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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第1章 幼少期編

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048話 モフモフ・パラダイス防衛作戦[後半]

 城の居間で父と母、剣聖と婆、伯爵夫婦と家令のディスペンサーの人員で寛いでいる時に、錬金窯で作った高位薬品を魔石伯でデモンストレーションしていた。


「それで高位薬品の意図は何かしら?」


 母は疑問を呈したので、牧場のラク親子が体験した神殿が獣人の治療拒否をした件を伝える。俺は玄武にもらった宝箱を収納から出す。


「この玄武からもらった宝箱は原初の海とアイテムのやり取りができるのね。こちらの生命の庭からも原初の海にアイテムを送れる。俺が高位薬品を作って、この宝箱経由で原初の海に送るの。

 神様達は各ダンジョンの宝箱にアイテムを入れられるみたいなので、万能薬と高位聖水を獣人限定の高確率で入れてもらうようにしようかなと。

 ハイポーションはアクアヴィータが売れなくなると困るから少な目にして、神殿が獣人の治療拒否を止めるまで続けるつもり」

「あと何か紙の束を沢山作っていたでしょう?」


 母に見られていたようで俺は驚いた。収納から紙の束を出す。


「うん。これ契約魔法ができる呪符(じゅふ)っていうアイテムね。1枚につき1回の契約魔法が使える。これをウルスメル商会で販売しようかなと」

「ソータ、私にくれるのだ!」


 魔石伯のペロペロ攻撃が激しくなり、机の上に置いた呪符を取られそうになった。剣聖が魔石伯の頭を掴んで引き離してくれた。


「ワンコは油断も隙もないな」

「契約魔法も神聖魔法なのだけれど、稼ぐのは駄目だったはずよ」

「そこは帝国法を良く調べた。稼ぐのが駄目なのが神聖魔法の行使と記載されていたから、魔法が使えるアイテムの販売は対象外だね」


 回復するポーションと、毒や病気に穢れや呪いは治療する薬品が知られているので、法で神殿以外が薬品等のアイテムを作成して売って金稼ぎは出来ない。契約魔法はアイテムで代わりができるのが知られていなかったので、呪符にして売って神殿の邪魔ができる算段だ。


「これで駄目だったら世界樹にお願いするかな」

「お願いと言う命令ですね」


 魔法を一時的に使用不可にされたことがある父は顔を青ざめた。母がまた疑問を呈した。


「その魔法陣は写されて真似されないかしら?」

「俺の作った魔法陣は暗号化されていて玄武でも読めないよ。それに魔紋で認証しているから複写されても俺の魔紋で有効化しないと動かないようになっている」

「そんな凄い魔法陣が貴族院の教授連中に見つからない訳がないから心配ね」

「あっ! ……まあその時は考えるよ」


 まあそういう人達は技術的な見返りがあれば黙るので扱いやすいとも言える。唯一の面倒な事は拘束されて納得するまで離さない技術者魂がウザイくらいか。


『ソータ!』


 創造神が弾んだ声をしてやって来た。


「どうしたの? 創造神」

『品評会やるって。来られる?』

「おっ! 品評会やるんだね。お土産を詰めるから待っていて」

『うん!』

「前に言っていた神々の品評会ですか?」

「うん。お呼ばれしたから行くんだけれど、お土産をこの宝箱に詰めないと」


 俺は宝箱を開けて収納から色々と詰め込んだ。宝箱の上に収納から出現させると、宝箱に吸い込まれるので楽ではあるが数が多いので時間がかかった。

 ドラゴンバーガーからローストドラゴン等のおつまみセット、スイーツとしてドーナツとクッキーとアップルパイと各種ジュースを入れる。原初の海で作れなさそうなマヨネーズや醤油等の調味料も忘れてはいけない。

 最後にダンジョンの宝箱に入れてもらう用に高位薬品を大量に詰め込んだ。魔石伯に渡した分もそうだが今回は瓶が足りなくなったので、石油からペットボトルを作ってしまった。ハイポーションを1万本、万能薬と高位聖水を百万本ずつ用意してある。

 母に尋ねられたので正直に答えた。


「とてつもない箱数だけど、お土産にしては多くないかしら?」

「ダンジョンの宝箱に出して貰う予定の万能薬と高位聖水を百万本ずつ作ったからね」

「「「「「「「百万本!!!」」」」」」」

「もしかして神殿が獣人の治療拒否しているのを、物凄く怒っていませんか?」

「俺のモフモフ・パラダイスを邪魔しているのは排除しないと!」


 父の質問に憤りを思い出して、獣人だと治療拒否とか意味が分からない。あまり地球の論理を持ち込みたくはないけれど、近場で困っている人達が居るのは見過ごせなかった。


「また神殿と事を構えるのであれば、儂は協力するぞ」

「私も協力しますよ。ミーティスも神殿には困っていましたし」

「獣人の代表として協力させてもらうぞ」

「スマラとクリスのためにも応援させてもらうわ」

「坊ちゃまのお若い時の治療拒否は忘れられません。応援させて下さい」

「私も神殿には思う所があるので協力したいね」

「私も陰ながら応援しますね」

『ソータ。また面白い事を始めるんだね』

「そうなんだよ。創造神も協力してくれる?」

『もちろん!』

「創造神が協力してくれるって」

「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」

「爺、抱っこして俺の事を寝かせてくれる?」

「もちろんじゃ!」


 俺は最後に呪符を宝箱に入れてから収納に宝箱をしまうと、剣聖にしなだれかかって原初の海に行った。原初の海に行くと創造神の寝所ルクスネブラの近くに出て、創造神が俺に飛び込んできた。モフフカの感触は素晴らしいのでしばし堪能する。


『それでどこで品評会をするの?』

『白虎の集落だって』


 俺と創造神は白虎の集落に向かうと品評会の準備が終わった所のようで、集落中央の広場に机が並べられていて、上にお酒が並べられていた。


『創造神様、ソータ!』


 白虎が手を上げて歓迎してくれた。白虎の机の前には巨大な幕がかけられていて、お酒が見えないようになっていた。


『えー、何で見えないようになっているの?』

『そりゃ最後のお楽しみって物だ。玄武から聞いたが、ソータがお土産を持って来てくれるって言っていたが手ぶらだな』

『宝箱に入れたんだけれど……あ、あそこにあるね。お土産を出すから創造神は待っていて』

『うん』


 宝箱の前には結構なスペースの机が並べられているので、玄武に見透かされていたようだ。宝箱から色々な料理を出すと、白虎の子孫で女の子の子虎(ここ)が目を輝かせながら近づいて来た。


『凄い料理ですね! ソータ様』

『うん。頑張って作ったんだよ』


 スイーツを出すのに取り掛かると、朱雀が飛んでやって来た。


『ソータ、それ欲しい!』

『朱雀様、まだ始まっていませんよ』


 朱雀がアップルパイの匂いを嗅ぐと、親戚の老女に見える鳳凰(ほうおう)に窘められた。


『おっ! お土産が沢山だな。ソータ』

『絶対に見越して机を大量に用意していたでしょ! こっちと物がやり取りできる宝箱とかくれるし確信犯だね』

『玄武はソータ様のお土産を楽しみにしていましたよ』

霊亀(れいき)。それは言わない約束じゃ……』


 玄武は番の女性の霊亀に楽しみだったのを暴露されて()ねた。


『あらソータいらっしゃい。今日は私が勝つわよ!』

『途中でソータ様に助けを求めに行こうとされていましたけれどね』

『行かなかった私は偉いでしょ!』


 青龍の子孫の男性で黄龍(おうりゅう)が途中経過のネタ晴らしをした。それを聞いた玄武は分が悪そうに顔を反らした。

 白虎はパンッと手を打ち鳴らして、注目を集めて大声を張り上げた。


『皆が揃ったようだし品評会を始めるとしようか! それぞれの集落の酒を飲んでみて、良いと思う酒の上位2品に投票する感じだ。今日はソータが料理を持ち込んでくれたので、皆で楽しもう!』


パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ……


 皆の拍手で開始され、俺も2枚の何も書かれていない札を渡された。この札に気に入った酒を書いて投票するらしい。


『ソータはどれから飲むの?』


 創造神がフヨフヨと近づいて来て俺の肩に乗った。


『そう言えばお前、飲み食いできないって言っていたけれど、感覚共有されるのは嫌?』

『あっ! そんな魔法あったね。ソータしてくれる?』

『もちろん! 創造神と感覚共有』


 まず朱雀の酒に向かってみた。どうやら白い酒で飲んでみるとココナッツミルクのような甘い酒だった。(ほの)かにバニラっぽい香りもするので、女性には良さそうだ。朱雀は俺が飲んだのを見ると感想を聞いて来た。


『どう? ソータ』

『甘くて口当たり良くて旨いね。バニラよく見つけたね』

『飛んで探すのに苦労したの』


 次は玄武の酒に向かってみた。酸っぱいどぶろくのような酒は跡形もなく、透明で甘くて後味の良い飲みやすい酒に仕上がっていた。玄武がコッソリと近寄って来た。


芋焼酎(いもじょうちゅう)なのだが、どうだろうか?』

『普段の飲みに良いね。甘い割に後味がスッキリしていて飲みやすい』

『……地球の酒の品数が多すぎて選ぶのに苦労したくらいだ』

『フフッ! 私は何も聞いていないよ!』

『ありがとうございます!』


 玄武は創造神に礼を言って、そそくさと逃げて行った。

 次は青龍に向かうと、感心するどよめきが上がっていた。


『『『『おおっ!』』』』

『どれどれ……』


 どうやら飲んでビックリと言うより、見た目で楽しむ酒らしい。青龍は透明のグラスに透明な酒を注ぐと、上から果汁を絞って酒に混ぜた。すると色が変わるので面白い仕掛けの酒になっていた。


『あ、これ知っている。青龍、もう1杯注いで』

『分かったわ』


 俺は宝箱に行って炭酸水のペットボトルを取って来ると、青龍が注いでくれていたグラスに炭酸水を注いで混ぜた。青龍が注いだ果汁入りの方は酸性度が高い順にピンクとパープルになり、俺が注いだ炭酸水は酸性度が低いのでブルーになった。


『凄い! もう1色できたわね!』

『シュワシュワして面白いから飲んでみて』


 青龍はグラスの中の泡に恐々としながら飲むと、口の中で弾ける炭酸に目を見開いた。


『まあっ! 面白い飲み口!』

『私にもくれませんか!』

『俺にもくれ!』


 他のアルティウスも殺到したので、俺は炭酸係になった。少し落ち着いた後に自分で飲んでみると、創造神の光が点滅し出した。


『痛痒い感じ?』

『ハハハッ! 面白い表現だな!』


 俺がゲップすると創造神は大きくなったり小さくなったりしたので、不思議な感覚に戸惑っているようだ。

 巨大な幕がかかっていたので皆が後回しにしていた白虎の酒の所に行くと、白虎が除幕式をするようだ。


『捕まえるのに苦労したのだ。驚きの酒を楽しんでくれ!』


 巨大な幕が降ろされると、巨大な蛇のような物体が入った透明な容器が見えた。


『ヒュドラか?』


 アルティウスの1人が呟くと、白虎は自信満々に宣言した。


『ヒュドラ酒だ!』

『首が9つある蛇型の魔物だね。猛毒を持っているはず』


 俺の肩に居る創造神が解説してくれた。白虎は年の行ったアルティウスにヒュドラ酒を配ると、その男性は一気飲みをする。


『ここに来てヒュドラ酒を飲めるなんて思わなかったぞ!』

『え~と……猛毒で飲めるの?』

『身体が魔素でできているアルティウスに毒なんて関係ないぞ。ソータも飲んでみるが良い!』


 俺は白虎から注がれたヒュドラ酒をほんの少し飲んでみた。ピリッと辛くて舌が痺れるような感じがした後に、口から食道を通って胃にかけて熱湯が通るような熱い感覚がして驚く。白虎が感想を聞きたそうに俺を見つめた。


『何か珍味な感じだね。嫌いじゃないけれど。ヒュドラのインパクトが強過ぎ』

『ぐぬぬ……低評価であるか?』

『いや。好きな人には良いんじゃないかな。常用はしないけれど、稀に変わった酒を飲みたい時に良いね』

『いやー。ソータ様は通かも知れないですね』


 子虎がヒュドラ酒を飲み干しながら俺の背中を叩いた。


『ちょっと! 子供に飲ませていいの?』

『私は子供に見えるけれど1万数千歳だからね』


 生命の庭の常識がアルティウスには通じないようだ。

 試飲は終わったので投票になった。俺は玄武と青龍に投票したが、しばらくすると白虎のヒュドラ酒も良かったのではないかと後悔し始めた。ヒュドラ酒は癖になるのかも知れない。投票結果は玄武と白虎が接戦になって2票差で玄武が勝った。玄武の芋焼酎は普段の飲み用に最適だから良いしね。


『すまん。ソータの力を借りた結果だ』


 玄武が罪の意識に耐えられなかったのか白状した。


『僕、知ってた! だって玄武の集落の上を通る時にミネルヴァ見えたし』

『私も知っていたわ。どう考えてもこの酒精の強さは、ソータの所の技術を使わないと出せないもの』

『我も感づいていた。ソータとミネルヴァの匂いがしたからな』

『酒から俺とミネルヴァの匂いってドン引き!』


 白虎がまとめに入った。


『まあ順位など良いではないか。玄武が酒を造って四神の集落に提供してくれるのであろう?』

『まあそれで良いなら造るが』


 何かアーティファクト作りもそうだけれど、玄武は仕事を皆から旨く押し付けられている感じだね。本人は物作りが好きそうだから良いけれど。


『ではソータの持って来てくれた料理もあるし、宴にしようではないか!』


 白虎の掛け声で品評会は終わり、宴に突入した。俺は四神達と同じ机に案内されて飲み食いを始めた。


『ソータ、何か話があるんじゃないの?』

『あ、そうだった!』


 創造神に言われて高位薬品の件を頼むのを忘れていたのを思い出した。俺は宝箱を机の近くに運んで、高位薬品が入った箱をドンと積み上げた。


『それは何なのだ?』

『錬金窯で作った高位薬品』

『それにしても数が異常ではないか?』


 白虎は呆れるように積み上がった箱を見上げた。1ヶ所に積み上げると作った量が分かりやすくて良いね……。調子に乗って作り過ぎたかも?


『ハイポーションが1万本、万能薬が百万本、高位聖水が百万本ある』

『『『『『ひゃ、百万本!!!』』』』』


 創造神にも驚かれてしまった。青龍が呆れた物言いで玄武に疑問を投げた。


『高位薬品なんて玄武しか作れないわよね?』

『ああ。しかし百万本は作った事がないな。ハイポーションの1万本の数も怪しい』

『これを獣人限定でダンジョンの宝箱から高確率で出すようにしてくれないかな』


 俺は生命の庭の神殿で起こっている獣人治療拒否の件を伝えて、神殿と戦う腹積もりを話した。


『僕、協力するよ!』

『それは面白いわね。私達も獣人で昔から差別を受けていて腹立たしいのよ。是非、協力させてもらうわ』

『我も協力しよう。他に出来る事があれば良いが』

『四神は錬金窯を皆が持っているので、錬成して中位薬品までは簡単に作れるから、獣人以外の人族や、獣人でも高位薬品に当たらなかった者にも中位薬品を出してやれば、より確実になるな』


 朱雀や青龍、白虎に玄武まで四神全てが、全面的に協力してくれるようで良かった。


『助かるよ。皆!』


 俺は契約魔法の呪符を玄武に渡した。


『これはっ!』


 俺は魔法陣の暗号化の仕組みと、複写時に製作者の魔紋で認証して有効化しないと動かない事を説明する。


『ソータよ。玄武に玩具を渡さないでくれんか』

『えっ? 何で?』

『……酒を造ってもらわねばならぬであろう』


 俺は白虎の物言いに、玄武が仕事を旨く押し付けられている印象を深めた。

 それから白虎をモフツルしたり、子虎をモフモフしたり、創造神をモフフカしたりして夜が更けるのを楽しんだ。

次回の話は2025年2月2日(日)の19時になります。

ハッピーバースデートゥーユー、ルキウス♪


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