噂5
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神歴1926年4月1日
「きゃー、早く、早く。」
「まだ、早いって。」
「いいから。」
今朝は町中が早起きしたように、騒がしく賑わっている。私たちも寂しさは感じがらもわくわくしていた。
「ミリーナ、おはよう。」
「シランさん、おはようございます。」
「ねえ外見た?」
「まだです。」
「ええ、見た方がいいよ。」
走って孤児院の外に出る。すると、町中の建物が華やかに飾られている。色とりどりの柱が立ちその間を花の輪が繋いでいる。至る所にアリア国の国旗が掲げられ、国旗を手に持った人たちも大勢いる。
「すごいですね。」
「うん。早く支度して見て回ろうよ。」
「はい。」
年に一度のアリア国の独立記念祭。戦前はを鉱夫を労う祭りであったが、運がいいのか悪いのか戦争が祭りの当日に終わった。よって戦後からは独立記念を祝うお祭りに変わった。その影響で祭りの規模は戦前よりも大きくなり、この国一番のお祭りといっても過言でもない。
しかし良いことばかりでもない。もともと町ごとや子供たちの作品を馬車で引くパレードがあった。それが、今では最新の戦車や勇ましい兵隊が行進するパレードに変わった。労う対象が鉱夫から兵士に変わってしまったのだ。けれど対象は変わっても、労う人は変わっていない。実際、兵士のほとんどは元鉱夫またはその子供であるからだ。
まあほとんどの人はそんなこと気にしていない。特に私たちのような若い人や子供にとっては、祭りの目的よりも祭りが開催されいていること自体に意味があるのだ。楽しめるか楽しめないか。それだけが問題だ。
支度といっても去年と同じように着飾ったりはできないが、髪の毛をきれいに結んだり、編んだりすることはできる。むしろ去年は子供が多く自分の支度に時間が掛けられなかったが、今年は目一杯時間をかけられる。
「ミリーナの髪の毛きれいだね。」
「いえいえ、そんなことないですよ。」
「にやけながら言わないで。」
「ははは。ごめんなさい。」
「よし、できた。どう三つ編み。上手くいったと思うけど。」
「あ、本当ですね。きれいです。ありがとうございます。」
ミリーナはそういって頭巾ではなく白いレースを髪にかぶせた。レースには白い糸で花や草木の刺繡が施されている。頭の上あたりに冠のように小さい穴が輪を作っていて。その隙間から三つ編みが少しでけ見える。
「本当にきれいだよ。モテモテだよきっと。」
「やめてくださいよ。」
「ほら、ランもしてあげるよ。座って。」
「私はいい。」
ランは机に適当においてあった、汚い頭巾を手に取ってぎゅっと結んだ。力任せに結んだせいで、髪の毛がいたるとこからはみ出している。
「ランさん。お願いします。」
ミリーナがいつの間にか立ち上がりランの手を握っている。その光景はまさに王子様とお姫様。魔女とお姫様にも見えるか。
「やめて、いいの私は。」
「よくないです。これが私たち三人で行ける最後かもしれないんですよ。私のためにお願いします。」
「い、分かったよ。」
以外にすぐにいうことをきいて、鏡の前に座った。
「じゃあ、頭巾取りますね。もう乱暴に結んだらだめですよ。」
ミリーナの細いゆびがゆっくりと結び目をほどいて、はみ出ていた髪の毛を整えた。
「ほら、ちょっと整えただけでもきれいじゃないですか。」
「うん。」
ランが下を向きながら言った。
「シランさんもきれいだと思いますよね。」
「うん。きれい。かわいいよ。」
「やめてよ。」
ランが下を向きながら頭を左右に振った。
「動かないでください。」
ミリーナがそう言うとすぐに止まった。髪の毛を整え終えるとミリーナがレースを取り出した。
「あれなんか、違うね。」
「はい、この日のためにちょっとずつ刺繡しました。」
「え、いつの間に。」
ミリーナの手にあるレースには花の刺繡がされているが、なんだか全体的に丸みがなくかくかくしている。
「これって。」
ランがレースに軽く触れた。
「はい。宝石の花をモチーフにしました。」
宝石の花、鉱山でとれる貴重な宝石をふんだんにあしらった一年に一度作られる花冠のことだ。
「きれい。」
「イメージはレッドジャスパーをつかったお花です。」
「ありがとう。」
ランが優しくなでている。
「はい、それじゃあかぶせますね。」
ミリーナがランにゆっくりと髪の上にのせると、レースの細かい隙間からランの髪の毛が光を浴びて輝いている。その光が花の刺繍を通ると花が大きく広がり、花束がのっているように見える。
「すごい。」
ランが口を大きくあけて唖然としている。
「ありがとう、ミリーナ。」
そういうと鏡に映る自分を見ないように、さっと椅子から立ち上がった。
「ラン。本当にきれいだよ。」
「ありがとう。ミリーナのおかげだよ。」
「いえいえ。」
ランは少し足が震えて、手遊びをしていて落ち着かないようだ。
「次はシランさんですよ。」
「私はいいよ。」
「何言ってるんですか。シランさん。シランさんのためにも作ってきたんですから。この努力を捨てるつもりですか。」
「分かったよ。でも私黒髪だからな。」
「いいじゃないですか。」
「ぶわあ。げほげほ。」
体中が痛い。視界がはっきりしておらず耳鳴りがする。起き上がろうと左手を持ち上げて頭の前につく。
「いった。」
手首が明後日の方向に曲がっている。腕から血が垂れて、埃が絡んでいる。見ているとされに痛みが増してくるのでゆっくりと視界から外す。そして頭を右肩に近づけて、足を縮めて起き上がる。
「痛い。っごご。うっ。」
起き上がると、一面に灰色が広がっていた。なんだろうと思い目を細めても何も見えない。とにかく助けを呼ばないとと思い、息を吸った瞬間。食道から肺が焼けるように熱くなった。
「ぶえええ。」
煙だ。一面に広がっていた灰色はすべて煙だった。また寝転んでしまった。だんだんと眠くなってきた。このままじゃ死んじゃう。
「おい、大丈夫か。」
どこかで聞いたことのある声が聞こえた。その人は私の体を持ち上げた。
「もう大丈夫だぞ。助かるからな。意識をしっかり持てよ。」
走る振動が体に伝わって死ぬほど痛いが、さっきの煙のせいで声が出せない。
「よし、煙を抜けた。助かるぞ。」
すでに目を開ける力もなく何も見えないが、その引き換えに聴力がだんだん戻ってきた。
「きゃあああああああああ。」
「たすけてええ。」
「ここだ。急げ。」
「早く助けるんだ。」
「あああああ。」
「バン。バン。」
「ウーーーーー。ウーーー。」
聞くに堪えられないものばかりだ。
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