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緑の石  作者: ナニカ
娼館
15/42

娼館14

ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。

 孤児院に戻り、朝からおもらしの処理が始まった。また、あの男の子が泣いていたが上手く対応し、数時間後には笑顔になって遊んでいた。そして、私は浮く能力をシーツ運びに応用することを思い出した。 シーツ一枚を水で濡らし、数十秒握る。そのシーツの上からほかのシーツを重ねる。すると、普段よりも軽い重さで運ぶことができる。この方法にはもう一つメリットがある。たとえ場の外に出て浮遊しなくなっても、必ず濡れたシーツを触ることができすぐに浮遊しはじめる。つまり、原理的に永遠浮かすことができる。

 しかし、欠点もある。それはシーツを下ろすときだ。一番下以外のシーツはほとんど普通に渡すことができる。けれど一番下は浮遊能力がなくなっていないので、一度遠くまでは慣れて遠投して渡さないといけない。このことをちょうど下ろす瞬間に思いついてしまった。

ランが洗濯板でシーツを洗っている。

「おはよう。シラン。シーツそこに置いといて。」

「おはよう。うっうん。分かった。」

一番下のシーツを強く握り、両腕で抱えていたシーツを前傾姿勢になって豪快に下ろす。

「おお。雑だよ。」

「ごめん。」

その瞬間、一枚だけ手に持っていないシーツが浮いてた。どうやら、一番下のシーツの水気が移ってしまったらしい。すばやく、右手でつかみ左手で持ち替えた。

「どうしたんだ、今日。」

運よくランには気づかれなかったらしい。

「いや、別に。」

「手に持ってるやつもおいてけよ。」

「うん。待ってて。」

「なにが。」

左手に持ったまま、後退りしてもどる。

「どこ行くんだよ。」

10歩ぐらい離れたところで、この距離から薄いシーツを飛ばすことは不可能なことに気づいた。どうしようと思ったとき、

「おねえちゃん。」

男の子が話しかけてきた。

「あ、いいところに来た。あのさ、このシーツ、ランのところに持って行ってくれない。」

「うん。いいよ。」

「ありがとう。でも、おねえちゃんとお約束してほしいことがあるんだけどいい。」

「うん。」

「このシーツ絶対に、おねえちゃんがいいよって言うまで放したらだめだよ。」

「分かった。」

「本当に大丈夫。」

「うん。」

左手に持ったシーツを男の子の両手にしっかりと載せる。そして、男の子の手を下から握る。

「放しちゃだめだよ。ほら、いってきて。」

男の子は両手いっぱいにシーツを持ち、下にこすりながら走っていく。しかし5歩いったところで後ろにのけぞった。私は急いで駆け寄って背中を支える。

「おねえちゃん。なんかこのシーツ引張ってくるよ。」

「何言ってるの。」

シーツを握りすぎて場が広がりすぎたせいで、子供の力じゃ勝てないほどになってしまった。ここで、発想を変えることにした。

「ねえ、あそこにあるシーツを取ってきてくれない。」

「分かった。」

男の子がまた手にシーツを持ったまま走ろうとした。

「まって、それはおねえちゃんに返して。」

「だめ。」

「なんで。」

「おやくそく。」

「あー。いいよ。」

男の子が両手からシーツを離した。

「よし、じゃあ行ってきて。」

「うん。」

ばたばたと走っていく。

「シラン。何してるの。」

さすがに変な行動をしすぎて怪しまれている。その間、男の子が積みあがっているシーツをガット掴み、山を崩しながら複数枚もってきた。そのうち、私のもとに来たのは一枚だけだった。

「はい。」

「ありがとう。」

そのシーツを濡れているシーツの上からつつみ、男の子の手を握り持っていく。こうすれば私が間接的に運ぶことができる。さすがに私が引っ張られるほど、力は強くないだろう。そして、案の定11歩進んだところで重さが増した。

「はい、ラン。」

「うん。本当に大丈夫か。」

「うん。じゃあよろしくね。戻ろうね。」

「うん。」

逃げるように孤児院に戻った。

 戻ってから、次にシーツを持っていくときは濡れて触ったシーツの下に、二枚シーツを入れて持っていくようにした。


ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。そして、もし宜しかったら次も見てください。

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