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愛猫 6
すべての猫好きのみなさまへ
~猫の落とし物~
ある日わたしは
部屋で落とし物を拾った。
落とし主はすぐにわかったので
わたしは本にゃんにすぐに届けた。
「もしもし、愛猫さんや
落とし物ですよ」
だが愛猫は耳をぴくりとさせただけで
こちらをちらりとも見やしない。
「愛猫さん、落ちてましたけど
お困りでないかい?」
わたしの手には一本の白いヒゲが握られていた。
~ある日の窓辺~
猫は窓辺が好き。
その好奇心からか
または陽射しを求めてか
窓が開いていれば
風の匂いを辿ってか
いつのまにかやってきてくつろいでいる。
じっと外を観察している時もある。
じっと。 ずっと。
戸の網が
愛猫の顔と同じ形に
たわむくらいに。