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焼きソバパン争奪戦

人気者の取り巻きって、恐ろしい……



徒歩15分のところに学校がある。

私は大抵徒歩で通学してます。

朝は、兄も千沙ちゃんも部活の朝練があって、私一人で行くことが多い。

「た、高梨さん、おはよう!」

「あ、おはよう篠田君」

篠田君は隣のクラスのクラス委員の子だ。

眼鏡で、背が高くて、頭よくて、よく女子が噂してる。

「昨日の、食べてくれた?」

そんですごく料理がうまい。

昨日はお菓子をもらった。いや、預かった。

「千沙ちゃん、美味しいって言ってたよ」

「……高梨さんは食べてないの?」

「食べた、すっごく美味しかったよ」

昨日の味を思い出して笑顔になる。

「っそ、そっか良かった」

顔が真っ赤。

そんなに千沙ちゃんが好きか。

彼氏持ちですよ?

「またなんか作ったら、あげるね」

嬉しそうに笑って、篠田君は頬を掻いた。


朝の通学時にお菓子や手紙をもらうことが多い。

千沙ちゃん宛だけど。

千沙ちゃんに渡すと絶対微妙な顔をする。

まず、手紙は開けられずに兄に渡される。

お菓子は兄の監視のもとに千沙ちゃんと美味しくいただく。

次の日、手紙をくれた人、プレゼントをくれた人は必ずげっそりしてる。

兄は悪代官みたいな顔で、妹に近づいたらどうなるか分かってるな的なことを言ってた。

兄は彼女を愛していらっしゃいますので。

私経由でそんなことをされるのが気に食わないんでしょう。

彼氏持ちなのに手紙が絶えないってすごいね!

篠田君はげっそりしつつも何回かお菓子を作ってくれるチャレンジャーだ。

話が面白くて、結構カッコイイから、新しい恋に頑張ればいいのになーって思う。


篠田君と別れて教室に入る。

同時に隣の教室からか細い絶叫が聞こえた気がした。

やだな、虫でも出たんだろうか。

「圭」

不機嫌そうな声に振り返ると、篠田君の首根っこをつかんだ唯斗がいた。

「な、なにやってんの。篠田く」

「お前は、また人から物を貰って!知らない人から物を貰うなって幼児でも知ってることだろうが!!」

すごい剣幕でなんでか怒られた。

「篠田君は知ってる人よ」

「知らない人カテゴリーで十分だ」



そのまま引きずって行ってしまった。

あっけにとられていた私の背後で朱里がため息をついた。

「なんで唯斗が怒るの?」

朱里は呆れたように手元の本に目をやってしまった。

「お兄ちゃんから頼まれたのね、きっと」

朱里が頭を抱えた。




唯斗が私を怒鳴ったことはあっという間に広がった。

唯斗の取り巻きのお姉さん方の視線がなんだか怖い。

冷気を浴びてるみたい。

当の唯斗は早々に機嫌が直ったみたいで普通なんだけどね、それが却って気に食わないのかな……


私、唯斗争奪戦に参加したつもりはございません。

負けるのがわかってるもの。

遠くから見てるだけで十分なんです!


次の日、また篠田君にカップケーキを貰った。

「心配かけちゃったから、高梨さんに」

千沙ちゃんじゃなくて、私にくれた。

なんだか、やっぱりげっそりしてたから、大丈夫?って聞いたら。

「むしろ頑張る気になったから、覚悟しててね」

って?笑顔で言ってた。



誰、争奪?

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