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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第2章 貴族院編

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082話 離宮の幽霊[前半]

 今日は宮殿でルキウスとして過ごしている。スマラが弟ソラリスと会いたいと言うので一緒に転移して来た。ルキウスは何をするかとスマラに聞かれたので、俺の執務室で大量の料理をすると教えたら、2人は一緒に遊ばないで俺を手伝ってくれるようだ。

 アルグラで作った料理を2人がミネルヴァとアダマス・メイドの指示に従って、食器に盛り付けをしてくれている。俺達はウルスメル商会の工場でも使っている割烹着(かっぽうぎ)を着てマスクしながら作業する事にした。2人には俺用の替えの割烹着を着てもらっている。俺も含めてお互いに子供なので可愛いらしいので笑いあった。

 前菜や副菜が終わったので、休憩して摘まみ食いタイムを設けた。どうやらスマラの目的は摘まみ食いだったようだ。


「この玉子が美味しいよ、ルキウス。トロッとしていて、お腹壊さないか心配だけど。何て言うの?」

「それはね、出汁醤油漬けの茹で玉子で半熟にしてある。神聖魔法で浄化してあるからトロッと生でも安心だね」

「うわぁ……神聖魔法とか豪華!」


 スマラが気に入ったようなので俺の分の残りを差し出すと、あっという間に食べてしまった。

 ソラリスは違う品目が好きなようだ。


「兄上。このネットリしたのが、ちょっと辛いけれど美味しいです。何て言うのですか?」

「それは明太子ポテトサラダね。辛いのが気になるなら明太子が入っていない、こっちの生クリーム入りの食べてみて」


 ソラリスに普通のポテトサラダを収納から出して渡した。明太子入りは父達大人の酒のおつまみ用だからね。


「……こっちのが好き!」

「ソラリス狡い!」


 スマラがソラリスの持っている器にスプーンを突っ込んで、ポテトサラダを掠め取って食べた。


「スマラが取った!」

「喧嘩しているなら休憩で摘まみ食いさせないぞ」

「「は~い!」」


 次は空の容器に調味料を2人に詰めて貰ったりして、その横で在庫がなくなった調味料や出汁を補充するために作り置きする。砂糖各種、塩、酢、醤油、味噌、味醂(みりん)、料理酒、ソース各種、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード、白黒胡椒、唐辛子各種の調味料は必須だよね。鰹節、煮干し、昆布をベースに出汁を用意し、コンソメや中華出汁のペーストも作り置きした。例の魔法の調味料も物質生成魔法で作り出す。

 そして主菜を作り置きした。人気のカレーや揚げ物、炒め物や煮物から焼売(しゅうまい)等の蒸し料理まで調理できるアルグラは凄いと思う。この頃は慣れたのか3種類くらいの食材を突っ込んで、同時に加工や調理を熟してくれている。


「んぐぁぐぐ……ペッ、ペッ!」

「お前は優秀で万能な調理器具だよ!」

「ルキウス坊ちゃん。褒めてくれるのは嬉しいでやすが、わいは錬金窯でやす」

「錬金窯としては突っ込める物が限られているのが玉に瑕だな」

「それは……堪忍やす……」


 次は主食のご飯やパン、汁物の味噌汁やスープを作り置きして置く。炊飯とか蒸らしや発酵の待ち時間も、時間加速があるので一瞬で終わるのが良い。

 最後にジュースやお茶やお酒、お菓子を大量に作り置きで終わりだ。果汁飲料や炭酸飲料、緑茶や紅茶、ワインや日本酒まで幅広く飲み物は用意した。お菓子はクッキーやカステラやチョコなんかは大人気なので特に多めに用意して置く。飴や米菓、プリンやゼリー等は小腹が空いた時に便利なので作って置く。

 スマラとソラリスがお菓子作りを見てソワソワし出したので、おやつタイムにした。


「ルキウス。僕はチョコ棒が良い!」

「兄上。僕はかすたーみる何とかが欲しいです」

「カスタード・ミルフィーユか。はい、2人共にお疲れ様」


 2人にそれぞれお菓子とジュースを振る舞った。俺はその間に高位薬品やナノ・ゴーレム薬とかの薬品の作り置きと、消耗品のシールド・キャンセラー弾や超硬合金アダマンタイト弾、日用雑貨や化粧品等を作成した。

 時間が余ったので前に作成して断念していた、とある薬品を試しに作って見る。

 ……出来てしまった! ついでに大量に作成した!


ガチャ!


 執務室の扉が開いて父と剣聖が入って来た。


「父上。やっぱりこの部屋からじゃないですか?」

「今日は子供達で遊ぶと言っておったじゃろう? 違うのではないか」


 続けて母とマレ婆も入って来る。


「子供達を邪魔するのは……あっ! 何か食べているね」

「本当ですね」


 折角のおやつタイムを邪魔されたので、俺は保護者達を睨んだ。


「もう、いきなり入って来て何なの!」

「宮殿中が良い匂いで包まれて浮足立っています」

「えっ?!」


 父に突然の入室理由を伝えられて驚いた。今もしている運動魔法を併用して換気扇のように室外に排出しても、隠居伯の所では匂いで獣人達が機能不全になるので宮殿で作り置き作業をしていた感じだ。宮殿ならば人族だらけなので平気かと思ったが、そうでもなかったようだ。


「う~ん、ギルドの部屋を借りてもマギウスジェム領での二の舞だろうし、どこかに錬金部屋でも作るかな……」


 カレーライスの作成時に全ギルドから香害(こうがい)問題で、食べさせてくれと殺到された事件は昔の苦い思い出だ。

 俺は迷惑をかけたお詫びに保護者達に出来立ての薬品を1瓶ずつ渡す。


「絶対にルキウス様ですって」

「方々探しましたが、やはりこちらではないでしょうか?」

「まあ聞いてみるのも良かろう」


 丁度良いタイミングでオケアヌスとウェルテクスと皇帝陛下が入室して来たので、出来立ての薬品を1瓶ずつ渡す。

 父が代表して尋ねてくれた。


「何ですか、これは?」

「何か良く分からないけれど迷惑をかけたみたいだから、エリクサー上げる」

「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」


 玄武に存在している話だけは聞いていたが、玄武も作れない高度な薬品だ。現存するのは玄武の錬金術の亡き師匠が作った物だけだそうで、今まではレシピは知っていたがアルグラのしゃもじが引っかかって作れなかった薬品になる。

 ダンジョンで取れる獣人向けの高位薬品を大量に生産し続けて慣れて来たので、今日、試しに作って見たら完成したのでお披露目だ。レシピは世界樹の葉と高位薬品の全部を錬金窯に入れて錬成する。効果は部位欠損まで治療可能で、あらゆる毒や病気や、穢れに呪いや魔素症まで幅広く1本で治療できてしまう優れものだ。


「それは作成条件を探すのに苦労したよ。高位薬品を大量に生産し続けて錬金術の腕を磨いて、ハイポーション、万能薬、万病薬、高位聖水を材料として、最後に世界樹の葉を用意しないと行けないからね……。玄武の師匠がエリクサーを作っている時に光っていたってヒントがなかったら出来なかった。まさかスーパー・ルキウス君の状態で錬金しないとならないなんて思いもよらなかったよ」


 これらの事を皆に説明すると呆れられた。父に尋ねられる。


「こ、こんな凄い物を貰って良いのですか?」

「俺が対応できない状況だったら躊躇なく使って。材料は一杯あるから、また作れば良いから」

「陛下。この際なので聞いてしまいますが、エリクサーって宝物庫に1本だけあるって噂は本当ですか?」


 ウェルテクスが皇帝陛下に尋ねた。


「大昔にダンジョンから出た品が献上されて宝物庫に1本だけ仕舞われておる。その者は領地付きで爵位を与えられ貴族となったのじゃ」

「ルキウス様。もしかしてその床に転がっている瓶は全部エリクサーですか?」

「うん」


 作るのが面倒なので大量に作り置きした。後で玄武に言って獣人達のダンジョン品に超低確率で混ぜてもらおうと思う。一攫千金で夢があるよね!


「それで皆は何しに来たの? 今日は子供だけで遊ぶって言って追い払ったのに」

「私達は宮殿に漂う良い匂いの正体を探しに、ここに辿り着きました」

「それは食事とかの作り置きをしていたからね」


 俺が父に答えてから、オケアヌスが皇帝陛下と一緒に来た理由を説明する。


「私達は強大な魔力反応が宮殿内に発生したので調査に来ました」

「それは俺がスーパー・ルキウス君で錬成していたからだね。お詫びにエリクサーで勘弁して」

「「「「「「「お詫びが重すぎる!!」」」」」」」


 皆に突っ込まれたけれど、もしもの時の備えなので強引に持たせる事に成功した。また何か揉めていると蚊帳の外でお菓子を食べながら見ていた、スマラとソラリスに混じってお茶にする事にした。新作含めてお菓子を収納から出して、大人達に選んでもらう。皆で好みが分かれるのが面白い所だ。

 俺は溜息を付いた。


「料理とかお菓子の作り置きが香害で作る場所がないね……。もう出せないかも」

「「「「「「「「「そんな!!」」」」」」」」」


 子供も大人も困った悲鳴を上げた。俺も困ったのでどうしようか。

 父が代替案を示してくれた。


「来週にモフモフ街にあるウルスメル商会の工場が立ち上がりますよね? 一角を貸してもらえば良いのでは?」

「ああ、そうさせて貰おうかな。大丈夫かな?」

「地主で出資者からの要請とか断わりようがないと思います。商品のアイデア提供所か、商品その物も卸していますよね? 商会の名前をソータ商会とかルキウス商会と変えても良いくらいです」

「そんな名前にしたら恥ずかしいんだけれど……。貴族院の卒業制作の名前も外して欲しいくらいだし!」

「方々の貴族からソータ様の確保で動きがあります。ご注意を」


 ウェルテクスから注意された。最悪の想定を俺は話した。


「そうなったら最悪は転移魔法でベトスの都に引きこもるから、どう頑張っても確保なんて無理だと思うよ」

「私は入れますね」

「私も入れるわ」

「儂も入れるぞ」

「私も入れるようにして貰いました」

「余も入りたいのじゃが……」


 父と母、剣聖と婆はベトスの祝福を受けて、ベトスの民化しているので入れる。皇帝陛下をベトスの祝福する訳には行かないので、四神に聞いた入都用の認識票を収納から出して見せた。これを持っているとベトスの民でなくとも、ベトスの都へ入るマギウス・ポータルを使用可能になる。前に作った第2商業区にレビタス車両が入れるようにする物と似た用途の品だ。


「その品物の存在が、あの人に知られたら大変だよ」

「余は聞かなかったことにする。煩いのが居るでな」

「え? 教授達より煩いのが居るの?」

「「……」」


 母と皇帝陛下が思わせぶりな事を言って黙ってしまった。事情を知る他の大人達も黙ってしまったので、関わらなければ平和かなと思った。

 珍しくソラリスから話題を振られる。


「そう言えば女官から聞いたのですが、離宮に幽霊(レイス)がでるようです」

「幽霊なんているの?」

「魔物として居ますよ。剣で切れないですし厄介ですね」


 父が説明してくれたが、レイスと聞いて母と剣聖の顔色が悪くなった。


「母さんと爺の顔色が悪くなったけれど、何で?」

「アーラ様は幼い頃に寝ている所を、レイスに撫でられて生理的に駄目なようです」

「あの感触は好きになれないよ……」


 婆が説明してくれたので母の事情は分かったけれど、剣聖は無言で膝の上に居る俺を後ろから抱きしめて来た。


「爺、怖いの?」

「わ、儂の剣で切れなかったのじゃ……切った時の感触も好かん」


 そう言えば剣聖は海でもイカとタコは攻撃してなかったね。2人共にグニャついた感触が嫌いなのかな。ちょっとその感触が気になったのでレイスを触ってみたいと思った。

 皇帝陛下が愚痴を零す。


「その離宮のレイスのせいで取り壊しが滞っておるのじゃ」

「前に言っていた取り壊したい離宮にレイスが居たの?」

「その通りじゃ」

「レイスの退治は普通どうやっているの?」

「騎士団の魔法部隊を派遣するんじゃが、取り壊すとは言え室内で魔法は二次被害が怖いからのう」

「ちょっと四神に聞いてみるか」


 ファンタジーなゲームとかだったら死者の魔物(アンデット)は神聖魔法とか聖水で退治できそうだけれど、こちらの事情が分からないので四神に聞いてみる事にした。


『四神の誰か?』

『僕の報酬はさっき作っていたお菓子』

『俺は調味料だな』

『私は身体と髪を洗う奴が良いわね』

『我は新しい酒を所望する』

『はいはい。後で宝箱に突っ込んどくから、アンデッドの倒し方を教えてよ』


 四神が久しぶりに出て来た。白虎が希望を聞いて来る。


『倒し方の希望はあるのか?』

『う~ん。毎回、俺が出張るのも面倒なので、他の人でも室内で倒せると良い感じ。神聖魔法でターン・アンデッドして消滅させるとか、聖水を被せると消えるとかないの?』

『室内は難しいね。神聖魔法にアンデッドを倒す魔法はないよ。聖水は人を治療する薬品だから被せてもすり抜けるよ』


 光属性が得意な朱雀が答えてくれるが、残念な答えだった。


「う~ん。それなら、こんな武器で倒せるかな?」


 俺は収納から魔剣を次々と出して披露する。剣聖の膝から降りて、まずはフレイム・セイバーで剣舞する。刀身から炎が揺らめいて恰好が良い。ちなみに刀身が当たると対象が燃えるようになっている。

 騎士組と四神が目を見張らせた。父が物凄く欲しそうにしている。


「何ですか、その恰好が良い剣は!」

「これは炎が出るフレイム・セイバーで、次は雷が出るライトニング・セイバーと、凍るフリーズ・セイバーね」


 ライトニング・セイバーは刀身から紫電が走って恰好が良い。刀身が当たると対象に電撃が走るようになっている。

 フリーズ・セイバーは刀身から雪が舞い落ちるので恰好が良い。刀身が当たると対象は凍るようになっている。


「最後は光で貫くライト・セイバーね」


 何れも魔石駆動で、前の3本は物理的な刀身がある。ライト・セイバーは有名なSF映画のアレそのままで刀身がなく、持ち手の部分しか物理的にはない。刀身がないが運動魔法で光の刃は反発するようになっているので、打ち合いも可能だ。音も再現したのでジ○ダイの騎士ごっこも出来る!


「こういう魔剣はこっちにはないの?」

「「「「「「ないので下さい!!」」」」」」

「試作品だから上げられないよ。それに貴金属四兄弟の店が開店したら作って売るつもりなんだから。今日は貸すだけね。俺はライト・セイバー使うから残りは3本ね」


 俺がそう言うと騎士組はジャンケンのような手技で使う人を決め出した。

 四神としては玄武と白虎の男性陣が欲しいようだ。


『これで倒せそう?』

『それならば倒せると思うぞ。ソータ。後で魔法陣を教えてくれ』

『我も欲しいぞ』

『白虎は玄武に作って貰いなよ。魔法陣の資料は分身ミネルヴァを向かわせるから聞いてね』

『了解しました。マスター』

『わ~い! お菓子!』

『魔法陣は楽しみだ!』

『身体と髪を洗うのが楽しみね!』

『残念だが玄武の作成を待つか……』


 俺は宝箱に四神の要求したものを収納から突っ込んだ。

 まだ手技をやっている者に行けない人が混じっている事を指摘した。


「ちょっと待って。ウェル叔父さんは陛下の護衛でしょ? あとオケアヌスも将軍職はどうしたの?」

「「陛下……」」


 2人共に皇帝陛下にお強請りし出した。


「ウェルテクスは護衛で残ってもらわねば困る。オケアヌスは報告書を提出するのならば、勅命としてレイス退治を頼む」

「そんな……」

「やったっ!」


 結局、魔剣を持つのは属性の相性を考えて父がフレイム・セイバー、婆がライトニング・セイバー、オケアヌスがフリーズ・セイバーになった。母が父に目を吊り上げて迫った。


「ホリゾン……」

「姫様……」


 母は魔剣が使いたいようで父を目で追い詰めていた。父が助け舟を求めるように俺を見たので、仕方がなく作り置きして置いた世界樹金の杖を収納から出して母に差し出した。


「まあっ!」

「母さんは魔法の資格も持っているよね。杖の魔石は全属性で染めてあるので、使い勝手は良いはずだよ。それは母さんに上げるから喧嘩しないでね」

「ルキウス良い子! これでレイスを追い払うくらいは出来るよ」


 母が収まったと思ったら、今度はスマラとソラリスがゴネ出した。


「ルキウスだけ狡い!」

「兄上だけ行くの狡い!」

「子供達は連れて行けないよね?」

「それを言ったらルキウスも子供じゃないの」


 母に冷静に言われると、その通りなので連れて行くことにした。


「……仕方ないか」

「「やったっ!」」

「ミネルヴァは結界をよろしく。2人はミネルヴァの近くを離れないようにね」

「はい、マスター」

「「は~い!」」

次回の話は翌日の19時になります。

蒼汰君みたいに、お金が要らないって言ってみたいですね!


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