表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された俺、【神農具】で最強農家に! ~聖女も令嬢も俺の野菜に夢中。今さら実家(雑草)に泣きつかれても遅いんだが?~  作者: うはっきゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/10

第7話:『豊穣の村と、飢える王都』

 アナスタシア公爵(ヒロイン③)は、結局、俺の「種まきが終わるまで待て」という(農家として当然の)主張と、「アルトさんは村の宝です!」というリリア(ヒロイン①)の必死の抵抗に遭い、【魅惑のバラ】を数本だけ持って、ひとまず城に帰っていった。(※なお、去り際の彼女の目は、完全に「獲物」を見る目だった。怖すぎる)


 さて、そんなこんなで俺の周辺は騒がしいが、テルマ村はかつてないほどの『豊穣』を謳歌していた。

 俺の畑から産出される作物は、もはや奇跡の領域だ。


・【黄金小麦】で作ったパンは、一つ食べれば三日飢えを知らず。

・【鋼鉄カボチャ】は、最強の防具兼保存食として。

・【超回復ハーブ】は、万能薬として。

・【爆裂トマト】は、対魔物用の最終兵器として。


 テルマ村は、人口も急増し、寂れた辺境の村から、王国で最も安全で、最も豊かな「食料庫」へと変貌していた。

 村人たちの顔には笑顔が溢れ、子供たちの笑い声が響く。

 これこそが、俺がやりたかった「農業」だ。



 一方、その頃。

 俺が救った(※ハーブで)はずの、王都。

 そして、俺を追放した実家、バルフォア子爵領は――

 対照的に、地獄の様相を呈していた。


「水だ……水をくれ……」

「食い物がない……パンのかけらでもいい……」


 王都に、再び絶望の影が差していた。

 セレナが持ち帰った【超回復ハーブ】によって、疫病そのものは確かに収まった。

 だが、根本的な問題が解決していなかったのだ。

 そう、『不作』である。


「なぜだ!  なぜ作物が育たん!」


 バルフォア子爵――俺の父、ロードリックは、自領の枯れ果てた畑を見て絶叫していた。


「疫病は治ったはずだ!  なのに、土地が死んだままだ!」


 当たり前だ。

 俺という「雑草(最強の生命力源)」がいた頃は、俺の存在そのものが、無意識にバルフォア領の土地を活性化させていた。

 さらに、俺が趣味で育てていた【魔力調整ハーブ】が、領地内のマナのバランスを(俺も知らずに)取っていたのだ。



俺が追放された。

 ↓

【魔力調整ハーブ】が枯れた。

 ↓

土地のマナバランスが崩壊。

 ↓

① 土地が痩せ細り、疫病(瘴気)が発生(←セレナがハーブで解決)

② あらゆる作物が育たなくなる(←今ココ!)

③ 領地の結界が弱まり、魔物が爆増(←今ココ!)



「父上!  このままでは領民が餓死します!」

「騎士団(長兄)も魔術師団(次兄)も、魔物への対処で手一杯です!」


 長兄と次兄が、焦燥しきった顔で父に詰め寄る。

 もはや、俺を追放した時の余裕など、彼らのどこにも残っていない。

 騎士も魔術師も、食い物がなければ戦えないのだ。


「ええい、黙れ!  役立たずどもが!」


 父は、八つ当たりするように叫ぶ。


「こうなったら……アシュフォード侯爵家に泣きつくしか……!」

「それが……ロードリック様……」


 そこへ、一人の使者が、血相を変えて飛び込んできた。


「アシュフォード侯爵家が……!  我がバルフォアへの支援を、全面停止すると通達してきました!」

「な、なんだとォ!?」

「また、再調整していたイザベラ様との婚約も白紙に戻すと!」

「馬鹿な!  アシュフォード家は、我が領地に多額の投資をしていたはずだ!  今、支援を止めれば、彼らも共倒れになるぞ!」


 父が激昂する。


「それが……アシュフォード侯爵家は、新たな支援先を見つけたようで……」


 使者は、恐る恐る口を開いた。


「なんでも、辺境のテルマ村とかいう場所が、疫病を治すハーブだけでなく、鋼鉄のカボチャや黄金の小麦を、無限に産出しているとか……」

「テルマ村……?」


 父は、その名前に聞き覚えがない。

 だが、その場にいた、もう一人の人物が、その名前に反応した。


「……テルマ村ですって……?」


 青ざめた顔で震えていたのは、俺の元婚約者、イザベラだった。

 彼女は、アシュフォード侯爵家から「バルフォア家を見限る」と通告され、実家からも見放され、今や俺の実家に居候するしかない、惨めな立場に落ちぶれていた。

 イザベラは、震える手で、王都で出回っている「奇跡の作物リスト」を見た。

 そこに書かれた、作物の供給元の名前。


『テルマ村・農場代表 アルト』


「あ……あ……」


 イザベラの目から、光が消えた。


「アルト……?  あの雑草の……アルトだと……?」


 父、ロードリックも、その名前を見て絶句した。

 自分たちが「無能」「雑草」と罵り、追放した三男。

 あの、役立たずだったはずの、アルト。


「まさか……あの【農業スキル】が……?  馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!!」


 父が、膝から崩れ落ちる。


「アルト様……」


 イザベラは、ガタガタと震えながら呟いた。


「私……私、間違って……?」


 王都とバルフォア領が、飢えと絶望の淵に沈んでいく。

 それは全て、彼らが自ら蒔いた種。

 最強の「雑草」を刈り取った、当然の報い(ざまぁ)だった。

 彼らが、土下座しに俺の前に現れるまで、あと――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ