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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第2章 貴族院編

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079話 将軍とデート?

 俺の買い物が終わったので帝都の湖の湖畔で休憩していたが、オケアヌスが少し寝て起きた所で俺が貧民街に行ってみたいと爆弾発言をした。貧民街は治安が悪い無法地帯なので、オケアヌスに反対された。


「あそこはソータ様のような方が行く所じゃないぞ!」

「マギウスジェム領都では時々通っていたけれどね」

「良く姫様達が許していたな……」

「母さんも行っていたし」

「無茶苦茶をやっていたんだな!」

「将軍が着いて来てくれたら安全でしょ?」

「そこで私を頼るのは狡くないですか!」

「まあ、もうおっさんを通り過ぎてお爺ちゃんだからね」

「ソータ様は誰がどう見ても、おっさんにも年寄りにも見えません!」

「それで付き合ってくれるの?」

「……分かりました。付き合います」

「よろしく!」


 俺はオケアヌスの頭を撫でて上げた。オケアヌスは仕方がないと肩を竦めてから立ち上がった。敷物やお茶を収納にしまってから、レビタス・バイクを出して貧民街に向かう。途中の市場の端で道化が興行しているのが見えたので、止まってからレビタス・バイクをしまって見物した。


「ちょっとあれを見て行っても良いよね」

「はい。珍しいですか?」

「いや、貴族院の制服姿が混じっているから」

「あ、本当だ」


 人族の女の子リベラが、貴族院の制服の紺色のブレザーとスカートを(ひるがえ)しながら、道化達に混ざって踊っていた。何故に貴族院の生徒が踊っているのか気になったので、踊りの最後まで見てしまった。

 道化の1人がお辞儀をしながら手に帽子を持って、見物人からチップを募っていたので収納から小銀貨を出して入れた。それを見たリベラが道化の後ろで呟いた。


「貧乏でケチね」


 身体強化をしていると呟きでも聞こえるので、俺の後ろに居たオケアヌスが怒りを露わにする。


「おいっ! そこの女! この方はそこら辺の大貴族より大金持ちだぞ!」

「あら、小銀貨しかくれないなんて、貧乏じゃないの」

「う~ん、周りの人は銅貨が多かったから銀貨にしたんだけれどね」

「そんな事を言って、持ってないのに嘘はいけないわよ」


 俺は一度やって見たかったコインを使ったマジックのように、収納から大小金貨と大小白金貨を右手の指の間に出した。弟ソラリスにお金の勉強をさせた時に使った硬貨だ。それを見たリベラや見物人は歓声を上げた。


「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」

「大白金貨なんて始めて見た!」

「ここに取り出した硬貨を宙に浮かべるね」


 俺の運動魔法で4枚の硬貨が浮かび上がった。


「3分間の間に硬貨を掴めた道化達に進呈しよう!」


 そう俺が言った瞬間、道化達は宙を舞う硬貨を取ろうとジャンプをしたり動き回り始めた。リベラも追従して硬貨を取ろうと必死になり始めた。


「本当にくれるんでしょうね!」

「もちろん。取れればだけれどね!」


 漂っていた硬貨に手が届きそうになると瞬間移動したように別の位置に出現したりするので、道化達がぶつかったりして見物人から笑いが上がった。オケアヌスが呆れたようにボヤいた。


「私も参加しようと思ったが、転移魔法も使っているとか卑怯じゃないか」

「誰も浮かべただけなんて言ってないし。簡単に取れたら面白くないでしょ?」

「まあそうだけど……。出し物としては面白いな」

喜劇(きげき)ってのは真剣な人が失敗するギャップの差が面白いんだよ」


 3分間立ったので、俺は手元に硬貨を転移させて回収した。リベラが怒りながら突っかかって来た。


「ちょっと! あんなの取れないじゃないの!」

「まあ残念賞を上げるよ。手を出して」


 俺はリベラの手の平に小金貨を乗せて渡した。リベラは信じられない物を見るように目を見開いた。


「お礼くらい言えないの?」

「あ、ありがとう」

「それから、そこの残念がっている道化の人。もう1度、帽子を出して見物人を回ってみなよ」

「あ、はい」


 見物人にお辞儀をしながら手に帽子を持って道化が回ると、今度はチップを弾む者が多く銀貨が明らかに増えたようだ。ちゃっかりと俺の所にも帽子を差し出したので、リベラに渡したのと同じ小金貨を入れて上げると道化の人は満面の笑みを浮かべてお辞儀してくれた。

 俺はリベラに聞いてみた。


「それでチップ分くらいは話を聞いても良いかな?」

「ナンパ?」

「ブフッ!」


 突然に変な事をリベラが言い出すので吹き出してしまった。結構可愛らしい女の子だが、ナンパに間違えられたのは解せなかった。


「既婚者のおっさんは、女の子をナンパしたりしないよ」

「既婚者とかおっさんとか嘘はいけないわね。貴族院の制服を着ているし、どう見ても私とそうは違わないと思うけれど」

「俺はソータね。それで話は聞いて良いの?」


 リベラは首を傾げた。


「ソータ……どこかで聞いた事があるような……。あっ! おっさんの首席入学生! 私はリベラよ。まあ料金分くらいはお話しても良いわよ」

「何で貴族院の生徒が道化に混じって踊っていたの?」

「そりぁ、踊ったりするのが好きだからよ。物語を彼らと演じるのも時々にやっているわ」

「へぇ。どういうやつ?」

「最近は剣聖の息子がドラゴンを倒して、お姫様に求婚する話が女性と子供に人気よ」

「「ブフッ!」」


 俺とオケアヌスは吹き出してしまった。父母の事が本当に演じられていていたようだ。リベラは俺達が吹き出したのが、何故か分からずに首を傾げた。先程の硬貨の追いかけっこの事を聞かれる。


「それでソータは、どうして硬貨で私達を揶揄ったのかしら?」

「揶揄った訳じゃなくて、話をする切っ掛けにしただけ」

「やっぱりナンパじゃない」

「まあある意味はナンパかも知れないけれど、物語を演じたりするのは好きなの?」

「好きなんだけれどね。それじゃ食べていけないから困っている所なんだけれど、貴方に言っても仕方がないわね」

「職業にする気はない?」

「道化を?」

「歌ったり踊ったり演じたりする事の全般」

「そんな職業は聞いた事がないわ……」


 こちらは魔物の脅威で芸術とかの文化方面の育成が壊滅的だからね。マギウスジェム領都でも道化は居たが、冒険者と兼業の人達だった。第2商業区に演劇場を建てるので、彼女をスカウトしようと画策する。


「この商業区から住宅地に向かう方にあった岩山がなくなったのは知っている?」

「知っているわよ。突然に岩山が消え失せたので、悪魔に化かされたんじゃないかって噂ね」

「そこは第2商業区って名付けたんだけれど、演劇場って建物を建てているんだ。そこのオーナー兼出演者にならない?」

「ええっ?! 何で貴方がそんな突拍子もないことを言い出すのよ!」

「それはソータ様が、その建物と土地の所有者だからな」


 オケアヌスが代弁してくれ、リベラはオケアヌスを睨んだ。


「そっちのおっさんは誰よ? どこかで見た事があるわね。ソータよりはおっさんに見えるけれど」

「私は帝国軍の将軍職を預かっているオケアヌスだ」

「「「「「「「「「「将軍っ!!」」」」」」」」」」


 リベラと道化達、そして見物人からどよめきが上がった。まあ普通に考えて将軍が街中で道化を見物したりしないよね。

 リベラは疑問の声を上げた。


「その将軍がソータと何で一緒にいるのよ」

「それは……」

「私とソータ様はデート中だ」


 俺が何と答えれば良いか逡巡している最中に、オケアヌスが望んだ答えを言ってしまった。しかもオケアヌスは俺を背後から抱き留めてリベラ達に見せつけるようにする。


「ソータは噂ではマギウスジェム領主の愛人で、剣聖とも恋仲で、皇帝とも関係があるって聞いているわ。将軍とも関係があるなんて……」


 真実としては愛人の件は俺を領に取り込みたいワンコが暴走した結果だし、後半のは親族だからね……。まあ説明ができないので、そう言う事にして置いた方が都合は良いので放置する事にした。


「肩の飾り紐を見ると6年生でしょ? 来年に卒業なら演劇場の周辺も完成しているだろうし、どうかな?」

「出演者は分かるんだけれど、オーナーは何をするの?」

「普通の商会のように人を雇ったりして演劇場を経営管理する役職だね。貴族院で文官を選択してくれていると尚良いかも」

「リベラは文官で商業を選択しているから打って付けじゃないか?」


 道化の1人が教えてくれた。どうやら道化達はリベラの家族なようで、道化で貯めたお金でリベラを貴族院に通わせたようだ。

 リベラは不安そうに呟いた。


「やってみたいけれど、私に務まるのかしら?」

「初めての事だし失敗はつきものじゃない? 俺としては貯まった金を消費したいから演劇場を建てただけなので、気楽に運営して欲しいかな。俺はパトロンでリベラは好きな事ができると思えば」

「ぱとろん?」

「得意な事や好きな事に出資して育てる人の事ね」

「……やるわ!」


 その言葉を聞いた俺は、収納から小白金貨を出してリベラの手に強引にねじ込んだ。


「これは手付金ね。後で商業ギルトかどこかで正式に契約しようか」

「「「「「「「「「「白金貨!!」」」」」」」」」」


 レビタス・バイクを収納から出すとオケアヌスを後ろに乗せて、リベラ達に手を振りながら貧民街に向かった。貧民街は住宅街の端を流れている川で分断されており、粗末な吊り橋を渡らないと行けないので、橋の手前でレビタス・バイクを降りてしまった。


「この吊り橋は狭いし揺れそうだから渡りたくないな……。向こう岸へ転移するからお出で」

「はい」


 オケアヌスに手を差し出すと無視して俺に抱きついて来た。本人は凄く良い笑顔なので嬉しそうである。


「お前レビタス・バイクでも引っ付いて来るし、俺の身体を好き勝手に弄るしやりたい放題だな! 将軍がセクハラとか良いのかよ!」

「せくはらって何?」

「お前みたいな変態の事だよ」

「私はソータ様専用の変態だし、デートだから問題ないって事だな!」

「……」


 オケアヌスを無視して転移したので驚いたようだ。対岸に着くと貧民街の端に出た。俺はオケアヌスを引き剥がして貧民街に入って行った。


「怒りました? ソータ様」

「呆れただけだよ」

「へへへっ!」


 嬉しそうに愛想笑いをしながらオケアヌスが俺に着いて来た。貧民街の家々は薄い木の板で出来ていて、所々に隙間があるので隙間風が心配だった。帝都は季節で移動しているので、物凄く暑かったり寒かったりしないので地球の貧民街よりはマシだが、結界内ギリギリにある貧相な建物で犇めいている感じだった。

 広場のような所に出ると、獣人達に囲まれているのをオケアヌスが注意した。


「何か囲まれているぞ」

「そうだね」

「どうする?」

「様子見で最悪は転移するから俺の近くに居てね」

「はい!」


 オケアヌスは護衛する気がないのか、俺に引っ付いて来た。ここに来るのに反対した割には、絶対に楽しんでそうだ。

 そして突然に俺達の周りを囲んでいた獣人達が片膝を跪いた。手前に居た老獣人に尋ねられる。


「貴方は獣人の神様ですよね?」

「えっ? マギウスジェム領都で言われていた事はあるけれど、こっちまで噂が広がっているの?」


 獣人を中心に治療していたので、古くは羊人オビスに同じような事を言われたのを俺は思い出した。マギウスジェム領は獣人が多かったので意図してそうなった訳ではない。


「ええ。黒髪黒眼の少年に、獣人が大変良くして頂いている噂は届いております。今日はどのようなご用件でお越しくださいましたか?」

「貧民街の様子が知りたかった事と、モフモフ街の宣伝に来たの」

「モフモフ街?」


 俺は商業区から住宅街を遮っていた岩山を取り除き第2商業区と名付けて、マギウス・ポータルを建てて大陸隅の隠居伯の屋敷付近に簡単に移動できるようになった事と、その周辺の三十平方キロメートルを結界モニュメントで囲って安全にしてモフモフ街を作った事を伝えた。モフモフ街は獣人には格安で入居できるように取り計らうつもりだとも伝える。

 集まった獣人達は歓声を上げた。


「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」


 そして老獣人は恥ずかしいように告げる。


「しかしその格安な家賃でさえ困窮(こんきゅう)しておる所でして……」

「そう思って今日は寄らせてもらったんだよ」


 まずは治療が優先だと思い、怪我や病気の人を集めるようにお願いした。老獣人が近くの獣人達を引き連れて手作り感満載の木の机と椅子を広場に用意してくれた。

 俺はアルグラとミネルヴァを召喚し、収納からアダマス・メイドを6体出して対応に当たらせる。部位欠損者や重傷者は契約魔法が必要なので、契約書に代筆でサインしたものをアルグラで印刷して契約を予めして置く。後でアダマス・メイドを巡回(じゅんかい)させて根絶(こんぜつ)する予定だ。ほとんどの獣人は俺とアダマス・メイド達が繰り出す回復魔法と神聖魔法で治療し尽くした。

 オケアヌスが列の整理を手伝いつつ、呆れたように呟いた。


「回復魔法と神聖魔法と契約魔法のオンパレードだな」

「困窮すると冒険者ギルドにも加入できないだろうし、ダンジョンにも行けないだろうから薬品を取得できないからね。予想していたけれど多いね」

「一時的にはこれで良いだろうが、継続的には無理だろ。この数は」

「別の手段を用意してある」

「何の騒ぎだ、これは!」


 吊り橋のある道の方から誰かが帰って来たようで、貴族院の制服を着ている男の子で狐人ヴィクトルが声を上げた。肩の飾り紐を見るとリベラと一緒の6年生のようで俺は挨拶をした。


「俺はソータね。先輩」

「……その名は、おっさんの首席入学生か? もしかして獣人の神様と同一人物なのか?」

「本人が言うのもあれだけど、そう呼ばれているのは知っている」

「それでその獣人の神様が貧民街に何の用だ?」


 俺は貧民街に来た経緯と目的をヴィクトルに説明した。治療が粗方済んだので、次のギルドカード配りを説明する。未使用のギルドカードとアーティファクトを用意したので、ここで冒険者ギルドの加入手数料の小銀貨5枚と、ダンジョン保険料の年会費1年分の小金貨5枚を無料にしたいと告げた。

 俺はヴィクトルに疑われた。


「ギルドカードのアーティファクトなんて持っている訳ないだろ。しかも加入手数料と保険料が無料とか詐欺じゃねぇか?」

「取りあえず君が最初の加入者で良いかな」


 俺は収納から未使用のギルドカードとアーティファクトを机の上に並べた。それを見たヴィクトルが目を剥いた。アーティファクトの上に未使用のギルドカードを置いてヴィクトルを促した。


「この上のカードに指を乗せて、冒険者ギルドに加入する事を宣言してね」

「……冒険者ギルドに加入する」


 俺はその後にアーティファクトを操作して、俺のギルド口座から加入手数料と保険料を引き落とした。普通はギルド職員にしか出来ない操作だが、アカシック・レコードの管理権限があれば可能なのは玄武から聞いて知っていた感じだ。俺はヴィクトルにギルドカードを渡した。


「加入手数料と保険料は確かめてね」

「……本当だ。加入手数料と保険料は払い済みになっている」

「これでダンジョンに行けるようになったので、モフモフ街への入居費用とかを稼いで置いて欲しい。他の加入希望者にも、全員を加入させられるくらいカードは用意した」


 俺は収納から未使用のギルドカードを大量に机に出した。


「お前、神様って言われるだけあるな!」

「そんな大層な者じゃないぞ」


 ヴィクトルは自己紹介をしてくれた。


「ギルドカード見たなら知っていると思うけれど、俺はヴィクトルだ。貧民街で賭博屋をやって稼いだ金で貴族院に通っている」

「へぇ。若いのに偉いね」


 俺はマギウスジェム領都の貧民街にあった、闇の闘技場を思い出した。出場者に試合をさせて賭博で儲けていた施設だ。今は公営になっていて、そこに至るまでの当時の思い出が(よみがえ)ったった。

 ヴィクトルがジト目をしながら俺を見る。


「若いってお前は本当におっさんなのかよ! 俺と変わらないように見えるぞ」

「もうそれ聞き飽きたよ……。これでも四十八歳なんだけれどね」

「う、嘘だろ!」

「誠に遺憾であるがソータ様の年齢は本当だ。将軍の私が保証する」


 オケアヌスが保証しなくても四十八歳なのは変わらない事実だ。

 ヴィクトルはオケアヌスの顔を知っていたようで、驚きの声を上げた。


「何でオケアヌス将軍まで居るんだよ!」

「ソータ様とはデート中だ。ちょっかいを出したら殺す」


 オケアヌスはヴィクトル相手にマウントを取り出した。俺がちょっかいを出す方を想定していないのが、まだまだ甘い。俺は手の平を開いたり閉じたりしながら、狐人ヴィクトルの頭に向けた。


「これは無償じゃないんだよ。モフモフさせてくれるならダンジョンで生計を立てられるまでの、皆の食料を渡そうじゃないか」

「何だ? モフモフって?」


 オケアヌスは俺の病気が始まったと嘆きながらも、モフモフについて説明した。


「ソータ様は獣人の毛並みを撫でる事を好まれる。それをモフモフと言うのだ。私も獣人に生まれたかった……」

「そんな事で食料を貰えるのか? お安い御用だ!」


 オケアヌスの最後の欲望は無視して、俺はヴィクトルをモフモフした。最初は頭や顎を中心に時折、耳の周辺を撫でた。ヴィクトルは(くすぐ)ったそうにして油断しているので、俺は尻尾に移った。


「し、尻尾は駄目だろ!」

「何も言ってなかったからね。当然だけれど狐の尻尾には興味あったので撫でさせてもらうよ」

「あっ!!」


 尻尾の付け根に移ると、ヴィクトルの切ない声が漏れた。横でオケアヌスが歯軋りしているが無視して堪能した。モフモフが終わるとヴィクトルは少し涙目になって俺から距離を取った。


「お前、尻尾を撫でる意味を理解しているだろ!」

「う~ん、前に何か言われた気がするけれど、俺、都合が悪い事は覚えない主義だからね」

「こんなに弄んだんだから色位付けろよな!」

「もちろん、そうさせて貰うよ」


 俺は収納から魔法鞄を出して、ヴィクトルに渡した。中には貧民街の獣人達が数ヵ月は食べて行ける食料が満載(まんさい)してある。


「その魔法鞄も上げるよ。時間遅延付きの2級品だけど、重量ゼロになって、容量がそれなりにあるから悪い品じゃないよ」

「凄いっ!! 本当にモフモフだけで、これをくれるのか?」

「中の食料を貧民街の人々に配る事は契約させて貰うよ」

「了解した」


 俺が用意した契約書を読んでヴィクトルはサインしてくれたので、俺は契約魔法で処理する。破格の施しなのでヴィクトルは恩返しをしたいと申し出てくれた。


「この魔法鞄だけでも、売れば凄い値段になるぞ。恩返し位はさせてくれ」

「じゃあ、その鞄は手付金として、貴族院を卒業したらレビタス・レース場のオーナーになってくれると嬉しい」

「レビタス・レース場?」


 俺はレビタス・バイクを出したりしてレビタス車やバイクでレースをして賭け事をする施設だとヴィクトルに教えた。ヴィクトルは賭け事と聞いた瞬間に目の色が変わった。


「やる!」


 そうして俺とオケアヌスのデートが終わった。

次回の話は2025年4月19日(土)の19時になります。

お金目当てはお断りします!


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