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第8話:崩れる
太郎は流れに身を任せてしまう。
真美の策略だとも知らずに。
それから。
二人は何度も会った。
最初は食事。
次はドライブ。
そして――
ホテル。
その夜。
太郎は一線を越えた。
終わったあと。
太郎は天井を見ていた。
「俺……最低ですね」
真美はベッドで笑う。
「どうして?」
「彼女いるのに」
真美は太郎の胸に指を置いた。
「でも」
「来たよね」
太郎は何も言えない。
真美は囁く。
「人ってね」
「好きな人が二人できることもあるんだよ」
太郎はそれを否定できなかった。
「でも俺は…」
「今は何も考えなくていいの」
真美は言う。
「流れに身を任せることも必要だよ」
太郎はまだその意味をわかっていなかった。




