第113話 強さの秘密
その日の仕事がひと段落ついたアイナは、工房の2階ベランダから『火山のダンジョン』の方を見ていた。
今頃ダンジョンで『白狼』と戦っているであろうロランのことについてぼんやりと考える。
そうして物思いに耽っていると、目の前に箒にまたがって空中に浮かぶ黒装束の魔女が現れる。
「ファッ!?」
「こんにちは。私は『魔法樹の守人』のギルド長、リリアンヌ・ルーシェ。あなたは『精霊の工廠』の職員さんですよね? ギルド長のロランさんはいらっしゃいますか?」
アイナは突然のことに驚きながらも、リリアンヌのことをマジマジと見る。
(また、見知らぬ美女がロランさんを訪ねてきた)
アイナが言葉を発しようとすると、突然、『火山のダンジョン』の方から、けたたましい物音が聞こえてきた。
金属の打ち鳴り合う音、怒号と悲鳴、そして魔法の爆発音らしきもの。
リリアンヌは思わず振り返る。
「なんですか、この物々しい音は? 冒険者とモンスターの戦いにしてはなんだかやけに殺気立っているような……」
「ああ、あれは冒険者同士が戦っているんですよ」
「冒険者同士が?」
「ええ。初めてこの島に来られた方はみんな驚かれますね。この島では冒険者同士の戦闘が許可されているんです」
「まあ、そうなんですか?」
リリアンヌは頬に片手を当てて上品に驚いて見せる。
「ええ。そうなんです。だから、ロランさんも今頃、あの物音の中にいるのかも……」
「えっ? ロランさんが?」
リリアンヌは思わず『火山のダンジョン』の方を見て、目を凝らす。
二つの人だかりが激突する様子と剣の煌めきがかすかに見て取れたが、ここからでは戦闘の詳細は掴めなかった。
(ロランさんが……あそこで戦っている)
リリアンヌは今すぐロランの下に駆けつけたい気分に駆られるのであった。
『白狼』に壊滅的ダメージを与えられたロランは、どうにか部隊を立て直そうとしていた。
(新規加入者はほとんどやられてしまった。けれど、既存戦力は必ず死守する! とはいえこの状態では戦うのはおろか、行軍はままならないか)
ロランは気合を入れ直すように敵の引き返していった方向を一睨みすると、指示を出し始めた。
「レオン。今日の戦闘はここまでだ。この先に陣地化できそうな場所がある。今日はそこに閉じこもってやり過ごそう」
「お、おお」
エリオはロランの毅然とした態度を見て愕然とした。
(ロラン。なんて気迫だ。これだけ劣勢に立たされたっていうのにまだ諦めていない。これがSクラスの凄みなのか)
エリオはグッと目を瞑った。
(無理だ。僕にはAクラスなんて、とてもじゃないけれど荷が重すぎる)
その日はどうにか陣地に立て篭り安全を確保することができたものの、部隊の士気はどうしようもなく落ちていた。
冒険者達の間では厭戦気分が広がり、『白狼』に降伏した方が良いのではないかという論調が大勢を占めていた。
そのような雰囲気の中、ついにジェフがキレた。
「お前ら、足手まといのくせに言いたい放題言ってんじゃねーよ。元々はお前らの都合のいい要求を満たすためにこっちが付き合ってやってんだろーが! ちょっと不利になった途端、降伏したいだと? わがまま言うのも大概にしやがれ!」
「ジェフ落ち着け」
ロランがなだめる。
「くっ、でもよ。ロラン」
「今、味方同士で揉めたら敵の思う壺だ。ここは抑えて」
ジェフは苦い顔をしながらもしぶしぶ引き下がる。
しかし、そんなジェフの態度を見て、新規加入の冒険者達は口々に不満を言い始める。
「なんだよ。あいつ。一方的なこと言ってさ」
「エース気取りかよ。別にAクラス冒険者でもないくせに」
カルラはそれを見てため息をついた。
(あーあ、また始まったよ。実力者組と足引っ張り組の仲間割れが。セインもユガンもこれを収拾できずに破綻したんだ。この島で同盟を組むと結局こうなっちゃうんだな。ロランは今までの冒険者達とは違うと思っていたけれど、ここまでか?)
ウィルとラナも不安げに顔を曇らせていた。
「嫌な空気になってきましたねお兄様」
「うん。流石のロランといえども、これだけの非熟練冒険者をカバーするのには無理があったんだ。ロランもロランだよ。なんでこんな無茶な探索を決行したんだか」
「やっぱり付いてこない方がよかったんじゃないでしょうか? 今からでも……」
「ラナ、ロランには恩がある。彼にとってもここが踏ん張りどころだ。ここは同盟と艱難辛苦を共にして、ロランを支えることにしよう」
「……はい」
その後、ロランはギルド一つ一つを回って、降伏せず戦い続けるよう説得に回った。
とはいえ、厭戦気分に見舞われ、士気が低下した冒険者達を説き伏せるのは並大抵のことではなかった。
結局、その日は意見がまとまらず、結論は明日になってからということになった。
次の日、『精霊の工廠』同盟は陣地から出ることなく、土の壁の裏側にひたすら篭っていた。
ジャミルはロラン達が逃げられないよう下山する道を塞いで敵が打って出てくるのをひたすら待っていた。
「なあ、ジャミル。こっちから攻めた方がいいんじゃねぇか?」
ロドが提案した。
「だめだ。敵の防御は固い。強襲が失敗して、こちらの態勢が崩れるようなことになれば、せっかくこれまで築いてきた優位を失いかねない。敵の思う壺だ」
「けどさ。このままじゃラチがあかないぜ」
「だめだ」
追い詰めてはいるものの、『白狼』にとっても難しい局面を迎えていた。
先の戦闘で捕虜を多数抱えすぎたため、今後、行軍スピードはどうしても鈍る上、捕虜を無碍に扱うわけにもいかない。
上手く交渉すれば、彼らは『精霊の工廠』から身代金を取るための人質になるだろう。
ゆえに彼らにもポーションを与え続けなければならないが、戦いが長引けばこちらの方が先にポーションを切らしてしまうかもしれない。
一方で同盟側は打撃を被ったとはいえ、主力と精鋭を保持し、足手纏いが大量にいなくなり動きやすくなっているはずだった。
そんな中焦ってこちらから動き、ミスをすれば、足元をすくわれかねない。
『白狼』としても慎重に事を運ばねばならない微妙な局面だった。
(何事も最後のツメが大事なんだよ。ここをミスると全てオジャンになる)
ジャミルは未だにロドが不機嫌そうな顔をしていることに気づいてククッと笑った。
「なに、追い詰められているのは敵の方さ。必ず敵の方から動いてくる。その時が奴らの最後さ。俺達はその時を待って仕留めればいい」
レオンは防備につきながら、敵が攻めてくる気配を見せないのにホッとしていた。
(敵は攻めてこないな。ありがたいぜ。意見の分裂したこの時に敵の強襲を受ければ、一巻の終わりだったかもしれねぇ。とはいえ、不利なことに変わりはない。ポーションにも余裕がなくなってきた。今日中にロランが降伏したがってる奴らを説き伏せることができるかどうか。そこが勝負の分かれ目になりそうだな)
ロランは降伏したいと申し出ているギルドのリーダー達を集めて面談していた。
「君達は『白狼』に降伏したいと思っているそうだね。どうしてだい? せっかくここまで頑張ったんだから、最後までやり遂げようよ」
「……だってよ。もう無理だって」
「そうだよ。前回の戦闘では手も足も出なかったじゃん」
「もう、ここまでだよ」
「そうかな。僕はそこまで不利な状態と思わないけれど」
「それかさ、もういっそ、みんなバラバラになって逃げようぜ。一斉にバラければ、何人かは捕まるが、何人かは逃げ延びることができる。ここは天に運を任せて……」
「だめだ。それではたとえ『白狼』から逃げられたとしても、途中でモンスターの群れに捕まってやられる可能性がある」
ロランがそう言うと、その場にいた一人がカッとなった。
「じゃあ、なんだよ。このままジリ貧になるまで追い詰められて無残にやられろって言うのか?」
「そもそもさ。『精霊の工廠』の装備にも問題があるんじゃねーの? あんなに装備がポンポン大破してさ。おかしいじゃないか。打ち所が悪かったってだけじゃ説明できないだろ?」
「そうだよ」
「装備のスペック誤魔化してんじゃないの?」
「分かった。それじゃ、あと3日。あと3日だけ、頑張ってみないか? それだけ戦ってみて、ダメそうだったら盗賊に降伏しよう」
「なっ……! 話そらしてんじゃねーよ」
「そうだ。ちゃんと説明責任をだな……」
「じゃあ、あと1日。あと1日だけでいいから、一緒に戦ってくれないか? 降伏するにしてもなるべく有利な条件で降伏したい。あと1日あれば、交渉を優位に進められるように、情勢を変えることができると思うんだ」
「……」
ギルドの代表者達は互いに顔を見合わせるのであった。
ギルド代表者達を説得し終わったロランは、さすがに疲れた顔を隠せなかった。
パトが遠慮がちに話しかけてくる。
「あの、ロランさん、説得の方はどうなりましたか?」
「ああ、どうにか降伏しないように説得して、あと1日だけ戦い続けるという約束を取り付けることができた」
「あと1日……」
(街まではまだ距離がある。1日だけではとてもじゃないけれど……)
「すまない。パト。少し疲れた。今日のところは休ませてくれ」
「……はい」
パトはそれ以上とてもではないが声をかけられなかった。
(流石のロランさんも疲れを隠せないな。こういう時こそ、僕達が支えなければいけないっていうのに……)
パトは隅っこでコソコソしているウェインの方を見た。
彼は装備の手抜きがロランにバレてから、責任を問われるのを恐れてか、なるべく目立たないように行動していた。
(ウェイン。ロランさんは君のミスをフォローしようと必死になっているんだぞ。なんとも思わないのか? 君はその程度の奴だったのかよ。ウェイン!)
『白狼』の面々は、同盟が攻勢に出てくるのを今か今かと待ち構えていた。
すると、同盟の陣営から誰かがこちらにやってくるのが見える。
ついに決戦か、と緊張が走る『白狼』陣営だったが、こちらにやって来るのがたった一人で、しかも捕虜として同盟側に捕縛された人物なのを見て、首を傾げる。
彼は白旗を持っていた。
ジャミルは不可解に思いながらも彼に声をかけることにした。
「止まれ! おい、お前。同盟に捕まってた奴だろ。一体どうしたんだ? 脱走して来たのか?」
「ジャミル隊長! 私は降伏の使者としてやって来たのです」
「なんだと?」
ジャミルは彼を迎え入れて、事情を聞いた。
彼の話によると、同盟内では厭戦気分が広がっており、降伏したいグループとあくまで徹底抗戦しようとするグループで意見が分かれていた。
ロランはあくまで戦うことを主張しているが、同盟内の大多数がそんな隊長の強硬な態度に嫌気が差している。
白旗を持つ彼はそんな降伏組から秘密裏に送られてきた使者である。
降伏組はもうすでに戦意を失っていて、同盟から離反するつもりである。
自分達は頃合を見て脱走するつもりだ。
『白狼』が同盟の抗戦組を攻撃しても自分達は関知しないので、『白狼』の方でもどうか自分達のことを見逃していただけないだろうか?
「ふざけんなよ!」
ロドはいきりたって言った。
「今さら降伏するから見逃して欲しいだぁ? 寝惚けてんじゃねーよ。こっちは圧倒的に有利なんだぞ? この期に及んでそんな条件飲めるかよ」
「まあ、待てロド」
ジャミルがなだめた。
「おい、まさかこんな条件飲む気かよ?」
「表向きはな」
「なに?」
「降伏組の条件を飲むフリをして、同盟を内部から崩壊させるんだよ。そうして仲間割れさせて、混乱したところを叩く。抗戦組さえ始末すれば、あとは戦う覚悟もない腰抜けばかり。煮るなり焼くなり好きに料理できる。いくらでも口実をもうけて、裏切り、個別に狩ればいい」
「なるほど。まあ、そういうことなら」
「おい、お前。降伏組にこう伝えとけ」
ジャミルは使者に返事を伝えた。
降伏組は明朝とともに、陣地内で火をつける、荷物を荒らす、装備を奪うなどの騒乱を起こし、可能な限り同盟を撹乱した後、陣地を引き払うこと。
頃合いを見て、『白狼』も同盟の陣地に攻勢を仕掛ける。
これらの条項をこなすのなら、降伏組については、見逃してやってもいい。
ジャミルは使者にそのように言付けて送り返した。
しかし、ロランは明朝を待たずして、夜陰に紛れ陣地を空け払ってしまう。
ジャミルはもぬけの空になった陣地を見て、ようやくロランに騙されたことに気づいた。
昨日、こちらに来た使者はロランの仕掛けた詐術だったのだ。
(ヤロォ)
「汚い真似しやがって。上等だ! そんなに死にたいのなら、望み通りブチ殺してやるよ!」
『白狼』は急いで同盟の後を追った。
しかし、その日は『白狼』に追いつかれることなく同盟は陣地になりそうな場所に野営する。
『白狼』に回り込まれないよう、道を塞げる場所を選ぶのも忘れなかった。
『白狼』は同盟の陣地の後ろにピタリと付けて、圧迫する。
「よし。今日は無傷で行軍を終えることができたことだし、もう一日頑張ろう!」
同盟ギルドのリーダーが一堂に会する場でロランはそう言った。
1日と待たず前言を撤回した指揮官に同盟の面々は呆れるが、とりあえずはロランの案を受け入れることにした。
敗戦から1日経ち、彼らも立ち直って楽観的な気分になっていた。
カルラは唖然とする。
(ウソだろ。こいつ、あの状態から持ち直すのかよ)
「今日は『白狼』の奴らをあっさり撒けたな」
「ああ。やっぱ俺たちいけるぜ」
新規加入組が和やかに談笑する傍で、ジェフは彼らのコロコロ変わる態度にイライラを募らせていた。
「キレんなよジェフ。これ以上ロランに負担をかけるわけにはいかねぇ」
レオンが言った。
「ああ。分かってるよ」
ジェフはどうにか自分を抑える。
レオンはそれを見てひとまずホッとした。
(ただでさえ、ロランは『白狼』との駆け引きで神経を擦り減らしてるんだ。せめて俺達だけでもあいつを支えてやらねーと)
次の日、また追いかけっこが始まった。
ジャミルは追いかけながらも同盟のスキを窺う。
(後手に回っちまったが、奴らは相変わらず逃げの一手。士気が下がっているのは間違いない。同盟の一部が降伏に傾いているのは真実なのかもしれない。なんにしても少し揺さぶればボロを出すはずだ)
ジャミルは俊足の強襲部隊を編成し、先行させて、同盟を足止めするよう命じる。
「敵の足止め部隊が来たぞ! 盗賊15名!」
ジェフが言った。
(こちらの士気が低いと見て、揺さぶりをかけてきたか。どうする?)
ロランが悩んでいると、ウィルが立ち止まった。
「お兄様?」
ウィルは『爆風魔法』で細い道に竜巻を発生させて、敵が通れないようにする。
「ウィル? 一体何を?」
「今、『白狼』に攻撃されるとまずい。そうだろ? 先に行くといい。ここは僕が食い止めておくから」
「そんな! お兄様……」
「こんな風に魔法を発動し続けていれば当然、魔力はすぐなくなる。だから、早く行くんだ」
「イヤです。お兄様を置いてなんていけません」
「ラナ。君まで『白狼』に捕まったら、捕虜になった僕の身代金を払える人間がいなくなってしまうだろ? 君は逃げるんだ」
「でも……」
「さ、いい子だから」
ラナは断腸の思いでウィルから離れた。
「ロラン、妹を頼むよ」
「ウィル……。済まない。恩に着るよ」
ロラン達はウィルを残してその場を離れた。
やがて天に巻き上がる爆風は止み、ウィルは『白狼』に囚われる。
足止めが失敗したことを聞いたジャミルは、舌打ちした。
(そうか。敵には攻撃魔導師がいたのか。しかし、まさか魔導師を捨て駒に使うとは)
ジャミルは気を取り直して、再度同盟を揺さぶる攻撃を仕掛けることにした。
(確かこの先はしばらく曲がりくねった道だ。高所からの射撃が有効だな)
ジャミルはザインと弓使い部隊に命じて、高所に回り込み同盟を狙撃して敵の足を止めるように命じた。
ザインは弓使い部隊を引き連れて、高所に陣取る。
少し遠かったが、同盟が細い道を行軍しているのが見えた。
ザインは彼らの進む先を『竜頭の籠手』で砲撃して威嚇する。
ロランは部隊に進み続けるよう命じたが、彼らは『竜頭の籠手』の砲撃を恐れて、進もうとしない。
(このままだと『白狼』の本隊に追いつかれる。くっ、どうする?)
パトは高所に陣取る敵を見上げる。
(あそこに戦士を回り込ませるのは厳しいな。飛び道具での撃ち合いも難しい)
パトはしばらく敵のいる場所を睨んだ後、意を決したように背中の荷物をほどき始める。
(あれをやってみるか)
パトは竪琴を取り出して弾き始めた。
ニコラはパトの弾く音色を聞いて違和感を感じた。
(……この禍々しい音は? 『竜音』とは違う?)
ロランもそのことに気づいた。
(まさか、パト、あれをやるのか?)
【竪琴のステータス】
特殊効果:『鬼音』C
(『鬼音』はまだ発展途上だ。せいぜい鬼族を暴走させることしかできない。けれどもこの状況なら……)
幸い、ザイン達の陣取る高所の一角に『小鬼』の一隊が潜んでいたようだった。
パトの奏でる『鬼音』に突き動かされた『小鬼』達はザイン達に襲いかかる。
白兵戦の用意をしていなかったザイン達は『小鬼』との戦いにてこずった。
その隙にロラン達は先へと進む。
「何? 『小鬼』を操る音色だと?」
ザインから送られてきた報告を聞いたジャミルは顔をしかめた。
「ええ、不思議な竪琴の音色が聞こえ始めた途端、『小鬼』達が怒り狂って襲ってきました。あれは竜族を操る『竜音』と同様、鬼族を音で操っているに違いありません」
ジャミルは軽くよろめいた。
(なんだよ、これ。こちらの狙いがことごとくかわされる。いや、それよりも! なんでロランの陣営にはこんなにユニークスキルや新装備がポンポン出て来るんだよ。……スキル。まさかロランのスキル!?)
ジャミルは『スキル鑑定』と遠視を使える者を呼び出して、眼下で指揮しているロランを鑑定させる。
その『スキル鑑定』持ちはロランのスキル構成を見て絶句した。
【ロラン・ギルのスキル】
『スキル鑑定』:S
『ステータス鑑定』:A
『アイテム鑑定』:A
『育成』:A
「なんて奴だ……」
「おい、どうした?」
「奴の、ロランのスキルは三つの鑑定スキルがA以上。『スキル鑑定』についてはSクラス。さらに『育成』Aまで持っている」
「なん……だと?」