おまけの馴れ初め
「「シャーリー(さん)! ガイルさんとの婚約おめでとうございます!」」
冒険ギルド事務所にて出勤早々、シャーリーは同僚と受付嬢にお祝いされる。
シャーリーは昨日、ギルドマスターに現恋人の騎士団の剣聖ことガイルと婚約した事を報告した。
同僚と受付嬢からの祝福にシャーリーは少し照れくさそうに御礼を述べた。
「二人ともありがとう。それにしても、マスターに昨日、報告したばかりなのにもう出回ってるのね」
「そりゃあ、お相手は王都騎士団の剣聖! み〜んな、お祭り騒ぎだよ!」
「皆さん、シャーリーさんとガイルさんの婚約を祝福してますよ」
「う〜ん、照れるな〜」
こんな感じに仕事仲間達からも祝福される、お昼頃には祝福も落ち着き、シャーリーは同僚と昼食を摂っていたら。
「ねえ、シャーリー。ガイルさんとはどうやって会ったの?」
ふいにガイルとの馴れ初めを聞かれた。
「あれ? 話してなかったけ?」
「王都に出掛けた時に会ったって聞いたけど詳しい話は聞いてないなって」
「あ〜、そう言えばそうね。スリをとっ捕まえたら、事情聴取されちゃってね。その時に応対したのがガイルだったの」
「事情聴取? 捕まえたのに?」
「捕まえたときに思いっきり殴ったせいでスリが気絶しちゃってね」
「あ〜・・・・・・」
その日、シャーリーは買い物の為に王都に出向いた。
買い物終わりに杖をついた老人から財布を盗んだスリと遭遇し、見過ごせなかったシャーリーは一撃で仕留めた。
その結果、スリは気絶。
通報してやってきたガイルにスリが気絶したから事情聴取させてほしいとお願いされ、応対した後に。
「貴方の勇気ある行動に僕は感謝したい。是非、食事でも」
と誘われたのだ。
シャーリーは流石に食事を奢られるようなことはしていないと断ったが。
「この街を守る騎士として貴方に感謝したいのです!」
そう強く言われてしまい、シャーリーは頷くしかなかった。
どうして、やや強引に食事に誘ったのかというと、シャーリーに一目惚れし、何が何でも接点を持ちたいと思ったからだそうな。
「その食事中に根掘り葉掘り、色々と聞かれて、冒険ギルドに勤めてる事とか話しちゃったわけ」
「それでシャーリーに会いに非番の日にはコッチに来てた訳か〜」
「後は貴方の知っているとおり、会いに来る度に絆されて告白されて今に至るわ」
「成る程ね〜。ねえ、シャーリー、ガイルさんと婚約して幸せ?」
いきなり、同僚にそう聞かれ、面喰らったが。
「ええ、幸せよ」
ニッコリ笑って答えた。