第4話 真美の計画
真美は太郎を手に入れるために計画を始めます。
真美は昔から知っていた。
太郎という男がどういう人間なのかを。
高校のグラウンド。
白いユニフォーム。
泥だらけのスパイク。
誰より声を出し、誰より仲間を励ます。
野球部キャプテン――太郎。
試合に負けて泣いている後輩の肩を叩き、
「まだ終わってない」
そう言って立ち上がらせる。
その姿を、真美は遠くから何度も見ていた。
美容科の校舎から、グラウンドが見えたのだ。
(いい男だな)
そう思ったのが最初だった。
でも。
告白する勇気はなかった。
太郎の周りにはいつも人がいたから。
野球部の仲間。
クラスメイト。
後輩。
そして――
女の子も。
だから真美は、遠くから見ているだけだった。
卒業してからも。
専門学校へ行き、美容師になり、働き始めた。
恋人もいた。
何人か。
でも、長続きしなかった。
なぜなら。
真美の頭のどこかに、ずっと太郎がいたからだ。
そんなある日。
美容室の予約表に名前を見つけた。
「佐藤太郎」
(まさか)
半信半疑だった。
そして。
ドアが開いた。
「予約してた佐藤です」
そこにいたのは――
高校の時と変わらない太郎だった。
真美の心は、その瞬間決まった。
(あ、やっぱり)
(この人だ)
そしてもう一つ。
(彼女いるんだ)
それもすぐに分かった。
指輪。
スマホの待ち受け。
メッセージの雰囲気。
でも真美は思った。
(関係ない)
彼女がいる男を奪うことに、罪悪感はなかった。
なぜなら――
真美は最初から決めていたからだ。
(太郎を手に入れる)
そのためなら。
時間も使う。
手段も選ばない。




