娼館14
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孤児院に戻り、朝からおもらしの処理が始まった。また、あの男の子が泣いていたが上手く対応し、数時間後には笑顔になって遊んでいた。そして、私は浮く能力をシーツ運びに応用することを思い出した。 シーツ一枚を水で濡らし、数十秒握る。そのシーツの上からほかのシーツを重ねる。すると、普段よりも軽い重さで運ぶことができる。この方法にはもう一つメリットがある。たとえ場の外に出て浮遊しなくなっても、必ず濡れたシーツを触ることができすぐに浮遊しはじめる。つまり、原理的に永遠浮かすことができる。
しかし、欠点もある。それはシーツを下ろすときだ。一番下以外のシーツはほとんど普通に渡すことができる。けれど一番下は浮遊能力がなくなっていないので、一度遠くまでは慣れて遠投して渡さないといけない。このことをちょうど下ろす瞬間に思いついてしまった。
ランが洗濯板でシーツを洗っている。
「おはよう。シラン。シーツそこに置いといて。」
「おはよう。うっうん。分かった。」
一番下のシーツを強く握り、両腕で抱えていたシーツを前傾姿勢になって豪快に下ろす。
「おお。雑だよ。」
「ごめん。」
その瞬間、一枚だけ手に持っていないシーツが浮いてた。どうやら、一番下のシーツの水気が移ってしまったらしい。すばやく、右手でつかみ左手で持ち替えた。
「どうしたんだ、今日。」
運よくランには気づかれなかったらしい。
「いや、別に。」
「手に持ってるやつもおいてけよ。」
「うん。待ってて。」
「なにが。」
左手に持ったまま、後退りしてもどる。
「どこ行くんだよ。」
10歩ぐらい離れたところで、この距離から薄いシーツを飛ばすことは不可能なことに気づいた。どうしようと思ったとき、
「おねえちゃん。」
男の子が話しかけてきた。
「あ、いいところに来た。あのさ、このシーツ、ランのところに持って行ってくれない。」
「うん。いいよ。」
「ありがとう。でも、おねえちゃんとお約束してほしいことがあるんだけどいい。」
「うん。」
「このシーツ絶対に、おねえちゃんがいいよって言うまで放したらだめだよ。」
「分かった。」
「本当に大丈夫。」
「うん。」
左手に持ったシーツを男の子の両手にしっかりと載せる。そして、男の子の手を下から握る。
「放しちゃだめだよ。ほら、いってきて。」
男の子は両手いっぱいにシーツを持ち、下にこすりながら走っていく。しかし5歩いったところで後ろにのけぞった。私は急いで駆け寄って背中を支える。
「おねえちゃん。なんかこのシーツ引張ってくるよ。」
「何言ってるの。」
シーツを握りすぎて場が広がりすぎたせいで、子供の力じゃ勝てないほどになってしまった。ここで、発想を変えることにした。
「ねえ、あそこにあるシーツを取ってきてくれない。」
「分かった。」
男の子がまた手にシーツを持ったまま走ろうとした。
「まって、それはおねえちゃんに返して。」
「だめ。」
「なんで。」
「おやくそく。」
「あー。いいよ。」
男の子が両手からシーツを離した。
「よし、じゃあ行ってきて。」
「うん。」
ばたばたと走っていく。
「シラン。何してるの。」
さすがに変な行動をしすぎて怪しまれている。その間、男の子が積みあがっているシーツをガット掴み、山を崩しながら複数枚もってきた。そのうち、私のもとに来たのは一枚だけだった。
「はい。」
「ありがとう。」
そのシーツを濡れているシーツの上からつつみ、男の子の手を握り持っていく。こうすれば私が間接的に運ぶことができる。さすがに私が引っ張られるほど、力は強くないだろう。そして、案の定11歩進んだところで重さが増した。
「はい、ラン。」
「うん。本当に大丈夫か。」
「うん。じゃあよろしくね。戻ろうね。」
「うん。」
逃げるように孤児院に戻った。
戻ってから、次にシーツを持っていくときは濡れて触ったシーツの下に、二枚シーツを入れて持っていくようにした。
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