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物語の始まり

改定を行おうと思います。詳しくはあとがきにて。

『ジョン・D』は最悪の冒険者と言えるだろう。帰還の為の実験と称して村々を意味なく襲い掛かり、嘆きと悲しみをウェン中にばらまこうとする、最恐最悪の冒険者だと言える。


自由気ままにウェンの大地を歩いては、村々を襲い、金や食料を奪い取ってくという悪辣な男を止めようとする人間がいないわけではない。

しかし、彼は冒険者との戦いを『実験の邪魔』と言う理由で、戦いを避ける知恵も持っていた。


彼はゼイルナという信頼できる世界を破壊させようとする仲間を得て、意気揚々と『実験』を続けていた。


「まったくウェンがこんなに広いとは考えたことが無かったぜ。」

「………ヒトリデオソッテイテハゲンカイガアルナ。」

ゼイルナの能力は感染して広げる事が可能だが、逆を言えば感染させなければ、効果を発揮しない。

今回手に入れた大量のアイテムと金貨は、まずフレデリックに幻獣のみに発病する病を感染させて、それからフレデリックに近づいてきた幻獣型モンスターがその病気に感染し一気に発病という現象を巻き起こしていた。

「シカシ、コレダケヤッテモ、カエレナイナラ、ベツンシュダンヲカンガエタラドウダ。」

「だから、俺は帰りたいわけじゃ……別の手段……別の手段か……良い手思いついたぜ。」

そう言ってフレデリックはにやりと笑った。


「……くそっ、今日の稼ぎはこれだけかよっ。」

ビッグアップル内の大神殿の中、一人の男が騒いでいた。

「すんません。今回あいつら外に出なくて……。」

「……チッ!!」

足りない。金貨が絶対的に足りない。金貨が足りなければ、土地の維持費が支払えなくなり、別のギルドが買い取ることになるだろう。

「ビッグアップルを捨てて他の町に行けばいいんじゃないですか?」

「馬鹿を言うなッ!」

ビッグアップルには他の都市には無いメリットがいくつか存在する。一つがビッグアップル地下のダンジョンだ。

都市の真下にありながら無数のモンスターが存在するこのダンジョンは大神殿からすぐに行く事が出来、様々な素材をこのダンジョンひとつで賄う事が可能なのだ。

勿論、モンスターが金貨を落とすため、その金貨は残らず回収している。空間購入の維持費にはとんでもないお金がかかるからだ。

必要な素材、食糧アイテム、金貨全てがこのダンジョンで賄えるのだ。そのダンジョンだけでもビッグアップルを拠点にするメリットがあるのだ。

この世界から元の世界に帰るつもりはない。元よりこの世界で強くなる為にあちらの世界で全てを捨てたのだ。

あちらの世界に戻ってしまえばもはやこちらの世界に戻ることは出来ずに……<エルダー・テイル>で得た全てを失ってしまうのだ。

(……12年……俺の12年がここで報われようとしているのだ! この世界の真の強者になって!!)

ありとあらゆるものを犠牲にしてきた。この世界が自分の全てであった。それが今報われようとしているのだ。

(負けるわけにはいかないのだ!)

さて、皆はここでちょっと疑問に思った事は無いだろうか? 何で街中にそんな危険なダンジョンが存在するんだよっ! と。理由としては、街中にダンジョンがあった方がパーティーを組んですぐ攻略や帰還ができる事、商店街にしても上に商店があるので使いにくくてしょうがない事……ようするに『冒険者の都合』である。

冒険者だけが利用できる銀行、復活する地点である大神殿、大規模な戦いが楽しめるレイド……そう、これは冒険者が楽しむ為の世界なのだ。例えどんな危険な場所であれ、冒険者に都合のいい場所であるのなら……そこにできてしまうのである。

そんな彼に『ジョン・D』と書かれた名前から連絡が念話が入ってくる。

「どうした? 何々……帰りたい奴を雇いたいだと……わかった。一回こっちに帰ってこい。話はそれからだ。」


ウェンの片隅に存在する小さな町。そこで貴族の代表とプレイヤータウンの代表……ゾーンディフェンダー達が話し合っていた。

「……我々は契約の通りに、冒険者の町を守っています。それ以上の事は規則違反となるのです。これはマウントブレス卿にも伝えたことです。」

「それについては奴から何度も聞いておる。それで、治安がどれほど悪化し続けているのかそれは奴から何度も話し合っているだろう。」

「…………。」

「奴は、自らの懐から金を出して忍者達を雇いモンスター退治を行い、それなりの成果を上げておる。しかし、その財貨がなくなればどうなる?忍者達は当然仕事をせずに治安の悪化は止められなくなるだろう……いや雇っていた忍者が反乱を起こすかもしれん!」

その貴族の言葉に、プレイヤータウンの代表は静かに答えた。

「話は、それだけですか?」

「……それだけだと? ウェンでも有数の商家が身を削って、ウェンの大地を守っているのをそれだけだと?」

「彼が忍者を雇うのも、それが反逆されることも我々には関係のない事です。我々は備えなければならない………世界を転ずる災いに………。」

「待て、貴様は自分が何を言っているのかわかっているのか?」

「はい、例え商家がどれほど身を切ろうとも、我々には我々の仕事があると言う事です。」

貴族の代表はぎりぎりと歯ぎしりを行う。

「奴は言っていた古のルールでは罪を犯した冒険者はプレイヤータウンを利用できなくなっていたと!」

「それは古のルールでしかありません。今のルールは違います。」

とりつく島が無いとはこういうことだ。

もはや歯ぎしりするしかない。全てが悪い方向に向かっていた。それを感じていながらにして、貴族達は何もできないでいた。

「……貴様は、『ジョン・D』と言う冒険者が何をしているのか知っているのか?」

「ええ、知っています。それが例えどんな行動をしていたとしても、我々は盟約に従い、運営を行うだけです。」

「誰の為の盟約だ!!」

貴族達のその言葉に、管理人は何も答えずにいた。

「我々は、プロジェクト・グレートリベンジと言うものを計画しております。」

「待て、それは秘密のはずだ!!」

これが自分達の持てる最後の切り札だ。交渉人は思いながら、自分達の契約を明かす。

「……最悪、この計画の途中で冒険者の街が破壊されたとしても、我々は仕方がない事だと思っております。」

「……………。」

一度目の会議は物別れに終わり、双方はしずしずと自分達の居城に帰っていった。


マウントブレス卿の居城。

『奴らの正気を疑うぞ!』

『…世界を転ずる災いとはいったい何の事だ? 邪神のたぐいか?』

『占い師どもは何も言っていない! 只の戯言だ!!』

大地人の占い師などには≪予言≫と言う能力を持つ者がいる。強さは様々であるが、現在起こりうる事象を予知と言う形で知りうることができるのだ。

(もっともこれは、予言と言う形でクエストを盛り上げる為の物であり、実際には運営側が決めた言葉を喋らせていたわけだが。)

「彼らはただ盟約にしたがって……。」

『口が過ぎるぞッ。成金商人めっ!!』

その言葉にマウントブレス卿はぐっっと拳を握りしめる。自分は確かに成金商人と言われても仕方のない人間だろう。

だが、自分は彼らを否定することは出来ない。自分と彼らの正体を、何故に作られてるのかを知っているがゆえに。

『……マウントブレス卿。もはやこれは盟約の問題ではない……。冒険者と言う不帰の異邦人とどう向き合うのか……。何故彼らに力をかすのかの問題になってくるのだ。』

「……しかし彼らにとっても盟約は絶対……ルールを変える事は決してないでしょう。」

『……………マウントブレス卿!!』

『冒険者の金を守り、冒険者の蛮行を無視する……何が盟約だ!! 何のための盟約だ!!』

……マウントブレス卿はその盟約について答える事が出来る。しかしそれは彼らにとって絶望を与えるものでしかない。

『大変です!!』

そんな声と共に一枚の鏡から声が響いてきた。

『今は会議中だ。後にしろ。』

『いや、話だけでも聞いておいてくれ……。』

『わかった、何があったのだ?』

『たった今……『邪神の封印』が解けたと言うお告げがありました!』

それは、ウェンの大地を破滅に導かんとする、『邪神達』との戦いに始まりでもあったのだ。


バルバロス

『……と言う事があったの。』

たかやはドラゴンナックルからの報告を受けていた。

「……なるほど、こっちの世界の宗教に聞きたいってそう言う事だったのか……。」

『うん、データじゃなくて、どんな宗教なのかって事。でもさ、幾らなんでも子供を生贄にする宗教なんてこちらにあるわけ……。』

「あるぞ。主にレイド級クエストで。」

『え?』

「え??」

『なにそれこわい。』

「まっ、まあ今の所、それらしいクエストは配布されていなかったから、たぶん大丈夫だよ多分。」

『それフラグだから! あまり言っちゃだめだよ!!』

「言わないと説明できないだろう??」

たかやはやや呑気にそう言った。

前書きでもかきましたが、幾つか改定を行おうと思います。

理由としては、リプレイで出てきた典災の設定が、自分が思っていたものと違った事と、ビッグアップル内での設定で逆になっている事です(ビッグアップル内のダンジョンで戦っている方が、外に出て襲うよりも稼ぎが良い。)

それと、マウントブレス卿の設定についてもちょっと見直したら、貴族ではなく商人の方が正しいっぽいのでそのあたりもちょこちょこと追記していこうと思っています。


続きを楽しみにされていた方には申し訳ありませんが、気長に待っていただければ幸いです。

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