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願いの図書館

作者: マーク
掲載日:2026/04/05

『よくたどり着いたね。ここに人が来るのは数百年ぶりかな』


『さぁ、一つだけ願いを叶えてあげよう。君は何を望んでここまで来たのかな?』


『その前に、ひとつ聞かせてくれ』


『構わないよ。何かな?』


『なんで、ここにたどり着いた人の願いを叶える、なんてことしてるんだ』


『それはもちろん、面白いからだよ。数多の困難を乗り越えてここまで来る人間が、どんな願いを持っているのか、とても興味があってね。それに、実際に願いが叶ったと言いふらしてもらえれば、さらに人がやってくるだろう?報酬もないのに、頑張る理由なんてないからね』


『…そうか』


『うん。じゃあ、君の願いを聞こうか』


『…殺してくれ』


『……ほう』


『君の願いは、それでいいかい?』


『ああ』


『君はそのためにここまで来たんだね。いいよ、叶えてあげよう』


『…感謝する』


『一応、聞くね。これが私の目的でもあるからさ。どうして、その願いを選んだのかな』


『…俺は疲れたんだ。さっさと死にたかった。だけど、そんな勇気、俺にはなかった。だから、誰かに殺してもらおうと考えたんだ』


『なるほどね。でもさ、何でも叶うんだよ?わざわざ、今死んじゃう理由はあるのかな?』


『……』


『例えばそうだな。悪感情を消す、とか願えば、君のその願いも消えて、これからも楽しく過ごせると思わないかい?』


『…これからの俺は、これからの俺だ。今の俺は、今の俺だ』


『なるほど』


『…もういいか?早くしてくれ』


『まぁまぁ、そんなに焦るなよ。ちゃんと殺してあげるから。ほら、ここ座って』


『…早くしろ』


『もー。言うこと聞かないとお願い聞いてあげないよ?』


『…わかった』


『さて、君のことを教えてもらおう』


『……』


『ちなみにね。今までたどり着いた人の願いはその本に載っているよ。見てごらん』


『時を戻す、記憶を持ったまま生まれ変わる、一生困らない財産、大切な人を蘇らせる』


『まだまだあるよ。被った願いもいくつかあったね』


『…そうか。一つ質問なんだが、一生の世界平和とここに書いてある』


『うん』


『…本当に叶えてやったのか?』


『もちろん叶えてあげたよ。でも、この世界とはまた場所だからね。君のスケールで測れることじゃないのかもだね』


『…そうか』


『さて。私と手を合わせて』


『……なるほど、こんな人生を送ってきたんだね』


『…見たのか』


『うん。君のことも記録しなきゃだから。…これは、辛いね』


『……』


『おいで』


『……』


『そんな顔するなよ。もうすぐ願いが叶うんだぜ?』


『…そうだな、好きにしてくれ』


『何してもいい?』


『…あぁ』


『じゃ、願い変えるね』


『は?』


『いってらっしゃ~い』







『……は?』


気がつくと、俺は地面に転がっていた。


冷たい石の感触。


背中に硬い衝撃。


肺の奥から、空気が無理やり吐き出される。


『がっ……』


目を開ける。


見慣れない空。


灰色の雲。


そして遠くに見える、崩れかけた塔。


『……ここ、どこだ』


さっきまで、あの場所にいたはずだ。


あの、ふざけた存在の前に。


『……』


手を見る。


震えている。


でも、生きている。


鼓動がある。


息もできる。


『……殺してくれるんじゃなかったのかよ』


その瞬間。


カサッ。


横で音がした。


見ると、一冊の本が落ちていた。


あの本だ。


願いが書かれていた、本。


『……なんでこれが』


表紙を開く。


ページが、勝手にめくれる。


ぱら

ぱら

ぱら


そして、止まった。


そこには新しい文字があった。


黒いインクで、まだ乾いていない文字。


「疲れたから死にたい」


その下に、小さく書き足されている。


「却下」


『……は?』


さらに、その下。


新しい行。


「代わりの願い」


俺は、嫌な予感を感じながら続きを読んだ。


「本当の願いを見つけたら、またおいで」


『………』


しばらく、言葉が出なかった。


風が吹く。


『ざっけんなよ』


自分でも聞こえないくらいの小さな声だった。


『…帰るか』


…どこに?


そのときまた、本のページがめくられた。


「見守ってるよ。もう大丈夫」


『…何が大丈夫なんだよ』


俺は。


まだ、生きなきゃいけないらしい。








どこかもわからない場所で。


『理不尽に愛してくれる人を、見つけられるといいね』

息抜き~。

今さ、いつもより長めの小説書いてるんだけどさ。

難しすぎてやばば。


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