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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
1章

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32/63

32:この世界でも関西弁があったとは。

 盗賊団のお出迎え準備で止まっていた作業を再開。

 三日かけて既存住居の屋根を全て修繕し、それから騎士のご家族が暮らす家の建築を始めた。

 同時にドワーフ族の住居拡張も進める。


 元々岩を切り出すために掘られた穴がそのまま、ドワーフ族の住居だ。更に穴を枝分かれさせて、各家族用の部屋を掘っていくそうだ。

 岩を切り出すときは壊れないよう、慎重に掘り進めなきゃならないけど、俺の錬金魔法があれば粉々になっていても関係ない。

 魔法で再成形すれば、砂すら石になるからな。

 まぁその分、俺の魔力消費も多くはなるんだけど。

 具体的には、岩をカットするだけなのが魔力消費1だとすると、完成サイズが同じものを砂から成形すると消費は2になる。

 というわけで、一日に成形出来る数だと一軒分の煉瓦にもならない。

 他にもやらなきゃいけないこともあるし、こればかりに取り掛かる訳にもいかず。一軒分の石材を錬金するのにも、だいたい三日掛かった。


 そして三軒目の石材準備に取り掛かるぞ、というある日。


「ディルムット様。王都から使者が到着されました」

「え、もう!?」


 と騎士に呼ばれて館へ戻ることに。

 ボロミオシと兵士、それから盗賊団の処遇は国の判断に任せることにしてある。父上殿が報告書を既に王都に送ってはいるけど、さすがに十日がそこいらでゼナスまで来れるとは思えないんだけど。

 めちゃくちゃ馬を飛ばしたのかな?


 館の前には馬車が三台、それから数頭の馬がいた。

 あれじゃ飛ばせないか。


 一階の執務室へ向かうと、二十代半ばの男が父上殿と話をしている最中だった。


「申し訳ありません。あとで出直します」

「ややや。お待ちください、ディルムット様。どうぞどうぞ」


 どうぞ、そう言ったのは客人の方だ。

 いや、ここあんたの執務室じゃないし。


「入りなさい、ディルムット。覚えているだろう、彼を」

「え? ……あ、王室御用達の商人さんですか」


 旧男爵邸の家財道具を買い取ってもらった商人だ。糸目で眼鏡、そうそう、こんな感じだったっけ。

 確かフィッチャーという名前だっけか。


「失礼します」

「はいはい。いやぁ、なんかエラいことになってますなぁ。まだ着任して一カ月も経っとらへんのに」

「ははは。ってことは、奴らを引き取りに来てくれたお役人ではないってことですか?」

「えろぉすんまへん。自分は別件でこちらに来てますんや」


 やっぱりエセ関西弁にしか聞こえない。この世界でも関西弁があったとは。


「別件、ですか?」

「はい。まずはこちらをお渡ししときます。まぁあとでじっくり読んだってください」


 手紙……え、俺にだけ?

 差出人名義は……。


「エヴァンゼリン・フォン・ハルテリウス……宰相閣下と同じ家門の方かな?」

「おや? 覚えてないんですか? 先方さんはホーヘンベルク侯爵家の茶会で会うたゆうてましたけど」

「侯爵家の……あぁ。あのご令嬢か」


 こけたティファニーを起こしてくれた子だ。その後自分もこけて、俺がハンカチを出したんだっけ。


「宰相閣下のお身内?」

「えぇ、そうです。お孫様でいらっしゃいますよ」


 なんと。そんな繋がりがあったとは。世間は案外狭いもんだ。


「あとまぁ、必要ない言われましたがついでなんで報告しときます。買い取らせてもらった家具、結構評判良くて完売しまして」

「え、もうですか!」

「えぇ。どれも状態がよかったんで」


 それはよかった。実はちょっと傷のある家具なんかは、錬金魔法で再成形してみたんだ。そしたらいい具合に傷を消せて新品同様になったからさ、ちょっと期待はしていたんだ。

 ただガッツリいった傷モノは、再成形してもそっくりそのままにはならず、どこか変に欠けた部分とかあったりしたけどね。


「で、ご要望通り領民たちへ分配しておきました。こっそりとね」


 よかった。これであのクソ伯父上の管理下でも、二、三年は持つだろう。その間に領民らで考えてくれればいい。他所へ移住するか、このまま残るのか。

 本当はゼナスで受け入れたいんだけど、住居もなければ食料もカツカツだしなぁ。


「それよりもフィッチャー殿。君は手紙と今の報告をするために、わざわざゼナスまで来たのかい?」

「いえいえ、男爵様。そんなわけあらへん。自分の目的は他にあります」

「目的? いったいなんだい、その目的とは」


 フィッチャーが眼鏡を外し、はぁーっと息を吹きかけてから布で拭きとる。

 それをまたかけて、キラリとレンズを光らせた。

 いや、そんな風に見えた。


「単刀直入に言わせてもらいます。男爵様、このフィッチャーを男爵家御用達の商人として、お仕えさせてください!」

「だ、男爵家御用達? え、でも君は王室御用達の――」

「あ、それはうちの商会ですが、主はおとんです。それに自分、次男でして。いやぁ王室から男爵家の話が来た時、おとんと兄貴が風邪で寝込んでおりましてん」


 それで、次男のフィッチャーが代理として旧男爵邸に来たのだと話す。


「自分は商会を継ぐことはできまへん。ですから、独立せなあかんのですよ」

「自分でお店を持ったりとかはしないんですか?」


 俺がそう質問すると、彼は首を左右に振った。


「実は最近までそうつもりでした。せやけど、面白そうな物件を見つけましてねぇ」


 フィッチャーが俺を見る。

 おいおい、面白そうな物件って俺の事かよ。


「損はないと思いますよ。なんたって王室御用達商会の息子ですから。ぶっといパイプ持ってますねん」

「そりゃ確かに損はなさそうですね。むしろフィッチャー殿の方が、いろいろ損をしそうだけど」

「クククク。心配いりません。自分、人を見る目はあると自負してますのや」


 男爵家御用達と言ったって、ここでは事業をしているわけでもないしなぁ。

 どうするつもりなんだろうか?

 父上殿に視線を向けると、なんとも楽しそうな表情でこちらを見ている。

 

「そうだね。とりあえず、ゼナスには自由に滞在してくれて構わないよ。手狭だから客室は用意出来ないので、騎士たちと相部屋になってしまうけれど」

「あ、大丈夫です。そんな気はしてたんで、自分用のテントを持ってきてますんで」


 準備万端ってわけか。


「あと、荷車に積んだ荷物はお近づきの印です」


 え、あの三台の荷車!?

外に出て見せてもらうと、そこには小麦や日持ちする野菜、それから布、あと細々したものがたくさん積まれていた。

 こ、これは……完全に貢ぎ物!?

 

ブクマが・・・★いのです。ブクマが・・・

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