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追放された俺、【神農具】で最強農家に! ~聖女も令嬢も俺の野菜に夢中。今さら実家(雑草)に泣きつかれても遅いんだが?~  作者: うはっきゅう


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第9話:『決戦! 神農具、最終形態(コンバイン)』

「農業ナメんなァァァァァ!!!」


 俺、アルト・バルフォアの絶叫が、テルマ村の空に響き渡った。

 S級の厄災、炎竜ファイヤードラゴン

 その巨体が、俺が丹精込めて育てた【ゴールデン・ロケット・コーン】畑を無残に踏みにじり、あまつさえ美味そうにムシャムシャと食っている。

 許さねえ。

 絶対に、だ。


「アルト様!  お逃げください!」

「アルト殿!  無謀だ!  相手はドラゴンぞ!」


 聖女セレナも、公爵の騎士たちも悲鳴を上げる。

 リリアに至っては、「アルトさーん!」と泣き叫びながら、こちらへ走ってこようとして、リック村長に羽交い締めにされていた。


「(グルルル……?)」


 ドラゴンが、鬱陶しそうに俺を見た。

 たかが人間アリ一匹が、自分に向かってくるのが理解できない、という顔だ。

 そして、その巨大なあぎとが開き、喉の奥が灼熱の赤色に輝き始めた。

 ――ブレスだ!


「フンッ!」


 俺は、突進の勢いのまま、地面に転がっていた【鋼鉄カボチャ】を蹴り上げた!


「(デカすぎて防具になんねえよ!  盾だ!)」


 【神聖農業】スキルで強化された俺の脚力が、数百キロはありそうなカボチャを宙に飛ばす!

 カボチャが俺の目の前に来た瞬間、ドラゴンから極太の炎の柱が放たれた!

 ゴオオオオオオオオッ!!

 灼熱のブレスが、【鋼鉄カボチャ】に直撃する!

 一瞬。

 オリハルコン並みの硬度を誇るカボチャが、真っ赤に灼け、そして――耐えきれずに爆散した!


「ぐっ!  あつッ!?」


 爆散したカボチャの破片と、ブレスの余波が俺を襲う。

 俺は、咄嗟にガイア(クワ)で身を守りながら後方へ跳んだ。


「チッ……!  さすがにカボチャ一個じゃ、ブレスは防ぎきれねえか!」


 服の袖が少し焦げている。


「(グオオオオ!)」


 ドラゴンが、俺を完全に「敵」と認識した。

 再びブレスの予備動作に入る!


《主よ!  あのままではジリ貧だ!》


 ガイアが、俺の脳内に叫ぶ!


《あれ(ドラゴン)は、星の厄災!  通常の作物ウェポンでは、皮膚うろこ一枚貫けぬぞ!》

「わかってるよ!  トマト(爆裂)じゃ、ゴブリンが関の山だ!」


 俺は、畑の隅に転がっている【爆裂トマト】を数個掴み、渾身の力で投げつける!


 ドゴン!  ドゴン!  ドゴン!


 トマトがドラゴンの顔面や巨体に次々着弾し、爆発する!

 だが!


「(グルル……?)」


 ドラゴンは、少し鬱陶しそうに頭を振っただけ。

 あのゴブリンを木っ端微塵にしたトマト爆弾が、まるで豆鉄砲だ。鱗に、焦げ跡一つつかない。


「クソッ!  硬え!」

「アルト様!  もうやめて!」


 セレナの悲痛な声が飛ぶ。

 だが、俺は諦めない。

 俺は農家だ。

 農家は、害獣がどれだけ強大でも、知恵と道具で駆除する。


「……そうか。知恵と、道具、か」


 俺の視線が、畑に突き刺さったままの【ゴールデン・ロケット・コーン】と、今まさに踏み潰されようとしている【鋼鉄カボチャ】、そして【爆裂トマト】に向けられた。


(一個一個がダメなら……全部、合わせりゃいいんじゃねえか?)


 俺の脳内に、天啓が閃いた。


「ガイア!」

《応!》

「お前の真の力、見せてみろ!  農業っつったら、収穫だ!  収穫っつったら、『アレ』だろうが!」

《フハハハハ!  待っていたぞ、その言葉を!  我が主よ!》


 ガイアが、俺の意志に応えて、凄まじい光を放ち始めた!


「いけェ!  【神農具・変形】!!」


 俺が握るガイアが、機械音を立てながら、その姿を変えていく!

 クワの刃が分離し、柄が収縮し、金属部分が再構築されていく!


 それは、もはや農具ではなかった。

 それは、巨大な「砲身」だった。


 そう、これこそが農業の最終兵器!

 【神農具・最終形態コンバイン・キャノン】!!


「な、なんだ、あのクワは!?」

「変形したぞ!?」


 騎士たちが叫ぶ。


「(グオオオオオ!!)」


 ドラゴンも、ガイアから放たれる尋常ならざる魔力に気づき、最大級のブレスを溜め込み始めた!


「(撃ち合い上等だ、トカゲ野郎!)」


 俺は、変形したガイア(砲身)をドラゴンに向ける!

 そして、畑からありったけの作物をブチ込む!


「まず、【鋼鉄カボチャ】をくり抜いて『砲弾ケース』に!」

(超スピードでカボチャをくり抜く俺!)

「中に、【爆裂トマト】を『炸薬』として限界まで詰め込む!」

(真っ赤なトマトを詰め込む俺!)

「そして!  推進力エネルギーはこれだ!  【ゴールデン・ロケット・コーン】!!」

(黄金のトウモモロコシを、カボチャ砲弾の後部に連結!)

「装填、完了!」


 俺は、即席で作った「規格外の砲弾」を、ガイア(コンバイン・キャノン)の砲身に叩き込んだ!


《主よ!  エネルギー充填、120%!  いつでも撃てるぞ!》

「おうよ!」


 ドラゴンが、ブレスを放つ!

 世界を焼き尽くさんとする、極大の炎の奔流が俺に迫る!

 俺も、叫ぶ!


「食らえ!  農業の……!  収穫すべてを!!」

「【豊作キャノン(ハーヴェスト・バスター)】ッッ!!」


 ズドオオオオオオオオオオオオオオン!!!


 ガイアの砲口から放たれたのは、もはや「砲弾」ではなかった。

 黄金のトウモロコシのエネルギーが、爆裂トマトの力で圧縮・解放され、鋼鉄カボチャの破片を巻き込みながら、極太の「黄金色の破壊光線」となって放たれたのだ!

 黄金の光線が、ドラゴンの灼熱ブレスと真正面から激突する!


 ジュオオオオオオオ!!


 空間が歪むほどのエネルギーの衝突!

 数秒間、二つの力は拮抗した。


「負けるかァァァァ!!」


 俺は、全身の生命力をガイアに注ぎ込む!


《主よ!  もっとだ!  もっと寄越せ! 》

「うおおおおおおお!!!」


 俺の生命力(雑草パワー)を得て、黄金の光線が、さらに輝きを増す!

 そして――

 ドラゴンのブレスを、押し返した!


「(グオオオオオ!?)」


 ドラゴンが、信じられないという顔で目を見開く。

 だが、もう遅い。

 黄金の【豊作キャノン】が、ドラゴンの巨体を、完全に飲み込んだ。


 閃光。

 轟音。

 そして、静寂。


 光が収まった時、そこに立っていたのは、ガイア(クワの姿に戻りかけている)を肩に担ぎ、荒い息をつく俺の姿だけ。

 あれほど巨大だったドラゴンは、跡形もなく消滅していた。

 空には、焦げたトウモロコシの、香ばしい匂いが立ち込めていた。


「…………」


 俺は、踏み荒らされた畑を見下ろし、ポツリと呟いた。


「……ああ。今年のトウモロコシ、収穫、ゼロかよ……」


 最強農家の戦いは、S級ドラゴンをワンパンで仕留め、こうして幕を閉じた。

※なお、ドラゴンの素材レアアイテムも、光線で全て消し飛んだため、収穫はゼロだった

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