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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第1章 幼少期編

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061話 そうだ! 海へ行こう![後編]

 夏だ! そうだ! 海へ行こう!


 俺と母に剣聖一家は母の船で海に出かけた。目的は海産物の取得である。

 最大の問題点だった裸族問題は、俺がアルグラに水着を作らせて乗り切った。こちらの銀河では魔魚や魔物が生息していて危険なので、水に入る習慣がないようなのだ。全員一致で水に濡れるなら家族だし全裸で良いじゃないかと真顔で言われたので、俺が問い詰めると前述のような背景が浮かび上がったのだ。

 これは不味いと思って、まずは女性用の可愛らしい水着を作った。母にはパレオの水色を基本に胸の覆いを最小限にして、腰回りは薄い生地でフリルを付けて膝丈までヒラヒラさせた。


「私、絶対これ着る!」

「!!」


 母はちょろい女であり、父は主に胸に興奮しているようで気に入ってくれたみたいだ。

 次はマレ婆だが、母と逆にして胸周りはヒダのある布地で覆ってヒラヒラさせ、胸から繋がってボディスのように下腹部を絞められて腰回りを強調するような赤茶色の水着にした。


「これは可愛らしいですね。フォルティス様、どうでしょうか?」

「とても良い……。儂の孫よ、男心が分かっておるではないか!」


 婆の問いに剣聖は頷いて、俺の肩をバシバシと叩いた。尻に興奮して俺を叩くのは痛いので止めて。

 アルグラは女性陣の水着作成の時はウキウキたったが、俺を含めた男性陣の水着を作る時はスンと静まり返っていた。男はサーフパンツにしてみた。俺は紺色、父は茶色、剣聖は赤色で髪の色に合わせてある。


 母の船のエルフとドワーフ達を始めて紹介された。最初はアルティウスの俺を怖がっていたが、以前にお土産をくれた人物だと分かると緊張が解けたようだ。エルフは姉妹で姉のフロースと妹のセーメンで、ファンタジーのお話で出て来るような、耳が尖っていて奇麗な容姿をしている。


「前にもお会いしましたが、私が姉のフロースで、こちらが妹のセーメンね。エルフは世界樹の若木の世話が主な仕事です」

「俺は蒼汰だけど、前は玄武に身体を貸していたので蒼汰としては初対面かな」


 次はドワーフの姉妹で姉のアルギッラと妹のテララで、ドワーフの女性は髭がないが、筋肉質で背が低いのはファンタジーのお話のままだ。


「私達は貴金属四兄弟の上の姉妹で、私が姉のアルギッラで、こっちが妹のテララ。弟達が世話になっているようだね。ドワーフは船のメンテナンスが主な仕事だね」

「彼らは半分強制的に働かせているような物だけれどね。こちらがお世話になっているよ」


 最後に宇宙船の世界樹の若木を紹介してもらった。若木は船の中央に位置して人間の背丈位の木だ。根は宇宙船と一体化しているようで床に根付いている。こちらに転生した直後にアカシック・レコードを使う時の魔素を、この若木から供給を受けてしまい供給量過多でダウンさせてしまった事がある。蒼汰としては初対面なので念話で謝る事にした。


『この前はごめんね。魔法を始めて使ったから無理させちゃったね』

『いえ、お気になさらずに。まさか生命の庭でアルティウスに会えたばかりか、玄武様にもお会いできた事は光栄です!』

『そう言ってもらえると助かるよ』


 まずは北半球のセプテントゥリオンス大陸付近に行った。こちらは結界モニュメントが設置されていないので人は住んでいないらしい。アカシック・レコードで調べた所、甲殻類が多く生息しているのでエビとカニ狙いだ!

 皆にイヤーカフの装飾品に見える魔術具を耳に着けてもらっている。アルグラで作った物だ。魔素を使って念話のやり取りができる優れもので、父と剣聖は軍で使いたいとボヤいた。


『これはヤバイですね……』

『こんな便利な物があれば伝令がいらぬではないか!』


 まあ積層魔法陣がなければ、こんな小さな魔術具は作れないからね。最初に魔紋を登録した人しか使えないようにしたし、積層魔法陣は暗号化して俺の魔紋で複写と改ざん防止してある。魔素通信も暗号化してあるので盗聴対策もバッチリだ。


『それより折角修理した船がピンチよ! ホリゾンと爺、何とかしなさい!』


 母が悲鳴のような念話を飛ばした。宇宙船が着水すると巨大なイカとタコのような魔魚に襲われた。俺の結界魔法イージスに数匹が張り付いていて、レビタス・バイクで外に出ている父と剣聖は船側に被害を与える訳には行かないので決定打に欠けて手詰まりになってしまった。

 張り付いたイカとタコが触手で攻撃しようとすると、イージスのベクトル・リアクティブで跳ね返して海面に落ちるが、別の個体がイージスに張り付く悪循環に陥っている感じだ。巨大過ぎてナノ・ゴーレム薬の残量が足りないし打つ手なしだ。


『助けて! 四神の誰か!』

『僕達に内緒で美味しい物を取りに行くからだよ』

『俺らにもお裾分けをくれるんだよな?』

『私はヌメヌメした物は食べたくないけれど、ソータがピンチじゃしょうがないわね』

『我は既にもらう約束をしていたからな』

『ソータ! ヌメヌメと遊んでいるの?』

『四神の全員と創造神が来ちゃった』

『『『『助かった!』』』』


 四神の全員と創造神が助けに来てくれたようだ。白虎は状況を見て玄武を指名する。


『此奴等ならば玄武が良いのではないか?』

『そうだな。ソータ、身体を貸してくれ』

『お願い!』


 俺が玄武に身体を貸すと、玄武は両手を打ち鳴らした。その瞬間にイカとタコだけでなく周辺の海面も凍り付き、イージスに張り付いていたイカとタコがイージスの境界に沿ってずり落ちて行く。


『す、すごい! 何それ!』

『結晶魔法だ。水分を氷の結晶化したのだ。しかしソータの魔素量は凄まじいな。全盛期の俺でもここまでするのは時間がかかったが一瞬とは……。この星くらいならば凍らせる事ができそうだ』

『全球凍結とか止めてね!』

『凍ったのを拾えば食べ放題だぞ』

『この星全部とか、そんなに食べられないから!』

『冗談だ。この魔魚は拾えば良いか?』

『うん。お願い』


 玄武が凍ったイカとタコを収納に収めてくれた。海中にも潜んでいたようで、四神が居なかったらどうなっていたことやら……。玄武に身体を返してもらい、俺は甲板上で屋台風イカ焼きとタコ焼きの準備を始めた。


「そ、その気持ち悪い魔魚を食べるのですか?」

「グロテスクな魔魚ね……」

「えー、旨いと思うよ。1度は凍ったから寄生虫の心配をしなくて良いし、アルティウスの調べる手段で食用可能ってあるから問題ない」


 父や母だけでなく皆が心配そうに見つめているが、俺は食べる用意をして行く。イカはアルグラで食べられるサイズに切って切り込みを入れて串を刺した。醤油とみりんと清酒とショウガで作ったショウガ醤油タレに付けてアルグラで三十分くらい時間加速する。後は運動魔法で焼くだけだ。辺りに香ばしいショウガ醤油タレが焦げる匂いに包まれると、皆が唾を飲み込む音がした。

 最初の4本はお礼に原初の海に持ち込んで四神に渡し、創造神は感覚共有する。


『『『『うまっ!!』』』』


 次に生命の庭組に渡すと、俺も一緒に食べた。


「「「「「『うまっ!!』」」」」」


 久しぶりに食べたイカに俺は少し涙が出てしまった。


『これが泣く感覚?』

『あ、ごめんね創造神。久しぶりの海の幸で嬉し泣きしちゃった』

『ソータが嬉しいなら私も嬉しい!』


 タコ焼きは事前に貴金属四兄弟に鉄板を作らせてあったので、材料を切ってタネを作り流し込んで丸く焼くだけだ。ひっくり返すのが面倒なので、運動魔法で鉄板を軽く振動させながら熱を加える要領で焼いた。タコ焼きマシーンの感じである。焼けたのを器に盛ってソースとマヨネーズをかけた。青海苔(あおのり)と鰹節がないので、後で取りに行かないと。


「「「「「『『『『『うまっ!!』』』』』」」」」」


 気味悪がっていた女性陣2人も舌鼓(したづつみ)を打ち始めたので、俺達は当初の目的のエビとカニを捕獲する事にした。まずはカニのカゴの中に先程のイカの切り身を餌として俺と母と婆で入れて、父と爺にカゴを海に投げ投げ込んでもらった。五百カゴあるので父と剣聖は、最後の方はうんざりしていた。


「用意周到ですが、数が多いですね」

「孫の海に対する執念を感じるのう」

「絶対に旨いから後悔はさせないよ!」


 プカプカとカゴに繋がった浮きブイをそのままにして、別の漁場に移動する。今度はエビなので、イージスを網状にして海底に沈め、底引き網をするように船を移動して貰った。


「結界魔法を網として使うのは斬新ですね」

「凄いの! 大漁じゃぞ!」


 父と剣聖に引き上げてもらうとエビが大量にかかっていた。エビを運動魔法で凍らせてから収納にしまうと、魔魚が現れたので父と剣聖に退治して貰う。


『海は本当に怖いね』

『幼い頃から海には近づくなと言われていますが、神様に守られていると思うと安心ですね』


 母と婆は考え深げに呟いた。何度か漁場を移動して色々な種類のエビを捕獲すると、そろそろカニが集まったと思われるので、先程にカゴを設置した場所に向かってカゴを回収した。運動魔法で凍らせてから収納する。


「大量! 大量!」


 俺はイカタコよりもエビカニの方が好きなので上機嫌だ。エビはロブスターのようなので半分に割って背ワタを取ってから、ガーリックバターを塗って運動魔法で素焼きする。カニはズワイガニのようなので半分に割って、そのまま運動魔法で素焼きした。カニは酢醤油を用意する。貴金属四兄弟に作らせたカトラリーのシーフード用のフォーク・ピックも用意してある。


「「「「「『『『『『……』』』』』」」」」」


 エビとかカニの甲殻類を食べると皆が無言になるよね。俺も大好物なので(むさぼ)るようにして食べてしまった。カニとエビのミソは好き嫌いが分かれた感じだ。


 次は南半球のメリディム大陸に戻って、西海岸付近で貝類と海藻(かいそう)類を取る事にした。アカシック・レコード様々で当たりを付けられるので、船が生息する海上に行って俺が潜って取る感じだ。父と剣聖は船の周囲の魔魚や魔物を討伐する係だ。


『海に潜って大丈夫なの? ソータさん』

『イージスの耐圧深度的には問題ないよ。海溝に落ちても平気なくらい』

『海溝に落ちたら俺が消えてしまうだろ。危ないから俺に任せろ』

『そうしようか』


 分身蒼汰にして俺がルキウスとして残ろうと思った。分身はやる気のようで、俺としてはどちらでも良かった。

 蒼汰とルキウスの役割を交換して、分身蒼汰がイージスを展開して海に潜って行った。しばらくすると大漁なようで弾んだ分身の念話が聞こえてくる。


『お、アサリとかシジミも居るだろ? 取って行く。サザエとホタテも大漁だ。……これアワビとウニじゃないか? これも収納!』

『海藻類も欲しいよね』

『ああ、そうだな。貝類は取ったから今探している』


 ホタテとかアワビにウニとかご馳走だね。分身が帰ってこないと収納が使えないので我慢の時だ。


『海藻類はもう少し浜辺に近い方じゃないか?』

『それなら一旦上がって移動しよう』

『了解』


 分身蒼汰が戻って来て船で浜辺に移動してから、再び潜って貰った。


『ワカメにコンブが沢山あるから収納! アオノリとかアオサとかヒジキもあるから取って行くぞ』

『おお、いいね!』


 マギウスマテリア人って海産物を食べた事がないから、生の海藻類を分解できないよね。出す物に注意しないとならないね。

 分身が戻って来たので、俺は分身と入れ替わり蒼汰に戻った。

 父と剣聖は襲い来る魔魚や魔物を薙ぎ倒していて、魔石がお金になるので喜んでいる。

 俺はアサリでお吸い物、シジミで味噌汁を作った。アワビとサザエとホタテはバター醤油焼きにしてみた。


「「「「「『『『『『うまっ!!』』』』』」」」」」


 生のウニは俺しか食べないようなので堪能する。後はアオサでお味噌汁とかも旨いんだけれど、食べ過ぎ飲み過ぎも良くないので今回は作らなかった。ワカメやコンブとかの海藻類は帰ったらアルグラで加工しようと思う。


 最後に色々な魚類をイージスの網状にしたもので捕獲した。カツオやイワシやマグロやサーモン等だ。途中で大きなクジラやイルカやサメの魔魚が出て来たので、父と剣聖に倒してもらった。アカシック・レコードで調べると食べられるようなので運動魔法で冷凍して収納して置く。全部を船の上で食べるのは味気ないので、南半球のメリディム大陸の東海岸に海水浴に良さそうな入り江があったので、そこで海水浴とシーフード・バーベキューをすることにした。

 最初は父が巨大なイソギンチャクの魔魚に毒を食らって瀕死になったり、剣聖が巨大なクラゲの魔魚に襲われて麻痺したりと危険に満ちていたが、玄武が近海まで凍らせてから解凍して安全を確保したので、俺は泳いでみる事にした。


「あれ? 来ないね……」


 父も剣聖も女性陣も泳いでいないので何事かと浜辺に戻ってみると、どうやら泳げないようだ。


「ブフっ! 泳げないのか!」

「今日はソータ殿が輝いて見えますね」

「水にはつからんからな……」


 仕方がないので俺は父と剣聖に息継ぎから泳ぎの基本型のいくつかを教えると、数十分で物にして俺より速く泳げるようになった。解せぬ……。

 父と母、剣聖と婆が組になって女性陣に泳ぎを教えていると、空が光ったような気がする。


『マスター。衛星軌道上から落下物の投擲(とうてき)による攻撃です』

「えっ?!」


ドゴンッ! ドン、ドン、ドガンッ!


 次々と飛来する落下物がイージスに当たり、イージスに覆われていない入り江にも命中して爆炎を撒き散らし始めた。


「衛星軌道上からの攻撃みたいだけれど、狙いは俺達だよね?」

「どう見てもここら辺りを狙っておるな」

「船は大丈夫かしら」

「船はイージスで守られているから大丈夫だよ」


 剣聖はイージス内にある丘の上から戻ってくると状況を教えてくれた。母は船を心配しているが、分身ミネルヴァがイージスで守っているので無傷だろう。

 十分くらい待っても落下物が止まらないので、入り江の周辺の被害が尋常じゃなくなって来た。青い海が落下物で汚され折角のバカンスが台無しなので、俺は怒りを覚えた。

 俺は衛星軌道上から落下物を落としている物を排除しようと、収納からある物を6体出した。


「アダマス・メイド参上!」

「「「「「「マスターのお望みのままに!」」」」」」


 アダマス・メイドは皇妃殿下対策で俺が作った、超硬合金アダマンタイト製のゴーレムだ。姿形は若い女性を模しているが、分身ミネルヴァが操っているので自由自在に動くことができる。色はそれぞれの名前の由来の属性で、イグニスが赤色、アクアが青色、ヴェントゥスが緑色、テラが茶色、ルックスが白色、テネブレイが黒色をしている。俺の魔素で駆動しているのでかなり強い。

 母と婆が非難して来た。


「ソータさん。その子達の服を汚さないようにしてね」

「ソータ様。その子達を怪我させないようにして下さいね」


 母と婆と伯爵夫人はアダマス・メイドを気に入っていて、色々な衣装を着せ替えさせるのが最近のお気に入りとなっていた。今日は地球のメイド服を着ていて、これは母のお気に入りの服らしい。俺的にはディスペンサーやヴァサルスのように執事っぽいのも好みだったんだけれど、母達女性陣に猛反対されて女性型にしてメイドとする事にした。父と剣聖も女性型が好きそうでシリコーン素材で表面を覆ったら触りまくるので余り出したくなかった。どこを触るのかは言わないで置こう。


「分かったよ。スーパー・メイド・モードで行くから、万が一にも破壊されないと思うよ」

「それなら安心ね」

「良かったですね、アーラ様」


 俺はスーパー・ルキウス君と同じようにメイド達を全力の身体強化の状態に移行させた。こうすると服も一緒に身体強化されるので、滅多な事では傷も付かなくなるのだ。蒼汰を強化する訳ではないので魔素反撃症の心配がない。


「メイド達。スーパー・メイド・モードに移行! 落下物を投擲している目標を制圧して無力化する」

「「「「「「はい、マスター」」」」」」


 メイド達はスーパー・ルキウス君と同じように身体が光った。そして俺とメイド達は重力魔法と運動魔法を併用して空を上がって行く。その途中でミネルヴァが提案して来た。


『マスター。アダマス・メイドの兵装(へいそう)を試す良い機会です』

『ああ、それもそうだね。目標が複数居た場合は兵装を試そうか。イグニスがジョイン・ブレイカーで1隻、アクアがマギウス・ガンで1隻ね。テネブレイは俺の護衛を頼む。船が無力化したら、他と一緒で旧ナノ・ゴーレム弾を使って鎮圧でよろしく』

『『『『『『『了解しました。マスター』』』』』』』


 ジョイン・ブレイカーは超硬合金アダマンタイト製の刀だ。分子結合を破壊する魔法陣がナノ・テクノロジーで無数に組み込まれているので、物質であれば何でも切れるようになっている。父と剣聖が凄く欲しがっていたが、魔素を馬鹿食いするので普通の人では起動すらできないので断念していた。

 マギウス・ガンは俺の眷属なら収納が使えるので、いくつかの弾を使い分けて運動魔法で加速して対象に当てる銃となっている。銃と言っても砲身がないので概念だけの武装だ。

 俺とメイド達のイージスが断熱圧縮(だんねつあっしゅく)で赤熱を発しながら衛星軌道に上がると、多数の宇宙船が大気圏下に落下物を落としていた。


『ミネルヴァ、何隻だ?』

『九十三隻です』

『うへぇ! 念のために止めるように言ってみる?』

『全船舶に通信を拒否されました』

『分かった。ではメイド達、制圧して無力化よろしく』

『『『『『『はい、マスター』』』』』』


 蒼汰で飛べるようになってからしばらく経つが、生身で宇宙まで上がったのは今日が初めてだ。俺は眼下の領星アヌルスを見下ろしながら、感嘆の溜息を付いた。

 戦闘が始まりイグニスが、まずはマギウス・ガンでシールド・キャンセラー弾を目標の船に撃った。この弾は宇宙船等の物理結界を無効化させる弾丸だ。目標に着弾して物理結界を無効化させると、イグニスはジョイン・ブレイカーで目標の1隻に切りかかった。船体が真っ二つとまでは行かないが、かなりの切れ込みが入ったので航行不能になったようだ。イグニスは船内に突入して旧ナノ・ゴーレム弾を使って鎮圧に向かった。

 アクアが別の船にマギウス・ガンでシールド・キャンセラー弾を撃ち込んで物理結界を無効化させてから、続けて超硬合金アダマンタイト弾で船体に穴を開けて行く。船員や重要ブロックは避けているようで、航行に必要なブロックを的確に撃ち抜いて行った。アクアも船が航行不能になったのを確認すると、船内に突入して旧ナノ・ゴーレム弾を使って鎮圧に向かった。

 俺と残りのメイド達に気づいた船が3隻突進して来た。ミネルヴァの提案に乗る事にする。


『マスター。このままでもイージスでダメージを受ける事はないですが、スーパー・メイド・モードを試します』

『うん、よろしく』


 ヴェントゥスとテラとルックスが突進して来た3隻に、マギウス・ガンでシールド・キャンセラー弾を船に撃ち込んで物理結界を無効化させてから船首を掴んで船を止めた。3体のメイドは船の若木が限界を超えた出力で航行不能になったのを確認し、船内に突入して旧ナノ・ゴーレム弾を使って鎮圧に向かった。


『凄いなスーパー・メイド・モード。殴り合いなら父と剣聖に勝てそう』

『我も戦いたいのだが……』


 白虎の呟きに四神達が居たことを、すっかり忘れていたのを思い出した。メイド達の兵装テスト会場になってしまっているね。


『宇宙空間って空気が無いんだよ? 平気なの朱雀と青龍くらいじゃ?』


 朱雀は星々を渡り歩いているようなので問題ないはず。青龍は風属性が得意で母と同じように風の結界を張れるはずで空も飛べるので問題ないだろう。


『ぐぬぬぬ……しかしそのメイドとやらの遠隔武器は反則ではないか?』

『別に殴り合うだけが戦いじゃないからね。卑怯に見えても勝てれば良いんだよ!』


 白虎から代わって、玄武が感心しつつも唸るように言った。


『まあそうだな。地球の人族の争いの道具は怖いな』

『他で再現できなさそうな物しか作るつもりないから安心して』

『確かにそれだけの魔素量を普通は用意できないな。ソータしか扱えまい』


 四神と無駄話をしていると、何隻かの船が俺を取り囲んで遠隔魔法攻撃を仕掛けて来た。イージスのベクトル・リアクティブで跳ね返しているのでこちらは無傷だが、跳ね返った魔法も船の結界で消されているので意味がない攻撃になっている。甲板に見える魔法を撃って来る奴らを見ると、どう見ても堅気の商売をしているような人相じゃないので、俺は一気に片を付ける事にした。


『世界樹の銀』

『はい、ソータ様。遠い所にいらっしゃいますね』

『今、衛星軌道上に居るんだけれどミネルヴァと連携して、この宙域にいる宙族の世界樹との契約を破棄してくれ。再契約なしでよろしく』

『アルティウスの求めにより最優先として、該当宙域の宙族の契約を破棄し、再契約不可としました』

『ありがとう。世界樹の銀』

『ソータ様のお役に立てて何よりです!』


 宙族達からの遠隔魔法攻撃が止んだので、俺はこの宙域の若木に呼び掛けた。


『宙族船の若木よ』

『『『『『…!!…』』』』』

『船内の生命維持はそのままで停船して欲しい』

『『『『『…アルティウスの求めのままに!…』』』』』


 これで全宙族船を無力化したはずだ。俺を護衛していたテネブレイも含めてメイド達が停船した船の船内に突入して、旧ナノ・ゴーレム弾を使って鎮圧に向かった。

 俺はミネルヴァに通信を頼んだ。


『ミネルヴァ、伯爵に通信を繋いで』

『はい、マスター。……接続完了です』

「やあ、軍団長。こんにちは」

「こ、こんにちは、です……。ソータさんは宇宙にお手出掛けしたのですか?」

「成り行き上、そうなっただけ。悪いけど伯爵を呼んで貰える?」

「はっ! 直ちに伝令を向かわせます!」


 しばらくすると通信室に魔石伯が音を立てて駆け込んで来た。


「ソータよ。何かあったのか? こちらも落下物が落ちて来て忙しいのだ。幸いにして都市結界で被害はなかったが」

「その件で話があるんだけれど聞きたい?」

「おお! 良く見ると宇宙に居るのか? 今日は海に出掛けているはずでは?」

「メリディム大陸の東海岸の入り江で遊んでいたら、衛星軌道上から落下物で攻撃を受けたのね。領都も巻き込まれたって事は、マギウスジェム領に攻撃を受けたって認識で合っている?」

「何っ! それは一大事ではないか!」


 この時の魔石伯の尻尾は膨らんで上にピンと伸びていた。


「それが皇后殿下の指示だとしたら? 他の領に攻撃した皇族ってどうなるの?」

「!!!!」


 魔石伯の尻尾が下がり、股の間に収まったので困った事態になったようだ。

次回の話は2025年3月3日(月)の19時になります。

ようやくオークションが開催です!


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