第145話 管理職と専門職
夜勤組への引き継ぎを終えたところで、アイナはロランに声をかけられた。
「アイナ。今夜空いてるかい?」
「? ええ。特に予定はありませんけど」
「じゃあ、これから食事でもどう?」
アイナは身構えた。
(来た!)
「ええ。構いませんよ」
「よかった。それじゃあ行こっか。もう予約は取ってあるんだ」
アイナはロランの案内に従って、馬車に乗り郊外のレストランへと向かった。
「随分遠くまで行くんですね」
「うん。もっと近場にしようと思ったんだけど、適当な店はみんな予約が埋まってて。少し高いけどここしか空いてなかったんだ」
「なるほど。そうですか」
アイナは外を眺めた。
車窓から見える森にはすでに夕闇が迫りつつあった。
森に囲まれた瀟洒なレストランにたどり着くと、アイナはロランのエスコートに従い、店内に足を運ぶ。
「随分高そうなレストランですね。いいんですかこんなところでご馳走になっちゃって」
「気にしないで。Aクラス錬金術師なんだから。むしろ今までの頑張りに比べると、これくらいで申し訳ないほどだ」
「そうですか? それでは、遠慮なく」
アイナは運ばれてくる豪華な料理に舌鼓を打った。
食べたこともないような高価な珍味を口に運ぶ度に年齢相応の素直なリアクションで喜びをあらわにした。
ロランも一緒になって『火竜の島』の山海珍味を楽しむ。
「いやー、本当にありがとうございます。まさかこんな豪華な料理を食べられるなんて」
メインディッシュを食べ終わった頃、アイナは言った。
「気に入ってもらえたようで良かったよ。僕もこの店に来るのは初めてだったから」
「けれども本当にいいんですか? 私だけこんなにいい思いをしてしまって。なんだか他のみんなに悪いわ」
「気にしないで。他のみんなにもいずれ相応のお礼をするつもりだから」
「そうですか。でも、それならいっそのことみんなも一緒に連れてくればよかったじゃないですか。なぜ私だけ?」
「実は是非とも君にだけ贈りたいものがあるんだ」
「へえ。私だけに」
アイナは目を細めてワイングラス越しにロランのことを見た。
グラスの中ではピンク色のワインがユラユラと揺れている。
「そう。君のために用意したとっておきのもの。喜んでくれると嬉しいんだけど」
「それは是非とも聞いてみたいですね」
豪華な料理の後には何が出てくるのだろう。
リリアンヌに渡したような『竜の涙』だろうか。
それとも部屋の鍵か。
このレストランの上階にホテルがあるのは知っていた。
いずれはこういうことになるだろうとは思っていた。
アイナはロランのことを尊敬しているし、育成してくれたことにも恩義を感じている。
しかし……。
(やっぱり男はみんな狼なんだわ。それはロランさんといえど同じ)
アイナは内心の警戒心を悟られないよう余裕のある笑みを浮かべながら、笑顔で話し続けるロランをじっと見る。
(リリアンヌさんのような綺麗な人と付き合っていながら、私をこんなお店に誘うなんて)
もし誘惑されようものなら、すでに言うことは決まっていた。
申し訳ありませんがロランさん、私、他の女性と付き合っている方とは、お付き合いできませんわ。
リリアンヌさんのような綺麗な方と付き合っているのに、他の女性に目移りなんて罰当たりもいいところではありませんか?
そういうお話はまずリリアンヌさんと別れていただいてからでないと。
「君に贈りたいもの。それは……」
(来た!)
アイナは万全の体勢でロランからの言葉を待った。
自分でも驚くほど平静だった。
「新たな役職だ。君にギルドの支部長になってもらいたいと思ってるんだ」
「申し訳ありませんが、ロランさん、私、ギルドの支部長なんかには……、えっ?」
「えっ?」
2人はお互い相手の言っていることが瞬時に理解できずポカンとした。
「えっと……、支部長……ですか?」
「あ、うん。もう君も管理者として一流になったように思うし、工房を任せるのに十分だと思って」
「そ、それだけ?」
「う、うん。君も工房を持ちたがってたから、てっきり喜んで引き受けてくれるものかと……」
アイナはカァーッと顔が赤くなるのを感じた。
(ヤ、ヤダ。私ったらとんだ勘違いを……)
「いや、でも困ったな。君が引き受けてくれないとなると、また一から候補者を探すことになるし……」
「あ、いえいえ。もちろん引き受けさせていただきますよ。引き受けますとも」
「えっ? 本当かい? よかった。助かるよ」
その後、ロランは彼女に経営に関する引き継ぎや給与について簡単に提示した。
いずれもアイナにとって喜ばしく栄誉なものばかりだったが、まだ恥ずかしさが尾を引くアイナは恥ずかしさを誤魔化すようにいつもより饒舌にしゃべり、運ばれてきたワインを多めに飲んでしまう。
その後、デザートを食べ会計を済ませた2人は帰宅の途についた。
レストランの馬車はアイナを自宅の通りまで運んでくれた。
去り際にロランは「おやすみ」と声をかけてくれる。
アイナも「おやすみなさい」と返した。
馬車はロランを乗せて去っていった。
馬車が去っていった後も、アイナはしばらくの間、夜道に立ちすくんで馬車の去っていった方向を見守っていた。
夜風が吹いて火照った体が冷え冷えとしてきた頃、ようやく夜道を眺めるのをやめて、自宅に戻る。
翌朝、アイナは目を覚ましたものの謎の倦怠感に襲われ、なかなか布団から出ることができなかった。
結局、出勤時間に10分ほど遅刻してしまう。
「珍しいね。君が遅刻するなんて」
ロランに笑われながらそう言われて、アイナはまたもや顔を赤くしてしまうのであった。
その日の仕事にひと段落ついた頃、アイナはロランから工房の経営に関する引き継ぎを受けた。
会計帳簿に関すること、取引先に関すること、次々と引き継いでいき、最後に人事に関する話題へと移っていった。
「それぞれの得意なスキルとステータスを活かせばクオリティの高い装備を効率よく作ることができる。それはもう分かってるよね?」
「はい。そのためにもロランさんの『鑑定』スキルとばっちり連携して適材適所に配置した人材を活かす必要があります」
「うん。その通りだ。だが、スキル・ステータス以上にその本人の性格も考えて職務や仕事を割り振らなければならない」
「性格……ですか?」
「そう。パトは思考力が高く分析力も高い一方で考え過ぎるところがある。煮詰まっている様子だったら、考えの整理を手伝ってあげるように。リーナは優しく適応性が高い一方で、責任感に欠けるところがある。隠し事をしていないか注意するんだ。ロディは穏健な一方で保身に走る傾向がある進退に関して不安を感じることがないよう配慮してあげて。雇用を保障さえすれば安定したパフォーマンスを発揮してくれるだろう。アイズは仕事を手際よく片付ける一方で大雑把なところがあるから、品質には注意を払うように。ウェインは勝気でステータスへの拘りが高い一方で自惚れが強く自己中心的な一面がある。権限を渡し過ぎないように注意するんだ」
「ふむふむ」
「それぞれ性格の長所と短所を見極めた上で、長所をより伸ばし、なるべく短所が出ないように手綱を握ること。特にウェインには注意が必要だ。下手に有能な分、危険だ。職場に悪影響を与えないよう常に目を光らせておく必要がある」
「はい。ウェインについては毎日朝一で声をかけて、毒気を抜くようにしています」
「おっ。流石だね」
(厳格さを全面に押し出すランジュに比べて、アイナは柔らかい手法を多用する感じだな)
「もし、ウェインがステップアップを望んで来たら、管理職ではなく専門職に進むよう促すんだ」
「分かりました」
こうして大まかな方針の確認が済むと、ロランは今まで自分が管理していた書類もアイナに引き継ぐべく棚を漁り始めた。
「えーと、どこにやったかな……」
アイナは棚を漁っているロランの背中を熱っぽい目で見た。
今まで気づかないふりをしていた感情。
本当はとっくの昔に気付いていた気持ち。
時間が経つにつれてどんどん湧き上がってくる。
(ロランさんが好き。だって、しょうがないよね。工房にいる男共はみんなお子ちゃまばっかりだし)
ロランにリリアンヌがいることは知っている。
けれども、遠く離れているうちに心も離れていって、いずれは自分の方を振り向いてくれる時が来るかもしれない。
「あったあった。これだ」
ロランが目当ての書類を探し当ててアイナの方を振り向いた。
アイナは熱っぽい視線をさっと引っ込めて、普段通りの顔を向ける。
しかし、胸の内には切ない痛みがズキズキと走ったままだった。
アイナへの引き継ぎが終わったロランは、午後から冒険者達の鑑定をすることにした。
鑑定室には『翼竜の灯火』のアイク・ベルフォード、『黒壁の騎士』のリズ・レーウィルとアーチー・シェティがいた。
3人とも鑑定及び育成プログラムを希望しているとのことだった。
(この人が伝説の鑑定士……)
リズはロランのことをマジマジと見た。
伝説の鑑定士というから一体どんな人かと思っていたが、こうして見ると自分とほとんど年齢の変わらない若い人だった。
【アイク・ベルフォードのスキルとステータス】
『槍術』:B→A
腕力:70-100
【リズ・レーウィルのスキルとステータス】
『弓射撃』:B→A
俊敏:70-100
【アーチー・シェティのスキルとステータス】
『盾防御』:B→A
腕力:70-100
(なるほど。みんなBクラス相当の実力だが、Aクラスになる段階で伸び悩んでいるって感じか)
「腕力や俊敏を高水準で出せるが安定しない。そのため、どのくらいの装備を身に付ければいいのか分からない。3人ともそんな感じかな?」
「うむ。そうなのだ」
アイクが同意した。
「やろうと思えば重さ100の装備も扱えるのだが、それだとステータスの低下が激しくなる。そこで重さ70の装備を身に付けるものの、それだと何か物足りないような気がする」
「なるべくいい装備を身に付けるようにはしているんだけれど、ベストのステータスが分からないんだよ」
アーチーも同意した。
「ん。分かった。それじゃみんな装備の見直しから始めていこうか。まずアイク。君は常に重さ90の装備を持ち運ぶこと」
「重さ90? それは少しばかり重すぎるのでは?」
「君の腕力は最低値が70なのに対して、最高値が100。Aクラスになるにはこれを最低値90まで上げて安定させる必要がある」
「うーむ。そういうものなのか」
「アーチー。君も同じだ。装備の重さを90にして、ダンジョンで活動できるように」
「分かりました」
「さて、リズ。君は俊敏に伸び代がある。だから、ここは逆に装備を軽くしようと思う」
「装備を軽く?」
「うん。その代わり移動速度は速めてもらう。偵察、戦闘中は常に俊敏90で移動するように」
「俊敏90……ですか?」
「そう。アリス!」
「はーい」
それまで側に控えていた『天馬の矢』のアリスが前に出てきた。
「手本を見せてあげて。俊敏90だ」
「了解」
アリスは一瞬で横移動し、弓矢を構え、部屋に設置された的を射る。
(は、速い……)
「これが俊敏90の動きだ。君も常に思うタイミングでこの速さの動きができるようになってほしい」
「うーん。できるかなぁ」
「もう今の段階でもやろうと思えばできるはずだよ。とりあえず、10本やってみよっか」
リズは実際にアリスの動きを真似てやってみた。
成功率は10本中3本だった。
(確かに……できなくはないか? でも……)
「ちょっと不安定ですね」
「そう。その不安定を安定させるのが大事だ。これができるようになれば、スキルの発動も安定するようになって、やがてAクラスに到達するだろう」
「ですが……」
アーチーが言った。
「そこまで高負荷を与えながらダンジョン探索するとなると、ステータスの消耗も激しいのでは?」
「そうだね。だから、ダンジョン内では仲間のフォローを受けながら進む必要がある」
「フォロー……ですか?」
「そう。パフォーマンスが不安定な状態、ステータスが消耗した状態でどのようなフォローが必要なのか。それを探るのが次の探索までの君達の課題だ。装備についてはこちらでベストなものを用意するから、君達はステータスが不安定な状態で援護を受ける訓練をしてくれ」
「なるほど」
「うむ。分かった」
リズは感嘆のため息を漏らさずにはいられなかった。
(凄い。ちょっと鑑定しただけで、私達の抱えている課題から伸び代、向上のためのプログラムまで瞬時に判定して……。これがS級鑑定士の力……)
アイク、リズ、アーチーの3人は、ロランの指示に従って、消耗して動きが遅くなった時、味方にフォローを頼む動きや、ダウンしても孤立しない味方との距離感、不安定なステータスでも敵を倒し切ったり逃げ切ったりするための訓練について手解きを受けた。
アイク達の鑑定を終えると、ロランはウェインに捕まった。
2人で屋上に上がる。
「新しい仕事?」
「おお。俺も今の仕事に慣れてきたしよ。そろそろステップアップを考える時期かなと思ってよ」
「今日の仕事は……」
「もう終わったよ」
「アイナには……」
「アイナにも確認してもらったって。品質も問題ないってお墨付きもらったぜ。もう以前のようなヘマはしねーって」
「そうか。本当に成長したんだな」
「だろ? 任せとけよ。もう今の仕事は完璧だぜ」
「そうだな。僕もそろそろ君に新しい仕事を任せようかと思っていたところだ」
「おっ、流石ギルド長。話がはえーな。で? 俺にどんな仕事を任せようってんだ?」
「『黒壁の騎士』の副官リズ・レーウィルのために軽量化した弓矢を作って欲しいんだ。あと彼らの中に魔導師の才能を持つ者がいるから、新たに魔石を削って欲しい」
「……いや、そういうのじゃなくてよ」
「あれ? 不満なの? てっきり喜んで引き受けてくれるものかと思ってたけど。君のユニークスキルを活かしてるし、今後、ウチで伸びていく外部ギルド向けの仕事だし」
「それもいいけどよ。俺もそろそろ部下を持ってもいい頃だと思うんだよ。アイナみたいに」
ロランは曖昧な微笑を浮かべた。
「心配しなくてもちゃんと自分の仕事はやるって。部下の指導にかまけて、手抜きなんてしねーよ」
「もちろん、君が手抜きするなんて思っていないよ。ただ……、うーん、アイナはどう言ってるの?」
ウェインは面白くなさそうな顔をする。
「魔石磨きと軽量化の専門家になれってよ。その一点張り」
「いいじゃないか。スペシャリスト。下手に部下を持つより自分の専門分野に特化した方がたくさん稼げるよ」
「……」
ウェインはなおも不満そうにした。
「そうだな。例えば、今、『城砦の射手』から注文が入ってきたとする。どのくらいの予算と納期なら割に合うと思う?」
「えっ? いやぁ……」
「『城砦の射手』冒険者のスキル・ジョブ・ステータスに関するリストには目を通してるはずだよね?」
「うぐっ」
「計算するの性に合わないだろ? そんな状態で管理職にでもなろうものなら、どうなると思う?」
「どうなるって……」
「きっとエドガーみたいになるよ」
「なんだと!?」
流石のウェインも深刻そうに目を落とした。
(俺がエドガーみたいに他人を利用するだけ利用して、切り捨てるクズになるって言うのかよ)
(すでに今の時点でも相当危ういけどね)
「別に珍しい話でもなんでもない。こう見えて人生経験豊富でね。エドガーみたいな例は腐るほど見てきたよ。上手く他人を蹴落として、経営者や管理職まで上り詰めたものの、無能だから組織の管理が行き届かず、部下に責任を擦りつけることでしか保身が図れない。君がああいう風になりたいというなら止めはしないよ? 実際、他人の足を引っ張るのは、出世という一点に限ってはシンプルで効果的なやり方だ。だが、この工房にそのような人間の居場所はない!」
「……」
「これでも僕は君のことを評価しているんだ。だが、叶えられない望みを約束することはできない。本当に部下を持つ必要があるのか、よくよく考えてみてくれ」
メデスは酒場に来ていた。
『黒壁の騎士』に契約をキャンセルされたと聞いて、メデスは激怒し、部下に当たり散らした。
「なんだこれは。一体どういうことなんだ。ええ?」
そうして誰が戦犯か探したが、一向に見つからなかった。
それもそのはず。
『竜の熾火』の仕事に慣れた職員達は、誰も彼も責任逃れだけはきっちりしていたし、そもそもゴーサインを出した犯人はメデスなのだから。
仕方なくメデスは営業をどやした上で、欠陥装備の製作に当たった新人をクビにした。
そうして八つ当たりしたものの、腹の虫はおさまらず、若い頃の習慣でついつい居酒屋に入ってしまい、安酒をかっくらっているというわけである。
「まったくどいつもこいつも。ワシの足を引っ張りおってからに……」
そんな風にぶつぶつ言っていると、折悪く、店に『黒壁の騎士』の隊員が2人入ってきた。
2人はメデスに気付かず、彼の後ろの席に座る。
「いやー。思った以上に良さそうだな。『精霊の工廠』の装備」
「ああ。あれほどの腕の錬金術師がまだこの島にいたとは」
「仕事も早いし、サービスもいいし。言うことなしだな」
「最初からこっちにしとけばよかったな」
「ばーか。それを言っちゃあお終いよ」
「ハハハ」
「ふー、ふしゅる。ん゛っ、ん゛ん゛っ」
メデスはわざとらしく咳払いをした。
しかし、後ろの2人はやはりメデスの存在には気付かず談笑を続けた。
「それに比べて『竜の熾火』。あいつらも落ちたもんだな」
「ああ。『精霊の工廠』に質で勝てないからって、契約で縛ろうとしたりして」
「挙げ句の果てには粗悪品を掴ませようとするんだからな」
「世界でも有数の錬金術ギルドが聞いて呆れるぜ」
メデスはイライラと貧乏ゆすりした上、グラスをガンガン机に叩きつけて2人に気付かせようとする。
中身が溢れて机の上にはねた。
「ん゛っ、ん゛ん゛っ。ん゛ん゛ん゛ん゛っ」
しかし、それでも2人はメデスに気付かなかった。
「大体俺は気に入らなかったんだよあのギルド。絶対裏で盗賊ギルドと組んで、悪どいことやってたぜ」
「だな。あのギルド長ヤクザっぽいところあったし」
「おっ、酒が来たようだぞ」
「それじゃあお祝いといくか。新たな錬金術ギルドとの出会いに」
「ポンコツギルドとのお別れに」
「「カンパーイ」」
「プルアァァア!」
メデスが振り返りざま、威嚇するように意味不明な音声を発した。
2人は仰天する。
「えっ?」
「なっ、なに?」
「もういいわい。クソザコ冒険者が!」
メデスは2人の椅子の脚を一つ蹴ると、店を後にした。
2人は怪訝そうに出口の方へと目をやる。
「なんだぁ? あのオッサン。態度わりーな」
「ほっとけ。仕事で何か嫌なことでもあったんだろ」
メデスは2人に罵声を浴びせたものの、それでも腹の虫が治らなかった。
そこで帰り道、『黒壁の騎士』の宿舎を襲撃することにした。
河原から大きめの石を拾ってくると、『黒壁の騎士』宿舎の窓に向かって立て続けに投げつける。
「うわっ。なんだ?」
「敵襲か?」
『黒壁の騎士』宿舎は一時騒然となる。
メデスは逮捕された。