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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第1章 幼少期編

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047話 モフモフ・パラダイス防衛作戦[前半]

 赤茶石ダンジョンからミスリルと材料のボーキサイトを取って帰ったので、冒険者ギルドでギルド長のエレガンターにダンジョンが変質していた事を報告した。


「まあっ! ミスリル・ゴーレムが出たのですか!」

「うん。ただこっちから手を出さないと襲われなくて、ミスリルをくれたんだよ。しばらく観察していたらミスリルが壁に生えて来ていてゴーレムが採掘していたから、ミスリルをくれるダンジョンみたい。ミスリルが取れるからダンジョン・コアは破壊しない方が良いと思うよ」

「それは凄いダンジョンですね! 人気が出ると思います」

「移動が面倒だけれどね。あとこれからドラゴン討伐に行ってくるから、また肉料理の販売をしたいので、よろしく! あと通り道にあるから問答ダンジョンにも久しぶりに行くから」

「ええっ!? 今度はどなたがドラゴンを倒されるのですか?」

「ホリゾンも剣聖も倒したことあるので俺かな?」

「それで良いですね。今度は素材で金を稼ぎたいです」

「儂も倒した事があるので、それで良いぞ」


 俺達は冒険者ギルドの職員休憩所を借りて昼を食べてから、問答ダンジョンと試練のダンジョンに行くことにした。流石にSランクの剣聖が居ると、ギルド職員の立ち合いは必要ないようだ。

 母のショッピングで散財したようで、また父のお財布がピンチらしいので、ドラゴンでも狩ろうと言う話になっていた。流石にお姫様に貧乏生活はさせたくないよね。今度は俺が主体で倒して、素材を父と剣聖で分ける事にする。

 そしてミーティスにドラゴン肉料理の販売の手配をお願いするメッセージを送った。

 航宙者ギルドの定期便の宇宙船に乗って大陸北の赤道付近にあるダンジョンパークに向かい、北の丘の上に行って、まずは問答ダンジョンの石碑の前に来た。


「たまには娘に会って行ったら?」

「そうですね。今回のお心遣いには感謝しますが、世界樹を経由して話はできるのでお気遣いなく」

「そうなんだね」


 ミネルヴァが石碑の問答を解くと、石碑の横の床が音を立てて開いた。階段になっていて下に降りると黒いダンジョン・コアが鎮座していた。ミネルヴァがダンジョン・コアに触れて念話しているようだ。


「あれがミネルヴァ殿の娘なのですか?」

「うん。最初に俺が来た時に銀色のダンジョン・コアがあって、俺の眷属にしたら、この黒いダンジョン・コアが現れて娘だって言っていた」

「ダンジョン・コアの生態なぞ普通は分からんからな。面白い物を見せてもらったぞ」

「話は終わりました、マスター。私の時と同じで問答に訪れる人が居ないのが悲しいそうです」

「宝箱でも出したら?」

「宝箱…ですか?」

「うん。問答を解いたらご褒美が出て来ると、人はやる気になるよ。あと問答の難易度を下げると良いかも。白虎でも解けなかったんだから難しすぎると思う」

「成程……。娘と相談してみます」


 しばらくミネルヴァが念話していると、突然に宝箱が現れた。


「宝箱のサンプルだそうです」

「どれどれ……」


 宝箱を開けて中身を取り出して見ると、ミスリルのスコップが入っていた。


「「「おおっ!」」」


 宝箱の中身はレアな実用品が出るようにしたらしい。ミスリルのつるはしや水筒とか、銀のカトラリーや食器とかが出るようだ。


「これならチャレンジしたくなって良いと思うよ。あとダンジョン・コアは恋愛成就ダンジョンみたいに隠れていると安全かも」

「そうします」


 地下室の奥が伸びてダンジョン・コアが奥に移動し、分厚い壁で遮られて見えなくなった。


「「「凄い!」」」


 父と剣聖もダンジョンが形成される所を始めて見たようで、少し興奮していた。

 ミネルヴァを送還してから問答ダンジョンを後にして、丘の上から海岸に降りると試練のダンジョンだ。


「息子の実力を見られる良い機会ですね」

「孫の雄姿(ゆうし)が見られる良い機会だのう」

「俺、弱いから恥ずかしいな……」


 大きな広間に赤色のドラゴンが赤いブレスを弱く拭きながら待ち構えていた。俺達はまだ遠くなので気づかれていない。ツインテールフォックスの大物を倒した方法の改良バージョンで行ってみようと思う。


「ミネルヴァ、イージスを内向きに展開。イージス内部を二酸化炭素で充満!」

『はい、マスター』


 俺は右手をドラゴンに向けて魔法を放つ。


ドダンッ! ブワッ!


 ドラゴンは昏倒(こんとう)し床に倒れ込んだ。ドラゴンを囲っていたイージスの容積分の空気が突風となって俺達に押し寄せた。父と剣聖は唖然と立ち尽くす。


「終わったからお茶にしようか。念のために十分くらいは放置して置きたいから」


 俺はツインテールフォックスの敷物を収納から出して広げて、お茶の準備をし出した。


「せ、説明はしてくれないのですか?」

「どのように倒したのかさっぱり分からん」


 俺はツインテールフォックスの大物退治の時に白虎にした、二酸化炭素で窒息させた説明をそのまました。


「それは防ぎようがないですね……理不尽です」

「儂と最初に対峙した時にしようと思えば、この方法で儂はヤバかったのではないか?」

「白虎がグラムクルッジを知っていて剣聖だって分かったから、帝国と敵対する訳に行かないからこの手は使えなかったんだよ。あとで鑑定してルキウスの爺だって分かったし、使わないで良かった。ちなみにこの敷物のツインテールフォックスも同じ方法で倒した」

「だからこんな傷がない良質の状態なのですね」

「うん。さっきした生物の呼吸の仕組みと、物質生成魔法は俺の居た地球の科学って知識がないと理解不能だから、ギルドには秘密にしたいかな」

「それならばアルグラ殿で気体の毒を作って倒した事にすれば良いのじゃ」

「ああ、それいいね!」

『わいもドラゴンスレイヤー!』


 父か剣聖に投げてもらえば、アルグラで直接的に倒せるのは黙って置いた。俺はイージスでダンジョン外に通じる吸排気の通路を2本作り、ドラゴンを囲っているイージスと接続して運動魔法で二酸化炭素を排出した。ドラゴンを収納して帰る事にする。

 領都に帰り冒険者ギルドに向かうと、もう見物人と屋台待ちの行列が出来ていた。ギルド裏の戦闘訓練広場には冒険者ギルド長のエレガンターや、そのパートナーで解体長をしているプルクルムが待ち構えていた。プルクルムが超硬合金アダマンタイトの解体道具を抱えながら、俺に話しかけて来た。


「さあソータさん。ドラゴンを見せて頂戴!」

「はいよ」


 俺は収納からドラゴンを広場に出した。


「奇麗すぎるわね。本当に死んでいるのかしら?」

「俺の錬金窯で作った気体の毒で殺したから、傷はないよ。その気体も除去してあるので解体しても安全になっているから」

「凄いわね。前の大きなツインテールフォックスもその方法だったのかしら?」

「プルさんも知っていたんだね。そうだよ」

「あれも奇麗で驚いたもの。それじゃあ解体にかからせてもらうわ!」


 プルクルムは今日も美猫で、尻尾を嬉しそうに振りながらドラゴンに向かって行った。次にギルド長のエレガンターが話しかけて来る。


「ソータさん。本当にドラゴンを倒してしまったのね……。討伐はソータさんで、素材は剣聖とドラゴンスレイヤーのお二人で良いのかしら?」

「うん、それでよろしく。鱗は貴金属四兄弟にドラゴニアの材料にして売る予定。あとは前の1匹と合わせてオークションに出そうかなと思っている」

「まあっ! オークションに出して下さるのね。今でも話題沸騰なのに反響が恐ろしい事になりそう。それからドラゴニアの防具は軽くて頑丈だし冒険者に大人気なんですよ。予約で半年待ちだとか」

「へぇ、そんなになっていたんだ。そう言えば試練のダンジョンに行く前に問答ダンジョンに行ったら、問答が簡単になっていて解いたら中に宝箱があって、これが出たよ」


 俺はミスリルのスコップをエレガンターに見せた。


「それは良さそうな情報ですね! 冒険者に告知しましょう」

「ソータ殿。屋台の準備ができましたが、メッセージで言っていた新作を見せて下さい」


 ミーティスとモーリスがやって来たので、前のドラゴン肉で作ったドラゴン肉の照り焼きマヨネーズバーガーを収納から出した。丁度良い所に伯爵夫婦と家令のディスペンサー、母とマレ婆、グリとグラも現れたので全員に配った。少し遅れてドワーフの貴金属四兄弟も駆け付けたのでバーガーを渡し、丸かじりする食べ方を俺は実演した。


「「「「「「「「「「「「「うまっ!!!」」」」」」」」」」」」」


 既に並んでいる人々が(ざわ)めき出したので、俺は屋台の店員にも渡して食べさせ、素材を渡して作り方を実演した。バンズのパンの切り口を焦げ目が付くくらいに焼き、パティの肉にきちんと火が通っているのを確認するようにと注意点も伝えた。


「ドラゴン肉が解体出来たわよ!」


 プルクルムがドラゴン肉の解体まで終わらせたようだ。俺は解体チームの休憩用にバーガーを配ってから、アルグラでパティ作りをした。前回のドラゴン肉で5千くらいパティがあるので、今回はもう5千くらい作れば、用意したバンズを使いきれる感じだ。

 屋台は前回の塩と黒胡椒、ガーリック醤油の2種類の焼肉も出すようで飲み物も用意したようだ。前回は食べられなかったドワーフの貴金属四兄弟は、俺の(おご)りで優先的に全種類を踏破(とうは)するつもりのようだ。長男のプラティウムが焼肉を食べながら近づいて来た。


「ソータ様、無事にお戻りになられたと思ったら、ドラゴンを退治するとか凄いだべ」

「前回のドラゴンの時は呼ばなくて悪かったね。今日は一杯食べて行ってね」

「ありがたいだべ」

「ソータよ……」


 魔石伯が俺とプラティウムの会話に割って入って来た。


「私も武具が欲しいのだが、予約で半年待ちとか言われたのだ」

「順番くらい守ったら良いじゃん」

「ソータ様の頼みなら優先するだべ」

「えー、伯爵の事は甘やかしちゃ駄目だよ。貴族からは利益を引き出さないと」

「そう言えばミスリルは手に入っただべ?」

「大量に入手したから、後で渡すよ」

「なにっ! ミスリルもあるのか!」

「これで魔鉄、ミスリル、ヒヒイロカネ、アダマンタイト、マギウスチタン、ドラゴニアで武器と武具が作れるようになったよね?」

「全てソータ様のお陰だべ」

「ちょっと待て! 私はそんなにラインナップが増えたのは聞いていないぞ」

「一介の鍛冶屋の金属在庫を、伯爵に言う必要があるの?」

「そんな珍しい金属だらけの鍛冶屋なら貴族連中に宣伝できるぞ」

「それは利があるね。伯爵、貴族連中に宣伝してくれるなら、武具を優先して作ってもらえるようにするけれど? ただし前の曲刀2本も含めて、きちんとお金払ってね! あと順番は守らせてね」

「お安い御用だ! 私が旨く宣伝して見せよう」


 俺達は冒険者ギルドの解体チームやウルスメル商会の屋台部隊に後は任せて、城に一旦は戻る事にした。城の大浴場で俺を含めてダンジョン帰りの3人は仲良く身体を洗いあった。湯上りに居間で寛いでいると剣聖にウイスキーを飲みたいと強請られたので、収納から出して皆にグラスで配った。


「このような旨い酒まで隠していたのだな」

「隠すなんて人聞きが悪いな。それは最近になって作れたんだよ」


 魔石伯にジト目で睨まれたけれど、尻尾がパタパタと振られているので、もっと欲しいらしい。俺は飲みそうな男連中に1瓶ずつ渡すと、母に横のソファーに座るように促されたので座る。母と挟んで俺の横に伯爵夫人も座ったので、両手に花となったが棘付きだった。


「そのウイスキーは私達にも下さらないの? ソータさん」

「アーラ様とマレの肌が、社交界から帰ってきたら白く奇麗になっているのは何故かしら?」


 俺は女連中にもウイスキーを1瓶ずつ渡し、伯爵夫人には使い方を説明しながら化粧品セットを渡した。


「ソータよ。その化粧品は売れるのではないか?」

「俺とアルグラじゃないと絶対に作れないので非売品だよ。化粧品工場になるのは御免だし」

「凄い化粧品なの。高くても買いたいね」

「私がこんな凄い化粧品を使って良いのか今でも躊躇います」

「ちなみに売るとしたら、いくらくらいなのだ?」

「セットで大白金貨くらいだったら考えても良いかも?」

「「「「「「大白金貨!!!」」」」」」


 あくまで考えるので売る気はないが、大白金貨は平民の年収十年分くらいだ。それを聞いた婆が顔を青ざめたので、俺は手を握って婆には使って欲しいと言って安心させた。


「でもこれ次の冬の社交界で使うよね? お姉様」

「ええ。それだけじゃなくて貴族との面会とかの公式の場では使いたいわね」

「そうすると絶対に話題になるよ」

「うへぇ! そこまで頭が回ってなかった」

「そのような非売品で入手できない品となると入手の方法を探られるが、少しでも入手の機会があると、そちらに気が削がれるのだ」

「う~ん、いっその事、数量限定でオークションへ定期的に出すかな?」

「それは話題性があって良いと思いますわ。代金の代わりに私が宣伝しますよ」


 伯爵夫人が請け負ってくれたので、俺は化粧品セットをオークション出品の検討をする事にした。後、前から考えていた事を皆に相談する事にした。


「それでダンジョンから時々に薬品が出るじゃない? その薬品って売ったら駄目なの? 神殿の薬品販売の独占の法律に引っかからない?」

「ダンジョン産はその法律の対象外であるな」


 剣聖は宝箱から出た薬を若い時に売ってお金を稼いでいたようだ。


「俺、錬金窯でポーションの上位のハイポーションと、全ての毒とか病気を治療できる万能薬と、穢れだけじゃなくて呪いや魔素症まで治療できる高位聖水が作れるようになったのね」

「さらっと凄い薬品名が出て来たが、本当なのか?」


 俺が魔石伯に近づくと、剣聖が察したのか魔石伯を羽交(はが)()めにしてくれて、超硬合金アダマンタイトのナイフを構えた。


「えっ? なにをするつもりだ?」


 剣聖は魔石伯を腕まくりさせると、ナイフで腕を切りつける。旨く動脈を避けて切ってくれたようだ。


「ギャーッ!」

「はい、ハイポーション」


 俺がハイポーションを魔石伯にかけると傷が塞がって直った。傷跡は後でナノ・ゴーレム薬で治療すれば良い。次に水鉄砲の内容物の試作で作った、即効性のある神経毒を剣聖のナイフの先端に塗った。剣聖はプスッとナイフを魔石伯の腕に突き立てる。


「ギャーッ! ハワワワワ……」

「神経毒だから口も麻痺したみたいね。はい、万能薬」

「……ひどいぞ」


 俺が万能薬を魔石伯にかけると口が動くようになったようだ。次は暗黒魔法で胃腸炎にした。


「暗黒魔法で胃腸炎にな~れ」

「い、いたた…腹がすごく痛いぞ!」

「はい、万能薬」


 俺が万能薬を魔石伯にかけると胃腸炎が治ったようだ。次は暗黒魔法で呪いをかけた。


「暗黒魔法で呪いにな~れ。伯爵、身体強化か何かして」

「呪いは初めてだな。どれ……魔素症になったぞ!」

「はい、高位聖水。これで終わり」


 俺が高位聖水を魔石伯にかけると呪いと魔素症が治ったようだ。剣聖の羽交い絞めが解かれた。新ナノ・ゴーレム薬を魔石伯にかけると、ミネルヴァは意を組んで傷を完全に消してくれた。


「錬金窯の薬品の実験台にされた気がするが酷いではないか!」

「だって疑うんだもん。お詫びに錬金窯の薬品セットをあげるよ」


 俺はハイポーションと万能薬と高位聖水を2本ずつ魔石伯にあげた。魔石伯は飛び上がって俺に抱きつき、舌で頬をペロペロしてくる。


「これだからソータは大好きだ!」

「ぐぬぬ、止められんかった」


 剣聖の止める動作よりも、魔石伯の抱きつく速度の方が早かったようだ。

次回の話は翌日の19時になります。

品評会が開催されてモフモフ・パラダイス防衛作戦が発動します!


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