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這って来る男

作者: John

あたしは、ワンルームのアパートに住んでいる。部屋は4階。女の一人暮らしなので1階は不用心だと思ったのでエレベーターの付いてないアパートでこのくらいの階が無難かなと思って4階にした。ある日、呼び鈴が鳴った。あたしは、玄関のドアスコープを覗いた。誰も見えなかった。悪戯?それとも、隣室の子が間違えて押したとか?あたしは、不覚にも扉を開けてしまった。そこには、上半身裸でうつ伏せになっている男がいた。???あたしはあまりの衝撃と恐怖に襲われ一歩後退した。すると、男の肩甲骨の所から電動のこぎりの刃がウィーンと出て来た。その様子はジョーズが海面から背びれを出して迫ってくるシーンさながらの光景だった。狙った獲物は逃さない。男の眼光の鋭さは老練な狩人、その人であった。あたしは悲鳴を上げながらベランダの方に逃げた。だけど、頭がテンパっていてカーペットの端に躓いて転んでしまった。男はベトナム戦争の歩兵部隊よろしく。ジャングルを匍匐前進する兵士のようにあたしに迫って来た。この男は階段を昇る時と呼び鈴を押した時は立っていたのだろうかと脳裏を過った。そして、あたしは思った。こ、殺される。ジョーズの鮫に襲われるシーンのBGMが脳内でリフレインしている。あたしも必至になって這って逃げるが男の方が匍匐前進に慣れているのか断然速い。男の手が足に触れた。し、死ぬ。私は自暴自棄に陥ってライヴ開場でオーディエンスに全く受けないミュージシャンのようにその場に立ち尽くした。いや、言い違えた。這い蹲った。すると、どうだろうか。男は丘を駆け上がるかのようにあたしの身体の上を匍匐前進して行った。???あれ、生きてる。男のベルトのバックルで皮膚は少し傷付いたが。尚も匍匐前進する男。あたしは、ベランダのプランターに水をあげようとベランダの窓を開けっぱなしにしていた。男はベランダに出て尚も前進している。ベランダの鉄柵は下の部分は大人の頭がすり抜けるくらい間が空いていた。男は頭がすり抜け電動のこぎりで鉄柵をカットした。すると、鉄柵は腐蝕していたのか途中からポキンと折れてもげた。男は地上4階から地面に真っ逆さまに落下しその脳味噌を地上にばら撒いた。えっ、この男は何をしに来たんだ?もしかして、自殺願望があったとか。あたしは、こう思うようにした。君のアパートのベランダの鉄柵は腐蝕しているから危険だよと告げに来てくれたんだと。

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