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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
2章

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34:もしかしてここは大昔――。

「いやぁ~、よかったですなぁ。ボロミオシが横領しとった金、全額開拓費に使えて」


 辺境領ゼナスでの生活が始まって二カ月。

 ボロミオシとおバカな仲間たちは、フィッチャーの護衛として同行していた騎士たちが王都へと護送してくれて問題は解決。

 そして昨日、王都から早馬で伝達書が届いた。

 そこに書かれていたのは、あのお金の使い道だ。開拓費として全額使ってどうぞって内容だった。

 

「まぁ王都まで運ぶにしては、ちょっと大金過ぎるしね」

「そりゃそうですわ。あんなん馬車で運んどったら、盗賊に盗んでください言ってるようなもんですし」

「実際、これまで王都からの役人も、たま~に襲ってたらしいからな奴ら」

 

 親方が言う奴らってのは、ボロミオシの仲間の盗賊だ。

 あいつらがいなくなっても、ここから王都までの道中には他の盗賊もいるだろうしね。

 だからそっちで使えってことなんだけど、当然、この村ではお金なんてあったって何にも買えない。

 結局、フィッチャーを通じて彼の実家からいろいろ買い付けることになった。


「当面の食料問題はそれでなんとかするとしても、水がなぁ。この先ずっと、外部から野菜を仕入れ続けるわけにもいかないし。自給自足が大前提だからね」

「そうですなぁ。水はさすがに運べませんし」

「荷馬車で運んでたら、ゼナスに到着する頃には樽が空になってるだろうし」


 お隣のリーガルまでは馬車でも三日の距離だ。道路事情なんてあってないような世界。特に人の往来が極端に少ない、この辺境方面だと馬車がかなり揺れる。水が入った樽なんて、ちょっと揺れるだけで駄々洩れになるはず。

 野菜にしたって、葉物野菜は日持ちしないから精々各世帯一日二日の量しか買えないだろう。根菜類がもう少し日持ちするけど、常に十分な量が欲しいとなれば頻繁に買い出しに行く必要がある。

 将来的なことも考えると、自給自足は絶対に必要だ。


「不毛な大地とは、よう言うたもんですなぁ」

「水さあれば……」

「村の井戸からも水を汲んで来て畑に撒いてありますのやろ?」

「うん。でもなんか発育が悪いんだよなぁ」


 まぁ十分な量を撒けていないっていうのもあるんだろうな。飲料としても必要だし。

 それにしたって野菜が小さい。旨味はあるんだけどなぁ。

 ん?


「なんだろう、この白っぽい粒々。よく見たら、いっぱい落ちてるな」

「肥料ちゃいますの?」


 肥料がこの村にあると思っているのか?

 気になって拾ってみるけど、なんせ小さすぎてそれだけをってのが難しい。

 ふむ……錬金魔法で抽出してみるか。


 畑に両手をつき魔法を発動――お?

 

「いやぁ、いつ見ても綺麗なもんですねぇ。魔法陣って」


 感心するフィッチャーを他所に、俺はある違和感を抱いた。

 

「あれ? なんだ魔法陣のサイズがアップしてる」

「おいおい。急にデカくなりやがったじゃねえか。ん? そういや坊、お前ぇ普段は片手だよな」

「え、まさか両手だからサイズアップしたの!?」


 そんなバカなっ。

 と思って片手でやってみると、やっぱりいつもの魔法陣サイズだ。

 えぇー、まさか片手か両手でサイズが異なるのか!? そりゃまぁ、体のバランスがとりにくい赤ん坊の時以来、ずっと片手だったけどさぁ。


「こりゃアレじゃねえか? お前ぇさんの魔法は対象物に魔力を流し込む系統だろ?」

「はい、そうですね」

「だからよ、片手で魔力を放出するより両手の方が、同じ時間でも流せる魔力の量が違うだろ。だからじゃねえのか?」


 そうか。両手を使った方が一秒間に流せる魔力量は二倍に増える。実際、魔法陣のサイズは二倍ぐらいだ。こんな簡単なことに、今まで気付かなかったなんて。

 この魔法陣の範囲なら、抽出後の白い粒々もそれなりの量になるだろう。


 土の中の特性成分の抽出っと――頭に浮かぶのは「砂」「粘土」「塩」。

 ん?


「え、塩!?」

「あ?」

「親方、この白いヤツ……塩かもしれません」

「はぁ?」

「ん? ん? どういうことです?」


 まだ俺の錬金魔法のことをよく知らないフィッチャーは、首を傾げるばかり。

 一応彼にも、俺の錬金魔法のことは教えてある。木材以外にも錬金出来ると。

 もし口外したり、俺を利用なんてしようと考えたら――その時には、成分分解するぞという脅しも添えて。


 錬金――抽出――魔法陣内で分離された土と塩。

 白いと思っていたけど、固まってみるとほんのりピンク色に見える。

 これ、岩塩っぽくないか?

 ゴルフボールサイズのそれを、意を決してペロリと舐めてみる。


「しょっぱっ」

「塩か? 本当に塩なのか!?」

「それが本当やったら……」

「はい。塩です。でもなんでこんな内陸に塩が」


 しかも畑にだ。

 親方もゴルフボールを舐めて「しょっぺぇ」と同じことをやっている。

 それにしても、なんで畑に塩なんて……あ。


「親方。ここの水って、ちょっとしょっぱくないですか?」

「んあ? あー、どうかな。前の男爵領ん時よか味がちげーなとは思ってはいるが。土地が変われば水も変わる。ここはそういう味なんだろうって思ってたが……あぁ、やっぱ少ししょっぺえな」


 俺もそう思っていた。土地が違うからだと。

 でも、入ってるんだ。ここの水には塩が。


「だけどこんな内陸に……」


 もしかしてここは大昔――。


「大変だ大変だ! 兄ちゃん大変だ~!」


 村の方から慌てて駆けてきたのはチクだ。何かあったのか?


「来たんだよ、あいつらが!」

「え……あいつら?」


 まさか……盗賊団の残党か!?


「砂漠の民が来たんだってば!」

「そっち!?」

 

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