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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
1章

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27/63

27:うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

「そうか。村長という役職はないんだね。しかしよくそこまで町の住民から話を聞くことができたもんだよ」

「たぶん、子供だから話しやすかったのだと思いますよ」


 館に戻って来て、今日の出来事を父上殿に全部伝えた。

 深刻な水不足と、水源は山にあるということ。滑車を錬金したこと。それから空き家の件、各民家の屋根が限界に近い件も。


「屋根に関しては、竹が使えるかなと思っています」

「お前が命名したあの緑の木か。まぁ木なんだし、使えるんだろうけど……中が空洞だし、板に加工出来そうかい?」

「いえ、加工はせずそのまま使います。まぁ縦に割りはしますが」


 半分に割った竹を上下で交差させて、屋根材として使っている施設を見た気がするんだ。


「そうか。ならそっちはディルムットに……はぁ、わたしはダメな父親だ」

「え、どうしたんですか急に?」

「お前はまだ八歳だというのに、当たり前のように頼り切ってしまっている自分が情けなくてね」


 ち、父上殿……。

 俺は……俺は……。


「僕は父上に頼られて、嬉しいですっ」

「ディ、ディルムット」


 前世の俺は……頼ることも、頼られることもなかった。頼ったところで何も解決しないし、むしろ状況は悪化。

 親なんていらない必要ない。毒にしかならない存在ならなくなってしまえ。なくならないのなら、俺がなくなってしまえばいい。

 そう、考えていた。


 なのに俺は生まれ変わって、しかも前世の記憶を持ったままの転生。

 神を恨んだ。


 でも……今の俺にはわかる。

 世界には優しい親という存在があるということを。それが今、俺の目の前にいる人だ。

 

 前世で最後に見た、あの若い母親の顔が脳裏に浮かんだ。

 きっとあの女性も、優しい母親だったのだろう。

 車ごと川に落ちて自分は脱出できる状況だったのに、あの人は必至に我が子を助けようとしていた。

 だから俺は飛び込んだんだと思う。

 自分が得られなかった親の愛情を見て、あの子供と赤ん坊が羨ましく思ったんだ。

 だから助けないとって……思ったのかもしれない。


 家族愛。それを教えてくれたのがこの人と、母上だ。だから――。

 

「感謝しているんです……」

「感謝?」

「あっ……えっと、その……ぼ、僕は父上と母上の子に生まれて、感謝しているんです。ほ、ほら、もしク、伯父上の子に生まれていたらと思ったら」


 それはもう俺の異世界転生の最終目的は、神殺しになっていただろうな。うん。


「兄上か……それは確かに、感謝されて当然かもしれない」

「あはは。そうですよ。あの人の子供として生まれていたら、きっと今頃僕は、馬車馬のように働かされていたでしょうし」


 しかも、どんなに働いてもその金はあっという間に使い切られて、事業は赤字しか生み出さない。そんな最悪な未来しか見えないっていう。


「だから、ありがとうございます。僕を産んでくれて。あ、産んだのは母上ですね」

「はは、そうだな」


 その時、父上殿が俺を抱きしめた。


「あ、あの、父上?」

「うん。うん。ありがとう、ディルムット」

「え?」

「わたしたちの元に生まれてきてくれて、ありがとう」


 ち、父上殿……や、止めるのだ父上殿!

 そんな事言われたら俺は……俺は……。


「お前は最高の息子だ。本当に、本当に……お前のような息子を持てて、わたしは誇りに思うよ」

「ち、父上……うっ」


 うああああぁぁぁっ、耐えるんだ! 耐えろ俺、耐えるんだあぁぁぁぁぁぁ。


「ありがとう、ディルムット」

「ひひ、うえぇ」


 うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


「うぅ、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。ぢぢうえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


 その日、俺は久しぶりに漢泣きをした。






 翌日。


「おぅ、坊。昨日は随分とギャン泣きしてたじゃねえか。なんかあったのか?」

「え……」

「坊ちゃま。昨晩は何かあったのでしょうか?」

「え……」

「ディルムット様。何かお辛いことがおありでしたら、このロバートがお話を聞きますが」

「いや……」

「お坊ちゃま、もし何かありましたら――」

「ないよ! 何もない! ぼ、僕は泣いていませんっ。泣いてないんだってばあぁぁぁぁ」


 漢泣きしたことを、全員に知られていた。しかもなんか勘違いまでされてるし!


「し、仕事に行きますから! 親方も一緒に来てくださいっ」

「むわっはっはっは。わかったわかった」


 は、恥ずかしい。だから泣きたくなかったのに。

 この日、ドワーフ族のみなさんと竹切りに屋根の修繕とやったけれど、一日中弄られた。


「もう、ほんっとーに何もないんですっ。それよりこうですよ。縦に割った竹の内側を上にして並べて――」


 その上に、今度は内側を下にした竹を、蓋を被せるようにして並べる。

 こうすることで雨水も下段を流れていく――あ。

 でもそのためには傾斜を付けなきゃな。


「親方。屋根に傾斜を付けようと思うんですが」


 元々ある屋根は傾斜がなく、板を横に並べただけのものだ。

 ここに傾斜をつけるとなると、側面に隙間が出来る。

 その隙間には、これまで使っていた屋根材を利用させてもらおう。


 比較的痛みの少ない板を、親方がカンナで表面を削ってくれる。それを俺の錬金魔法でカットして――。


「坊。壁に使う石を錬金してくれ。んで、この板を差し込める溝を掘って欲しいんだがな」

「わかりました。素材は……」


 ドワーフ族が用意してくれている。


「竹が生えてるとこの近くに、穴があったんでさぁ」

「穴ですか?」

「たぶんここの住居を建てる際に、岩を切り出した場所でしょうな」


 その穴には掘削した石がごろごろしていて、それを運んできてくれたらしい。


「んでな坊。わしらドワーフ族は、そこを住居にしようと思ってんだ」

「え、穴ですよね?」

「あぁ。なぁに、わしらドワーフは、元々穴ん中で暮らしてんだ。人間の町に暮らしてるから、家なんてもんに住んでんだがな」


 あ、あぁ、そうなのか。他のドワーフたちも「穴の方が落ち着く」と言っている。

 まぁそういうことなら異論はないけど。

 いや、むしろ有難いかもしれない。建てなきゃいけない家の数が少なくて済むんだし。


「ほれ坊、手が止まってるぞ。なんだ、昨日の夜のことを思いだ――」

「思い出してないよ!」


 もうほんと止めてっ。

 俺のHPはもう残り1よ!


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