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追放された俺、【神農具】で最強農家に! ~聖女も令嬢も俺の野菜に夢中。今さら実家(雑草)に泣きつかれても遅いんだが?~  作者: うはっきゅう


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第8話:『ドラゴン襲来! 守れ、俺のトウモロコシ畑!』

「「「うおおおおお!  豊作だァァァ!!」」」


 テルマ村は、今日も平和だった。

 王都やバルフォア領が地獄と化している(らしい)ことなど、俺の知ったこっちゃない。


 俺は今、新たな作物の収穫に、全霊を傾けていた。

 その名も、【ゴールデン・ロケット・コーン】!(和名:黄金爆速トウモロコシ)


 天に向かって真っ直ぐに、ロケットのように伸びる、黄金色のトウモロコシだ。

 その特徴は、一粒一粒に凝縮された、爆発的なエネルギー。

 食べれば、丸一日走り回っても疲れないほどの活力が得られる。


 そして、ガイア曰く。


《フム。下手に衝撃を与えれば、【爆裂トマト】の比ではないエネルギーが解放されるぞ。扱いには気をつけろ、主よ》


(また爆発物かよ!)


「よし!  みんな、収穫急げ!  今日はトウモロコシ祭だ!」


 俺の号令で、村人たちが一斉に黄金の畑になだれ込む。

 リリアも、アナスタシア公爵から派遣されてきた騎士たちも、なぜか視察(という名のサボり)に来ていた聖女セレナも、みんなで収穫を手伝っている。

 カオスだが、幸せな光景だ。


「アルトさん!  こっち、すごい大きいのが採れました!」

「アルト様!  この輝き、神々しいです……!」

「アルト殿!  このコーン、もはや武器では!?」


 そんな、和気あいあいとした空気が、一瞬で凍りついた。



 ズウウウウウウウウン……


 地響き。

 いや、違う。

 空が、揺れた?


「……ん?」


 俺は、太陽を背にした、巨大な「影」に気づいた。

 影は、凄まじい速度でテルマ村に近づいてくる。

 それは、村全体を覆い尽くすほどの、圧倒的な巨体だった。


「「「ギャーーーーース!!!」」」


 聖女セレナが、淑女にあるまじき悲鳴を上げた。


「(ひらがな)りゅ、りゅう!  ドラゴンですぅぅぅ!!」

 「ドラゴンだと!?」


 リック村長も、公爵の騎士たちも、顔面蒼白になる。

 空にいたのは、間違いなく、伝説の厄災。

 深紅の鱗に、山のような巨体。


炎竜ファイヤードラゴン』だ!


 A級、いや、S級冒険者パーティでも討伐が困難とされる、最強の魔物。


「な、なぜドラゴンがこんな場所に……!?」


 アナスタシアの騎士が震える。


《主よ!》


 ガイアが、俺の脳内に警告を飛ばす!


《あの竜、狙いは一つ!  この畑だ!  お前が育てた作物の、異常なまでの生命力マナに引き寄せられたのだ!》


「なんだと!?」


 その言葉通り、ドラゴンは、他の家には目もくれず、俺の畑――特に、収穫直前の【ゴールデン・ロケット・コーン】畑めがけて、降下を開始した!


 ドッゴオオオオオオオオオン!!


 凄まじい地響きと共に、ドラゴンが畑に着陸した。

 その巨体で、俺が丹精込めて育てたトウモロコシ畑が、広範囲にわたって踏みにじられる!


「「「あ」」」


 村人たちの動きが、止まった。

 ドラゴンは、巨大な口を開けると、踏み潰したトウモロコシを、ムシャムシャと美味そうに食べ始めた。


「グルルルル……(うまい)」


 その瞬間。

 俺の中で、何かが、ブチ切れた。


「…………」


 俺は、静かに、手に持っていたトウモロコシを、カゴに置いた。

 そして、肩に担いでいた相棒ガイアを、両手で強く、握りしめた。


「アルトさん……?  どうかしましたか……?」


 リリアが、俺の異変に気づいて、恐る恐る声をかける。

 俺の顔は、自分でもわかる。

 今、人生で一番、キレている。


「アルト様!  お逃げください!  あのドラゴンは、我々が命を賭して食い止めま……!」


 聖女セレナが叫ぶ。

 俺は、その言葉を遮って、静かに、だが腹の底からの怒りを込めて、呟いた。


「……テメェ……」


 俺は、ドラゴンに向かって一歩、踏み出した。


「俺が……どれだけの手間暇かけて、あのトウモロコシを育てたと思ってやがる……」


 肥料の配合。

 水やりのタイミング。

 土の温度管理。

 害獣ゴブリン駆除。

 全てを完璧にこなし、ようやく実った、黄金の奇跡。


「それを……」


 俺の全身から、青白いオーラ(生命力)が立ち上り始める。


「それを、土足で踏み荒らしやがったなァァァァ!!!!」


 俺は、叫んだ。

 もはや、恐怖など微塵もなかった。

 あるのはただ一つ。

 神聖なる畑を荒らされた、「農家」としての、純粋な怒り!


「(グルァ?)」


 ドラゴンが、鬱陶しそうに俺を見る。

 そして、この小さな虫けらを排除しようと、深紅の喉の奥に、灼熱のブレスを溜め込み始めた。


「アルトさん!  だめー!」

「アルト殿!  無謀だ!」


 ヒロインたちの悲鳴が響く。

 だが、俺は止まらない。

 ニューヒーロー(最強農家)、ブチギレ。


「農業ナメんなァァァァァ!!!」


 俺は、ガイアを構え、S級の厄災ドラゴンに向かって、真正面から突っ込んでいった!

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