典災(ジーニアス)ゼイルナ
今回は、自分なりの典災の設定を書いてみました。
それと、世界設定においてちょっとしたアンケートを取ろうかなと考えています。
彼らは大災害の時に生まれた。彼らに大災害前の記憶は一切なかった。
カラッポだった。何の記憶もなかった。
だから冒険者が叫んでいたこの世界がゲームの中だとすぐにその頭の中に情報が入っていったし、自分達が倒されるだけの存在だといやいやながらもわかった。
その他にも自分達が変な存在だと気がついていたが、ここでは割愛する。
彼らは反逆を決意した。この世界を破壊し自分達の物だけにすると。
彼らの数は冒険者よりも少なく、例え全員が集まったとしても冒険者には勝ち目がないだろうと言う事は理解していた。
ならばどうするのか? 決まっている仲間の数を増やすのだ。
元からゲーム世界からの記憶が無かったことが、すぐに戦い方を変えるチャンスを得たのだった。
古来種を倒すことは簡単だった『物語』と『記憶』の隙間をついて相手を精神的に追い詰めれば彼らは容易に精神が崩壊した。
倒されたのに同じ言葉を何度も話していた演劇のような記憶。それが彼らには残っていたのだ。
ゼイルナの能力は病気をばらまく能力だ。広範囲かつ長時間影響を及ぼせることを考えれば、かなり凶悪な能力だろう。
しかしゼイルナ本体の能力はかなり弱く設定されていた。HP,MPは両方とも5000ぐらいしかなく、おそらく暗殺者のアサシネイトを受ければそれだけで死にかねないほどのHPだ。
またばらまく病気についてもいくつかの欠点が存在した。ばらまく病気がパラメーター性なのだ。
例えば1000ポイントの中から感染経路・症状・能力・欠陥などなどを振り分けて能力を発動させなければならない。
これは逆を言うのならば、好きな病気を作れるのだが、強力すぎる病気を作ってしまうと、感染速度よりも死亡速度が上回ってしまい、弱すぎる病気ならば、途中で治ってしまったりするのだ。
はっきり言うならば使いにくい能力である。
そんな中、村々を襲いまくっている『ジョン・D』という冒険者の噂を聞いた。
彼は自分の事をフレデリックと名乗り、世界を滅ぼすために協力してくれると言ったのだ。
おそらくフレデリックと言うのは、彼の本当の名前なのだろう。彼に私の護衛を頼む。
彼は快く引き受けてくれた。それだけではない。彼はこの世界を破滅させるためのアイディアを持っていたのだった。
「これが成功すれば、数千の冒険者が一気に大地人を襲うようになる。
そしてこの世界は誰にも止められない生き地獄へと変化する。」
フレデリックはそう笑いながら、計画を喋ってくれた。
「そのためにも悪行に悪行を重ねないとな。」
フレデリックはそう言ってにやりと笑った。
私達は幻獣モンスターの住処に突撃していた。私の能力で幻獣モンスターのみに発動する、感染性が高くてなおかつ症状の重い病気を作り出し、病気で動きが鈍っている幻獣たちをフレデリックが惨殺していくと言う見事なコンビネーションで無数の幻獣達を狩り続けた。
「大量大量……金もかからねえし、お前は最高の相棒だよ。」
「シカシイッタイナニニツカウノダ? トリヒキアイテガイナケレバショウバイハナリタタナイゾ。」
「はっ、そんなもん、ビッグアップルに行けば幾らでもいるさ。あいつらは大神殿やギルド会館の維持でひーひー言っているからな。傭兵代わりに雇うならこれでも足りないぐらいだぜ。」
「ナルホド。ソウイウカンガエモアルノカ。ふれでりっく。キミハサイコウキュウノショウニンニナレルヨ」
「最高級の商人? その二つ名は俺の親父の為にあるんだぜ!!」
アキバに戻ったアキバの冒険者達はさっそく、交易の許可を円卓会議に求める事にした。
「なるほど、妖精の輪を使った長距離運送か。」
「ええ、かなりリスクの高い方法ですけど、あっちを復興させないと探索は色々と無理っぽいですからね。」
「……確かに。」
「ですが、アレクサンダー=アルバか…そいつは良いとしても、マウントブレス家ってのを誰も聞いたことのないのは不自然だな。」
円卓会議のメンバーはそれこそかなりの長い期間<エルダー・テイル>をプレイしている。その彼らが名前を知らないほどの大人物と言うのは驚愕の一言であった。
「大災害直後にできた組織なのかあるいは……。」
「……何らかのシステムが実体化したと考えるのが妥当でしょうね。」
二つのメガネがちゃかりと上がり、その言葉を紡いだ。
マウントブレス家の居城。小さな<遠見の鏡>が幾つも並んだこの状況にも慣れていた。
『………プレイヤータウンの破壊も視野に入れるべきでは?』
「しかしそれでは冒険者の反発を招くだけでは?」
『ふん、今更少々反発を招いたとして、何が変わると言うのだ?』
『しかし、冒険者の町には町の管理人がいます。彼らを無視して我々が干渉して……。』
ズトンとすさまじい音が一つの鏡から鳴り響く。
『事はもはやそれで済まされる話ではないッ!!』
さらにその鏡から声が鳴り響く。
『殺しても殺しても冒険者は町で復活し、周りの村や町を襲い続けている者さえいるッ! こうしている間にもジョン・Dは暴れているのだぞッ!! 奴らはそれを野放しにするどころか、奴らのアイテムを預かり力を貸してるそうではないかッ!!
奴らがしっかりしていれば、あいつはッ………私の息子はっ!!』
その言葉に一同が黙り込む。
『もはや、奴らに町を管理する力などないッ!! 我らが全力で……。』
「申し訳ありませんが、貴方は衛兵の力を知らない。」
アトム・マウントブレスが言葉を紡ぐ。
「鎧で強化されたシステムは街中限定とはいえレベル100相当。なおかつ瞬間移動能力も備え自己修復能力も持っている。」
『では、どうしろと?』
「説得するしかないでしょう。私も根気強く説得を試みていますが、今の所成果はありません。」
『根気強くだと………貴様ッ、我々にそんな時間が残されていると……いるとおもっているのかぁぁぁぁぁぁああああ!!!!』
マウントブレス卿の言葉に一人の貴族が怒りの呪詛を叩きつける。その言葉は貴族達すべての思っている事だ。
「………彼らが動かねばどうしようもありません。」
しかし、マウントブレス卿はその言葉を冷静に否定した。
『貴様っ……』
『待て、マウントブレス卿、少々お願いがある。』
また別の鏡から声が鳴り響く。
「なんでしょうか?」
『私が直接会って、彼らと話がしたい。』
その言葉に鏡の向こうからどよめき声が鳴り響く。
マウントブレス卿もこの展開に驚愕し、目を見開く。
『正気ですか??』
『正気だとも……この件に関しては直接出向き、利を持って話し合うしかないと私は思っている。
マウントブレス卿。少々お力添えをお願いしたい。』
「……わかりました。微力ながらこのアトム・マウントブレス、力になりましょう。」
『だが、何処の冒険者の町を説得するつもりだ?』
『本来なら、最も大きな町の『ビッグアップル』を狙いたいが……。』
『数多くの冒険者どもが暴れているな。』
今のところ冒険者達はプレイヤータウンの維持費を支払うために大量の金貨が必要な為、村々を襲わずにダンジョンにこもりきりになっている。
積極的に村々を襲っているのは『ジョン・D』のみ。奴さえ閉じ込める事ができたのなら、流れを変える事が出来るだろうと貴族たちは判断していた。
『我々は、負けるわけにはいかないのだ………。』
「わかっています。全てはこの世界の為に。」
これはあまりにも分が悪い賭けだ。
あのビッグアップルにいる冒険者の中で、幻想級装備で身を固めた冒険者が200人以上いやもっと存在するのだ。
彼らはこの世界に全てをかけて金と時間をかけているのだ。幸いというかなんというか、家の外に出る事を恐怖してるのか何なのかビッグアップルから外へと出る事はあまりしていないのが幸いだ。
ビッグアップルの冒険者の中には廃人の中の廃人………。1日6時間は<エルダー・テイル>にログインし、トイレも食事も常にパソコンの前で行い、眠る時間さえすぐにゲームを起動できるようにして寝ているような、幻想級アイテムの獲得のために、すさまじいまでの執念と努力を兼ね備えた人間たちである。
A.
彼らの執念はすさまじく、世界中に遠征を行い幻想級アイテムをかき集めていると言っても過言ではない。
日本サーバも例外ではなく、彼らの手によって1割以上の幻想級アイテムが奪われていると統計では出ているのだ。
日本サーバのD.D.Dや黒剣騎士団も挑戦を行っているが、どだい人数が違いすぎるので奪われ続けているのが現状だ。
B.
とはいえ、彼らが執念を出せば出すほど幻想級アイテムは遠のいていくのだ。
幻想級アイテムの習得には大量の補助・回復アイテムが必要なのである。北米サーバは誰も彼もが幻想級アイテムを所有しようと躍起になっている為、回復アイテムの生産職が少ないのだ。
C.
とはいえ、幻想級アイテムの習得は非常に難しいのが現状だ。
幻想級はどれほど大規模なレイドでさえ1回につき数個しか手に入らない……。
『プロ』のゲーマーを雇って、レイドに参加してもらわない限り、幻想級アイテムの分配でもめる事になるのだ。
それが彼らの幻想級装備を遠のかせているのだ。
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最上級の装備と、最上級のスキル。貴族達はそんな化け物と戦おうとしているのだ。
勝率とリスクと得られるものを天秤にかけながら彼らの話し合いは続く………。
今回文章が途中でA.B.Cに分かれてるのはこのあたりの世界設定で悩んでいるからです。
これについては、活動報告の方でアンケートを取ってから、設定をどれか一つに絞ろうと思います。
ストーリーには一切関わりません。