娼館2
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娼館に入ると、リンから声をかけられた。リンはこの娼館の支配人で将来の私の雇い主でもある。
「こんばんは、おはよう。シラン。」
「おはようございます。リンさん。」
「今日は客がそんなに入ってないから、忙しくないと思うよ。」
「分かりました。」
娼館の中にはまだ、ほほの明るいお客さんがちらほらいる。皆帰るところだろう。
「おはよう、お嬢さん。」
この糊のついた、青色のスーツを着ている男が話しかけてきた。
「、、、、。」
この町では、夜に外で男女が挨拶をしてはいけない。鉱山労働者からの成り上がりが多いこの地域にとって、仕事帰りに行く場所は妻のいる家ではないといけないのだ。よって、妻以外の女性に夜や朝方挨拶したり、されたりすることは自分が妻もいない貧しい人間であるとアピールすることである。だから、この人はおそらく町の外から来た人だろう。
「ああ、そうだった。」
男はそう言って去っていった。男が去り、私は急いで掃除用具を取りに行った。
ここの娼館は国が認可した公娼しかいない。娼婦には、大きく分けて二種類いる。私娼と公娼がいる。昔、娼婦はすべて私娼だった。しかし、私娼は個人で客を好きにとっているため性病が萬栄してしまった。よって、国が娼婦を一か所に集め性病の萬栄を防ごうとした結果、公娼が存在した。今では、私娼として売春を行うことは犯罪である。けれど、街を歩けば飲み屋を装った私娼が働いている娼館が多くみられる。そんな娼館に行くのは、たいてい低賃金労働者だ。
もちろん、私が働く娼館には公娼しか働いていない。客層も金持ちが多く、様々なサービスが豊富だ。加えて、一階は高級レストランになっていて一見娼館とは思えない面持ちだ。
二階に上がる階段は真っ赤な絨毯が敷かれてあり、踊り場には美しい女性の裸体画が飾ってある。二階に上がると建物に向かって、左手は特殊なシチュエーションを楽しめる部屋があり、右手には普通のお部屋がある。3階と4階は普段、普通のお部屋しかないが最近は、特殊な部屋が増えているらしい。それだけ、客によって特殊な行為が多種多様になってきているのだろう。
私の担当は、二階を担当する。二階のフロアにも絨毯が敷き詰められてある。この絨毯はもちろん美しさや高級感を出すためであるが、従業員や他のお客さんの足音が聞こえないようにする目的もある。わたしはその絨毯をさらに慎重に歩く。一番奥の部屋に行き、扉の前に立つ。ノックをしないといけない。しかし、これがとても大変だ。
「コン、コン、コン。」
「ガチャ。」
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