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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
2章

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36/65

36:なんでそんなオチなんだよぉぉぉぉぉ!

「うわぁぁ。フェアリー・ワイバーンなんて初めて見ました」

「ふっふっふ。そりゃまぁ、超レア級ですからねぇ。この子の名前はチュンチュンいいます」


 ……チュンチュン。雀かな?

 フェアリー・ワイバーン。フェアリーと名がつくけど、妖精ではない。同じようにワイバーンとはつくが、ワイバーンでもドラゴン種でもない。

 見た目がワイバーンっぽく、そのサイズが極端に小さいからそう呼ばれるだけのモンスターだ。

 ただし人を襲うことはなく、好物は果物という穏やかな種だ。


「猫ぐらいの大きさなんですね」

「もっとスリムですけどね。この子ならゼナスから王都まで、二日で飛んでいきますんで」

「二日!? 早馬でも二週間はかかるのに……」


 とんでもない速さだ。確かにフェアリー・ワイバーンがいれば、手紙のやり取り程度なら密に出来るかも。


 フィッチャーが時間差で届くようにしていた食料その他が到着し、彼の切り札とも言えるファアリー・ワイバーンがやってきた。

 さっそく父上殿が手紙をしたため、それを持たせてフェアリー・ワイバーンを飛ばした。


「到着早々悪いなぁ。向こうについたらおとんから美味しい果物じょうさんもろてなぁ」

「ンアーッ」


 バサッと翼を羽ばたかせて空へと舞い上がると、まるで勢いをつけるような仕草をして――次の瞬間には物凄い速さで飛んで行った。


「すごっ」

「そうでっしゃろ? フェアリー・ワイバーンは小さい体ですから、他のモンスターに喰われんよう、飛行速度に特化して進化したんじゃないかって言われてますのや」

「なるほどねぇ」


 モンスターも生き物だ。生き物である限り、生き抜くための最適な進化をしてきたのだろう。

 フェアリー・ワイバーンをテラスから飛ばして部屋へ入ろうとしたとき、廊下の方からバタバタと足音が聞こえた。

 俺の大事な双子兄妹だ。


「兄上!」

「にぃちゃま、ドラゴンが来たって本当!?」


 目的はそれか。でも残念。たった今飛んで行ったところなんだよなぁ。


「坊ちゃん嬢ちゃん。ドラゴンやありまへん。フェアリ・ワイバーンですわ」

「ふぇありー」「わいばーん?」

「「ドラゴンじゃん」」


 と二人が声をハモらせる。この後、そのフェアリー・ワイバーンが既に飛んで行った後だと知ったら、二人は大騒ぎするだろうな。


「ってことであとはよろしく」

「え? ディ、ディルムット様!?」

「二人とも、フェアリー・ワイバーンの飼い主はフィッチャーだから、彼に聞くといいよ。僕はお仕事があるからね」

「「は~い」」


 うん。いい子だ。

 館を出て向かった先は村の北側。そこには小さなテントが一つと大きなテントが二つ立てられている。

 キャロたちキャット・ルーのテントだ。


 盗賊とサルージ族のアジトがわかるまで、キャット・ルー族の里へは戻れない――と言って、結局キャロたちは村に滞在することになった。

 およそ二十人だ。正直言って食料に余裕はない。

 元々ゼノスにいた約百十人に、男爵家から百三十人ほどが加わっている。

 自給自足が困難な土地で人口が二倍になったんだ。フィッチャーが他所から食料を仕入れてくれるけれど、それでも節約してなんとかギリギリといったところ。

 そこへ二十人追加が来たのだから、これまで以上に食料は節約しなきゃいけなくなった。


「あれ? キャロはいないんですか?」

「あ、領主の坊ちゃん。お嬢は今、狩りに出ております」

「狩り?」


 この辺りに森なんてないのに、どこへ狩りにいったんだろう。

 そう思っていると――。


「あ、帰ってきたようです」


 と、キャット・ルー族の女性が荒野を指さす。

 あ、なるほど。狩りって砂漠の方に行ったのか。砂漠で狩りってことは、やっぱり獲物はモンスターなのだろうか。

 あれ? うちの騎士も一緒だったのか。


「ってなんですかアレ!?」

「おぉっ。マッシュルーム・キャンサーだわ!」

「マ、マッシュルーム。あ、あれが例の蟹か」


 平台車二台を使って運ばれているのは、巨大な蟹だ。サソリの非じゃないほど大きい。


「ふにゃ~。疲れたにゃぁ。砂の上ならソリで引くだけでいいのに、やっぱり地面が硬いと重いものを運ぶのも大変にゃ~」

「お嬢はソリも荷車も引いてないでしょう」

「う。うるさいにゃ!」


 キャロはお目付け役頭のオルマンさんに、ポカポカと駄々っ子パンチをお見舞いする。

 こうして見ると、彼女もまだまだ子供だ。でも狩りに連れて行ってもらえると言うことは、一人前として認められている証。

 少し羨ましくもある。


「ディルムット様。いましたよ、マッシュルーム・キャンサー」


 少し嬉しそうにロバート卿がやってきた。もしかして仕留めたのか彼なだろうか。

 そのロバート卿が両手に抱えているのは、乳白色の何か。


「これがキノコです。なかなか美味いんですよ」

「え、キノコ!?」

「はい。以前も話した通り、傘の部分には毒がありますので、仕留めたらすぐに切り落とすのです」


 そうしないと毒が柄の方にもしみ込んでしまうためだそうだ。


「てっきり普通サイズのキノコがいっぱい生えているのかと思いました……」

「いえ。多くても五本ぐらいですね。なんせ大きいですから。こいつは三本生やしていたので、村の住民全員に分けられそうです」


 と、なんとも嬉しそうに語る。

 今日はキノコパーティーだ。


 戻ってきたキャロに、王都へ調査依頼書を出したことを伝えた。


「これで奴らのアジトの場所が掴めるにゃね」

「えぇ、おそらく」

「それまでもうしばらくお世話になるにゃ。うちら狩りは得意にゃから、モンスター肉のことなら任せるにゃよ。だからその」


 肉ばかりでは食事が偏ってしまう。


「えぇ、もちろん小麦や野菜は必要最小限ですが、お譲りしますよ」

「やったにゃ~! にゅふふ。今夜はとびっきり美味しい蟹料理をご馳走するにゃよ」


 キャロがそう言い、夕食はキャット・ルー族がご馳走してくれることになった。

 楽しみに夜を待ち、村の人たちも全員集められて盛大な蟹パーティーが開かれた。

 まぁ結局、三百人近い人数の料理をするるのは大変で、村の女性陣からうちの料理長まで手伝ったんだけども。


 でも、キャット・ルー族と村の人たちの関係が良くなった気がする。

 それはそれでいいことだ。


 肝心の美味しいという蟹料理は――。


「見た目は生春巻きみたいだけど……ライスペーパーじゃないだろうし」


 半透明の皮の中身は蟹と、あとなんだろう。蟹に生えていたって言うキノコも入ってそうだ。それから緑色の何か。

 食べてみると――。


「え? これ……エビじゃないですか!?」

「にゃはは。そうなのにゃ。蟹のくせにエビの味がするんだよにゃ~」


 砂漠ではサソリが蟹の味で、蟹がエビの味?


「じゃあ、砂漠のエビは何味なんだろう」


 そんな俺の言葉に、何故か周りの人たちの注目が集まった。

 え……な、なに?


「砂漠にエビなんているわけないにゃ」

「いてませんよ、エビなんて」

「ディルムット様。さすがにエビは……」


 な、なんだよ。なんでそんなオチなんだよぉぉぉぉぉ!


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