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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
1章

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13:クソ伯父上殿

 バンっと勢いよく部屋の扉を開けると「ひあぁっ」というクソ伯父上殿の情けない声がした。

 なんだ、そのひあぁって。何を慌てているんだ。何をしていたんだ。


「伯父上、僕の部屋で何をなさっていたのですか」

「な、何をしていただと? 貴様、伯父である俺に疑いの目を向けるのか!?」

「疑われるようなことをなさっていたのですか?」


 こいつ。俺の部屋で錬金魔法のことでも調べようとしていたのか?


「な、何を言っている!? そ、そんなわけなかろうっ」


 怪しい。


「んっんっ。それよりもだ、ディルムット。貴様っ」

「な、なんですかっ」

「貴様、勉学にはしっかり励んでいるのか!!」

「……は?」


 勉学、だと。お前の口からそんな言葉が出るとは思ってもみなかった。

 え、もしかしてなりすまし? 乗っ取られた?

 いやいや。前世の知識に引っ張られ過ぎ。


「も、もちろん勉強していますよ。当たり前じゃないですか」


 お前の息子と違ってな。


「そうか。うむ、それならよろしい。ところでディルムットよ」


 まだ何かあるのかよ。


「先日、ホーヘンベルク侯爵家の茶会で、侯爵家の家宝がなくなったそうだ。心当たりはあるか?」

「は? あるわけないでしょう」


 むしろ心当たりがあるのはそっちじゃないのか?

 と喉元まで出かかったが、そこはぐっと堪える。何が言いたい?

 いやまさか、本当にランドファスじゃない、のか?

 だとしたら犯人は別にいて、盗まれたという話ももう世間に出てしまっている?


「そうか。それならいい。それなら。だからディルムット」

「な、なんでしょう」

「おほんっ。何か悩みがあるのなら! この伯父に相談するのだぞ!」


 うわっ。ビ、ビックリした。なんで急に大きな声を。

 それからクソ伯父上殿は、鼻歌交じりに部屋を出る。


 この時、俺はもっと注意を払うべきだった。奴を信じず疑ってかかるべきだった。

 だからあんなことになってしまったんだ。






「王国騎士団所属、第十五師団オーギス・デランチェ部隊長である。とある通報を受け家宅捜査に参った。歯向かう者は全員逮捕だ!」


 夕食時、前触れもなく騎士たちが屋敷の前に現れた。

 王国騎士団を名乗っているが果たして――掲げた旗は本物だった。


 どかどかと屋敷に足を踏み入れた騎士たちは、わき目も降らずに俺の部屋へと上がって行った。

 そして――


「発見しました! 侯爵家から捜索依頼のあったネックレスです!」

「え? 捜索、依頼? ネックレス?」


 部屋から出てきた騎士の手には、エメラルドのネックレスが握られていた。

 お、俺の部屋? いったいどういう――あ。


「おぉ、ディルムット。何故あの時、本当のことを話してくれなかったのだ」

「ク――伯父上!?」


 なんで都合よく伯父上が現れてんだよ。もしかして騎士団と結託?

 いや、相手はまかりなりにも王国騎士団だぞ。そんなはず……。


「兄上、どういうことなのですか!?」

「ふん。弟よ、どうもこうもない。ディルムットが先日、ホーヘンベルク侯爵家から夫人が大事にしていたネックレスを盗んだのだ」

「な、何を仰っているのですかっ」

「証拠はここにあるであろう、男爵よ」


 部隊長はそう言ってエメラルドのネックレスを突き出す。

 見覚えのないネックレス。母上のものではない。


「だからあの時、俺が言っただろう。侯爵家からネックレスを盗んでいないか? 今正直に話せば、俺がなんとかしてやるから安心しろと。だがお前は嘘をつき通した! シュパンベルク家の名に泥を塗ったのだ!」

「なっ」


 言ってる内容が微妙に違うだろ!


「兄上、なんてことを!」

「シュパンベルク男爵家の汚名は、我が伯爵家にも影響を及ぼす。故にだ、この俺が自ら……くっ……かわいい、甥が罪を……罪を償う機会を与えてやったのだぁっはははははは」


 おい、笑ってるぞ。周りの騎士もちょっとドン引きしているじゃないか。

 バカなのこいつ?


「部隊長殿、伯父上の話を鵜呑みにしないでください。伯父上は先日――「黙れ!」え?」

「男爵家一党を全て捕らえよ!」


 な、なんて横暴なっ。こっちの話も聞けっての。

 部隊長の部下もどうしたもんかと首を傾げているじゃないか。


「聞いてくださいっ。僕は嵌められたんで――ぐっ」

「歯向かったな! 王国騎士団に歯向かうと言うことは、国に歯向かうと言う事。つまり、国王陛下に歯向かうと言う事なのだぞ!」

「無茶苦茶な」


 組み敷かれては手出しも出来ない。そもそも八歳の子供を力ずくで倒すなんて、なんて騎士だ!

 あぁ腹立つ。なんかクソ伯父上と人相が被って見えるぞ。


 あの日、あの時、クソ伯父上はネックレスを俺の部屋のどこかに隠したのだろう。

 たぶんランドファスが侯爵家からネックレスを盗んだのを知って、その罪を俺に着せるために。

 まともな親なら、ちゃんと叱って謝罪させるべきだろう。

 ロクな親じゃない。


 息子を可愛がりはしているものの、ある意味では前世の俺の毒親と同じだ。

 人間性という面ではな。


「心配するな、弟よ。この男爵領は俺が引き継いでやるさ。いや、最初から全て俺のものだったんだ。それが正しく元に戻っただけのこと」

「あ、兄上……あなったって人は、どこまで汚いんだっ」

「あぁ? 汚いだと? 父から全てを受け継ぐはずだったものを、お前が奪ったのだろう!」


 クソ野郎が父上殿を足蹴にする。


「キャーッ。や、やめてくださいっ」

「とう様を虐めないでっ」


 母上とティファニーが飛び出し、クソ野郎は舌打ちをしながらそれ以上は何もせずに身を引いた。

 

 息子のしでかしたことを利用して、男爵領を奪う魂胆だったんだな。

 ここまで卑怯なことをする奴だったとは……わずかでも同じ血が流れていることすら腹立たしい。


 許さない。絶対に許さないからな。

 

「連れて行け!」

「だ、旦那様っ」

「男爵っ」


 ロバート卿が飛び出そうとするのを、父上殿は首を振って止めさせた。

 それがいい。今は事を荒立てるときじゃない。


 俺はもちろんのこと、両親と弟妹の五人全員が、騎士たちに囲まれて連行された。

 

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