第百一話 創造決闘〈クリエイターズ・デュエル〉
光と闇が衝突した瞬間、階梯の世界は完全に二分された。
白と黒――未来と過去――創造と否定。
二つの理念の力が空間そのものを引き裂き、それぞれの領域を形成する。
蓮の前に立つ影の蓮は、冷ややかな瞳のまま腕を広げた。
『創造とは“秩序”。揺らぎのない完全な形こそが、真の世界だ』
「違う。世界に揺らぎがあるから、俺たちは前に進んでいけるんだ!」
蓮が叫ぶと同時に、仲間たちも構えを取る。
◆ ◆ ◆
■ 黒の世界、展開
影の蓮が床に触れた瞬間、黒い大地が波のように拡がる。
そこから無数の刃が生まれ、蓮たちへ一直線に飛来した。
「くっ……速い!」
リーナが剣で受け止めるが、その刃は物理でも魔法でもない“理念の斬撃”。
「蓮の“恐怖”を形にした攻撃よ!」
ミストが解析を叫ぶ。
「心が揺らげば、一撃で心を折られる!」
「だったら揺らがなきゃいい!」
シャムが笑って斬撃を弾く。
「俺たちはもう“蓮の弱かった頃の世界”に負けない!」
しかし――
影の蓮の力は、ただの戦闘力ではなかった。
◆ ◆ ◆
■ 黒蓮の創造術
影の蓮が無音で手を振り下ろすと、空間がひずむ。
黒い球体――“虚子核”が空中に生まれた。
「……あれ、やばいよ!」
ネフェリスが直感で叫ぶ。
「存在値を“削除”する攻撃だわ……!」
イリスが詠唱を急ぐ。
黒蓮の声が響く。
『不確定要素を排除する。それが創造主の第一義務だ』
虚子核が仲間へ向かい打ち出される。
蓮は反射的に叫んだ。
「みんな、散開しろ!!」
◆ ◆ ◆
■ 仲間の力が“世界創造の材料”になる
ミストが空間式を展開し、虚子核の軌道を曲げる。
「蓮! あなたの創造術は“仲間の意思”と共鳴するの!私たちの力を“材料”にして!」
「え……? 俺の、創造の材料……?」
イリスが蓮の手を取り、強く頷く。
「創造とは、あなた一人の行為じゃない。仲間の願い、未来への意志――その全てが創造主の力になる!」
その瞬間、蓮の胸が熱くなる。
心臓の鼓動が、白い光を全身に放つ。
「仲間の意志を、俺の創造力に……!」
蓮は胸へ手を当て、深く息を吸った。
すると背後から仲間たちの声が重なる。
「蓮の世界を見たい!」――リーナ
「お前の未来を支えるために立ってる!」――シャム
「蓮くんなら、どんな未来でも創れるよ!」――ネフェリス
「僕は……あなたの選んだ道を記録したい!」――ノア
「世界の矛盾すら変換する、それがあなたの強さよ!」――ミスト
「あなたなら、創造主に――なれる!」――イリス
光が蓮の体に流れ込み、視界が白く染まる。
光が収まったとき、蓮の背後に六つの光輪が浮かんでいた。
「これが……仲間との“世界創造リンク”……!」
蓮が拳を握ると、光輪が回転し、創造力が空間を包み込む。
◆ ◆ ◆
■ 黒蓮との初の正面衝突
黒蓮が冷たく告げる。
『ならば、証明してみせろ。“依存の群れ”では、秩序の創造主に敵わぬと』
黒蓮が虚子核を連続生成し、蓮へ放つ。
「蓮!」
リーナが斬り払い、シャムが突きを合わせる。
そこに蓮の創造力が流れ込む。
「――創造術・第一式!」
蓮が手を掲げると、白い壁が虚空に生まれた。
「“未来結界”!」
虚子核が壁に衝突し、黒い煙だけを残して消滅する。
影の蓮は初めて、ほんのわずかだが目を細めた。
『仲間の力を依存ではなく、構成要素として扱うか……予測外だ』
「お前はもう、“旧い俺”じゃない。俺は――みんなと一緒に未来を創る!」
蓮が一歩踏み出した瞬間、光輪が強く輝く。
黒蓮が構え、低く呟いた。
『ならば、創造主同士――理念を武器に戦え』
二人の創造力が激突し、階梯全体が揺らぐ。
光と闇の中で、蓮は確信していた。
(俺は負けない。仲間の未来を奪う世界なんか、絶対に認めない)
二つの理念が、初めて真正面からぶつかった。
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