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【完結】神様に元の世界に帰りたいと願ったら身体を要求された  作者: 仲津山遙
第1章 幼少期編

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042話 アーティファクトのバーゲンセール[後半]

 冬の社交界が終わって帝都から帰って来た魔石伯は、帰路で皇妃殿下の罠に嵌められて、正式な臨検徽章を持つ臨検官を攻撃してしまい帝国軍と敵対してしまった。運良く別件でギルドカードのアーティファクトを入手していた俺は、帝国軍と駆け引きを有利にするためにアルティウスの事情を生命の庭の人々に伝える良い方法を探していたが、領都の神殿にある世界樹の銀から提案された。


『ソータ様。神託をされてはいかがですか?』

「ああ、それした事ないんだよね。どうやるの?」

『内容を私達の世界樹におっしゃって頂ければ全ての世界樹に伝えますので、そこから全契約者に伝わるようになっています』

「へぇ、便利なんだね。内容を検討するからちょっと待ってね」

『いくらでもお待ちしますよ』

「創造神いる?」

『ソータ呼んだ?』

「「「「目が、目がぁぁ!」」」」


 創造神の光の球が現れると父達には眩しいらしく、俺の後ろに退避して片膝を跪いた。目を抑えながら(うつむ)いている。俺的には優しく光るシェードランプくらいに感じるけれど、今後は感覚共有時に注意かな。


「俺の母さんの宇宙船が皇妃殿下の指示で襲われたんだよね。狐の巣穴ダンジョンでも襲われたし、ここに来る時に襲われた宙族も関係しているんじゃないかと思うんだけど」

『最初の宙族もそうだね。それからスタンピードで魔人が発生した件も関わっているよ』

「真っ黒じゃん!」

「「「「!!!!!!」」」」

「どうにかしたいんだけど」

『消してあげるのも良いんだけれど、ソータのアルティウス教育用に消してないんだよね』

「ソータ殿。消すとは殺されるってことなのか知りたいぞ」


 剣聖が俺のスボンを引っ張って尋ねた。そう言えば創造神の夢で剣聖も消されそうになっていて、本人に伝えたから気になったのだろう。


「創造神。消すってどうするの?」

『ソータにも与えた管理権限があるじゃない?』

「ああ、あれね」


 おそらく最初に会った時にもらったアカシック・レコードの管理権限だろう。


『それを使って対象を消すと存在しなかったことになる』

「それって物質的だけ? 魂もなの?」

『その両方だね。消した対象に連なる子や孫、その直系の親族が全て消えるので最終手段だね』


 後ろの剣聖を見ると少し震えていた。怖がらせるつもりはなかったので、俺は屈んで剣聖の背中を撫でて落ち着かせた。震えが止まったようなので、俺は立ち上がった。


「それはちょっと厳しいね。そこまでじゃないんだけれど、流石にそれだけやらかしていると神罰くらいは与えて良いよね」

『ソータの思うようにして良いよ。教育用に残しているだけだし、手に負えなくなったら言ってくれれば対処するし』

「しかしお前、俺の教育用とか考えていたのね」

『だって、いきなり知らない星に転生させて悪いとは思っていたんだよ』

「そっか。でも考えてくれていたなら嬉しいかな。この頃、来てくれなかったのは原初の海開きで忙しかった?」

『うん。ちょっと手直しは必要だから、もう少しかかるね』

「玄武に聞いたよ。四神で品評会やるんだって? その時はそっちに行くね」

『私は飲み食いが出来ないから、ソータに撫でてもらいたい!』

「もちろんモフモフするよ! 来てくれてありがとう。またな!」

『またね!』


 創造神の光の球が消えた。父達は立ち上がり、冷や汗を拭っていた。


「恐ろしい会話がフレンドリーになされていました」

「儂の孫は本当に創造神に触れるのだな」

「うん。モフフカで気持ち良いよ」

「皇妃殿下の処分が気になりますね」

「どうしようかな……。世界樹の銀、ギルドカードのアーティファクトは幸運な冒険者に在庫を全て下賜したのと、作成者が忙しいのでしばらくの間は下賜できないと神託してくれ。あと皇妃殿下とその直系の親族、懇意(こんい)にしている神官はアルティウスに逆らったので神罰を与えると付け加えて」

『了解しました。全ての世界樹に伝達され、全契約者に神託が降ろされました』

「私にも神託が来ました」

「おお、神託が頭の中に響いたぞ」

「続いて、世界樹の契約管理で皇妃殿下とこの臨検徽章を申請した神官の契約を破棄し、再契約不可としてくれ」

『アルティウスの求めにより最優先として、皇妃とそちらの臨検徽章を申請した神官の契約を破棄し、再契約不可としました』

「ありがとう、世界樹の銀。しかし皇妃殿下は世界樹との契約破棄と再契約不可だけだと罰が軽いかな」

「貴族として魔法が使えないのは致命的だと思うぞ。魔紋で認証ができないのでギルドカードも使えんし、その他の金庫とか開けられなくなったのであろう」


 魔石伯は身震いして言った。例えばこの城の秘密の通路も使えなくなる感じか。ミネルヴァがアカシック・レコードでこのような場合の、神罰の過去例をいくつか提示してくれた。良さそうな例が見つかったので、それで行こうと思う。


「でもどう考えてもまたやると思う。根幹が女の嫉妬だからね。母さんを狙ったのは許せないから、女としての顔を潰すのと、一族を増やせないように本人と子や孫も性的不能にする。ちょっと皆は離れていて」


 俺は初めての神罰魔法をするので、皆を下がらせた。床を足で強く踏むと、黒い光の魔法陣が床に描かれる。


「何じゃ、これは! 黒い光の魔法陣……」

「我に仇なす者に黒き光の神罰を与える。インヴィディアは生きている限り顔が膿み匂いを放つように。インヴィディアとその子グラキエス、そして孫ニクスから子孫繁栄を奪うように。高みに至ったアルティウスの※※※※(剣持蒼汰)は神罰を願わん」


 俺の神罰魔法が創造神の承認が下りて、黒い光の魔法陣から黒い光が立ち上ると、どこか遠くに飛んで行った。黒い光の魔法陣は消えたので成功したようだ。


「神託が降りて来ていたし、何か禍々(まがまが)しい魔法の気配が感じられたのだけれど?」


 母とマレ婆が部屋に飛び込んできた。丁度良いので経緯を説明すると、新事実が発覚する。


「あら、ソータさんが(かたき)を取ってくれたのね、ありがとう。あの女は母上と兄上の仇でもあったのよ」


 どうやらルキウスの母方の実の婆と叔父も、元第二夫人の現皇妃殿下の毒で暗殺されたようだ。証拠が薄いようだが、母は少なくともそう信じているという事だ。


「もっと罰を増やしても良さそうだね」

「でも今頃は肝を冷やしているでしょうね。どこにあるのか分からなかったのだけれど、暗殺に使った毒の保管場所に入れなくて証拠隠滅(しょうこいんめつ)もできないでしょうし、生きている限り顔が膿んで匂いを放つとか見てみたい物ね。本人と直系の親族を性的不能も良い案ね。選民思想で貴族主義なのに血統を残せないとか面白い冗談だし」

「何、選民思想と貴族主義って?」

「私の母は伯爵家だったのだけれど、あの女は侯爵家の出身で散々と身分に関わる嫌味を言われ続けていたのよ。あの女の息子のグラキエスも同じで、私の母の身分が低すぎるから継承権を放棄しろだの、爺の事を好きなのを下賤(げせん)の者にはお似合いだとか、会うたびに言われていたのよね。ホリゾンが止めてくれていなかったら殴っていたわ!」

「もっと罰を増やしたくなって来た……」

「もういいわよ、そのくらいで。それよりも私の船が中破とかショックなのだけれど、その状況だと保険が効かないわ」

「私が修理費用は出そう」


 魔石伯の申し出に剣聖は待ったをかけた。


「その費用は帝国軍に出させる予定だ。その代わりに帝都までの通信費を出して貰うぞ」

「帝都まで……それも高いではないか」

『ソータ様。通信でしたらアルティウスの方は神殿とは別にご用意できますよ』

「あ、母と婆を感覚共有。世界樹の銀。通信の仕組みが分からないんだけれど安く済むの?」

『人族は神殿を介して世界樹の龍脈網を利用しています。神殿を介すると高額なお金が取られるようですね。ソータ様であれば神殿を介さない通信を提供できるので、神殿にお金を払う必要はないかと』

「神殿、通信も独占しているの?」

「世界樹は神殿にあるし、世界樹の呪文が神官しか知らないのでそうなるな」


 剣聖が忌々しそうに呟いた。母と婆は世界樹の言葉に驚いて、父から説明を受けていた。


「ミネルヴァ、世界樹との中継を頼める?」

『はい、マスター。いつでも通信可能です』

「通信の魔術具は使わんのか?」

「ミネルヴァなら大抵の魔術具の動きは真似できると思うよ」


 魔石伯が疑問を呈したが、ミネルヴァは複雑な仕組み大好きっ子だから魔術具なんて不要だよね。


「ソータよ。この城の通信を……」

「居候させてもらっているから家賃とか生活費代わりくらいは提供するけれど、いつでも応じられると思われるのは無理かな」

「そうであるか……馬鹿高い通信費が恨めしいぞ」

『マスター、どこにお繋ぎしますか?』

「ソータ殿。帝国軍統合作戦本部のオケアヌス将軍じゃ。儂の1番上の愚息だがな」

「へぇ。じゃルキウスの叔父さんなのね。ミネルヴァよろしく」

『はい、マスター。アルティウス専用の最優先の回線を使用いたします』

「……この忙しい時に通信だと? 繋ぐな、後にしろ。……何、接続応答しなくても勝手に繋がった? それではまるで神託と一緒ではないか!」


 部屋の中央に帝国軍統合作戦本部の様子が立体的に映し出され、オケアヌスは剣聖に似て赤髪黒眼の偉丈夫(いじょうふ)だった。


「はぁい、オケアヌス。元気だったかしら?」

「オケアヌスよ。忙しいなら後でも良いが、後悔するぞ」


 母は手を振りながらオケアヌスにあいさつし、剣聖が腕を組みながら息子を脅している。


「姫様! それに父上! それと母上とホリゾンまで居るではないか! その犬顔はサピュルス(きょう)か?」

「プフッ!」


 俺はオケアヌスの物言いに思わず吹き出してしまった。魔石伯からジロリと睨まれたけれど、ワンコに睨まれても怖くないし。


「人払いをした方が良いぞ。知られると困るのはお主だ」

「……つまらない話だったら許さないですよ、父上。統合作戦本部は只今(ただいま)より、この通信が終わるまで出入り禁止とする! 今見たことは他言無用なので、漏洩(ろうえい)の場合には厳罰(げんばつ)(しょ)す! 直ちに退出せよ!」


 オケアヌスの背後の人々が慌ただしく退出して行った。


「室内に盗聴防止を施しました。用件を伺いましょうか、父上」

「ギルドカードのアーティファクトの神託が降りたであろう?」

「ええ、その件で統合作戦本部はキラービーの巣を落とした感じでした」


 後ろの父に聞いたら「キラービーの巣を落とした感じ」は、「蜂の巣を突かれたような」に似た慣用句(かんようく)らしい。


「それで儂、幸運な冒険者を知っとるんだが?」

「本当ですか! その方に攻撃しては駄目です父上。ギルドカードのアーティファクトが失われてしまいます」

「プフッ!」


 やはり破壊魔だって息子にも思われているのね。剣聖は疑問の顔で俺を見たので、何を言われたのか分かって居なさそうだった。


「それでそこのワンコが古い臨検徽章だが有効な品を持った偽物の臨検官の乗った宙族船を攻撃したんだが、無かったことにしてくれると助かる」

「それは無理な相談だと父上自身が一番にご存じでは?」

「今回の神罰に関わっているとしてもか?」


 剣聖は古い臨検徽章を一族で継承してきた皇妃殿下の経緯を説明した。


「皇族の継承権争いに加担するのですか?」

「加担も何も、初めから姫様以外に儂は認めんから問題なかろう」

「……確かに今回の神罰で皇妃殿下の系統は傷が付きましたね。それでギルドカードのアーティファクトは誰が手に入れたのですか?」

「私の良い人。ソータさんよ」


 母は俺の腕を掴んで胸を押し付けて、頬にキスまでしてきた。何か後ろで父の殺気がする気がするけれど、気のせいだろうか?


「その名前は聞き覚えがありますね。サピュルス卿の愛人でホリゾンと一緒にドラゴンを倒したとか、魔物を百万体に魔人を巻き込んで一瞬で倒したとか、荒唐無稽(こうとうむけい)な噂が広がっていますが、魔聖が後押ししていて事実だと認識されていますね」

「全部本当の事よ」

「ちょっとアーラさん。愛人はありえないよ」

「あら、そうなのね。愛人以外は本当だそうよ」

「それで伯爵の件を揉み消してくれるのにギルドカードのアーティファクトは何台必要なの? 2台は残して欲しいんだけれど」

「何台? 本当なら1台もあれば十分ですね。ついでに報奨金も払います。何年、他の部署に奪われ続けたた事か……実力行使したいくらいです」

「確か5年は軍で入手できておらんな。最後の方の本音は他で言うでないぞ」

「分かっていますよ。ちなみに台数を聞いて来たって事は複数台を入手したのですか?」

「百台あるよ」

「「「えっ!?」」」


 玄武との件を聞いていなかった母と婆とオケアヌスが固まった。


「……姫様と父上に免じて信じるとしましょう」

「それから報奨金じゃなくてアーラさんの宇宙船の修理費用を出して欲しい」


 俺は母の宇宙船が壊れた経緯をオケアヌスに説明した。


「しかしソータ殿は欲が無さ過ぎますね。一攫千金(いっかくせんきん)なアーティファクトを手に入れたのは良いが、自分は金も要らずに姫様の宇宙船の修理費を軍に持たせて、伯爵の件の揉み消し交渉に使う。何か得があるのですか?」

「良い人の宇宙船を心配して、愛人のピンチを救うじゃ納得しない?」

「良い人かどうかは知りませんが、愛人はさっき否定していたではないですか」


 ホリゾンは素直な良い子なのに、オケアヌスは疑り深いね。でも研究者になりたかった俺は嫌いじゃないんだよね。疑いは発展の礎となるだから。


「世界樹の銀。特定の人に神託は送れるの?」

『はい。世界樹の契約者ならば可能ですよ』

「世界樹? 気が狂ったか?」

「オケアヌスよ。世の中は不思議な事で溢れておる。その一端を味わう時じゃな」

「世界樹の銀。オケアヌスに神託を伝えて。内容はソータを信じよと」

『了解しました。帝都の世界樹の金に伝達され、オケアヌスに神託が降ろされました』

「……神託が!!!」


 オケアヌスは俺をしばらく凝視してから、剣聖を見ると頷かれたので、手の平を上にして腕を頭上に押し上げてから俺に片膝を跪いた。


「まさかアルティウスの方と知らずに、無礼を働きました事をお詫びいたします」

「叔父さん、畏まらないでくれると助かる」

「叔父さん?」


 俺とルキウスが同一であり、ルキウスから見ればオケアヌスは叔父に当たる事を理解させた。オケアヌスは立ち上がると文句を言ってくる。


「最初から私に神託を頂ければ、こんな回りくどい事をせずに済んだと思いますが……」

「俺、アルティウスとしては新米で色々と分からない事だらけなんだよね。神託も今日初めて使ったし。

 それから秘密を打ち明けるには親族と言えども人となりを見ないとね。叔父さんは合格ね。他の人に話しては駄目だよ。近いうちに創造神の理の言葉で、外部に漏らせないようにして貰うけれど」


 念話だけで創造神から伝えられる。


『もうしたよ。ソータ』

「もうしたって。ギルドカードのアーティファクトは送って置くから、揉み消しと修理費はよろしく」

「了解です……色々と聞きたい事や話したい事があるのですが、最後に少し私情を。ホリゾンおめでとう! ホリゾンに息子が先に出来るとは……。姫様、ホリゾンとお幸せに。それから父上、大変なので早く帰って来てください! 母上もお元気そうな姿を見られて安心しました。ソータ様、何れ帝都でお会いしたいです。それでは」

「世界樹の銀、ミルネヴァ、ありがとう。通信は切って良いよ。感覚共有の解除」

『お役に立てて何よりです』

『マスター。通信を切断しました』


 俺は少し疲れたので溜息を付いた。


「この臨検徽章はどうしようか?」

「ギルドカードのアーティファクトと一緒にオケアヌスに送るのが良かろう。儂が対応しよう」

「じゃ爺に預けるね」


 俺は臨検徽章を剣聖に渡した。


「ギルドカードのアーティファクトを取って来ないとな。近場だとあそこなんだよね……」

「どうせオケアヌスに送るので儂が着いて行くぞ。

 それからそこのワンコ。姫様の宇宙船を守ってくれたのは礼を言うが、孫のお願いだから臨検徽章の件は揉み消したが、統帥権の錫杖の件は別口だからな。後で話がある!」

「はい……」


 剣聖は魔石伯を一睨みすると踵を返した。俺は忘れないうちにと収納から統帥権の錫杖を出して、魔石伯に返した。


「返したからね」

「ソータ……」

「この杖の件は爺からお説教を貰ってね」

「うう……」


 俺と剣聖は冒険者ギルド前に向かい、レビタス車に乗って領都の東の端にある恋愛成就ダンジョンに向かった。車内はカップルが多いが、剣聖は人目も気にせずに我関(われかん)せず(つらぬ)いている。


「ソータ殿、疲れたであろう。少し休まれては如何かな」


 剣聖はニッと笑って自分の膝を叩いた。その顔は孫に甘えて欲しいオーラで輝いているようだ。俺は剣聖の膝に頭を乗せると、手を伸ばして剣聖の顎髭を触った。そう言えばこの頃はモフモフが足りない気がするので、剣聖の顎髭を堪能する事にした。それを見た車内がざわついて、ヒソヒソと囁き声が呟かれた。


「伯爵の愛人が剣聖にアタックかけているのか?」

「いえ、どう見ても剣聖が伯爵の愛人を誘っていたわよね……」


 色々と言われているが、剣聖も気にしていないようなので無視するとしよう。


「剣聖はこのダンジョン初めて?」

「そうじゃな。戦闘のないダンジョンは珍しいのう」


 ルキウスも剣聖の腹筋みたいに奇麗に割れたら良いなと剣聖の身体で遊んでいると、レビタス車が恋愛成就ダンジョン前に着いたので降りた。今日も盛況なようで混んでいたので、最後の列に並んで順番待ちをした。剣聖は目立つようで時折に指さされていたりする。しばらく待っていると某電気とお金の国のアトラクションにしか見えない宝箱の順番がようやく来た。


「宝箱が再充填されましたので、中からアイテムを入手したら出口に進んでくださいね」


 俺達は宝箱に近づいてしゃがんでから2人で蓋を開けた。中は真っ暗で見えないので手を突っ込んでみると、モフツルな感触の座面が触れたので剣聖と一緒に取り出した。3人掛けは余裕で出来る大きなソファーだった。表面は白虎の抜け毛が毛皮風に縫い付けてあって、モフツルな感触が俺的に垂涎な品になっている。取り出した物が現れると、係員と俺達の後ろに並んでいた人々が騒ぎ出す。


「まだ下に何かあるようだぞ」


 剣聖が気づいたので、2人で取り出して見る。眩いばかりの黄金色で、豪華な装飾と様々な色の宝石が散りばめられている宝箱が出て来た。


「「「「「おおっ!」」」」」


 宝箱の中に宝箱が入っているとは、予想もしていなかったので玄武を呼んだ。


『玄武居る?』


 珍しく念話だけなので酒造りで手が離せないようだ。


『ソータか? どうしたのだ?』

『青龍のダンジョンで金ピカの宝箱が出て来たんだけれど』

『ギルドカードのアーティファクトを入れるのに良い箱がなかったので、その箱に入れたのだ。ちなみにその箱は便利だぞ。何とダンジョンの宝箱なのだ!』

『まあダンジョンで入手したから、そうなんじゃないの?』

『違うぞ。その青龍のダンジョンの宝箱と同等の機能がある』

『えっ!?』

『今度からはソータがダンジョンに向かわなくても原初の海からの物は、その箱から取り出すと良い。それと生命の庭で入れた物も原初の海で取り出せるようにした』

『あー、某ゲームのアイテムボックスのような感じなのね』

『ソータの星にはそのような物があるのか?』

『架空の箱だけれどね。まあいいや、ありがとう』

『品評会では料理の持ち込みを歓迎する!』

『やっぱそれが目当てか!』

「中にギルドカードのアーティファクトが入っているらしい」

「そうか。それにしてもこの箱の素材だけで高そうだがのう」


 俺達は手分けして黄金色のアイテムボックスから、ギルドカードのアーティファクトを取り出して見た。十台、五十台、百台……百二十九台も入っていた。これだけあるとアーティファクトのバーゲンセールのようだ。


「ソータさん! そ、それはギルドカードのアーティファクトではないでしょうか?」


 宝箱の係員が好奇心に耐えられなくなったのか声をかけて来た。


「しんたくの、こううんなぼうけんしゃって、おれのことだったのね!」

「そ、そのようだのう。よかったではないか、そーたどの!」


 俺の棒読み演技に剣聖が答えてくれた。宝箱の係員が慌ててどこかに連絡しているようなので、俺達は急いで収納にしまい込んで、お暇する事にした。

 レビタス車で冒険者ギルド前に着くと、冒険者ギルド長だけでなく、全てのギルド長が恋愛成就ダンジョンからのレビタス車待ちをしていた。ギルド長達は殺気に似た気迫のような雰囲気を纏っていた。


「過去最高に緊迫感のある敵共に囲まれた気がするぞ」

「俺もそう思うよ……」

次回の話は2025年1月22日(水)の19時になります。

レア物プレゼントで将軍のハートを直撃!


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