表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界逃亡者の無双建国・NEXT STAGE ~神無き世界で始める新たなる創世譚~』  作者: ねこあし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/65

第四十六話 再生の暁〈リジェネシス・ドーン〉

 虚王〈カオス・ドミニオン〉を討ち果たした直後の中央都市〈レグナス〉。

 黒き瘴気が晴れ、長らく覆われていた空に初めて陽光が差し込んだ。

 その光景は、まるで世界そのものが息を吹き返したかのようだった。


◆ ◆ ◆


「……光が、戻った」

 リーナが震える声で呟いた。


 都の住民たち――虚の支配から解放された者たちが、次々と瓦礫の影から現れる。

 虚の呪縛を受け、意識を奪われていた彼らは、光に照らされて正気を取り戻したのだ。


「……これで、みんな……救われたんだ」

 ルアの瞳に涙が滲む。


 イリスが仲間たちに振り返る。

「戦いは終わったわ。でも、世界の傷が癒えるにはまだ時間が必要」


 蓮は頷き、剣を鞘に収めた。

「俺たちの役目は、“倒すこと”じゃない。“創り直すこと”だ」


◆ ◆ ◆


 その後、蓮たちは虚王討伐の報告を浮遊大陸へと伝えた。

 大陸各地で歓喜が広がり、各国から使節団がレグナスへと集まってくる。


「この都を、新しい世界の中心に据えるべきだ」

 ミストが提案する。

「虚の門が閉じた今、ここは因果の結節点。未来を築くには最適の地になる」


「でも、まだ崩壊した建物ばかりよ?」

 リーナが首を傾げる。


「だからこそ、再生の象徴になる」

 イリスが穏やかに答える。


 蓮は仲間たちを見渡し、決意を込めて言った。

「俺たちの国――ノヴァリアは、ここから本当に始まるんだ」


◆ ◆ ◆


 再建は困難を極めた。

 瓦礫の撤去、住民の保護、食糧の確保。

 だが、蓮には“無限アイテムボックス”がある。


 物資を取り出し、古代遺跡で集めた技術を活用することで、人々の生活は少しずつ回復していった。


「お兄ちゃんのアイテムボックス、ほんとに底なしだね」

 ネフェリスが楽しげに笑う。


「整理が追いつかないけどな」

 蓮は苦笑するが、その姿に人々は安心を覚えた。

 誰もが彼を“再生の王”と呼び始める。


◆ ◆ ◆


 ある夜。

 蓮はレグナスの高台に立ち、星空を見上げていた。


 隣に立つイリスが、静かに口を開く。

「……終わったわね。長かった戦いが」


「ああ。でも、終わりじゃない。ここからが始まりだ」


 しばしの沈黙。

 やがてイリスが、蓮の腕にそっと寄り添った。


「あなたがいてくれてよかった。蓮……」


 蓮は驚いたが、すぐに笑みを浮かべた。

「俺も……お前がいたから、ここまで来られた」


 二人は静かに星を見上げながら、その温もりを確かめ合った。

 ――それは、戦火を越えた者だけに許される、ささやかな幸福の一瞬だった。


◆ ◆ ◆


 翌朝。

 空には新しい日の光が昇っていた。


「この暁を……“再生の暁”と呼ぼう」

 蓮が宣言する。


「いい名前だね!」

 ルアが嬉しそうに頷いた。


 こうして、虚との長い戦いは幕を閉じ、世界は新たな再生の道を歩み始めた。

 だが――その先には、まだ誰も知らない未来が広がっている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ