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第1話 支配人と受付

浮気した罰として浮気相手と結婚することになりました。

太郎の人生は狂っていきます。

雨の匂いがする朝だった。


葬儀社「白峰セレモニー」の事務所に、美香はいつも通り早く出勤していた。

黒のスーツに身を包み、髪をきちんとまとめる。葬儀社の仕事は、身だしなみがすべてだ。


「おはようございます」


ドアを開けて入ってきたのは太郎だった。


「おはよう、太郎」


美香は自然に名前を呼んだ。

同い年で、しかも同じ職場。呼び捨てはもう何年も前から当たり前だった。


ただし今の太郎は――


支店長だ。


二十代後半にして支店を任されている。


元高校野球部キャプテンらしい、真っ直ぐで人を引っ張る性格が評価されたのだろう。


「今日、通夜二件だよな」


太郎はコーヒーを淹れながら言った。


「うん。午前中に打ち合わせ、午後に搬送」


「了解」


短い会話。

でも、美香にとってはそれだけで十分だった。


同い年。

同じ職場。

そして――


恋人。


誰にも隠しているわけではないが、職場ではあまり公にしていない。

葬儀社という仕事柄、余計な噂は立てたくなかったからだ。

太郎は仕事ができる。

部下の面倒見もいい。

ただ――


最近、少しだけ様子が変だった。

スマホを見る回数が増えた。

帰りが遅い日もある。


(仕事が忙しいだけだよね)


美香は自分に言い聞かせる。

葬儀社は忙しい。

人が亡くなるのは時間を選ばないからだ。

だから恋人でも、会えない日もある。

それでも美香は、太郎を信じていた。

この時までは。


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