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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
1章

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33/65

33::二度目の人生、ここからが本番リスタートだ。

――拝啓、ディルムット様。

 先日は私のためにハンカチをお貸しいただき、ありがとうございました。

 直接お会いしてお返ししたかったのですが、折悪くあのようなことになってしまって。


 ですが私は、ディルムット様が無実であることを知っています。

 ディルムット様のようなお優しい方が、侯爵夫人が大事にしているネックレスを盗むはずがありません。

 きっと何者かがディルムット様を陥れるためにやったに違いありません。

 真犯人はおじい様にお願いして、必ず見つけてもらいます。見つけて、とっちめてみせます。

 

 本当はおじい様にお願いして、罪に問わないようお願いしたのですが……ごめんなさい。私の力が及ばず、ディルムット様とそのご家族に大変な苦労を強いることになってしまいました。

 ディルムット様に罪はないのに。ごめんなさい。

 一日でも早く辺境からお戻りになれるよう、もう一度おじい様と陛下にもお願いしておきます。

 そしていつか、お借りしたハンカチを直接お渡しできるよう、それまで努力してまいります。

 どうかそれまでお体にお気をつけてお過ごしください。


                         エヴァンゼリン・フォン・ハルテリウス





「まだ幼いのに、しっかりした文章だなぁ」


 だけど文字はどことなくたどたどしくて、たぶん本人がちゃんと書いてくれたものだと思う。

 そっか。宰相閣下が動いてくださったのは、あのご令嬢のおかげだったのかもしれない。

 たった一度会っただけなのに、こんなに心配してくれるなんて。嬉しいなぁ。

 この子は良い子に違いない。なんせ躓いてこけたティファニーに手を差し伸べて、立たせてくれた子だからね。優しくて良い子だ。


「それにしても、ハンカチを直接渡すために努力しますって……なんのことだろう?」


 うーん……うーん……よくわからない。

 しかし国王陛下にまでお願いするとは……。あ、そうか。

 この国の公爵家は三つの家門があって、そのどれもが王家と血縁のある親戚だったっけ。

 王様にお願いしてくれるのは有難いけど、辺境暮らしもなかなか充実して楽しくはあるんだよな。


「よし、お返事を書こう。えっと――拝啓エヴァンゼリン嬢。俺――じゃなくって僕は現在、辺境のゼナスで毎日充実した日々を過ごしていますっと」


 エヴァンゼリン嬢が宰相閣下に口添えしてくれたからだと思う。

 男爵という爵位をはく奪されることもなく、辺境とはいえ、新しく領地を与えてもらえた。財産の没収もなかったし、名目として罪を与えたといっても温すぎるぐらいだ。

 まぁ納得しない家門もきっとあっただろうけどね。


 しばらくはここの開拓を進めながら、錬金魔法の熟練度アップに励もうと思う。

 大変だろうけど、やり甲斐はある。頑張れば頑張っただけ、ここでの暮らしがよくなっていくんだ。

 これほどまでに錬金魔法が活躍できる場は、早々ないだろう。


 というのをちょっとオブラートに包んで、お礼を込めて手紙を書き上げた。

 

「マーガレット。マーガレットいる?」

「はーい、坊ちゃま。どうかなさいましたか?」

「うん。この手紙をハルテリウス公爵家宛てに届けてくれるよう、騎士に頼んできてくれるかな? 僕はすぐに石材錬金にいかなきゃならないからさ」


 マーガレットは手紙を受け取り、その宛名を見てニマァっと笑う。


「令嬢宛てですね。ふふ、坊ちゃまもすみにおけませんねぇ」

「な、なんのことだよ。ほら、早く行ってっ」

「はい。行ってまいります」


 何がすみにおけないだよ。八歳児が女の子を誑し込むとでも思っているのか。

 ったくもう。もうっ。

 はぁ……さ、お仕事しようっと。


「あ、兄ちゃん! おっせーよ」

「ん? チク。どうしたんだい?」


 ドワーフ族の住居兼石切り場に行くと、チクが待ち構えていた。彼以外にも村の子供たちがいる。


「どうしたって、手伝いに来たんだよ。な?」


 子供たちが頷く。

 手伝いって、小さな子までいるじゃないか。これって子守りって言わないかな?


「はぁ、ガキばっか集まりやがって」


 親方、なんで俺まで見るんだ。

 あ、俺も八歳児だからガキなのか。


「石を運べばいいんだろ? オレらだって石ぐらい運べるさ」

「あぁー、えぇーっと……」


 壁を粉砕して出た岩は、その場でどんどん石材にするから運ぶのはその石材なんどな。何十キロもあるだろうし、俺でも持ち上げるのは無理なんだけど。


「ここはオレらの村なんだ。オレらだってここを良くしたいと思ってんだからさ」

「チク……」


 そんな風に思っていたなんて。これは子供だからといって、邪魔者扱いは出来ないな。

 

「まぁいいじゃねえか。その辺にゴロゴロしてる小石を拾い集めてくれりゃ、わしらの掃除の手間も省けるってもんだ」

「えぇ。じゃあみんな。君たちには通路に落ちている石を拾い集めて、僕の所に持って来てもらおうかな」

「「任せて!」」


 そうさ。ここで暮らしている人たちが良くしようって気持ちにならなきゃ、開拓は進まない。

 子供たちがやる気になっているんだ。ここは必ずいい町になる。

 そうしてみせる。


 二度目の人生、ここからが本番リスタートだ。

 さぁ、面白くなってきたぞ。


1章完結!

まだまだ続きますので、応援よろしくお願いしますorz

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