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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第1章 幼少期編

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060話 そうだ! 海へ行こう![中編]

 父と剣聖と一緒にウルスメル商会の社屋まで行った。2人が何日もお世話になったので早い方が良いと思ってミーティスを尋ねる。社屋の応接室で待っているとミーティスが駆け込んできた。


「突然どうしたんですか? 何かありました?」

「いや。不肖(ふしょう)の父さんと爺が迷惑をかけたので、ご挨拶にね」

「別に迷惑じゃなかったですけれどね。ホリゾンとは貴族院を出てから、こんなにゆっくりと話ができる機会は早々なかったですし、剣聖と飲み交わしたとか子供に自慢できますよ」


 ミーティスはソファーに座って嬉しそうに語った。そして剣聖の髭がない事に気づいて、ミーティスはギョッと目を凝らした。


「髭がないですね……」

「フフフ、格好良いよね!」

「違和感が凄いので髭ありでお願いします。今日は髭がないのを見せに来たのですか?」

「まさかっ! はいこれ。ウルスメル商会で使ってよ」


 俺は収納からベヒーモス革の魔法鞄を出してミーティスに渡した。スペックとか経緯を話すと呆れたように俺の事を見つめた。


「凄くありがたいですが、ホリゾンも着けているのを見ると貰ったのですね。グロスさんはどうしました?」

「タダで貰えないって言うからレンタルすることにした」

「レビタス・バイクでしたっけ? あれもグロスさんに?」

「うん」

「それは素晴らしいですね! どう考えても当面の食料が足りないので困っていましたが、これで当分は凌げそうです」

「そんなに足りないの?」

「オークション中は数万人が滞在しますからね。伯爵はご存じですよね?」

「あのワンコは、そこまで頭が回っとらんのではないか?」


 剣聖が辛辣(しんらつ)な意見を述べた。オークションの計画書に書いてあったはず。読んでも指示するのを忘れていたのかな?

 俺はミーティスに渡した魔法鞄を一旦は返してもらって、収納から加工した穀物と豆類、根菜、葉物野菜、白砂糖や香辛料、果物や木の実やバニラと板チョコレートに植物油と、食品植物ダンジョンで取れてアルグラを使って市場で売れる状態にした物を突っ込んだ。入れた量は領都で消費される数ヵ月分はあるので、オークションは乗り切れるはずだ。

 父達はその量に呆気に取られて言葉を失っていたが、我に返ると感想を述べ出した。


「ど、どれだけ食料を持っているんですか?」

「儂は孫にドン引きしたぞ」

「いつも大量に材料をポンポンと出して頂いていましたが、これ程にお持ちだとは思いませんでした」

「だって香辛料が出るまで食品植物ダンジョンを周回したからね。全然出なかったから結構な回数を回ったんだよ。爺の魔法鞄の回数なんて鼻で笑えるくらい大変だったの」


 後は暇な時に見て回って買い漁っている、市場や牧場での戦利品の玉子、生乳、生肉や加工肉等を追加で魔法鞄に突っ込んだ。


「あーっ! 市場と牧場の買い占めの犯人はソータ殿だったのですね!」

「人聞きが悪いな……。余って捨てるとか言っていたのを買ってあげていたんだけど。ちなみに神聖魔法で浄化済みだし、俺の収納は時間停止しているから品質に問題ないよ」


 ミーティスに責められているような気がするけれど、俺は大人だから困っているようだし助けるよ!


「確かに時々、市場や農場に付き合わされていた成果がそれなのですね」

「儂も付き合っていたが、売り手は喜んでいたので本当だと思うぞ」


 父と剣聖に助け舟を出された。俺は今回に売って欲しい商品も魔法鞄に突っ込んで鞄をミーティスに返した。


「さっきのは何ですか?」

「男性用の避妊具だけれど、ウルスメル商会で売って欲しい」


 ミーティスの疑問に父が俺に代わって切羽詰まった感じで、使い方とか利点を説明していた。それだけ早く欲しいのかな? ミーティスも辛かったようで切実に訴えて来た。


「妻が妊娠したので私も辛かったです。もっと早く作ってくれれば良かったのに……」

「そうですよ。ソータ殿も男なら辛さが分かりますよね?」

「アルグラに嫌がられていたんだよ。はい、ミーティスは俺と伯爵と同じ大きさね」


 俺はミーティスに普通の大きさを渡して肩を叩いた。父と剣聖と白虎の大きさを聞いて、俺とミーティスは抱き合って慰め合った。


「白虎様は男の神様ですね! でも男は大きさだけではないと思います」

「うん。俺もそう思うよ」

「しかし妊娠中も致せるのは良いですね、これ」

「妊婦の体調が良い時に、余り激しいプレイはなしでね。ちなみにそれ、地球のより良くなったはず」

「何か改良をしたのですか?」

「魔素で素材を強化して破れにくくなって、感触をダイレクトに伝えられるようになった」


 俺は試作品として地球品質の物と、魔素で強化した物を取り出して指に装着させた。父と剣聖にも指で試させてみる。


「これ凄いですね! 薄いですし魔素強化版は、物に触れると被膜の感触がなくなって、触れた物の感触が伝わってきますね。地球の物も凄いですが、魔素強化版は段違いです」

「ミーティス、早く発売を!」

「えっ?! ソータ殿に貰ったんじゃないですか?」

「フフフっ!」

「孫が悪魔に見えるぞ……」


 俺はお仕置きの経緯をミーティスに話すと、呆れたように肩を竦められた。父と剣聖が俺を置いて逃げた経緯まで聞いていなかったらしい。父が不穏な動きをしたので、ミネルヴァに指示を出した。


「ミネルヴァ、父さんの持っている避妊具を回収!」

『はい、マスター』

「あっ! まだあの薬の効果が残っているのか!」


 父は魔法鞄に仕舞おうとしていた避妊具を、ナノ・ゴーレム薬でミネルヴァに操られて俺に差し出して残念がる。


「説明書にも書いてあるけれど、他で試したやつとか使用済みを再利用したりしないでね!」


 ミーティスはお仕置きの意味を理解してくれたようだ。


「お仕置きでは仕方ないですね。発売まで2週間くらいかかりますし、丁度良いのではないですか?」

「そ、そんなにかかるのか……」

「許認可があるからね。ギルドに報告したり、伯爵の許可を取ったりしないと勝手に販売できないよ」


 俺は魔石伯の考えそうな事を補足した。


「伯爵には物が渡っているから話は通しやすいと思うよ。ただ承認のサインはゆっくりしそうだね」

「何でですかっ!」

「だって伯爵に大きさでドヤ顔していたじゃん。多分こんな事を言われそう。「ホリゾンよ。大きくても使えないならば宝の持ち腐れだな」とか?」

「伯爵なら言いそうですね……」

「息子よ。戦ってはいけない時もあるのだ。良い経験になったな」

「やってしまいました……」


 父はミーティスと剣聖に駄目出しされて、事の重大さに気づいたようだ。


 帰路について1週間くらいしてから、そろそろ帝都に着いて落ち着いた頃じゃないかと思って、自分の部屋からオケアヌスに通信を入れてみた。


「そ、ソータ様!」


 オケアヌスは何か凄く嬉しそうな顔をしながら、統合作戦本部の通信の魔術具を奪うようにして、自分の執務室に逃げ込んだようだ。


「通信の魔術具を持って来ちゃって良いの?」

「どうせこの通信で埋まっているので問題ない」


 私的利用で上司に怒られなきゃ良いけれど。将軍の上司って皇帝なのかな?


「自分の通信の魔術具は持っていないの?」

「こんな高価な物は買えないぞ! ダンジョンでも滅多に出ないし」

「う~ん、後で玄武に作り方を聞いて作って送ってやるから、今度からそっちでやり取りするか。仕事の邪魔をするのも本末転倒だし」

「つ、作れるのか!」

「魔法鞄に使う時間魔法と空間魔法はまだ習っていないから無理だけど、それ以外なら作れると思う。ただ大っぴらにすると神殿が煩そうだから内緒な。通信費がタダになるから」

「通信費がタダ!! そう言えば魔法鞄だけど白虎様から神託が来てビックリした。補修とスペックアップしてもらったので快適になったし」

「父さんと母さんに新しいのを上げて、ダンジョンからの取得組のお前達に何もなしって訳にも行かないからね。将軍職は落ち着いた?」

「まだ大変だ。そちらに行って父上と話せたのは良かったが、私は実績がないからな……」

「実績って強さ?」

「ああ。父上とかホリゾンみたいにドラゴンスレイヤーになれればなぁ」

「ドラゴンだったら倒しに来れば? 金欠で素材が欲しそうだから父さんが手伝うと思うよ。俺も手伝うし」

「またまたぁ。そんなピクニックへ行くみたいに誘わないでくれ。私じゃ……行ける?」

「無制限に回復魔法と神聖魔法の支援を受けられて、最悪では魔人の攻撃を跳ね返せる結界魔法イージスもあるんだよ。それに魔素症も回復できるし倒せない道理がない」

「それ狡くね?」

「倒せれば良いんだよ。名声上がるし素材は高いし良い事だらけじゃないか。父さんなんてお姫様と結ばれたし」

「ルキウス様が産まれてくれて感謝だな! しかしホリゾンは幸運だね」


 今、父が禁欲で辛そうな件をオケアヌスに伝えると2人して笑う。剣聖の髭を脱毛してルキウスと似ている件も話した。ちなみにお仕置き期間が終わったので髭は元のように戻している。

 その流れで男の大きさ比べになった事を話した。


「私は父上とホリゾンと一緒の大きさか。ソータ様は小さいんだ。可愛くて良いね!」

「おい、小さくさいよ! 普通だからな!」

「見て見ないと分からん。今度、風呂とかで見せてくれ」

「お前に見せるのは何か嫌だけれど、小さいと思われたままは癪だな……」


 俺は気を取り直して通信をした本来の目的を、オケアヌスから聞き出した。


「それで帝都は何か動きがある?」

「皇妃殿下の離宮へ頻繁に人が出入りしているから、そちらは注意した方が良いかも?」

「うへぇ。あれだけ神罰を受けて、まだ何かやる気があるのか! 女の嫉妬は怖いな」


 結局はオケアヌスにドラゴン退治と風呂の約束をされて通信を終わった。


 俺は皇妃殿下対策とか、この領都の急激な人口増加の対策をした。北東から右回りに火土闇属性の結界モニュメントを外方向に移動させて領都を広げる。畑と牧場と住宅地に、商業区と職人街が3倍は広がったので、今後の数十年は用地に問題がなくなったはずだ。山が3個も収納内に増えたのだけは解せぬが……。

 オークション前に関わらず他領の貴族が頻繁に視察に訪れるようになった。そろそろ隠せなくなくなってきたので玄武にお願いして、世界樹の取り扱える魔素量を増やした事にし、都市結界は魔人クラスまで耐えられるように改良したと神託して貰った。

 それで神託の受け先がモレストゥスの頃から聖女ラーナになっているようで、ラーナが神殿を辞めたので神託の内容が分からないと神殿が文句を言って来たそうだ。魔聖達が対応してくれたようだが辞めるにあたって神殿側が育てた費用がと言って来たようなので、文官転職を勧めた俺としては神殿に金を払う事で和解をさせた。

 この件では少し頭に来たので神託の受け先はそのままラーナにして、ラーナは神託の内容を神殿に売るように仕向けた。それで稼いだ金で和解費用を俺に返してくれる事になる。神殿は神託の内容を発表しなければならないので、神託の情報を質に入れた感じだ。目先の和解金に目が眩んで先々の事を考えられない神殿を皆で笑った。ラーナは思わぬ収入にホクホクなようだ。


 春の終わり頃、公爵領の治療希望者がアイルと共にやって来た。


「ソータさん!」

「アイル!」


 俺は熊人のパンダ柄の獣人アイルに抱きついて、モフモフを堪能する。後ろの治療希望者達が本当にこの人が治療できるのかと心配しているが、モフモフの誘惑には勝てなかった。

 治療希望者は十五人居て、その中の1人が担架で運ばれて咳をしていたので嫌な予感がした。俺は収納から新ナノ・ゴーレム薬を出して、咳をしている患者にかけた。


『ミネルヴァ、病名を』

『はい、マスター。お待ちください……結核です』

『この人は俺が神聖魔法で治療するから、その後に肺の修復を頼む』

『了解しました』


 俺が急に真剣な顔になったのでアイルは驚く。ちょっと感動の対面が台無しだね。


「結核を神聖魔法で治療する」


 咳をしている患者に神聖魔法をかけると、咳が止まり苦しそうな表情が和らいだのを見て、治療希望者達は感心してどよめいた。


「この結核と言う感染症は他に感染するので、念のために全員に神聖魔法をするね」


 俺は治療希望者達だけでなく、アイルと家族にも神聖魔法を使った。念のために俺に付き添って来た父と剣聖にもかける。それから公爵領の船内に同乗して来た乗組員と、乗組員に接触したと思われる宇宙港の港湾関係者にも神聖魔法を使う。港湾の警備に付いている領軍の隊長がスタンピードの時に治療した獣人だったので、話がスムーズに済んで良かった。


「感染症は食い止めたので、ここに居る方々はもう安心だから」


 俺が安心宣言をすると、皆の顔のこわばりが解けて笑顔が見られるようになった。


 治療希望者達は城の領軍団本部で治療される事になっているので、レビタス車で移動して貰った。

 結核患者だった人は神殿でも治療が出来なかったようで、後は自然回復するか死ぬまで放置するしかなかったようだ。魔石伯に報告してフラステス公爵に通信する事にして、こちらから結核用の神聖魔法の呪符を送る事にする。俺はアルグラで百枚作って、航宙者ギルドに依頼して直行で送ってもらう事にした。結核患者だった人と接触した人に使って貰えれば、まずは安心と言った所だ。

 結核問題が済んで領軍団本部の病棟で、俺はアイルの家族を紹介された。


「今回、治療でお世話になる父さんのフォルトで、母さんがロサ、妹のリーリが私の家族になります」

「うわぁ。パンダ一家だ! 俺はソータね、よろしく」

「本当に切った足が生えて来るのか?」


 アイルの父親のフォルトは半信半疑なようで、疑わし気な目を俺に向けた。治療希望者達は治療についての守秘を契約で済まして、今から治療する感じなので実感するのはこれからになる。


「うん、問題ないよ。不治の病の結核患者が治ったでしょ? 足を生やすなんて訳がないね」

「凄い! お兄ちゃん!」


 妹のリーリが俺を褒めてくれた。俺は頭を撫でてやると共に、おやつにクッキーの袋を収納から出して渡した。母のロサがリーリを窘めた。


「わぁ! 美味しい!」

「まぁ! ありがとうが先でしょ? リーリ」

「ありがとう、お兄ちゃん!」


 俺はミネルヴァと相談しながら患者に新ナノ・ゴーレム薬をかけて回った。病名としては部位欠損者6名、がん患者が3名、臓器疾患が2名、尿路結石1名、結核1名で、不明が2名だった。不明2名は痛い部位を調べても問題なく、脳や神経の病気を疑ったが既存で知られている病気に該当がなかった。


『この不明の2人が分からんね』

『申し訳ありません。マスター』

『ミネルヴァの責任じゃないでしょ。う~ん、地球にない病気なのかな』

『それでは魔素の動きを追ってみます……全ゲノム・シーケンスの解析と比較を要求します』

『うわ。遺伝病なのかな?』

『まだ断定できる情報がありません』

『分かった』


 俺は不明2名の遺伝子サンプルを取得し、アルグラを召喚して宥めつつ全ゲノム・シーケンスの解析をさせた。ミルネルヴァは続けてゲノム・シミュレーションを行ってくれた。


『マスター。この2名は繰り返し魔素症になったか尋ねて頂けますか?』

『OK』

「お2人は頻繁に魔素症にかかっていました?」

「どうしてそれを……」

「かかっていました」


 2人は不安そうに呟く。


『おそらくですが魔素症を繰り返すことで獣化が進行しているようです。急速に遺伝子の改変がなされているので、その部位が悲鳴を上げている状態です』

『それは不味いね。取りあえず神聖魔法で魔素症の治療をするよ』

『お願いします。私の方では痛みを止めてから遺伝子の改変を元に戻しますので、追加で新ナノ・ゴーレム薬2本ずつ投与をお願いします』

『OK』


 俺は神聖魔法で魔素症の治療を2人にしてから、新ナノ・ゴーレム薬を2本ずつ2人にかけた。


「痛みがなくなった!」

「私も!」


 神聖魔法で魔素症を治すと劇的に改善し、新ナノ・ゴーレム薬で一時的に痛み止めがされて笑顔が戻った。


「今は一時的に痛みを止めているだけなので、完治にはしばらくかかるよ。ただ元の状態に戻るとは言っても、魔素症を繰り返したことによる獣化が原因だったので、また元の無理を続けていると獣化が始まってしまうよ」


 聞いた所、この2人は領軍に所属している水属性持ちのポーション作成人で、毎日頑張ってポーションを作成しているので魔素症になるのが日常茶飯事(にちじょうさはんじ)だったようだ。公爵は水属性ポーションの効果が高いと知ると、領軍で水属性を使える者にポーションを作らせていたようだ。

 俺は公爵がウルスメル商会と契約してまもなくアクアヴィータが販売されて、回復薬品の品薄は解消される方向に進むだろうと教えて上げた。


「神殿の神官が頼りないので仲間の事を思って頑張っていましたが、アクアヴィータの事を聞いて安心しました!」

「品薄が解消されるのは良いですが、魔素症にならないくらいに我々のポーション作りの量が少なくなって大丈夫でしょうか?」

「そこら辺りは公爵に聞くしかないね。アイル、こっちに着いた報告と一緒に公爵に通信しようか」

「ソータさん。長距離通信は物凄く高いですよ」


 アイルが心配してくれたが、元から通信の魔術具を使うつもりはない。


「軍団長、通信部屋を使わせてもらって良いよね?」

「伯爵の許可が必要なのです……」

「俺が通信の部屋(・・)を使いたいって言えば分かると思うよ」

「聞いてまいります!」


 軍団長の命令で伝令が走って行き、暫くすると魔石伯が走って来た。


「ソータよ。長距離通信は物凄く高いのだが……」


 物分かりが悪いワンコだね……。俺は魔石伯に近寄って小声で囁いた。


「部屋を借りるだけでオケアヌスの時と同じ感じにするよ。部屋にいる人には通信の魔術具を使っているようにしか見えない。もちろん料金はタダね」

「何だ、そう言う事であるか! それならば問題ない」


 俺達は通信部屋に行くと父と剣聖に魔石伯、アイルに獣化治療中の2人を感覚共有する。ミネルヴァだけに聞こえるように念話をして公爵に通信してもらった。


「公爵、マギウスジェム領の領都に到着しました」

「おお、アイルか。無事に着いたようだな」

「こんにちは、公爵」

「ソータ師匠ではないですか!」

「それで、こちらで問題があったので、ソータさんから公爵に報告と相談になります」

「分かった。聞こう」


 俺は結核の経緯と対処として、神聖魔法の呪符を送った事を話した。


「それはありがたい! 報酬を出さねばならぬな」

「報酬の交渉は伯爵として下さい。もう1点、確認があります」


 俺は水属性ポーション作成者が魔素症を繰り返して、獣化の一歩手前になっていた事を報告する。


「今後はポーション作りを魔素症にならないように抑えて良いかと、他に魔素症を繰り返すことがないように徹底させて頂きたいです」

「そこまで頑張ってくれていたのか……。もちろん魔素症まで求めていないので現場には徹底させるように通達を出そう。それと2人には領軍のために頑張ってもらったので褒賞(ほうしょう)を出すとしよう」


 褒賞と聞いて獣化治療中の2人は喜んでいた。


「しかし公爵。水属性以外でも回復魔法は使えるので、回復魔法に任せれば薬品に頼らずとも逼迫(ひっぱく)しなさそうだけど?」

「回復魔法の呪文を神殿が教えてくれんのだよ、ソータ師匠」

「えっ?!」


 俺は予想外の事態に言葉を失った。自分は無詠唱なので呪文は必要なく、他の人は呪文が必要だったと認識していなかった。そう言えば冒険者とかは神殿の神官を辞めて冒険者になった者とかが居るので、その人が回復魔法の呪文を教えていたのを思い出す。

 剣聖が助け舟を出してくれた。


「公爵。魔聖が回復魔法の呪文を知っておるぞ。儂は魔聖から回復魔法の呪文を教えて貰った」

「イーリスか! 妹の魔法好きが役に立つとは!」

「そうすると軍関係者は回復魔法の呪文を知らない可能性が高いね。伯爵、ここの領軍の皆は回復魔法の呪文を知っているの?」

「知らぬであろうな。派遣された神官以外が使っておるのを見たことがない」

「これは盲点だったね。魔聖にお願いして回復魔法の呪文を軍関係者に伝えてもらった方が良いね」

「イーリスには私から言うようにしよう。剣聖もそれで良いか?」

「儂は将軍を退(しりぞ)いた身です。愚息のオケアヌスを通して頂きたい。ただ魔聖は帝国軍に所属しているので問題ないかと」


 マギウスジェム領の領軍は、剣聖が回復魔法の呪文を教える事になり皆が喜んだ。

 父も回復魔法の呪文を知らなかったようで、剣聖が知っている事に疑問を呈した。


「父上は抜けているのか、回復魔法を隠し玉としていたのかは分かりませんね」


 その後、尿路結石1名は数時間もすると治り、臓器疾患の2名は1晩もすると良くなり、がん患者の3名は2晩で寛解してがん細胞が無くなった。獣化の2名は3日で遺伝子が元に戻った。部位欠損者は長くて5日で手足が完全に再生した。

 アイルの父のフォルトは俺に誤って来た。


「まさか本当に失った足が生えて来るとは思わなかった。ソータさん、疑ってすまなかった。ありがとう」

「ありがとうございます」

「ありがとうございます、ソータさん」

「ありがとう、お兄ちゃん!」


 アイル一家にお礼を言われて、俺は気恥ずかしくなる。


「後は新しく生えて来た足を使ってリハビリだね。筋力も戻してあるから、2~3日で失う前くらいに動けるようになるよ」


 アイル一家は城内の庭師の住宅に住むようで、他の患者は公爵領に帰って行った。

次回の話は翌日の19時になります。

ようやく海産物ゲット!


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