第107話 ウェインの野望
「カルテットを引き抜く?」
アイナがロランの言ったことをそのまま繰り返した。
「なるほどな。確かにカルテットを引き抜くことができりゃあ、ウチの戦力を増強させるとともに、『竜の熾火』に打撃を与えることができる。一挙両得ってわけだな」
ディランが言った。
「流石に時期尚早ではありませんか?」
パトが言った。
「いくらダンジョン内でカルテットを上回れたからといって、資金力と設備の規模、会員の人数を考えれば依然として力の差はあります。こちらが引き抜きを画策すれば、向こうも引き抜きを仕掛けてくるやもしれません。下手に『竜の熾火』に手を出すより、今まで通り冒険者の支援に徹して、ダンジョン内での優位を保った方がよいのでは?」
「無論、今すぐ引き抜きができるとは思っていないよ。実現するには資金を溜めて、外部への影響力を高めるとともに、こちらも内側の組織を固めなければならない。だが、このまま僕達がダンジョン内での優位を維持していけば、『竜の熾火』は内部分裂を引き起こして瓦解する。その時、カルテット引き抜くチャンスは必ず訪れるはずだ」
室内はシンと静まり返る。
誰かがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
「なに。そう萎縮することはない。やることは以前と変わらないよ。個々の能力を伸ばすとともに、連携を深め、組織力を高める。同時に情報収集を通じて、市場においてチャンスがあれば機敏に動く。その繰り返しさ。当面の目標としては……」
ロランは黒板に箇条書きする。
【当面の目標】
1、パートナーシップをより充実させてダンジョン内での優位を確かなものにする
2、パートナーシップの加入人数を100名まで伸ばす
3、情報収集をしてより有利な条件で、カルテットを引き抜く方法を探る
4、より生産力のある工房に移転する
「こんなところかな。さて、まず1と2のパートナーシップの拡充についてだが……、アイナ」
「はい」
「現状でのこの工房の生産量は? 『青鎧』、『伸縮自在の剣』、『絡みつく盾』の一式、製造と整備何名分賄える? もちろんクオリティを落とさずにだ」
「ええと、ちょっと待ってください」
アイナは手元の資料をガサゴソと漁る。
「大体50名くらいが限界です」
「それじゃあ、新しく何名Bクラス錬金術師を雇えば100名分賄える?」
「えっ? えーっと……」
アイナは急いで計算しようとする。
(この辺、アイナもまだまだだな。ランジュがいれば一瞬で数字を弾き出してくれるんだが……)
【アイナ・バークのスキル】
工房管理:B→A
(まだ工房全体を任せるには心許ないか)
「分かった。それじゃ、とりあえず計算して、終わり次第後で教えてくれ」
「は、はい」
「次にカルテットへの情報収集だが。ウェイン、パト、リーナ。君達から見て、カルテットはどう? こちらの誘いに乗ると思うかい?」
「現状では、可能性は低いように感じます。ただ……」
パトは慎重に言葉を選びながら言った。
「ただ、可能性は十分にあると思います。ロランさんの言う通り、彼らも『竜の熾火』に忠誠を誓っているというわけではなく、世界有数の錬金術ギルドという看板、島一番の高待遇などに惹かれて所属しているにすぎません。『竜の熾火』以上の待遇を用意することができれば、翻意させることは可能かと。しかし、やはり危険な賭けのように思います。こちらからそういう事を仕掛ければ、向こうからも金にモノを言わせた引き抜きを画策してくる恐れもありますし……」
「なるほど。それじゃあ、ディラン」
「おう」
「カルテットを引き抜くにはどの程度の資金が必要か、あるいはどの程度の待遇を用意すれば引き抜く気になるのか、個別に調べてみてくれ。ただし、相手にこちらの意図を知られないよう接触には気を付けて。必要以上に下手に出てもダメだ」
「了解」
「さて、最後に新工房への移転だけれど、これはまだ計画段階だから、話半分に聞いて欲しいんだけれど、新しい工房は港の近くに建てたいと思ってるんだ」
「なに!? 港に?」
ウェインが食いついた。
「てことは……、まさか『竜の熾火』のすぐ近くに移して、直接対決を仕掛けるのか?」
「そうだ。港から上陸してくる外部冒険者、彼らは『竜の熾火』にとって上客に当たる。その上客を奪うことができれば、『竜の熾火』に大打撃を与えることができるだろう」
「今すぐやるべきだ!」
ウェインが急に身を乗り出して言った。
(まさかこんなに早く『竜の熾火』に復讐できる機会が訪れようとはな。港に工房を移転して、エドガーから上客を奪うことができれば……)
「ウェイン、落ち着いて。あくまでこれはできれば実現したい、理想の一つだよ。今の段階ではまだお金も土地もなにも足りない。本当にまだ計画段階なんだ。取り下げるかもしれない」
「なにぃ? くっ」
「ロランさん、カルテットを引き抜くというならともかく、工房の移転はまだ時期尚早だと思います。外部冒険者の受注にも応えるとなると、膨大な仕事量をこなさなければいけません。今は地元ギルドとの絆を確かなものにして、それからでも遅くないのではないかと」
パトが言った。
「うん。そうだね。僕もそう思う。やはりこの件は棚上げにしておこう」
ロランは黒板に書いた工房移転の項目を消す。
ウェインは焦ったそうに黒板から白い粉が落ちるのを見守った。
(くそっ。今すぐエドガーの野郎に復讐することができると思ったのに。何かねーのか。今すぐ金を用意する方法は……)
「さて、各々やるべきことは分かったね? それじゃあ、早速取り掛かってくれ」
「「「「「「はい」」」」」」
「ロランさん、計算できました」
アイナがパートナーシップ100名分の装備を作るのに必要な人員を計算した書類を持ってきた。
「うん。どれどれ」
ロランはアイナの提出してきた計算結果を見る。
「うん、オッケー。この数字を下に計画を立てとくよ」
「はい」
アイナは慣れない仕事をやり遂げることができて、ホッと胸を撫で下ろす。
「アイナ、今後はこういうこともどんどん頼んでいくから、これからはもう少し工房全体の課題を意識しながら働いてみてくれ」
「えっ? は、はい」
(うぅ。ロランさん、新しい仕事をやらせてくれるのは嬉しいけど、ちょっとキャパオーバーかも)
アイナは若干顔に疲れを見せる。
するとロランが申し訳なさそうな顔をした。
「すまない。君にばかり負担をかけてしまって」
「えっ? あ、いえ、大丈夫ですよ」
アイナは慌てて疲れた顔を引っ込めた。
「ただ、現状工房全体のことに関して頼りになるのも君だけだ。パトやリーナ、ウェインも入った頃に比べれば随分成長したけれど。まだまだ君に比べれば甘いところがある。大変だとは思うけれどもう少し頑張ってくれ」
「は、はい」
(ロランさん優しいな。私が疲れ気味なのを気遣って声をかけてくれて。頼りになるのは私だけ……か。そう言われたら頑張らないわけにはいかないよね。よし。頑張るぞ)
アイナは気を取り直して、仕事に精を出すのであった。
ロランはリーナの方に向かった。
「リーナ。例の『廃品再生』を使った在庫管理はどうなってる?」
「はい。こんな感じです」
リーナは鉄Bをロランに見せる。
それは以前、酸化によってCクラスにまで劣化した鉄鉱石から精錬されたものだ(鉱石は採取した後、一定時間経つと劣化してクラスを落とす。そのため採取した後は早めに使わなければならない)。
「Bクラス以下の鉱石なら時間が経って酸化しても『廃品再生』で再現することができるとわかりました」
「よし。これならもっと大量に鉱石の在庫を抱えても大丈夫そうだね」
「はい」
「このまま『廃品再生』を向上させつつ、鉱石の管理方法についてアイナと打ち合わせしてみてくれ」
「了解しました」
【リーナ・ハートのスキル】
『廃品再生』:B→A
(リーナの『廃品再生』がAクラスになれば、おそらくAクラスの鉱石も再生できる。そうなれば自分達で鉱石を消費するだけでなく、余った分は売りに出せるからカルテット引き抜きの原資にもなるはずだ。ある意味彼女が今回最大の切り札になるかもしれない)
ロランはもう一度窯の前で鉱石を精錬しているリーナの方を見遣る。
彼女は鼻歌を歌いながら、鉱石を窯の中に入れていた。
(がんばってくれ、リーナ)
パトは一人だけ隔離された部屋で竪琴をいじったり弾いたりしながら、これからどう仕事を進めていくべきか考えていた。
(さて、僕も自分のスキルでどうにか売上げとサービスの質を向上させる方法を探らないと)
パトは竪琴を弾きながら思索に耽る。
(ロランさんによると僕のユニークスキル『調律』はAクラスに到達しているから、これ以上伸びることはないんだよな。スキルの向上が見込めないなら、これ以上売上げを伸ばすには、スキルの使い道や幅を広げるしかない。……ん?)
パトが竪琴の『調律』をしていると、これまで聞いたこともない音色が響いていることに気づいた。
(これは? まさか『竜音』以外にも特殊な音が宿って……?)
パトは急いで先程弾いた旋律を繰り返す。
ロランは物陰からパトの様子を観察していた。
【『調律』の説明】
錬金術によって楽器の狂った音階を元に戻す。
装備に対してこれを行うと特殊効果が付与されることがある。
修理した楽器に『竜音』を付与することができる。
(NEW)錬金術によって〜した楽器に〜を付与することができる。
(パトの『調律』の説明に新たな項目が加わろうとしている。ユニークスキルが進化して幅を広げようとしているんだ)
ロランが改めてパトの様子を見ると、彼は作業に没頭しているようだった。
(この分なら声をかける必要は無さそうだな)
ロランは特に声をかけることもなく、そっとその場から離れるのであった。
(さて、あとはウェインだな)
ロランはウェインの様子を見に行く。
【ウェインのユニークスキル】
『魔石切削』:C→A
(あれ以来ユニークスキルが伸びていない。アイナやパトのようにバリエーションが広がることはおろか、Bクラスにすらなっていない。まだ、何か成長への鍵が足りないのか?)
ロランはため息をついた。
(いずれにしてもこれ以上結論を先延ばしするわけにもいかない。諦めるにしても育てるにしても、次の手を打たなければ……)
「ロラン。ちょっといいか?」
ロランが思い悩んでいると、ディランが話しかけてくる。
「ああ、今行く」
ロランはディランからの報告を聞いた。
カルテットの待遇としては一人につきおそらく年収1000万ゴールドは下らない。
カルテットを引き抜くには彼らの給与に加えて、違約金5000万ゴールド程度が必要とのことだった。
「5000万か」
「それだけじゃないぜ。カルテットにそれだけの給与を支払うとなると、他の工員の給料もあげねーと。間違いなく軋轢を起こすぜ」
「だろうね。そうなると準備金5000万に加えて、工房の年間売上げも。流石に今すぐは用意できないだろうな」
「となると、やはり……」
「ああ、パートナーシップ100名まで伸ばす必要がある。だが、既存の設備・人員では難しいから新工房に移転する必要があるが、工房の移転にも金がいる」
「ジレンマだな」
「うん。とりあえずしばらくカルテットの引き抜きは棚上げだな。当面は手頃な移転先を探すのと、ダンジョン内での優位を維持・拡大して『竜の熾火』の勢力が衰えるのを待つしかない」
ウェインは物陰からこっそり二人の会話に聞き耳を立てていた。
(くっ、カルテットの引き抜きまで棚上げだと? 冗談じゃねえぞ。これ以上、チンタラやってる暇はねえ。どうにかロランの考えを変えねぇと)
ウェインは二人の会話の内容を思い出した。
(とにかくパートナーシップだ。パートナーシップが100人に増えれば、カルテットを引き抜く資金を用意できるってことだよな。よし。それなら……)
ウェインは自らの野望を実現すべく密かに動き出すのであった。
『霰の騎士』がダンジョンから帰ってきた。
ギルドの威信を賭けて再び鉱石採取クエストに挑戦した彼らだったが、その結果は惨憺たるものだった。
『白狼』の攻撃によって採取した鉱石はおろか、ほとんどの者は身に纏っていた装備もズタボロにされ、中には裸同然で街に帰ってくる者までいる始末だった。
センドリックも探索に行く前にはかろうじて半分残っていたヒゲが今回の探索で全て削ぎ落とされてしまった。
センドリック達『霰の騎士』は失意のまま、島から撤退することになった。
彼らは見すぼらしい姿で港までの道をトボトボと歩いていたが、流石の島民も彼らに対してヤジを浴びせることはなかった。
というのも彼らは島にいる間、基本的に謙虚で控え目だったし、文字通り身包み剥がれて裸同然のまま帰っていく姿に同情を禁じ得なかったためだ。
『白狼』の盗賊達はセンドリック達の乗った船が島から離れていくのを港で見届けていた。
「予定通り『霰の騎士』を倒したぜ」
「『霰の騎士』に帯同していた地元ギルドの奴らも必要以上に痛めつけた」
「これで『精霊の工廠』同盟がダンジョンに入ってくれば、1対1に持ち込める」
「さて、『精霊の工廠』はどう来るか。見ものだな」
『白狼』によって痛めつけられた地元冒険者達は、今月の支払いを確保する必要に迫られ、自然と彼らは『精霊の工廠』が金払いのいいクエストを募集しているという情報を嗅ぎつける。
ウェインが酒場で一人呑んでいると、くたびれた冒険者達がドアを潜って入ってきた。
「はー、また、盗賊の奴らにしてやられちゃったな」
「商売上がったりだぜ」
「ったく、たまんねえよな」
「それもこれも『霰の騎士』の奴らがふがいないせいでさぁ」
冒険者達は口々に不平を言いながら、酒を頼む。
そして、ウェインの姿に気づいた。
「おっ? ウェインじゃん」
「久しぶり」
「おお」
ウェインは適当に返事してそのまま酒を煽る。
「聞いたぜ。『精霊の工廠』に移籍したそうじゃん」
「なぁ。最近、お前んとこのギルド調子いいんだろ? 同盟を主導したりしてさ。なんかクエスト紹介してくれよ」
「へっ、バーカ。誰がお前らなんかに紹介するかっての。ウチのギルドはお前らに構ってるほど暇じゃねえんだよ」
「んだよ。ちぇっ」
「ツレねーやつだな」
冒険者達は面白くなさそうに離れていく。
しかし、ウェインはいよいよロランと『精霊の工廠』に対する需要が高まっているのを実感した。
(島の奴らもロランの価値に気づき始めている。ふっ、こいつを利用しない手はないぜ)
ウェインは先程自分に話しかけてきた冒険者達の方を顧みた。
彼らはまだ店の隅で安酒にチビチビと口を付けていた。
ウェインが彼らに近づくと話し声が聞こえてくる。
「それにしてもどうする? 流石に今回ばかりは装備の整備代も支払えないぜ」
「もうここいらが潮時かもな。冒険稼業から足を洗って堅気の仕事に戻るか?」
「よお。お前ら何シケたツラしてんだよ」
「あん? ウェイン?」
「なんだよ。さっきはすげなくあしらっておいて。俺達に構ってる暇なんてないんじゃなかったのか?」
「まあ、聞けよ。お前らでも『精霊の工廠』同盟に参加する方法、あるかもしれないぜ?」
「何? 本当か?」
「どうやって?」
「とりあえず、ここじゃまずいな。場所を移そうか」
ウェインは冒険者達を連れてより密談に適した店へと移るのであった。
『霰の騎士』のダンジョン探索失敗を受けて、再び随行していた地元冒険者達が食い詰めるという事態が起こった。
彼らはまたレオン達『暁の盾』を通して、『精霊の工廠』に同盟を発足してもらうよう促した。
レオン達は早速ロランに相談する。
「今回は妙に盗賊達の攻撃も苛烈だったようでな。『精霊の工廠』同盟に参加したいと言ってる奴が前回以上に多い。パートナーシップに入ってもいいと言ってる奴もいるぜ」
「どうにか助けてやることはできないかな、ロラン?」
「……」
(『白狼』の攻撃も妙に苛烈だった……か。おそらく『精霊の工廠』同盟の動きを意識してのことだろう。ダンジョンに入れば仕掛けてくるだろうな)
「ロラン?」
「ああ、ごめん。『精霊の工廠』の方でも同盟を発足するのにやぶさかではないよ」
「本当か? それじゃあ……」
「ただし! 最大50人までだ。それ以上は装備を用意できないし、部隊強度の著しい劣化を招く恐れがある」
「うーむ。50人か」
「そうなると半分以上は断ることになるわね」
「まあ、残念ながら致し方ない」
『暁の盾』は残念そうにしながらもロランの条件を受け入れるほかなかった。
「『精霊の工廠』同盟についてはこれでいいね? それじゃあ次にみんなのスキルアップの件についてだけど……」
そうしてロランが話題を変えようとすると、窓の外からざわめき声が聞こえてきた。
「なんだ?」
ロランが外に出てみると、冒険者達が大挙して押しかけていた。
彼らは対応に出てきたアイナに詰め寄っている。
「ちょっと、なんなんですかあなた達は?」
「うるせえ。さっさとロランを出せ!」
「お前じゃ話にならないんだよ」
冒険者の一人がアイナの肩をドンと押す。
ロランは慌ててアイナを庇った。
「おい、何してる。なんの騒ぎだこれは?」
「あっ、いたぞ。ロランだ」
「囲い込め!」
冒険者達はロランを囲い込む。
「アイナ、この人達は?」
「急に来たんです。『精霊の工廠』同盟に参加させろって言ってきて」
「同盟に?」
(今回はまだ同盟発足の情報は流していないはず。誰かがリークした?)
「なあ、俺達も『精霊の工廠』同盟に参加させてくれよ」
「今回も発足するんだろ? 身内ばっかり贔屓にするなよ」
「俺達にもおたくらのクエスト振り分けてくれよ」
「そんなこと言われたって……」
ロランが閉口していると、誰かが囲みをかき分けて割り込んできた。
「おい、何やってんだよ。オメーら」
「ウェイン?」
ロランが戸惑ったような声をあげると、ウェインは冒険者達の前に立ちはだかって、ロランをかばう。
「ウチのギルド長を囲い込むとはどういう了見だ、テメーら」
「あっ、ウェイン。お前からも言ってやってくれよ」
「俺達にも仕事を振り分けるようにさぁ」
「仕事を振り分けるだぁ? やい、てめーら。ウチはおいそれと契約を結べるようなギルドじゃねーんだよ」
「なに!?」
「ウチと契約を結びたいってんならまずパートナーシップに加入しやがれ! 話はそれからだ」
「パートナーシップ?」
「なんだそれ?」
「ウチとリース契約を結ぶ代わりにS級鑑定士のアドバイスを優先的に受けられる仕組みだよ。ホラ、加入したければ列に並んで、加入希望用紙に所属ギルドと名前を書きやがれ」
(ウェイン? 何を……)
ロランは突然起こった一連の出来事とウェインの態度に戸惑いながらもただただ見守るしかなかった。
ウェインは目論見が上手くいってほくそ笑む。
(これで準備は整った。いよいよ復讐の時が来たぜ。待ってろよエドガー。こいつら全員利用して、テメーもろとも『竜の熾火』をぶっ潰してやるよ)