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初出勤はドラマティック

内定、と言っていいのかわからないが、俺は就職先が決まった。

『悪人株式会社』という、なんとも人を食った社名だが、会社は会社だ。

働き先、ありがたい。よろしく給料、ハロー社会人。

ちなみに、会社名は「ローグ ライフ カンパニー」と読むらしい。

キラキラネームみたいだな。

「ネットドラマのタイトルみたいでカッコよくない?」

ウサギ部長がドヤ顔(雰囲気)で言う。

どっちかっていうと、十週打ち切り新連載マンガじゃないかと思うが、ひとつ大人になった賢い俺は沈黙を選択する。

今年の新入社員は、俺のほかに二人いる。

入社式なんてものがなくて、桜舞う4月の初出社日、部長のデスクの前で紹介された。

「藤巻健次郎くん、朝原尚子くん、井槌湊くん。これからよろしくね」


トウマキ ケンジロウーー俺より背が高くて、眼鏡かけてる。ちょっと前髪が長くね?


アサハラ ショウコーー背は俺と同じくらい。まっすぐな髪をしばってる。


そして、おれ、イヅチ ミナト。新社会人として、昨日理容院に行って、キッチリしてきた。はず。

以上。

「じゃあ、仕事の説明するねー」

緊張に固まっていたスーツ姿の俺たちは、しばしの空白の後、「え、挨拶って、それだけ?」と困惑する。

社是とか、社訓とか、偉い人のお話は?

自己紹介すらしてないけど?

おそるおそる部長をみていると、そんな俺たちに気づいたのか、部長がハッと息をのむ。

「そうそう、社長のお言葉をお伝えするね」

そう言って、部長は自分の机からガタガタと何かを取り出す。

「昔なつかし、カセットデッキー!」

部長が机の上にドンと置いたのは、ラッパーとかが持ってる持ち運びサイズのデッキ。

いま『チャラララッタラー』って、猫型ロボットの秘密道具的な効果音が聞こえた気がするが、気のせいだな。

「スイッチ、オン!」

カチッという音と共に、スピーカーからザーザーという音が流れ始める。


『…………諸君、ごきげんよう。そして、新入社員のみんな、入社、おめでとう』


男の声と女の声を同時に再生したような声が俺たちに話しかける。


『最初に訂正しておこう。私は正式にはこの会社、すなわち悪の組織の「総帥」である。「社長」は一般人との会話上、混乱を避けるための呼称であるので、今後は君たちも使い分けるようにしてくれ』


とんだジャブきたよ。

『総帥』って。あの『総帥』だよな。

つまり、俺たちはこれから平会社員ならぬ、正義の味方にボコられる系の雑魚キャラなわけか。


『君たちはこれから私たちと共に社会を、世界を悪に染め上げていく。誰にも知られず、ひそやかに、だが確実に世界をあるべき姿へと推し進める。そのための我々、そして君たちだ。それはときに厳しく、孤独な道かもしれない。悩み、苦しむ時がくるだろう。だが、私は、君たちが、乗り越えられると、成し遂げられると信じている』


全体的に主語がでかいな。会社のスピーチで扱うスケールじゃない。

「いやいや、規模デカすぎでしょー」

静かに聞いていたウサギ部長が手をヒラヒラさせて言う。

いや、あんたがそこでツッコむなよ。


『…………と。このタイミングで茶々をいれるだろう贄くん、後でわたしに電話をいれるように』


部長の手がピシッと止まる。

え! 社長このタイミングで部長のツッコミも折り込み済みか! 怖っ!


『とはいえ、最初から大きな山を見てばかりでは歩みも遅くなるものだ。故に、まずは身近に、県レベル、いや、市のレベルから行うことを我々は進めている』


急にスケール小さくなった。


『身近な商店、身近な隣人、手の届く範囲からの世界征服。確実で堅実な一歩からだ。そう、ごみ拾いもまずは身近な家の周りから。よりよい悪の世界は君たちの隣から始めるのだ。我々の求める世界はより美しく、輝いている』


何が言いたいのかよくわからないが、ごみゼロ運動みたいなものかな。世界征服って。


『では、最後に』


え、もう終わり?


『このテープは再生の終了と共に消失する。諸君、今後の健闘を祈る』


カチッという音が再びして、テープが止まる。そして、カセットデッキから白煙が昇る。

「あ、燃えてる!」

「部長! か、火事!」

「消火器は!」

慌てる俺たちに、部長は手をヒラヒラ振って笑う。

「だーいじょうぶ。これ、テープだけ燃える特殊仕様だから。古典的なこと好きな人でさ。あとのゴミ出しに困るからやめてくれっていってるのにやめてくんないのよねー」

どんな人だよ!

燃えるカセットとか、編成ボイス仕様とか、一介の社長が堂々と不審物作ってんじゃねえ!

あ、悪の総帥か。ならいいのか。

いや、よくはないよな。

幸いカセットは、火災報知器が反応する前に消えてくれた。

部長がカセットデッキを机にしまう。

「以上、社長のお言葉でしたー。じゃ、これから各自のデスクとか、仕事の話とか説明するねー。あ、歓迎会とか、最近の子たちは迷惑なんでしょー? 大丈夫、そんなことしないから。うち、お酒飲めない人が多いから、そういうことしないんだよねー」

でも、アウトドア好きとか、ゲーム好きとかが同好会みたいなもの作ったりしててね、そういうのはまた後で紹介するからねー、と部長が言う。

終了。

本当にこれで終わりか。

…………まあ、長ったらしい、意味わかんない話されても困るけど。


「あの」


隣にいた女のひと、朝原さんが手を上げる。

「すいません、部長。なぜ社長のお話が録音なんでしょうか?」

すごい、突っ込んだ!

俺なんてもうどこからツッコめばいいかわからないから放置していたのに。

「スルドイね、朝原くん! それはなぜかというと、君たちはまだ総帥にあうレベルではないからというのが答えだよ!」

「え!?」

レベルってなに?

「総帥にお会いできるのは各支部長以上の役職のみ。だから、君たち平社員は特別な理由でもない限り、会うことはまずない。そして、当然、総帥のお姿は組織の性質上最高機密扱いなのさ。だから、総帥のお言葉も編成ボイスの古典的なカセットテープってわけ」


…………。


「部長」

たまらず、俺も手を上げて、発言を求める。

「はい、井槌くん」


「――会社のパンフレットに社長の顔、堂々と出てませんでした?」


うん、俺見てるよ。

内定出た時にもらった会社の説明書と一緒に入ってたパンフ。

でっかく顔写真と名前。

よくいる中小企業の社長さん、っていう感じの小太りのおじさんがのってたぞ。


「…………」


「…………」


秒針が34秒まで回転したところで、


―――てへぺろ☆


ウサギが、やっちゃった、って体で頭をゴツンとする。

ぜんぜんかわいくない。

「うん、それは、それ! 影武者的なソレなアレで了解、よろしくね。なーに、君たちも知っての通り、普通の企業だったら平社員と社長が直接会話することがないってこと、あるじゃん。その感覚でね」

わかるけど、わからん。新人社会人にかなり無理言ってないか、このウサギ。

「社長については以上!」

さらなる追及の手が伸びるのを避けるためか、話を切り上げる部長。

「ついでに私のことなんだけど、もう知ってると思うけど、改めて、名前は贄宇左衛門。ここの責任者だよ。そして私は、正式には『支部長』なんだよね。みんな呼びづらいから略して部長って呼んでるけど」

「はい、部長」

今度は藤巻さんが手を上げた。

「支部ということは、それは、いわゆる『方面軍』的なものなんですか?」

「いやいや、藤巻くん、悪の組織は軍隊ではないから。うちは本当に、ただの支部。本社に対しての支社的なものね。ちなみに本社の場所は今の君たちには教えられないから、あしからず」

得意げに言ってるけど、それも会社パンフに本社から支部の住所電話番号、なんならホームページのアドレスまでのってたけど、今更なので、俺たち三人は誰もツッコまなかった。

「じゃあ、みんなのデスクを説明するよー」



その後はひと通りの会社の内部の説明とか、先輩の紹介諸々で一日が終わった。

そして定時で退社。

普通に疲れたし、このままひとりで家に帰っていいんだけど、そういうわけにもいかない。

俺としては、同期との打ち合わせと言うか、情報のすり合わせだけでもしておきたい。

他のふたりも同じみたいで、視線だけで俺たちは理解しあった。

互いの、勤務中にウサギを見る目が何よりも雄弁だったのだ。

というわけで、俺たちは、初出社日にして、退勤後すぐカラオケボックスへ向かった。

まさかとは思うが、万が一を考えて居酒屋よりも防音性があるというのが理由だ。

フリードリンクを選んで、個室に入る。

席に着いて、しばしの無言。


「あの…………」


口火を切ったのは朝原さんだった。

「―――みなさん、うちの会社、どう思います?」

「…………」

「…………」

お互い、探るような沈黙が続く。

「…………ふつう、じゃないですね」

恐々と言う藤巻さんに、俺と朝原さんの口から重く深いため息がでる。

「本当に世界征服するんですか?」

「私たち、悪人やるってことですよね?」

「部長に言われたときは最初冗談かと思ったんですけど」

「入社試験も、ほんのイタズラかと思ったし」

「でも、さっきのアレ、ガチですか?」

「『総帥』って」

「子供番組じゃあるまいし、本気でしょうか」

「でも、内定決まってすぐ、会社のホームページ見たんですけど、隠しもしてませんでしたよ」

「もらった会社パンフレットにも、タイトルに『明るい世界征服を目指しています』って」

「いらすと屋みたいな絵が添えてあったあれですね」

「会社概要、平成元年設立ってありましたよ」

「社長の名前見ました?」

「え?」

「悪玉善之助」

「どっちだよ!」

ダムの堰を切ったみたいに怒涛の勢いで疑問とツッコミをぶつけあった俺たちは、ひと通り出し終えてひと息つくと、のどの渇きをいやすため飲み物をグッと飲み干す。


―――はあ。なんだかなぁー。


「あの、そういえば、お二人はなんでこの会社に? 俺は、その、就職先が他に見つからなくて、歩いてた時にたまたま見つけたあそこにしょうがなく飛び込んだんですけど」

ふつうに就職先として探してみつかる会社なんだろうか。すくなくとも、雑誌とか新聞の求人広告であんな社名見たら誰も寄り付かないと思う。

朝原さんが言う。

「わたし、夏に病気で入院して、就活ができなかったんです。それで、困っていたら、近所のおばさんがこの会社を教えてくれたんです」

「近所のおばさん?」

「あの、この会社に以前お世話になって、とってもいい会社だからって。それで、ダメもとで受けたら、雇ってくれて」

「…………」

悪の先鋒と知り合いとは、何者だ、近所のおばちゃん。

藤巻さんが続いて言う。

「私も就職に困っていて。…………その、これが面接に引っかかったみたいで」

藤巻さんがそう言って、前髪をかきあげる。

あらわになった頬には、一筋の大きな傷跡があった。


―――え! まさかその筋のひと!? 藤巻さん、怖い人なのか!?


「猫が木に登って降りられなくなって助けた時、暴れられて引っかかれてしまって…………」


―――やだ、いい人だった!


「説明したんですけど、人事の方にはいい印象を持たれなかったみたいで。それで、たまたまチラシで目に入ったここへ」

そんな求人広告してたんだ、あそこ。

「てっきりヒーローアトラクションの着ぐるみとかだと思っていたんですけど」

ああ、なるほど。俺もそうだった。

脳裏にウサギのアレが浮かぶ。

ダブピしてるのがムカつく。

「…………どうしましょう」

朝原さんが困った顔をして言う。

「へ? どう、どは?」

「せっかく入れた会社ですし、やめたくないですけど、さきがちょっと不安というか」

いや、正直言うと、俺も不安しかない。

かける言葉もない。

再びの沈黙。


―――どうしようかなー。


せっかく決まった就職なんだし。

もう転職活動するとか正直、勘弁してほしい。

そんな雰囲気に押し黙る俺たちに、おだやかに藤巻さんが言う。

「少し様子を見てもいいんじゃないですか?」

「様子見、ですか?」

「確かに不安ですけど、まだ始まったばかりですし」

藤巻さんが小さく笑う。

「私たちはまだ社会人一日目なんですから、不安で当たり前でしょう。まだこれからですよ。上司がウサギなのはもうしょうがないとして、明日から、三人でがんばりましょう」

前向きだ。

藤巻さん、やっぱりいい人。

「そうですね。せっかく入れた会社なんだから。これからですよね」

朝原さんも気を取り直して言う。

「気にしすぎですね。会社は会社なんだから、まずは、新人としてちゃんと一人前になることから始めないと」

たしかに、俺たちは気にしすぎたのかもしれない。

世の中には、変な社名や上司なんてものは、山ほどあるのだ。

それが、たまたま俺たちの就職先になってしまっただけのこと。

だいじょうぶ、俺たちはこれからだ!

「そうですね、明日から、がんばりましょう!」



と、気勢を上げた翌日。

朝。

始業開始時間の8:30。

俺たち三人がその十分前に出社すると、オフィスは―――鍵がかかっていた。

「…………」

「…………」

「…………あれ?」

扉を引くが、開かない。

新入社員の俺たちは、まだ玄関の鍵とか、警備システムの解除方法を聞いていない。

というか、それを今日の研修で聞く予定なのだ。

なのに、会社に入れない。

「明日はタイムカードの説明するから、少し早めに出社してねー」

なんて言われたのに。

おかしいな。

念のため、もう一度扉を引いてみる。

試しに、押したり、横にずらすもしてみる。(一応、一応の念のためだ。)

が、先ほどと同じく、開く気配はまったくしない。

時計を見ると、もう五分前だ。

俺は後ろの二人を振り返る。

「時間…………8:30で、あってますよね?」

「9:00の間違いでは?」

「いえ、わたし、部長にきいてすぐメモとりました。間違いなく8:30です」

「ですよね。でも、開きませんよ、これ」

「じゃあ、誰もまだ出社してないってことですか?」

「そんなまさか」

「普通この時間になってひとりも出社しないなんてことは…………」

普通ならそうだ。いくら遅くても五分前には誰かが来て鍵開けしてないなんておかしい。

普通ならば。


―――そうだ、ここ普通じゃなかった。


「ここの緊急連絡先って聞いてます?」

とっさの俺の思いつきに、朝原さんが冷静に応える。

「それ、今日の説明で聞く予定のはずです」

ならば次の手、と俺は言う。

「以前もらった部長の名刺の番号!」

「かけました。不通です」

藤巻さんが携帯片手に言う。

「…………」


―――詰んだー。


三人の間に達観した沈黙が流れる。

そうこうしているうちに、時間は8:30を指していた。

会社のドアの前でなすすべなくたたずむ俺は、ポツリと言う。

「…………俺たち、会社の場所まちがえてないですよね」

「井槌さん、だいじょうぶです。三人が三人ともまちがえることはさすがにないです」

「ですよね」

ちょっと混乱しかけた俺を、朝原さんの言葉が引き留めてくれる。


そして、―――恐ろしいことに30分経過。


俺たちは待ち続けた。

疲れたのでもう三人とも会社の前で座っている。

「何してるんでしょうね、俺たち」

「…………さあ」

「これ、部長の『ドッキリ』で、あそこの影から今にもピョーンと現れたりとか」

「それって、なにハラスメントになりますかね」

「ウサギハラスメントですかね」

「ウサギでも許されることと許されないことがあると思うんですよ」

待たされすぎて、俺たちに動物愛護の精神が失われつつあった。

「…………猫ならまだ許せる」

藤巻さんの言葉に俺は力なく肯定する。

「いいですねー、猫。犬もいいですけど」

「モフモフいいですねー。顔をうずめたい」

朝原さんもうなずく。

ということで、俺たちはモフモフは正義ということで一致した。

実に他愛のない団結だった。


さらに時は進み、


なんということでしょう! からの一時間経過。


「…………あわび」

「びわ」

「ワオキツネザル」

「ルンバ」

「バングラデシュ」

「…………これ、『ゆ』ですか、『しゅ』ですか?」

「どちらでもいいですよ」

「じゃあ、ユトレヒト」

「とりびあ」


「あれ、三人とも早いねー」


「部長!」

俺たちがあまりの非常事態に、とうとうこの年でしりとりなんてやっていたら、ひょこひょこと、通りの方からいつものごとくウサギが現れた。

「遅いですよ!」

「もう一時間たってますよ!」

「どうしたんですか? 急な事故とかですか!?」

三人食ってかかるように部長に詰め寄る。

って、なあ、おい、一時間だぞ、いちじかん!

この過度連絡社会のなか、いちじかん待たされたんだぞ、コラ!

説明のひとつもしろってんだよ!

(あと、怒ってる俺と朝原さんとちがい、心配してくれた藤巻さんありがとう。すっかりその可能性を忘れていたよ)

そんな俺たちにまったく動ずることなく、ウサギ部長はカラカラ笑う。

「やだなー遅いなんて。私、会社で一番の早乗りさんだよ。ほら、カギ」

部長がどこからともなく出した、玄関鍵と警備会社のカードを両手でヒラヒラ振る。

「って、部長、昨日出勤の十分前に来るようにって!」

「たしかに、昨日わたしたち8:30に出勤って聞きましたよ?」

俺と朝原さんがそういうと、

「うん、言ったよー」

と、部長はあっさり認めた。

「じゃあ、なんでこんな遅刻したんですか?」

疑問をぶつけると、部長は「その前に、」と言って、スタスタと玄関に行って、カギを開け、カードをリーダーにピッとして警備を解除する。


「それはね、うちは出社時間が前後二時間のフレックス出社制度だからなんだよー」


…………。


「だから、8:30に集合って言ったら、10:30までに来たら、遅刻じゃないの」

部長が玄関を開けて電気をつける。

呆然とする俺たちを振り返り、首をひねる。

「あれ、言ってなかったっけ?」

聞いてねぇ!

二時間て、どんだけフレックスだよ!

口をへの字にして無言で抗議の意を伝えると、ウサギは、

「あは、ごっめーん」

全然悪気のない声でそう言った。

だから、ぜんぜんかわいくない。

「…………部長、ということはみなさんいつもこれから出勤されるんですね」

なんならもう一日の仕事が終わった気分だが、これが社会人としての洗礼なのかもしれない。

ずいぶん遅い始業だけど、それが常ならこれから慣れるしかないのか。

「そんなことないよ」

「は?」


―――なんですと?


「いつもなら定時ちょうどに来る人も勿論いるよ。でも、今日だけは全員に遅めに来るようにお願いしちゃった」

「え、なんでそんなことを?」

「ビックリさせたかったから!」

ぱあぁーと後ろが光ってるみたいに嬉しそうなウサギに俺たちは明確な殺意を抱いた。


「部長―――ウサハラです」

「え?!」


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