なんの因果でこんなやつらと ②
「いいよ!最後までやる!負けないから!」
あたしの言葉が終わらないうちに、コインを舞い上げるジャネット。
一分後に、胸を腕で隠すあたし。
「しかし、クレアってきれいだね~、ほれぼれしちゃう。びっくりだよ。」
「そ、そんなのいいから・・」
「あと一枚だね」
くそ~、こいつ、あたしを恥ずかしめてる!
そこで突然、ガタンと音がして幌馬車が止まった。
「なんだ、ソフィーのやつ馬車止めて。次の街までは、まだ先のはずだけど。トイレか?」
ジャネットは、指でコインをいじりながら、そう言った。
正直、あたしはホッとした。もういいや。意地をはらないでここで終わりにしよう。
そう思ったとき、後ろの幌がバッと開けられた。
「検問だ!」
そこには見知らぬおじさんがいた。検問の係りだ!
ばっちり目があってしまった・・
「キャーーーー」
あたしの叫び声は、1㎞四方に届いたであろう。
「こりゃ、失礼」
と、おじさんは、後ろを向いてくれたが、手遅れだよ~、バッチリ見られちゃったじゃない!
「なに、今の叫び声」
今度はソフィーがやって来た。
「まあ、クレア!あなた、こんなとこで露出してなにしてるの!」
「ち、ちがうのソフィー、これには訳があって・・」
「いいから早く服着なさいよ!変態!」
人のことを変態呼ばわりしたソフィーは、人に馬車の操作させといてなによ!と怒りながらその場を外した。
「ははははは、クレア、あんたのこと気に入ったよ。これからもよろしくね」
ジャネットがこんなことを、ほざいて、2枚のコインをあたしに投げてよこした。
そのコインを見ると、1枚は両面とも表、あと1枚はその逆。
「ジャネット!これイカサマじゃない!」
「いい退屈しのぎになったでしょ。また、やろうね~」
なにが、またやろうだ!この嘘つき剣士!
ソフィーだって、訳ぐらい聞いてよもう!
なんの因果で、こんな二人と旅をしなくちゃいけないんだか。
怒り半分、ベソ半分で、服を着るあたしがいたのだった。