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冷めないうちに召し上がれ

なんだか、私、モテるらしいですよ?


それってつまりですよ?


唯斗の隣に立っても大丈夫ってことかな?





「あんた、今頃気づいたの」

朱里の容赦ない言葉に胸がえぐられる

「明らかにあんた宛でしょうが、それ」

今朝、学校に来るときに押し付けられた手紙。

「……宛名書いてないもん」

「でも、あんたに渡してるの」

反論できない

「今更だけど、よく気づいたよ。本当に気の毒でしょうがなかった」

教えてもらったんです。とは言えない。

なんとなく。

全力で笑われるに違いない。

そんで唯斗に惚れ直してしまったことにも気づかれてしまいそう。

いや、朱里のことだもう知ってるのかもしれない。

だってなんかニヤニヤしてるんだもの。

「で、八代唯斗に告白する決心はついたの?」

ぶっはっ

思わず飲んでいたミルクティーを吹き出してしまった。

「ど、え、あ、な」

「おちつけ」

さらににやけた顔で、朱里は机に放り出されている手紙を指差した。

「彼氏ができればこんなの無くなるよ」

むしろ喜んで守ってくれるって。

朱里の言葉に、昨日の唯斗を思いだした。

赤く染まった頬が、泳ぐ視線が一瞬で思い出されて

顔に熱が集まる

朱里はびっくりしたように目を丸くして、可愛いな、もう!って言って私をぐしゃぐしゃにした。

「骨は拾ってやるから、安心していって来い」

玉砕前提ですか!

でも、優しく笑ってくれるから胸が温かくなったよ。

「もし振られたら、一生朱里に付きまとってあげるわ」

爆笑ってひどくない?



「唯斗」

「ん?」

放課後、部活に行く唯斗を呼び止める。

正直緊張で胸が痛い。

「これ、また貰った……」

唯斗の眉間にしわが寄った。

「今から、断りに行ってくる」

ぽんって頭をたたかれた。

そのまま背を向けて行ってしまいそうで、咄嗟に袖をつかんでしまった。

「あ、ごめ」

ぱっと離したけど、なんて言っていいか分からなくて俯いてしまう

唯斗が息をついた気配に顔を上げると、困ったように笑った。

「じゃ、頑張ってこい」

ついてきてほしかったわけじゃないけど、心の底でもしかしたら願っていたのかもしれない。

唯斗の背を見送って、ため息をついた。

情けない自分に腹が立つ。

昨日のように唯斗に守ってもらうのは相手に失礼だ。

守ってもらえる資格はまだないから。

資格を貰えるように頑張るから。

少しでも強くなって、自分に自信を持って唯斗と並べるように。

「よしっ」

気合をいれて、教室を後にした。



気持ちが確かなうちに受け取ってほしいから。

私も勇気だすよ。

とりあえずバレンタインは渡そうと思います。

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