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HORNのような恋をした  作者: 山吹きいろ
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席替えは大抵希望通りじゃない 後編

「え?してないよ。」


「なんや!お前変なやつやなー。なんか菓子持ってない?」



いや、明らかにこいつの方が変だろう。至近距離の大声で耳も痛くなってきた気がする。しかも、菓子ってなんだ。お菓子って言えよ。あげないけど。



助けを求め若菜の方をみるが、彼女はなぜか一人本を読んでいた。そういえば面白い小説があるって話してたな。



ん?いつのまにか金山が私のカバンを漁っている。



「菓子ばりもっとるやんけ!一個ちょーだい!」図々しいという言葉では生ぬるいほど図々しい。


「だめ!、私のお菓子だから!」



若菜が本を読んでる今、頼れる人はいない。絶対こんな奴に負けない。ねだればみんな貰えると思ってるのだ。勝手にカバンの中まで見て。私は完全に金山を敵と見做した。



「え?お前めっちゃおもろいなー、普通くれるやろ!」こいつはなぜ、何も反省するそぶりがないのか。私が怒っているのがわからないのか?



「あげるわけないでしょ、私が食べたくて買ったんだから。自分で買えば?」


「ねー!ねー!ねー!ねー!お願い!明日お菓子買ってきてやるから今ちょうだい!」


まるで駄々っ子だ。周りから白い目で見られている気がする。これ以上はねばれない。




「一個なら良いよ。」


「でも、絶対明日ちょうだいね!」絶対にもらってやる。




「やったー!俺これ好きなんだよねー!」無邪気に喜んでいる。非常識だが案外悪いやつじゃないのかもしれない。



律儀に私の方を向いてチョコを頬張り、自分の好みを語り始めた。


「俺、菓子はチョコしか食わんから。一番好きなのはHORNってやつ。ちょっと高いんよなー。」


「だから明日買ってきてくんね?」



あ?こいつ自分を神様かなんかだと思ってんのか?



「おい!金山やめとけって!ごめんね、日比野さん。気にしなくて大丈夫だから。」


いつも金山とつるんでる井原だ。早く止めに来いよ。



「ううん、大丈夫。金山くん面白い人だね。」

はあ、やっと解放される。私も本でも読もう。



「え?マジ?意外と日比野さん耐性あるんだね。やったじゃん、金山!」


「らっきーやな。」


あれ、雲行きが怪しいな。




「かなみ!かえろー!」


若菜だ。見かねて助け舟を出してくれたのか。私を連れ去ろうという勢いで引っ張ってくる。

あわててカバンを背負い、



「じゃあ。明日よろしく。」


一応念を押して若菜の跡を追う。



読んでいただきありがとうございます。

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