表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界逃亡者の無双建国・NEXT STAGE ~神無き世界で始める新たなる創世譚~』  作者: ねこあし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/62

第四十七話 未来への礎〈フューチャー・ファウンデーション〉

 虚王〈カオス・ドミニオン〉を討ち、中央都市〈レグナス〉が解放されてから数週間。

 崩壊していた街並みには人々が戻り、瓦礫の山は少しずつ片付けられ、広場では子どもたちの笑い声が響くようになった。


 だが、再建の道は始まったばかりだった。


◆ ◆ ◆


「ここを仮設の市場にするのがいいと思います!」

 マリルが地図を広げ、元気よく提案する。


「市場か。確かに物流が回れば、住民も安心する」

 カイエンが腕を組んで頷いた。


「でも、治安が整わなければ混乱を招くだけだ」

 ミストが冷静に指摘する。

「守備兵の配置を優先するべきだわ」


「だったら……両方同時に進めればいいんじゃない?」

 リーナが苦笑しつつ提案すると、蓮が口を挟んだ。


「そうだな。俺たちの国づくりは“一つずつ”じゃ間に合わない。同時に進める仕組みを作ろう」


 蓮の言葉に、仲間たちの視線が集まる。

 その表情は疲労を抱えつつも、未来を見据えた希望に満ちていた。


◆ ◆ ◆


 蓮は無限アイテムボックスを開き、大量の資材や古代文明の建築器具を取り出す。


「お兄ちゃん、またすごいもの出したね!」

 ネフェリスが目を輝かせる。


「こっちの器具は自動で石材を切り出して運んでくれる。そして、この魔導炉は町全体のエネルギー供給に使える」


 その一つひとつが、かつて冒険の旅で集めた遺物だった。

 仲間たちと共に積み上げた成果が、いま国の礎となって活きていく。


◆ ◆ ◆


 ある日、蓮は市民の前に立ち、新しい国の理念を語った。


「俺たちが築く国――〈ノヴァリア〉は、誰か一人のための国じゃない。全ての種族が共に暮らし、互いを尊重し合う国だ」


 群衆の中から歓声が上がる。

 人間、亜人、獣人、かつて敵対していた者たちも、今は同じ未来を見ていた。


「自由を守り、希望を紡ぐ。そのために俺たちはここに立っている。どうか、この国を共に築いてくれ!」


 その言葉に、人々は大きな拍手を送った。

 蓮の胸には、熱いものが込み上げていた。


◆ ◆ ◆


 夜。

 蓮は街の外れで星空を見上げていた。


「……一歩ずつだけど、進んでいるな」


「ええ。あなたが導いているから」

 背後から声がして、イリスが歩み寄る。


 蓮は少し照れくさそうに笑った。

「いや、俺だけじゃない。みんながいたからだ」


「でも、あなたがいなければ、ここまで来られなかった」

 イリスがそっと蓮の手を取る。


「これからも、一緒に歩んでいきましょう」


 その温かな言葉に、蓮は強く頷いた。


◆ ◆ ◆


 翌日。

 浮遊大陸から新たな報せが届く。


「……何? 再び因果の揺らぎが観測された?」

 ミストが報告を読み上げ、眉をひそめる。


「虚は滅んだはずじゃ……」

 リーナが不安げに呟く。


「違う。これは虚の残滓じゃない。――新しい世界の“調整者”が動き始めた証かもしれない」

 イリスが冷静に推測した。


 蓮は仲間たちに視線を送る。

「国づくりと同時に、新たな脅威とも向き合う必要があるってことか」


「でも、それでも前に進むんでしょ?」

 リーナが微笑み、仲間たちも力強く頷いた。


◆ ◆ ◆


  こうして、再生した都レグナスを中心に、ノヴァリアは未来への歩みを始めた。

 国の礎は築かれた。

 

 だがその道はまだ始まりに過ぎず、次なる試練が彼らを待っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ