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緑の石  作者: ナニカ
娼館
13/42

娼館12

ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。

 娼婦は私の手を引張り部屋の奥へと入っていく。左の肘に下がっているランプが左、上と動いている。

「いいから。来て。」

そういって、娼婦がベッドに飛こんだ。私もつられて顔から倒れこんだ。きん、きんとランプの取っ手がなった。

「危ないですよ。」

「ああ、ごめん。つい嬉しくなって。」

手に持っているランプの光が初めて、娼婦の体と顔に当たった。娼婦の肌には張りがあり、鎖骨が出ている。顎筋はシュッとしており、唇が分厚く真っ赤になっている。鼻は高く、目が大きくまつげが長い。誰が見ても美人だという顔つきだった。けれど、この女が娼婦であるというのも誰でもわかるだろう。

「嬉しいって何でですか。」

「なんでも。」

娼婦はさっきまでの悲しい顔を急に変え、口角をいっぱいに上げて笑った。

「じゃあ、もういいですか。掃除しないといけないので。」

「ええええ、待ってよ。ちょっとお話しよ。」

「はああ。分かりました。でも、掃除しながらでいいですか。」

「うん。」

ベッドから起き上がり、ランプを持ち直して掃除用具を取りに行った。その間も娼婦は話しかけてくる。

「シランはさあ。毎日、ここにきてるの。」

「いいえ。」

「ふーん。普段はどこに帰ってるの。」

「孤児院です。」

「孤児なんだ。でも、孤児院って18歳までしかいれないよね。シランは大丈夫なの。」

「はい、私まだ17歳なので。」

「え、私と同い年なの。よく人に大人っぽいって言われない。」

「いわれません。老けてるっていう意味ですか。」

「えええ。違うよ。ごめんね。」

「いいえ。大丈夫です。」

「ねえ、さっきから私が質問してばっかりじゃん。シランからは私に質問ないの。」

「特には。」

「えええ。何でもいいんだよ。」

「失礼なことでもいいですか。」

「うん、まあいいよ。」

「いつからここで働いてるんですか。」

「うーん、そうだねえ。3年前ぐらいかな。それとも最近。よく覚えてないや。」

「そうなんですね。」

娼婦は話しているあいだ、足をバタバタさせていた。

「え、それだけ。」

「はい。もっと聞きたいことあるんじゃないの。」

娼婦の言うことを無視して、掃除を続ける。

「無視しないでよ。でもシランはやっぱり、優しいね。」

「なにがですか。」

「おお、都合のいい耳だ。」

「は、い。」

「ははは。ごめん。だって、私がなんで働いてるとか聞こうとしないのかなって。」

「まあ、そりゃあ私も将来ここで働く予定ですし。」

「えええ。そうなの。楽しみだね。」

足をより一層バタバタさせている。

「楽しみって変な言い方ですね。」

「そうかな。だって、シランに毎日会えるようになるんでしょ。」

「昨日今日あった私に期待しすぎです。」

「期待じゃないよ。」

娼婦は足をバタバタさせるのをやめて。体をうつ伏せにしてからまた再開した。

「埃が立ちます。」

「えー、嬉しいんだもん。」

「眠くないんですか。」

「眠くないよ。今日あんま働いてないし。」

「そうなんですか。」

「えやっぱり怒ったかな。なんか、ここの町のひと皆ちょう努力家が多いっていうか。努力絶対主義みたいな。働いてない人とかに超厳しいよね。」

「まあ。でも、私は怒ったとかじゃないです。なんでかなって考えてて。」

「なるほどね。聞けばいいのに。」

「はい。じゃあ、なんでですか。」

「あのね、私リンさんを怒らせちゃったの。だからそのせい。でも、理由は言いたくない。」

「そうなんですか。」

会話が途切れたところでちょうど掃除が終わった。

「掃除が終わったので、次の部屋に行きます。」

「え、もう。もうちょっといてよ。」

「無理です。」

「だよね。じゃあたまに遊びに行っていいかな。」

「だめです。」

「えー。一緒に掃除してあげるから。」

「だめです。」

「分かったよ。じゃあ、明日、明日は来るの。」

「まあ、はい。」

「よかった。じゃあ明日ね。」

「はい。」



ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。そして、もし宜しかったら次も見てください。

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