入ってきたメール
つきあって
そんなメールに心臓が止まるかと思った
朝一で入ってきたメールに一日中上の空だった。
朱里には気味悪がれ、寄るなって言われた。
その原因と目が合う回数が多かったのは、多分気のせいじゃない。
つり気味の目が、こっちを見ている。
あるいは見ているのに気付かれて目が合う。
目が合うたびにドキドキして、苦しくて
期待と不安で胸がつぶれるかと思った。
「圭、行くぞ」
放課後、唯斗に手を取られた。
全身に熱が回ったみたいに一気に熱くなった。
胸がドキドキしすぎて本当に壊れるんじゃないかってくらい。
当の唯斗は気にしてないみたいにどんどん歩いて行く。
廊下ですれ違う人がびっくりした顔してる。
うわあ、明日が恥ずかしすぎる!!
絶対なんか噂になってる!
あのメールはどんな意味ですかって聞きたいのに、言葉にならない!
破裂して死ぬ!
「あの、唯斗君」
「ん?」
「つきあってって」
「うん、選んで」
目の前には綺麗に包装されたお菓子たち。
キラキラの店内は男の人が多い。
でかでかと書いてある看板を見つめてしまった。
「これ、リストね」
ひらりと渡された紙にはざっと20人くらいの女の子の名前。
眩暈がした
期待した分、怒りがわいてきた
「一人で選べ!!」
ホワイトデーって可愛くラッピングされた箱を顔に投げつけてやった。
店員さんに白い目で見られた。
ってか私の名前無いんだけど!
私もあげたよ!
手作りのチョコ……
印象にも残りませんか、そうですか。
嬉しそうに笑ってくれたのにな。
その時に告白できなかった私も悪いんだけど……
でもさ、お返し選ぶのに付き合えってどういうことだよ。
メールを深読みして後悔した。
私の一日なんだったの。
むかついたけど、選んであげましたよ。
一個300円のクッキーを!三倍じゃなくても許してくれるんじゃないですかね。
お財布に優しいですね。
ってかお返しするとか優しいですね。
口調がとげとげでもしょうがないよね。
帰り道、ずっと機嫌の悪い私
首をかしげて後ろをついてくる唯斗
明日変な噂になってたらどうしよう
保護までかけて大事にしようとしてたメールを、力任せに消去してやった。