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自殺者の異世界放浪物語  作者: 霧島サブロー
1/2

プロローグ 終わり

「はあ」

今日だけで数十回となる溜息をつく。とても高校生とは思えないほどおっさんぽい生き疲れた溜息だった。

「俺は何がしたかったんだ?」


「努力していればなんとかなるそんなものを信じていたからか?それとも全く別の、、、」


俺は、中学校まではなんでも挑んできた、しっかり勉強はしていたし、そのおかげで成績はまあまあ良かった。部活動も、運動系のものに入り、鍛えていた、けど、どれだけやっても、どれだけ集中していても心は動かされることはなかった。


そのせいで、歪んだ、どこまでいっても、1人になると、寂しさがこみ上げてくる、無気力になる、動きたくなくなる、何も考えたくなくなる。それを誤魔化す為だけに行っていたことだった。成績が良くなっても、1位になったところで一瞬嬉しくなるだけだった。ただそれで保っていた、けど、少し考えるとまた感じてしまう。

とんだ悪循環だ。乾いた笑いが浮かぶ。そして、改めて下を見る。


…地面が遠い、


「今日…死ぬのか。」


下を見ると口であんなにいっていたのに今すぐ家に帰りたくなる。実際今までもなんども帰った。あと一歩それが踏み出せない。けど


「もう…嫌だ。」


いつも、自分を苦しめている姿が浮かぶ、ただの妄想だ。しかし、もう止まれない。

足を進ませた。あと一歩分しかなかった足場から離れる。


ジェットコースターの落下のような浮遊感が訪れる。ジェットコースターは大嫌いなのに何故この方法を選んだのかはわからない。

もう地面が近づいてきた、周りから悲鳴が聞こえてくる。何も考えていなかったのに、こうなると、怖くなってくる、夢だと思いたい。でも、心の端で当たり前だとわかっていた。


《スキル「」を手に入れました。ディメンション()に対応できる魂…作成、魂の憑代…発見、以下の行動により…》


なんだ、もう幻聴まで聞こえるようになったのか。だいたいなんだ、スキルやディメンションなんて馬鹿馬鹿しい、もういいんだ、眠らしてくれ。


《…亜空間トンネル、、作成、最終段階に入ります。》


馬鹿にするな、俺はもう死ぬんだ、この機械音を止めてくれ。


《ディメンション()への移動…問題なし。これよりディメンション()に送ります。》


なんだ、ディメンション()とは、移動?意味がわからない。だいたい、、、


《マスターの死亡を確認、転送開始…終了。スリープモードへ移行します。》





〜〜〜〜〜






眩しい…



眩しい?何故?


(なんだ、俺は死んだはずじゃ…)

周りを見ると、馴染みない世界が広がっていた。そして体が少し変わっていた。


(少し肌が白くなっているな、あと少し筋肉も増えいる気がする。)

目の前には胡散臭い祭壇のようなものがあった。

下にはヒビ割れた地面が広がっていた。明かりは、苔のようなものがボンヤリ光っていた。


(待て、俺はビルから飛び降りたはずだ。)

自分の体を軽く動かしてみると、特に変わったこともない。

むしろ、今の方が動かしやすいかもしれない。

血も衣服についていなくて、いつもと変わらなかった。


(なぜ血がついていないんだ?内出血だとしても、ここまで血が出てないのはおかしい)


(それに思考能力も低下していない。そもそもこんなに冷静なのもおかしい)


(とりあえず、この祭壇?を見てみるか。)


祭壇?には、中心に本があり、それを囲むようにナニカが並べられていた。

本は埃にまみれていて、タイトル読めなかった。

埃を息で吹き飛ばすと、掠れた文字が出てきた。


[○界○に○○○の○につ○て]


(日本語⁉︎ということはここは日本なのか?しかし、どこを探してもこんなところは、、、わからない、、、開いてみるか)


[私は、○田 ○○ この世○に○喚された○者だ。これを読んでいる○○○ことは、君も召○された○だろ○。これは私の○きた道だ。だから、君○○ってほ…]


(ここまでか、ギリギリまで読んだがさっぱりわからない。これ以上はとても読めた者じゃない。)


しばらく探していると、材質が違うページがあった。そこだけ様々な加工がしてあったようで、しっかり読み取れた。


[ここに、我の愛刀を残す。場所はこの本が置いている方が正面とし、右側の蝋燭の奥に、動かせる場所がある、その奥に双刀がある。それをこの本を読んだものに託す。]


(双刀?物騒だな、そんなのが必要になるということはここはやっぱり日本ではないのか。、、、わからない。)


(この本の通りにやると、まずは押すと、おっ動いた。)


その石を押すと、引っかかった感触があり、倒れた。

砂埃で見えなかったが、だんだんと部屋があることがわかった。中はさっきよりも明るく、見やすかった。


(この中に例の双刀があるはずなんだが、もしかしてこれか?)


中から出てきたのはクロスになるように掛けられた2つの刀?だった。

刃は錆が付いていて、とても切れそうには見えなかった。刀身以外はまだマシだったが、それでも「使い古された」という次元ではなかった。


(本の劣化度から察しはしていたが、、、これでは使えないな。それにしても錆びるのが早すぎるだろう)


(とりあえず取るか。)


手を伸そうと足を動かすと、段差に躓いた。


(しまった)


いくら錆びているといっても、流石に刀だもし刺さったら大怪我になるだろう。しかも、刺さって生きたとしても破傷風になるかもしれない。

もっともそんなことは考えていなかったのだが、とにかくこのままでは、やばいと考え、避けた。


(いっ...大丈夫だな。ふう、助かった。)


無理な体勢で避けたので思いっきり地面に激突したが、最悪の事態にはならなかった。

改めて双刀を取ろうとするとないことに気づいた。


(あれ?なくなっている?いやまさか、そんな一瞬で無くなるわけないだろう。


しかし、どこを見てもただの石しかなかった。

そしてもっと探していると、双刀を発見した。しかし


(あっ...)


あの双刀は、地面に落ちていた。

それだけなら良かったのだが、大きな亀裂が何個も入っていた。


(どうしよう)


その亀裂はどう見ても修復できるようなサイズではなかった。

しかも片方だけでなく両方共に入っていた。


(愛刀って書いてあったよね、それを壊しちゃったんだよね。)


しばらく考えてこういうことにした。


(この人は大した人じゃなくて、ただの一般市民だったんだね。この双刀は安物で、もともと壊れ掛けだったんだね。うんうんそういうことだね。)


自分でも明らかに言葉遣いがおかしいのには気付いてはいたが、知らないふりをした。

さらにいうと、隠し部屋を持っていることや、字の綺麗さから一般市民でないことは明らかなのだが、それも知らないふりをした。


(でも、せっかく託してくれたのなら、せめて持っていってあげたほうがいいよね。)


そう思い、亀裂が入った双刀を持つと、刀身が砕けた。3本ほど大きい亀裂がは入っていたものが。


(やばい、でももう一本は残っているから。)


そう思っていると、1本特大の亀裂が入っていた方も壊れた。


(あ、せっかく残っていたのに…。)


そう思って2つとも刀身を観察していると、少し盛り上がってきている気がした。


(幻覚か)


目を擦り、もう一度目を開けると、さっきよりも盛り上がっていた。


(まさか)


今度はもっと長く目を擦り、精一杯見開いた。

すると、立派な刀が2つあった。


(え?どういうこと?)


不思議に思って、横側を触ったり、地面に置いたり、壁に刃先を向けて、ガリガリと削って見たりした。

刀身をガン見していると、どこかで聞いたような機械っぽい音が聞こえてきた。


《スキル「鑑定」を使いますか?Yes or No》


(え?)





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