033話 ドラゴン焼肉祭り
冒険者ギルド裏の戦闘訓練広場が、普段は閉まっている裏口を開けて開放されていた。俺と父が倒したドラゴンを一目でも見ようと、領都中の見物人が押し寄せてきているのだ。
「魔鉄製の解体道具じゃ歯が立たないわ」
冒険者ギルド長のエレガンターのパートナーで、美猫顔のプルクルムがお手上げポーズをした。どうやら解体長をしているらしく、職場で知り合った仲らしい。
「あ、これを作ったのを忘れていた」
俺は収納から超硬合金アダマンタイト製の解体道具一式が入った箱を出すと、プルは訝し気な顔をした。
「何かしら、それは」
「ホリゾンがドラゴンにダメージを与えた、超硬合金アダマンタイト製の解体道具が入った箱」
「そんな物があったなら、早く言いなさいよ!」
美猫顔で凄まれると迫力がある。見物人の整理の目途が付いたのか、ギルド長がやってきた。
「ソータさん。解体は家のギルドに任せてもらえるとして、素材はどうしますか?」
「何で俺に聞くの? ちち、違う、ホリゾンが倒したんだから、ホリゾンが決めるべきかと」
「それが彼も同じ感じで平行線なのよ」
「むむ……。こういう普通は倒せない魔物を倒した場合はどうしているの? 冒険者になって日が浅いから良く分からないんだよね」
「そうですね。倒した名誉はホリゾンさんの奥様予定の方に捧げると聞いたので、間違いないですよね?」
「うん。そのために倒したと言っても過言じゃない」
「名誉を得られた方には素材の権利はないので、他の倒された方で素材を分配ですね。ちなみに多くの方は一部の素材を国に収めて、貴族籍を所望したりします」
父は貴族院を出ていて1代限りの騎士爵は持っているんだっけ? ルキウスの皇子でも手に余っているのに、蒼汰で貴族籍は欲しくもないしな。俺は詳しそうなマレ婆の所に向かった。
「ソータ様。何か問題がございました?」
「え~と、母…アーラさんは顔出ししていて大丈夫なの?」
俺は小声で婆に尋ねた。
「陛下のお子様は皇太子がお決まりになるまではお顔を隠されるのが慣例なので、ここで知る者は我々と伯爵夫妻くらいですね」
「成程。あと、皇女殿下と結婚するのに、どのくらいの爵位があると良いの?」
「そうですね。特に決まりはありませんが、先例に習うと1代限りの男爵位まででは、認められた例がございませんね。最低でも次代に爵位を継げる子爵位は欲しい所です」
「ドラゴンの素材を国に収めたら子爵位くらい貰えるかな?」
「おそらく頂けるとは思いますが、ホリゾンの場合はそこまで考えなくても良いですよ」
「え? 何で?」
「フォルティス様……剣聖が爵位を頂いて、その息子ならば問題ございません」
「マレ!」
「陛下からの恩情を今まで無碍にしてきたではないですか。孫が父親のために、これだけ頑張ったのですから、次は息子のために一肌脱ぐべきでは?」
「ぐぬぬ……」
「じゃあ素材は好きに使っても問題ないよね」
「そうですね。ホリゾンとアーラ様は討伐の名誉を頂いたので、ソータ様が素材を頂いて良いと思います」
「儂も欲しいのだが……」
「今朝、超硬合金アダマンタイト製のナイフを上げたでしょ?」
「フォルティス様?」
剣聖は分が悪くなったのか、明後日の方向を見だした。俺はギルド長の所に戻る。
「素材は俺の物で良いみたい。研究用に収納に取って置くかな……」
「牙や爪や骨は武器の素材になりますし、鱗は防具の素材ですね。血や臓器は精力剤とかの薬の材料になったりします。捨てる所がありませんよ」
「精力剤……?」
俺は父と母を見た。何か肩抱いているし楽しそうにお喋りしてカップルしているので、近づけない雰囲気だ。薬なんてなくても弟は出来そうだけれど、もう一押し欲しい所だ。
「ソータよ……」
魔石伯が何かモジモジしながらやって来た。
「何か気持ち悪いなぁ」
「そのドラゴンの素材はソータの物と聞いたが、使い道はあるのか?」
「特に決まっていないね。丸ごと収納に入るくらいだから、死蔵しても良いし」
「ならん!」
「え~と、何か欲しいの?」
「その……牙と爪付きで骨格を貸してくれんか?」
「博物館でも開くの?」
「冬の社交界の見世物に持ってこいではないか!」
「ああ、納得。じゃあ、後で話があるんだけど、家賃とか生活費代わりに貸すよ。それともドラゴンじゃ不足?」
「ソータが私の城に来るのか?」
「まあそんな所かな。詳しくは後でだけど、伯爵にとっても悪い話じゃないと思うよ」
「ソータの持ってくる話に悪い話などないから安心しておる。では貸してくれると言う事で良いのだな?」
「もちろん」
「ソータ大好きじゃ!」
魔石伯は俺に抱き着いて、舌で顔をペロペロ舐めて来た。もう完全に犬だね。魔石伯は喜びながら伯爵夫人の元に戻った。
「愛人と言うより、飼い主に見えてしまいます」
「うん。まあお互い楽しいならいいんじゃない? しかし肉はどうすれば良いかな?」
「煮ても焼いても、とても美味しいそうです」
良い所にミーティスがやって来た。女連れとは珍しい。
「ソータ殿。ドラゴン討伐おめでとうございます」
「ありがとう」
「いやはや、やっとホリゾンのプロポーズが受け入れられて安心しました。ドラゴン討伐はソータ殿の入れ知恵ですか?」
「うん。正直、こんなにうまく行くとは思っていなかったけれど、結果が伴って良かった」
「本当ですね。ホリゾンには前から紹介していたのですが、1人紹介してよろしいですか?」
「うん」
「こちら結婚する事になりましたモーリスです」
「初めましてソータさん。モーリスです」
「おおっと。こっちも花が咲いたのか! おめでたい事だ。以前からお付き合いを?」
「ええ。幼馴染なんですけれど、軍でもう少し出世したら結婚しようと約束していたのですが、ソータ殿のお陰で別の方面で出世したので、そろそろ身を固めようと思いまして」
モーリスは獣人ではなく普通の人間の女に見える。幼馴染と言う事は金目当てじゃなさそうで一安心かな。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのウルスメル商会の頭取に近づく金目当ての女は腐るほど居るはずなので、昔からの付き合いがあって良かった。
「じゃあ結婚祝いで働いてもらうのもあれだけれど、儲け話に乗らない?」
「ソータ殿の話なら乗りますよ!」
「ドラゴンの肉を焼肉にして今から売ろうかなと思っている」
「それはいいですね。私も食べてみたいですし、ここに人が集まっているので売れると思います。
モーリス。屋台の準備と従業員の手配をお願いできるかな。割り増し手当とドラゴン肉を食べられるって言えば、殺到すると思うから、前回のドーナツ屋台で経験ある人を優先で」
「分かったわ。私も食べたいんだけれど……」
「いいよ。どうせ食べきれないから皆で食べよう!」
「ソータさんは素敵ね」
モーリスは屋台の手配のために俺にウインクして去って行った。ギルド長を見ると、肩を竦めていた。
「一応は言っておくけれど、ここは冒険者ギルドの敷地内なのよ。ここで商売をするつもりなのね。ソータさん?」
「儲けの1割でどうかな?」
「それだけ貰えれば許可しますが、もう1つ足りないわね」
「冒険者ギルドの職員にはドラゴン焼肉を振る舞うで良いかな?」
「ソータさんは本当に素敵です! 人員の誘導とかお任せください」
「助かるよね、ミーティス。そいや俺が取り分のレート決めちゃって良かった?」
「ええ。素材はソータ殿の物ですし、人員の整理はドーナツの時もとても助かりましたし」
「ソータさん! お肉の第一弾が解体出来たけれど、どうする?」
プルが山盛りのドラゴン肉をトレイに乗せて叫んだ。他の職員に解体場から机を持って来させて、俺の前にドラゴン肉のトレイを置く。俺は調理道具と取り皿とホークと調味料を収納から用意して、試し焼きして見る事にした。運動魔法でドラゴン肉の細切れを用意し、フライパンの上で運動魔法を使って焼くだけ。調味料は塩と黒胡椒、新作のガーリック醤油の2種類を出した。
父母、剣聖に婆、伯爵夫婦、ミーティスに手配が終わったモーリス、ギルド長とプルが集まって来た。ドラゴン肉が焼ける匂いで見物人も静まり返る。
「最初はシンプルに塩と黒胡椒ね」
「「「「「「「「「「うまっ!」」」」」」」」」」
「次は暴力的な匂いに注意して……」
フライパンにガーリック醤油を入れると、ガーリックの刺激臭と醤油の食欲をそそる香ばしい匂いに、見物人から殺気が立ったような気がした。
「次は新作のガーリック醤油ね」
「「「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」」」
このガーリック醤油は地球の味の再現に苦労した品だ。アルグラとミネルヴァを総動員して足りない味を追求したら、みりんに酢にバターと足りない物が次々に判明して、ようやく完成した物だった。
俺はギルド長を伴ってドラゴン肉の焼肉の皿を両手に持って、隅の方でしょぼくれているグリとグラの目の前に立った。ドラゴン討伐の立ち合いで、俺と父の足を引っ張ったのを反省しているようだ。
「ほら、これでも食って元気だせ」
「「兄貴……」」
俺はグリとグラへ、強引にドラゴン肉の焼肉の皿を押し付ける。
「取りあえずブレスで燃えた服は弁償しろよ。安い中古で十分だ」
「「はい……」」
「それだけでは済まないわ。減給半年かしらね」
「ギルド長。急に決まった立ち合いで心の準備が出来てなかっただろうし、被害者の俺的には、服だけ弁償をしてくれればいいんだけれど」
「ソータさんは優しすぎますね。組織的にそれでは納得しない者も居るのよ」
「そこを何とか」
「……分かったわ。減給3ヵ月で。ソータさんに感謝しなさい」
「「兄貴に一生、着いて行きますっ!」」
「おい、お前ら。泣きながら食べて俺に縋りつくのはよしてくれ!」
俺はしょうがないなと思いつつ、2人の頭を撫でた。
屋台も出来て来たし調味料は渡し終えたので、ドラゴンの素材は後で取りに来るとプルに伝えて、父母、剣聖に婆、伯爵夫婦を伴って城に行った。いつもの応接室に落ち着くと、俺は立ち上がってルキウスに変身して母に歩み寄る。
「ママ」
「えっ?! どういう事かしら?」
母はビックリしなからも俺を抱きとめると、膝の上に乗せた。母と剣聖夫婦は俺の説明を聞くと、畏まろうとしたので俺は制する。
「本当にソータさんなの?」
「疑り深いなぁ。変身」
母の膝の上で蒼汰に変身すると母に抱きしめられた。
「ソータさんが私の子供なんて素敵じゃない!」
何故か隣の父が怪訝な顔をして俺の脇を掴むと、自分の膝の上に俺を移動させた。
「パパは自分の息子に嫉妬するなんて大人気ないですね……」
「息子を抱きしめたいのは父親も同じですからね」
「いたた……参ったよ!」
父は身体強化をして軽く俺を抱きしめてくれた。現役騎士の嫉妬は怖いね。
「それでソータがアルティウスなのは分かったが、空を飛べたりするのか?」
「え? 空なんか飛んだ事ないけど」
「いつぞやにソータらしき人が領都を飛び回っていたと報告があったのだ。いくらソータでも生身で空は飛べないだろうと笑って聞いておったが、アルティウスなら出来るかと思っただけだが」
「……あっ! 創造神だよそれっ! 創造神に身体を貸していた時に飛んでいたね」
「あの身体が薄っすらと光っていた時ですね。私は創造神様と知らずに粗相をしてしまいましたが……」
『ソータ。ちょっと身体を貸して』
「何か話があるようだから、創造神に身体を貸すね」
「えっ!?」
俺は創造神に身体を貸した。父の膝の上に居る俺が薄っすらと光って見える。
「君たちはソータに身内認定されたので畏まらずに、そのままで聞いて。ソータは高みに至りながら生命の庭に干渉できる唯一のアルティウスで、私の願いを聞いてルキウスに転生して貰った。どうかソータを助けてやって欲しい。
それからソータがアルティウスである事は秘密としたいので、口に出したり文章を書き残したり、態度で表現するのを理の言葉で禁止したいと思う。不便をかけますが、ご理解頂きたい」
俺の姿をした創造神が口を開くと、音にならない理の言葉が紡がれた。創造神から身体を返してもらうが、あまりの気持ち良さに身体の中心が元気になったので腰を引いた。父に見つからなければ良いがと思うが、父は静かに涙を流していたので見つからないだろうと安心する。
『男性の生理現象を経験してしまった!』
『おいっ! 厳かな雰囲気が台無しだろ創造神』
『えー、だって面白いんだもん。そうそう、この頃、魔素の通りが良くない?』
『何か知っているのか?』
『多分だけど、ソータの魂の回廊を通って原初の海から生命の庭に意識が移るじゃない? 私が通った影響で魂の回廊が強化された感じ』
『原因はお前かよ!』
『あ、私もソータの父上へ祝福の時に、原初の海にいる感覚で使えたので楽だったわ』
『もう俺に言ってない事ないよね? 創造神。テクタイトが何か教えてくれないと、モフモフ禁止にするから』
『え、それは嫌。テクタイトならアルグラが知っているはずだけど? だって自分の身体に付いている金属が何か知らない訳ないよね?』
『ギクッギクッ!!!』
『アルグラは魔力なくなるとどうなるか実験する』
『ガーン、それは横暴ですぜ、旦那!』
理の言葉の対象になった皆が口をパクパクさせているので聞いてみた。
「創造神からソータに戻ったけど、口パクパクさせて何しているの?」
「ソータの事を話そうと試してみたが駄目だな。これは凄い」
「俺も理の言葉を生命の庭で使っているのは初めて見たな。世界創造とか消滅とかは見たことあるけれど」
「さらっと怖い単語が聞こえました。しかも創造神様を膝上で迎えるとか、心臓に悪いです」
俺はまだ涙ぐんでいる父の頭を抱き寄せて撫でてあげた。
「それでホリゾン君は見つかったし、アーラ様と結ばれたから帝都に帰るのかしら? ここには、いつまでも居てくれても良いのだけれど」
伯爵夫人の疑問に剣聖が待ったをかけた。
「それがそう単純な話でもないのだ。儂は陛下からの密命で来たのじゃが、アーラ様を守れと命を受けてやって来た。その一環でしばらく帝都に戻るなと言われておる」
「どうして?」
「ソータ殿と初めて会った時に、アーラ様と伯爵夫人が何者かに暗殺されそうになっていたであろう?」
父はギョッとして俺を見つめた。そう言えば暗殺者が居た件は、心配させたくなくて父に言ってなかったな。
「うん。それと帰って来るなとどう関係があるの?」
「暗殺者2名の死体を受け渡されて調べたのじゃが、どうやら皇妃殿下の指示を発端としているようなのじゃ」
「え~と、皇妃殿下ってルキウスの婆さん?」
「私の母は亡くなっていて、今の皇妃殿下とは血がつながっていないので義理になるわ」
ルキウスはシンデレラボーイじゃないか? 絶対に虐められるだろ……。皇族的な血みどろの展開になりそうで、俺は寒気がした。今度は父が「アーラ様を守ってくれたんだな。ありがとう」と俺を抱きしめて頭を撫でてくれた。でもあれはモフモフ敷物が欲しかったついでだったので、ちょっと後ろめたいけれど……。
「一度与えてしまった皇妃殿下という権力を削ぐには時間がかかる。最悪な事に皇妃殿下の息子が婚姻し、昨年に息子が産まれたのだ。ルキウス様の腹違いの従兄弟となるが、今はどちらが皇太子殿下となられるかで争いが起きる可能性が高い。
そこでもうしばらく皇妃殿下を泳がせてボロが出るまでは、こちらに居って守るようにと陛下からの勅命を受けた次第だ」
「それルキウスもヤバイ気が……。もうソータのままで居ようかな」
『それはルキウスが歳を取らなくなるので別の問題が出て来るよ』
「創造神から駄目だしされた……。取りあえずしばらくは、ここに厄介になるでいいかな?」
「私は構わないと言うか、是非、ずっといてくれ。大歓迎だ!」
「私もソータさんが居た方が楽しいですし、アーラ様と子育てできるなんて普通はありませんから居て欲しいですわ」
伯爵夫婦もそう言ってくれているし、厄介になりましょうか。
「じゃ、暗殺対策をしておくか。アルグラとミネルヴァ召喚!」
「シクシクシク……絶食な錬金窯に何のようでやすか?」
「はい、マスター」
「ペンダントを作るんだ。デザインと積層魔法陣はミネルヴァから受け取ってくれ。それでテクタイトは作れるんだろ? アルグラ」
「ただテクタイトは透明化オリハルコンなので、材料に金が必要ですぜ」
「結晶構造が違うのか? ミネルヴァと同期してくれ」
「「同期完了」」
ミネルヴァから視界のウインドウ内に、オリハルコンの結晶とテクタイトの結晶が映し出された。確かにテクタイトは光を通しそうな結晶構造で、その結晶構造を維持するために魔素を使っているのでオリハルコンよりは強度が少し下がるようだ。しかし金属が透明になるとか凄いファンタジーだ。
「伯爵。小金貨でいいので6枚下さい。ギルドカードで代金は渡します」
「私達の物を作るのであろう? 代金はいらぬ。今、持って来させる」
魔石伯が廊下に待機している者に、小金貨を持って来させて俺に渡してくれた。アルグラに小金貨を入れて、しゃもじでかき回した。
「ありがとうございます。ほれアルグラ材料だ」
「んぐぁぐぐ」
「テクタイトにな~れ」
俺がアルグラに魔力を込めると、アルグラが光ったのでテクタイトが出来たようだ。続いてミスリルインゴットをアルグラに投入して、しゃもじでかき混ぜた。またアルグラが光ったのでペンダントが完成した。
「んぐぁぐぐ……ペッ、ペッ、ペッ、ペッ、ペッ、ペッ!」
「はい、父さんには片手剣と盾のデザインで、母さんには翼。爺には両手剣で、婆は波しぶき。伯爵は曲刀二刀流で、伯爵夫人はこの前の杖と同じ春の花ね」
ペンダントトップとチェーンはミスリル製で、コイン型のトップにそれぞれのデザインが彫られていて、その上にテクタイトがコーティングされているので光輝いて奇麗だ。そのテクタイトは良く見ると複雑な模様が浮かんでいて、拡大して見ると魔法陣なのが分かるようになっている。
その魔法陣は積層魔法陣で、玄武と一緒に考えた二十七層もある結界魔法イージスの効果の物だ。1度発動すると三十分は続くようになっていて、省魔力化のために結界は反射無しで1層にしてある。装着者本人に有害な物は一切通さないので、時間稼ぎができる感じだ。三十分間立つと次回の結界が張れるまでは魔素のチャージに2時間かかる。
俺が皆に説明すると驚かれた。
「デザインが素敵ですね」
「凄いね。確か魔人の攻撃を防いだやつでしょ?」
「その魔人の時から強化していて、剣聖3人がかりの全力でも破れない結界が張られるから安心」
「ちょっと待つのだ。あそこは洞窟だったであろう? 儂の全力で無かったのは確かじゃ。3人がかりと言う事は全力でギリギリ防げ……いや、超全力だと防げんと思うぞ」
ミネルヴァの元々が無表情な顔が、ショックで凍り付いたのが見えた。
次回の話は翌日の19時になります。
冬のモフモフは最高です!
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