152話 エピローグ
今回は前半が明日香の幼馴染で奈良和成の視点と、後半が蒼汰の視点です。
前回の話数より5年後の話です。
これでエピローグになり完結となります!
─── 明日香の幼馴染で奈良和成の視点 ───
地球が氷河期に突入した。人類の発祥より古くから地球を見守ってくれている、遠いアスガルド銀河からやって来たアルゲヌス族によってもたらされた魔導科学によって無限のエネルギーを得られ、人類は氷河期を乗り越えられそうだ。
その代償として世界樹と契約して龍脈と言う魔素の通り道を開くと魔素溜まりが出来て、獣人化したり、生物が魔獣化したり、魔物が発生したりする。そしてその魔素を取り除くためにダンジョンが発生するのだ。ここ日本の淡路島は魔導科学による大型の核融合発電炉が設置されていて、島全体に龍脈が形成されている。
俺達はダンジョンに入り、魔獣や魔物を討伐しながら戦利品を獲得する冒険者だ。俺、奈良和成は魔獣や魔物の脅威ではなく、ましてやダンジョンに臆している訳でもないのに武者震いをしていて、パーティメンバーの唯一の女性で回復魔法を専門としている百瀬陽菜に笑われた。
「もう、いい加減にしなよ。カズっち!」
「ヒナが明日香に言うから大事になったんじゃないか!」
「大事ってカノジョのパパが心配して着いて来てくれるんだから良かったじゃん!」
「ヒナは親友のパパだから良いけれど、俺に取っては義理の父になるかも知れない人だからな!」
「おっ! 明日香が来たぞ!」
横で俺の親友の大河原悠斗が明日香の来訪を教えてくれた。明日香含めて4人は幼馴染で同い年の十七歳だ。俺、和成と悠斗、そして陽菜が冒険者パーティのメンバーとなる。
「わぁ! 良かった。パパが先に来ていたら大変だったよ」
「先に来ても後に来ても大変なのは変わらないぞ……」
「カズ君はビビリだね! うちのパパなんか十年間行方不明で戻って来ても、のほほんとしていたんだから!」
「行方不明でも人脈は凄いよな。俺達の装備品はドワーフ製だし」
悠斗は刀を佩いていて柄をポンポンと叩いた。俺の片手剣と盾も明日香の父親経由で紹介してくれたドワーフ製で、魔法の技術を利用した特注品なので素材の金属からして世の中には出回っていない。そのドワーフは語尾に「だべ」と付けるので最初は怪しいと思っていたが、物は確かなようで今までの魔獣や魔物討伐で大活躍だった。
陽菜も銀色に光る魔法の杖を掲げて、明日香に聞いていた。
「あたしのも明日香に誕生日プレゼントでもらったんだけれど、これ高いんじゃないの?」
「それパパがエルフに頼んで世界樹の金の枝にしようとしていたんだけれど、悪いけれどお小遣いで買えないから余っていた世界樹の銀の枝にしてもらったの」
「「「せ、世界樹?!」」」
世界樹の枝の製品なんて出回っていたかなと思いながら、俺達は驚いた。南極の氷床下にある世界樹にアメリカの砂漠からマギウス・ポータルと言うワープ装置を使って行けるようだが、極一部の政治家や裕福層が行けるくらいだとニュースでやっていた。そこには絶滅したはずの恐竜達も居るようで、いつか俺も行って見たいと思っている。
明日香が近くを通ったゴールデンレトリバーのお面を被っている冒険者を見つけた。
「あっ! ワンコ伯爵!」
「おお、ソータの娘ではないか! 私はワンコではなくサピュルスと言う名があるのだが、いつ覚えてくれるのだ……」
「「明日香だっ!」」
「「「い、犬がしゃべっている!」」」
ワンコ伯爵と呼ばれる者の近くに、子供のゴールデンレトリバーのお面を着けている者と、尻尾だけ生えている子供が居て、明日香を知っているようだ。小さい方の子供の1人は人間の顔をしているが、良く見ると3人共に犬の尻尾が生えていて大きく揺らされていた。顔と尻尾は本物なのか?
「スマラとクリスもヤッホー! ワンコ伯爵は、どうしてここに?」
「地球を観光していたのだが、ここ淡路島にダンジョンが出来たと聞いたので、息子達の腕慣らしに丁度良いと思って冒険者として参加しようと来たのだ」
「えー? 後衛が居ないけれど大丈夫?」
後衛とは陽菜のような魔法を専門にして、後ろから近接攻撃をサポートする役割の冒険者だ。
遠くからまたゴールデンレトリバーの顔をした者が、ワンコ伯爵を呼びながら駆けつけた。執事のような恰好をしているので伯爵のお供のようだ。
「坊ちゃま! ルキウス様が間に合いました!」
「ほれ言ったではないか。ソータなら何とかしてくれると」
「アエスタに頼まれたから来てやったけれど、無茶振りは止めて欲しいかな。伯爵」
「ルキウスパパ!」
「あれ、明日香?!」
「「「パパ?!」」」
ルキウスと言われる金髪碧眼の美少年が、明日香にパパと呼ばれていたので俺は驚いた。ジト目で明日香に説明を求めるが分身がどうのこうのと説明が難しいようで、ここで説明を受けるのは諦めた。
「あなた。そろそろエントリーしないと間に合いません事よ」
「そうであるな。では行ってくる! 我が妻カリダと娘のアエスタよ」
赤髪の美人夫人カリダに促されてダンジョンに入る手続きにワンコ伯爵達は向かったようだ。カリダの隣に居た、金髪碧眼の美人にルキウスが呼び止められていた。
「ルキウス。伯爵とスマラ君とクリス君達が無茶をしないようにお願いね」
「分かっているよ、母さん」
「?」
何故かルキウスに俺が睨まれる。カリダの近くに佇んでいて、カリダに良く似ている美少女アエスタにルキウスは手を振られると、手を振り返しながらワンコ伯爵の方に向かって行った。
「姫様。お飲み物を買って参りました」
「ありがとう、ホリゾン」
優し気な茶髪の男性ホリゾンが近づいて来て、金髪碧眼の美人に腰の魔法鞄から飲み物を取り出して渡した。冒険者に取って魔法鞄は垂涎の品で、俺達は物欲しそうに眺めてしまったようだ。
「カズ君も魔法鞄が欲しいの? パパに頼んでみようか?」
「いやあ、いくら明日香のパパが凄いからって魔法鞄は持っていないだろ。冒険者の憧れだからなぁ。ダンジョンの宝箱から取るよ!」
そう言えば明日香は魔法鞄を持っていると思い出し、腰にある魔法鞄を見つめた。胸元にも銀色の勾玉の形をしたペンダントが飾られているし、左手首には金色の腕輪が装着されていた。アクセサリーをプレゼントしたいが両方共に魔力感知に反応するので、下手な品だと見劣りするので躊躇している感じになる。
近くで人垣が割れて、騒いでいる人が現れた。
「儂もダンジョンに行くのじゃあ!」
「フォルティス様! 今日はルキウス様もソータ様も他で行くので駄目です! ホリゾン、止めて!!」
「離すのじゃ、マレ!」
フォルティスと呼ばれる赤髭の大男が、茶髪の女性マレに引き留められていた。ホリゾンが駆け寄って引き留めに加わった。
「はい、母上! 父上、往生際が悪いですね。先程、留守番に納得されたじゃないですか!」
金髪碧眼の美人がフォルティスに近寄って行って、仁王立ちになってビシッと言う。
「爺! 我儘を言っていると、しばらく孫と接触禁止にするわよ!」
「ひ、姫様! それはあんまりではないですか……」
フォルティスは肩を竦めてしまった。美人が怒ると怖いなと感心する。
この騒ぎで場所を特定したのか金髪碧眼の3人がやって来た。1人は男の子で、もう1人は奇麗な女性で仲が良さそうに手を繋いで現れた。最後の1人は付き添いの大人の男性のようで、先導して金髪碧眼の美人に話しかける。3人は近くの出店でリンゴ飴を買って来たようで手に持っていた。
「どうしたのですか? アーラ様」
「ヴィンクルム。ソラリスを見てくれてありがとう。それがね、爺がダンジョンに行きたいって、またダダを捏ねたので諫めたのよ」
「爺、ダダを捏ねていると兄上に怒られますよ。ねぇ、アミティ」
「もう手遅れですよね……」
「そ、ソラリスは儂の味方ではないのか!」
奇麗な女性アミティは明日香をチラリと見た後に、俺を見た。アーラと呼ばれる金髪碧眼の美人にも冷ややかに見つめられ、照れていると明日香は頬を膨らませた。
「もうっ! アーラお姉ちゃんとかアミティお姉ちゃんにデレデレしないでよ!」
「うわっ! この人達、皆と知り合いなのか!」
「もう用は済んだので行くぞい」
「そうですね、父上」
「!!」
フォルティスとホリゾンに、一瞬、殺気を飛ばされて構えの姿勢を取った。アーラにも去り際に釘を刺される。
「明日香ちゃんを泣かしたら、ソータさんが許さないと思うので気を付けて頂戴」
「は、はぁ……」
明日香の知り合いが多すぎて辟易していると、最後に爆弾がやって来た。周囲の冒険者が騒めき出し、人垣が割れて大物と共に明日香の母親の薫が現れた。
「明日香、そいつが彼氏か?」
「もうアレックス君! 絶対に蒼汰君に怒られるから!」
明日香の母親の薫は俺達が幼馴染なので知り合いだが、SP達に囲まれている大柄で灰色の髭男は世界的に有名人だった。
「「「で、デニング大統領!!」」」
「うわぁ、アレックスおじさんも来たのか!」
「ちょ、ちょっと明日香! デニング大統領と知り合いとか聞いていないぞ!」
「えー? ママがホワイトハウスで働いているって言ったじゃない」
「薫さんはホワイトハウスで働いていると聞いていたが、大統領に名前呼びされるのは特別だろ!」
「う~ん、そうなの? パパがアレックスおじさんと幼馴染なんだよね。私とママはそのオマケだから」
「「「明日香のパパどんだけ~??」」」
突如、大統領を非難する声が聞こえて来た。
「アレックス!! お前、アメリカの冒険者達を労いに来るって言うから連れて来てやったのに、オデン達やスクルドを放っておいて、明日香の所に行くなんて駄目じゃないか!」
「そ、蒼汰の娘の彼氏を見たかったんだ……。そんなに怒るな」
どうやら大統領を叱っているのが明日香の父親のようで蒼汰と言うらしく、俺達と同じくらいの年齢に見えるので仰天した。
「あ、明日香。あの人がパパ?」
「そうだよ。若く見えるけれど、もう五十五歳だからね」
「「「五十五歳!!」」」
明日香の母親の薫は若くして明日香を産んだので三十歳代と聞いていたが、まさか父親の蒼汰がこんなに若く見えるのは想定外だ。しかも大統領を叱れる立場とか地球で何人居るのだろうか? そう言えば今朝のニュースで大統領はEUの式典に出ていたはずで、ここ日本の淡路島に居るのも想定外過ぎた。超音速飛行機でも無理な移動時間に頭が混乱した。父親の蒼汰は大柄のSPの前に突然に現れた気もするし、明日香を後で問い詰めないとならなそうだ。
終いには高科総理が護衛に囲まれてやって来た。
「デニング大統領。そろそろ開会式が始まるので、いらして下さい」
「蒼汰が居ないと……」
「馬鹿。今日の俺は労われる方だ。お前が来るって言ったんだから、自分で何とかしろ!」
「へいへい……。お前は蒼汰に迷惑はかけるなよ」
「は、はい……」
大統領は俺の肩をポンッと叩いてSP達に囲まれながら、高科総理達と共に去って行った。
俺達の他に残った明日香から、父親の蒼汰の挨拶を受けた。
「それで今更だけれど、私のパパの蒼汰ね」
「俺が蒼汰ね、よろしく。アレックスが迷惑をかけたようで済まなかった」
「「「よ、よろしく」」」
俺達が挨拶すると、今までの経緯を明日香がぶっちゃけた。
「アレックスおじさんだけじゃなくて、ワンコ伯爵にもルキウスパ…君にも会ったし、ホリゾンさんやアーラお姉ちゃんに、剣聖のおじいちゃんとおばあちゃんにも会ったよ」
「うわぁ! ここに来ている全員じゃん!」
「まあ過ぎた事は仕方ないし、時間もないから軽くパーティの説明をするね」
明日香は、父親の蒼汰の紹介と役割を説明してくれた。
「パパは、どちらかと言うと後衛寄りなんでしょ?」
「まあそうだね。剣は普通って言われている」
「普通の基準は置いておいて、後ろで魔法を使って皆をバックアップで良いのかな?」
「まあそうなるな」
続いて明日香は、俺達パーティの紹介と役割を説明してくれた。
「この子が私の親友の百瀬陽菜で、後衛の回復専門だよ、パパ」
「ヒナと呼んでね。蒼汰さん」
「娘がお世話になっているね。ヒナちゃん」
「それからこっちの男2人が親友同士で、こっちが大河原悠斗で、刀を扱っているの」
「ユウと呼んでくれ。蒼汰さん」
「分かった。ユウ君」
「最後にこのパーティのリーダーで、私のボーイフレンドの奈良和成ね。片手剣と盾でパーティの守りなの」
「か、カズと呼んで下さい! おとう……いや、蒼汰さん」
「……善処…する。カズ…君」
「もうっ、パパ! ハキハキしてよね! それじゃあ、私、ママの所に行くから頑張ってね!」
そう言って明日香は行ってしまった。
日米合同の冒険者によるダンジョン探索なので、冒険者ギルドによって開会式が始まる。先程に見た高科総理やデニング大統領も出て来て挨拶をしていた。
開会式が終わってダンジョンに突入する事になる。アニメやゲームを題材にしたテーマパークの跡地にダンジョンが出現したようで、直径で百メートルは軽く超える巨大な入口が地下へと続いている。結構な数のパーティ数が集まっているようだが順番を待つ事もなくダンジョンの1層目に突入が出来た。
遠くにワンコ伯爵のパーティも見えて、犬の頭なので凄く目立っているのが面白い。蒼汰は悠斗と陽菜とは普通に雑談をしているが俺には遠慮しているのか、こちらから話しかけないと会話をしてくれなかった。
1層目は巨大な柱で天井を支えられた階層で、凄く広いので各パーティは方々に散って行って辺りは俺達だけになってしまった。当てもなく探索していると最初の魔物が現れた。
「ブフッ!」
蒼汰は魔物を見た瞬間に噴き出した。俺達もゲームで見た事がある魔物の外観に感心する。
「「「スライムだ!」」」
「キャッ!!」
涙滴型で青色をしたスライムなので気が緩んだ瞬間、可愛らしい口が広がって陽菜の身長を超えて飲み込もうとする。
「ヒナ!」
「あぶなっ!」
俺がスライムを盾で弾いて一難は去った。悠斗が刀を抜刀して一撃を入れるが効いている感じがしなかったようだ。
「こいつ切っても、くっ付くぞ!」
「凍れ!」
蒼汰の魔法でスライムが凍結した。スライム全体が一瞬で凍っているので凄い威力だ。陽菜が呪文の詠唱に疑問を持ったようだ。
「蒼汰さん。短い呪文だったけれど、それでこの威力なの?」
「明日香に聞いていないんだね。さっきのはパーティメンバーに何をしているか分かるように、魔法の効果を言葉にしただけ。俺は無詠唱だから」
「「「無詠唱!!」」」
俺達は無詠唱に驚く。そしてスライムから取り出した魔石は貰える事になったので有難く頂く。
その後は蒼汰の魔法に頼る事もなく順調に進んで、休憩ポイントに辿り着いた。冒険者ギルドの講習でダンジョンについて説明していたが、余分な魔素を取り除くために人の欲望を利用しているようで、休憩ポイントには魔獣や魔物が出ないようだ。広場の中央に飲める水場が用意されているので分かるようになっている。結構な数のパーティが休憩しているので、俺達も休憩する事にした。
蒼汰が収納から毛皮の敷物を出して座れるようにしてくれた。陽菜が敷物にダイブして蒼汰に質問する。
「ほら、座って休みなよ」
「わぁ! この毛皮は手触り最高! もしかして蒼汰さんのコートと同じ材質?」
「うん。これはツインテールフォックスと言う魔獣の毛皮だよ」
「こう言う普通では手に入らない毛皮が欲しいよね」
「ヒナ、これなんかもどうだ? ソルトモンスターって言う魔物の毛皮なんだが」
「これも凄い! 欲しい!」
蒼汰は陽菜とは打ち解けたようで毛皮やら織物の話に夢中になっていた。悠斗が俺に内緒話をしてくる。
「カズ。明日香とはどうなんだよ?」
「どうってなんだよ?」
「どこまで行ったんだ?」
「ちょっ! お前、父親の居る前で!」
「聞こえないって、ほら白状しろ!」
「……まあ…そこそこ」
敷物の端で陽菜と談笑していた蒼汰が、目を見開いて立ち上がった。陽菜の手を引っ張って俺達の所にやって来た。もしかして今の聞かれた?
「このダンジョンは不味い」
「マスター。結界魔法イージスを発動しました」
「「「だ、誰?!」」」
突然、目の前に貫頭衣とトーガを纏ったツインテールの銀髪の美少女が現れる。
「この子は心配ない。俺の眷属のミネルヴァだ」
「け、眷属って宇宙船を操縦する時に契約する精霊族? 人型なんて居るの?」
魔法に詳しい陽菜が聞きたい事を聞いてくれた。
「まあ俺の子は特殊だから。それよりもユウ。ムラムラが治まったか?」
「ムラムラ? ……あ、あれ? なんかエロい事を聞いていたのは何でだろ?」
「このダンジョンの影響だ。薄い暗黒魔法で、入った人間の欲望を増加させているようだ。結界で防いだが外の奴らがヤバいな」
そう言って敷物の外を見ると、アメリカのパーティの1組が俺達の所にやって来た。今時、モヒカンに棘付きの釘鋲の肩パッドをしているので、世紀末から来たのかと思った。蒼汰は英語で反論していた。
「おい、お前ら。その毛皮の敷物を寄こせ!」
「断る!」
「仕方ねぇな。これでも食らいな!」
世紀末のパーティメンバーは腰の魔法鞄から銃を出すと、問答無用でこちらに撃って来た。
「「「!!」」」
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! カン、カン、カン、カラン……
俺は一瞬、目を瞑ってしまったが、銃弾は俺達の前で止まって床に転がっていく音が聞こえた。日本では冒険者登録をすると刀剣の使用は認められたが、銃の使用は認められていないので違法になる。彼らは魔法鞄で秘密裏に持ち込んだようだ。
広場は異様な光景になっていて、冒険者達は略奪やレイプに発展しそうな雰囲気に飲まれていた。蒼汰は収納からプラネタリウムのような球体を出すと英語で指示をする。その球体から複数の液体が四方八方に向けて飛び出して行き、冒険者に命中した。銃を撃って来た者も液体を浴びるとタコ踊りをし出したのでビックリした。
「これで時間を稼げるだろう。俺とミネルヴァは、ダンジョン・コアの説得をしてくる。アルグラ召喚! 話し相手になってやれ、アルグラ。行くぞ、ミネルヴァ」
「仕方のない旦那でやすね……」
「はい、マスター」
「「「!!」」」
蒼汰はそう言うと、ミネルヴァと共に突然と姿を消した。残された俺達は去り際に蒼汰が召喚して行った、金色のしゃべる器に仰天する。
事情はアルグラから聞け、しばらくして蒼汰が帰って来ると睨まれる。俺と悠斗の話は聞かれていたようだ。
「そこそこって、どこまでかな!?」
─── 蒼汰の視点 ───
俺はダンジョン・コアを説得して暗黒魔法をダンジョン内に張り巡らせる事を、平和的に話し合って止めさせた。争い好きな地球の人類には毒だからね。
随分と前に地球を見られるようになった四神が現れた。
『ソータ。僕、フランスのマカロン食べたいんだけれど、まだ~?』
『俺は師匠にも言われたんだが、この論文の続きを翻訳してくれ!』
『ちょっと! 私、明日香ちゃんと和成君の恋の行方が気になり過ぎるんだけれど!』
『我は久々にルキウスと手合わせしたいのだ!』
「俺はお前達の願望成就の道具じゃないんだけれど……」
俺は四神をジト目で見上げた。白虎が不穏な事を言い出す。
『そう言えば珍しく創造神様が我の里に下りて来てな。ソータは来ていないのかとおっしゃって、来ていないと返すとルクスネブラに戻られてしまった』
「うわぁ……何か嫌な予感が……」
予感は当たるもので創造神が突然に現れた。
『ソータ! 私の作った別の宇宙に行って!!』
「はい?」
こうして別の宇宙が俺の前に広がった。
─── 完 ───
完結までお付き合い頂き、ありがとうございました!
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ネタバレの恐れが無くなりましたので、感想等をお寄せ頂くと嬉しい限りです。
また厚かましいお願いで恐縮ですが、ご家族や友人や知り合いに本作品をお勧めして頂けると、ありがたいです!




