娼館11
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その日の子供たちの遊びを見守っていたとき、子どもがこけて怪我をしてしまった。急いで、その子のそばによってポケットの中からハンカチを取り出して巻き付けた。
「うわああああん。痛いよ。」
「我慢して。ほっといたほうが痛いよ。」
ハンカチの右端と左端をもってぎゅっと縛る。けれど、思いのほか深く傷がついたのかハンカチが赤く染まっていく。その血の上から強く右手で押してみる。
「痛い痛い。」
「ごめん。我慢して。」
数分ずっと押さえつけ、血が止まったかなと思い手をどかす。でも、ハンカチが手から離れない。血が固まって取れなくなったんだと思い、左手でハンカチをはがそうと右手にびりびりという感触がする。しかし、まだ離れない。浮いてるんだ。急いで、右手でハンカチをぐしゃっと握りつぶしポケットに入れる。けれど、ポケットの中で怪我した子の膝に戻ろうとしている。
「いたいよおおお。」
まだ、泣き出している。
「もう大丈夫だって。ちょっと待ってて。きれいなハンカチ持ってくるから。もし待ってる間に血が出ても絶対に素手で抑えちゃだめだよ。」
「うん。」
色々な意味で急いで孤児院に戻り、きれいなハンカチと神父様を呼びに行く。孤児院に入りハンカチを探しているとエプロンやスカートが浮き上がってきた。無意識に血が付いた手で触ってしまっていたらしい。数歩下がってみる。しかし、まだ浮いているのでもう数歩下がるとやっと戻った。けれど、下がる間にスカートの他の場所に血が付いたのかまた浮き始めた。今度は元の場所に十数歩進む。落ち着いた。そのあと、清潔なハンカチを数枚取り、神父様を呼び、やっと傷を見てもらった。
浮くことがこんなにも大変なことを意識してみて初めて感じた。このあとも、子供がこぼした水を雑巾で拭いて、床に置こうとしたら浮いていたこともあった。また、コップを拭いているときに他の子と話してたらコップが浮いてしまうこともあった。さらに、大変なことに今日は娼館に行く日だ。
子供たちが寝静まるなか、欲望と酒が飛び交う南通りにむかう。今日はこの前より人が少なかった。来週から仕事が始まるからだろう。仕事もすぐにはじまった。
掃除用具を玄関前に置き、ランプに火をつける。そのあいだ、この扉の奥にいるあの娼婦のことを考えていた。この前なんで私の名前なんか聞いたんだろう。今日も寝てるのかな。火がともった。ランプを左手に持ち、扉をノックする。
「こん、こん、こん。」
やはり返事は返ってこない。ドアノブを慎重に持ち、ゆっくり開けた。部屋の中は真っ暗で、この前と同様一本のろうそくが灯してあり生足だけが見える。
「ダン、ダン、ダン。」
蝋燭の光が見えなくなり、暗闇と足音が近づいて来る。暗闇から細いが痣がある腕が出てきた。その腕を私の手をつかみ、下に引っ張てくる。
「何。」
私の手は生足に触れた。
「あああ、シラン。来て。」
「ちょっと待ってください。」
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