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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第2章 貴族院編

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073話 第2商業区とモフモフ街

 帝都の商業区から住宅地にかけて遮っている岩山の除去作業を、隠居伯達と役人達が見たいようだ。レビタス車で役人達が出発してから到着するまでの3時間を有効に使って、父と剣聖含めて隠居伯達とお昼を食べて寛いでから転移魔法で転移した。

 役人達の目の前に俺達は転移したので凄く驚かれた。ミネルヴァに平地イメージを出してもらって一瞬で岩山を収納した。始めて見た隠居伯と執事のヴァサルスが尻尾を立てて驚いていたのが可愛い。ラクスは手を口に当てて驚いていた。役人達は腰を抜かしたようで、幾人かが地面に座り込んでしまった。

 俺は父にボヤいた。


「またつまらぬものを収納してしまった……」

「山はいくつ入っているんでしたっけ?」

「これで岩山が3個、普通の山が3個。捨てる場所がないね」

「「「「「「「山が沢山!!!」」」」」」」


 父の質問に答えると更に役人達が驚いていた。五十万平方メートルを散歩しながら土属性魔法で整地し終わる。その途中に商業区と住宅地を行き来する時に岩山を大きく迂回(うかい)していたレビタス車が、邪魔な岩山が無くなったので俺の買った敷地内に無断で入って横断しているのを目撃した。


『世界樹金』

『ごきげんよう。アルティウスの方』

『お日柄も宜しいですこと。アルティウスの方』

『俺の眷属のミネルヴァと連携して、俺が買った商業区近くの土地の範囲を認識できるか?』

『アルティウスの方の眷属に場所を教えて貰いましてよ』

『その場所がどうかしましたか?』

『俺が許可したレビタス車だけを入れるように出来るか?』

『お安い御用でしてよ』

『承りましたわ』


 私有地であるし通行するレビタス車に開発の邪魔をされても困るので対処した。事情を説明して後で工事等のレビタス車には、俺が作った認証用の魔術具を渡す事を役人達に告げ、役人達と別れて隠居伯の屋敷に転移魔法で戻って来た。

 父と剣聖は夕飯のトンカツを食べてから宮殿に帰るようで、食べ終わってから貴族街の手前まで転移魔法で送ってあげると、魔法鞄からレビタス・バイクを出して帰って行った。母とマレ婆と弟ソラリスの分のトンカツをお土産で持たせてあげた。

 魔法省の役人に申請書を持たせて帰らせたのを昨日の夜、魔聖にギルドカードのメッセージで知らせたら、翌日早朝の鍛錬時に魔聖と貴族院の教授達がやって来た。夜中の間に魔法省に赴いて結界モニュメントとマギウス・ポータルの申請を一晩かけて頑張って終わらせたらしい。ご褒美に隠居伯に断って朝食を食べさせたら、ここに住みたいとか言い出したので隠居伯が苦労して断ってくれた。

 魔聖達は契約魔法で縛りのある論文を読ませたので無害になった事と、朝に魔聖達が来たので結界モニュメントとマギウス・ポータルを作って設置する事を、父と剣聖にギルドカードのメッセージで知らせたらレビタス・バイクでやって来た。宮殿を抜け出して来たらしい。

 朝食を食べて迎賓館で仮眠してから、昼食まで食べて復活した魔聖達は外に出ると俺を促した。屋敷に居る皆が集まってしまった。


「さあ、結界モニュメントとマギウス・ポータルを作る所を見せて頂戴!」

「その前に設置する場所の名前を決めないと。用途を表面に文字で刻んで置かないと、何のオブジェクトか分からないからね」

「貴方が買った土地なのだから早く決めなさいよ」

「う~ん。俺、ネーミングセンス悪いんだよな……」


 商業区から住宅地にかけて遮っている元岩山の所は、ウルスメル商会の社屋とか貴金属四兄弟の店舗が建つ予定なので商業区っぽい役割だよね。


「元岩山の所は第2商業区にしよう」

「あら、良いじゃない」


 魔聖以外の皆も頷いてくれたので決まりだね。後はこちらの隠居伯の屋敷がある方だ。


「獣人街だと差別的な気がするよね」

「ソータ殿の好きなモフモフでどうですか?」

「モフモフ街……いいね!」


 獣人を直接的に表していないので、父の案のモフモフで良さそうだ。皆も頷いてくれたので決まりで良いだろう。もちろんモフモフじゃない獣人も歓迎だけれど。

 魔聖は待ちきれなくなったのか俺を急かした。


「憂いが無くなったなら、早く見せて頂戴!」

「見ても面白くないと思うけれどね。アルグラ召喚!」

「今日はギャラリーが多いでやすね、旦那」

「そうなんだよ。結界モニュメントを作るから花崗岩(かこうがん)の岩山と魔石を入れるぞ」

「がってん承知! んぐぁぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ……ペッ、ペッ、ペッ、ペッ、ペッ、ペッ!」


 ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ! ドンッ!


 結界モニュメントは古代エジプトのオベリスクのような石柱が六角推の形をしていて、3階建てビルくらいの高さがあるので、アルグラが6本を立てた状態で吐き出すと圧巻だった。俺は中程にある魔石に魔法陣を注入するべく魔法で宙に浮いて作業した。父と剣聖以外は俺が宙に浮いている事に、目を見開いて口を大きく開けて驚いていた。このくらいの高さなら航宙者ギルドに怒られないよね?

 6本共に作業が終わったので俺は地面に降りた。魔聖が俺に詰め寄って来た。


「ちょ、ちょっと! 今、空を飛んでいたわよね?」

「それが何か?」

「魔法で空を飛ぶのは長年の難題なのよ! 複雑で複数の魔法制御をしないとならないので不可能とされていたの!」

「へぇ。宇宙船が空を飛んで宇宙まで行っているんだから同じじゃん。まあリスク潰しの安全機構を考えるのに1年かかったけれど」


 本当はルキウス状態では抱き上げた時のイメージがあったので、もう少し早く覚えられた。蒼汰は地球での生活が長くて飛べないとイメージが固まっていたので1年かかった感じだ。まあ四神も最初から飛べる女性2柱しか飛べないから難しいのは事実だろう。


「私とソータさんの仲じゃない。空を飛びたいんだけれど、教えてくれるわよね?」

「教えるのは良いけれど、精霊族を眷属にしていないと無理じゃないかな? 宇宙船と同じように複雑で複数の魔法制御を精霊族に頼んでやって貰っているから」

「「「「「な、なんだってぇぇぇ!!!」」」」」


 魔聖の後に続いて教授達も絶望したような声を上げた。普通は宇宙船を操縦できる航宙者じゃないと精霊族を眷属にしないから、魔聖達はそこから始めないとならない。俺にはミネルヴァが居てくれて良かった!

 絶望で固まっている魔聖達を放って置いて、収納に結界モニュメントをしまうと、次のマギウス・ポータル作りに取り掛かった。


「アルグラ。マギウス・ポータルを作るから超硬合金アダマンタイトと魔石を入れるぞ」

「がってん承知! んぐぁぐぐぐぐぐぐぐぐ……ペッ、ペッ!」


 ドンッ! ドンッ!


 アルグラから吐き出された、2個の対となったマギウス・ポータルの魔石に触って、魔法陣を注入し終わり収納にしまう。

 魔術科教授リートゥスがお願いをして来た。


「せ、せめて魔法陣を見せてくれませんか?」

「あ、見えないのか。いいよ」


 そう言えばミネルヴァの魔法陣エディタを使っているので他の人には見えなかったのか。俺はソータのなぜなに魔法科学講座ミニを開催する事にした。


「ミネルヴァ召喚!」

「はい、マスター。御用でしょうか?」

「皆に紹介したかっただけ。これが俺の精霊族の眷属でミネルヴァ。元ダンジョン・コアね。魔聖達は知っていると思うけれどご覧の通り会話ができる。彼女に特殊な機能を提供してもらって魔法陣を作成や編集や改良をしているんだ。それが魔法陣エディタ」


 俺は皆を感覚共有してミネルヴァに魔法陣エディタを起動させる。


「ミネルヴァ。魔法陣エディタで結界モニュメントの魔法陣を表示してくれ」

「了解しました。マスター」


 中空に立体的に無数の魔法陣が、折り重なって光って表示された。それを見た魔聖達は感心した。


「こ、こんなに複雑なのね……」

「きれい……」


 俺はミネルヴァに色分けさせて簡単な説明をした。8年で結界の構造が進化し、小さな六角推のハニカム構造で剛性を持たせた層で、小さな泡のバブル構造で衝撃吸収性を持たせた層のサンドイッチ構造だった物を合わせた構造に変更した。小さな六角形の多面構造が泡状に層を成しているゼプト・ハニカム・バブル構造に改良したのだ。こうする事で1つのハニカム・バブルが潰れても近くのハニカム・バブルが補うので、剛性と衝撃吸収性を併せ持った結界になったのだ。

 このゼプト・ハニカム・バブル構造で父と剣聖の超本気の突進技を止められたので、ミネルヴァはご満悦だった。正し超本気の上の捨て身があるらしく、突進した自身の肉体の損傷を犠牲にして威力を上げた状態があるのを聞いて、ミネルヴァは聞かなかった事にしたようだ。この話題はミネルヴァのタブーになった。

 続けてマギウス・ポータルの魔法陣を表示させた。


「ミネルヴァ。魔法陣エディタでマギウス・ポータルの魔法陣を表示してくれ」

「了解しました。マスター」


 今度は結界モニュメントよりも膨大な体積になる無数の魔法陣が、折り重なって光って表示された。それを見た魔聖達は(おそ)(おのの)いた。


「ちょ、ちょっと何かしら。この大量の魔法陣は!」

「す、凄い数であるぞ!」

「そりゃあ2点間の空間の距離をゼロにしているからね。ちなみに、ここからここまでの3分の2が安全に関わる術式だ」


 転移魔法もそうだが使い方を間違えると悲惨な事になるので、ガチガチに安全機構としてフェイルセーフが組み込まれている。この安全機構は実動作をしている部分と密接に関連付けがしてあるので、簡単には外せないように工夫がされている。そこら辺を魔法陣の色を変えながら簡単に説明してやった。

 そして安全機構を意図的に外して、2個の鉄の立方体を転移で全ての角が出るように合体させた塊と、元の2個に分かれた鉄の立方体を収納から出して魔聖に渡してやった。もちろん2個の鉄が合体した物は見た目よりも重いのが注意で魔聖は悪態をついた。


「お、重いわねっ! 見た目の体積と重さが可笑しいわ!」

「安全機構を外すとこんな風になるが、自分がこんな風になりたくないだろ? 転移魔法やマギウス・ポータルの空間歪曲は凄く危険な魔法なんだ。覚えるのに凄く時間がかかるので君らには無理だと言って置くよ」


 普通に覚えるだけで寿命が尽きてしまうので、教えるのは無理な話だ。それに最終的にはアカシック・レコードのアクセス権が必須なので、習得は不可能だろう。

 魔聖は俺が若いのが可笑しいと言い出した。


「ソータさんはどう見ても若いじゃないの。それなのに空間魔法を使えているじゃない」

「え~と、ギルドカード的には四十八歳だけど、魔法の修行は時間を止めてやっていたから、実際は百歳近いよ」

「「「「「「「「「「な、なんだってぇぇぇ!!!」」」」」」」」」」


 父と剣聖がついに言ってしまったと言う顔をしていたが、魔法の事であれこれと追及されるのは時間の無駄なので、ここらで線引きはしたい所だったので丁度良い機会だ。

 諦めてくれたと思ったら、魔聖は方向性を変えて来た。


「分かったわ。アーティファクト級の魔術具は魔法陣が複雑すぎだし、空間魔法は覚えようとすると貴方のようにベトスの民の寿命がないと無理そうだから諦めるけれど、まだ空を飛ぶ夢は諦めなくて良さそうよね! 航法科に今から特別編入して精霊族の眷属と契約すれば、私に空を飛ぶ方法を教えてくれるんでしょ?」

「「「「儂(私)も!」」」」

「そう来たか……。まあ暇な時で良ければ教えるけれど」

「「「「「やったー!」」」」」


 魔聖と教授達は喜んでいた。魔聖はともかく教授達は高齢なようだが、まさか航法科の講義に参加するのだろうか?

 俺はついでなので第2商業区にレビタス車で入るのに必要な、認証用の魔術具をアルグラで作成した。短い鎖が付いていてミスリルで出来た世界樹の形をしている。そして実を模してクズ魔石が幹に実っている感じだ。俺の魔紋が登録してあるので形だけ真似ても意味を成さないようになっていて、シリアルナンバーが入っているので個別に無効にできる。世界樹金には作った物を認識させて用途を説明して念話でお願いして置いた。父と剣聖と隠居伯には大量に渡して役人達にも配ってもらう事にした。魔聖達にも1人1個を渡すと喜んでいた。

 俺は父と剣聖に手伝ってもらって、モフモフ街を囲うように結界モニュメントを設置して起動した。これで隠居伯の屋敷近くの三十平方キロメートルの範囲に、魔獣や魔物が入って来られなくなったので安全な街となった。

 次に隠居伯の屋敷近くにモフモフ街側のマギウス・ポータルを設置する。土属性魔法で土台を作って、父と剣聖に突き立ててもらった。皆にマギウス・ポータル前で待っていてもらって、父と剣聖と一緒に俺は第2商業区に転移して、第2商業区側のマギウス・ポータルを設置した。


「2人の馬鹿力……いや、とても力持ちで設置が助かったよ」

「馬鹿力で良いですよ。普段はこんな巨大な物を動かしませんから、力試しとしては楽しいです!」

「魔素症を孫に治してもらえるので、全力で身体強化ができるのが楽しいのう!」

「ありがとう。それじゃあ、こっちのマギウス・ポータルと、モフモフ街側のマギウス・ポータルを起動して接続するね」


 俺はマギウス・ポータルを起動した。マギウス・ポータル内に少し歪んで魔聖達の姿が映った。


「「おおっ!」」


 父と剣聖が歓声を上げた。俺達はマギウス・ポータルに入ってモフモフ街に行った。帝都と貴族院を結んでいるマギウス・ポータルと同じように一瞬でモフモフ街に出て、モフモフ街側に居た皆が歓声を上げた。


「「「「「「「「「「おおっ!」」」」」」」」」」


 皆で第2商業区に行くと、隠居伯とヴァサルスに飛び掛かられてペロペロ攻撃を受けた。凄く嬉しそうなので俺は2人をしばらくモフモフした。

 魔聖は感心したように呟いた。


「しかしあの邪魔な岩山がなくなるなんて……。これで第2商業区の地価は爆上がりよね。モフモフ街も結界の中で安全が保たれているのですもの。凄く人気が出ると思うわ。どのように使うのかしら?」

「そうだね。第2商業区はウルスメル商会の社屋と貴金属四兄弟の店舗を作るつもり。余った土地は帝都に商業的に進出したい領とかに賃料を取って貸出かな。

 モフモフ街は住宅地が圧倒的に足りていない帝都の住宅地を広げる目的で、工場や畑に牧場も作る予定。

 両方共に共通しているのは獣人には安く貸そうと思っている」

「あら。いくら使ったのか知らないけれど欲がないのね」


 父が魔聖に耳打ちして土地の購入と開発費用、俺の口座残高の桁を暴露していた。


「ソータ殿は土地の購入と開発に大白金貨2万4千枚を使っても、まだ口座の大白金貨万枚の桁が割れないそうです」

「なっ! 大白金貨だらけじゃないの! 私の研究費に投資してくれても、よろしくてよ!」

「お前、仮にも公女殿下なんだから、金に困っていないだろ」

「お兄様がそんなにくれる訳ないじゃない!」

「フラステス公爵が堅実そうな人で良かったよ。それならば自分で稼ぐんだな」

「ケチねっ!」


 最重要の移動と安全の問題が解決したので、ここで解散となった。

次回の話は2025年3月29日(土)の19時になります。

蒼汰君は悪くありませんよね?


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