前言ってたよねー、どんな感じだった?」

「そう〜!あんまり話した事はないんだけど、一緒に応援団やっててとっても優しかったよ〜〜」

 ゆりえも沙穂の恋愛事情について聞いていたらしく、中学時代の先輩の話をし始めた。

私も当たり障りのない返事をして時間が過ぎるのを待った。

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